宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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幻の但馬牛を食べに行ってきた! 浜坂~小代ツーリング

2020年04月19日 | バイク・旅・ツーリング
コロナウィルスによる外出自粛要請が出ているので1年前に行ったツーリングの紹介。
まだ、記事にしていなかったツーリングを思い出しながら書いていきます。

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今回紹介するのは、幻の但馬牛“但馬玄”の牛丼を食べに行くツーリング。
ついでに大好きな浜坂海岸にも寄っちゃいます。


初めての温泉玉子 ~ お気に入りの海岸でモーニング

朝の6時に出発して中国自動車道~舞鶴若狭自動車道へ。
西紀SAで休憩したあと、北近畿豊岡自動車道~国道9号を走って着いたのが湯村温泉。

湯村温泉に寄ったのは温泉玉子を作るため。
実は温泉玉子を作るのは初めてなんですねー
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売店で3つ150円の玉子を手に入れると、あとは温泉に浸けて10分待つだけ。
出来上がるまで足湯を楽しみながら休憩できました。

このあと、県道47号を20分ほど走って着いたのがお気に入りの海岸“浜坂海岸”。
いつものごとく朝食を食べていなかったので、さっそく調理開始です。
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今回作るのはパスタとパン、温泉玉子のモーニングセット。
パスタはタケノコとアサリを使った“春のスープパスタ”です。

材料はパスタとアサリ水煮缶詰、タマネギ、タケノコ水煮、シメジ、魚介ブイオン、乾燥パセリ。
水を入れたメスティンにアサリ水煮缶詰の汁、タマネギ、シメジ、魚介ブイオンを入れて強火にかけます。

沸騰するとパスタを入れてフタをしてから弱火に。
パスタが茹で上がる1分前にアサリとタケノコを入れて混ぜ合わせると、あとは1分待つだけ。
乾燥パセリをふりかけて、残りの温泉玉子とパン二切れ添えれば出来上がりです。
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天気が良い海岸で食べるとおいしさ倍増。
誰もいないので、波の音を聞きながらのんびりしていると3時間も休憩していました。


水面に白く咲く“バイカモ” ~ 田舎の自動販売機コーナー ~ 幻の但馬牛

十分に休憩した後はツーリングも後半に突入。
次は、白い花をつけるバイカモ(梅花藻)を見に行きます。
目的地は県道47号を4キロほど戻った田君川バイカモ公園です。
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バイカモは5月~7月にかけて水面いっぱいに咲くキンポウゲ科の水中性の多年草。
自生には水温15度以下のキレイな水が必要なので、清流の目安にされているそうです。
ただ、訪れたのが少し早かったのか少ししか咲いていませんでした。

そして、県道47号~国道9号を走っていて発見したのが“コインスナックふじ”。
そう、田舎の国道沿いによくある自動販売機コーナーです。
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ここで幻の“うどん・そばの自動販売機”を発見。
横にはカップヌードルの自動販売機もあったりして、なかなかレトロな空間…
うどんを我慢して国道482号を走っていくと、このツーリングの目的地に到着です。

着いたのは山の駅 Shakunage。
少し早いのですが、本日の夕食“但馬玄ローストビーフ丼”食べちゃいます。

但馬牛の中でも特別な餌で育てられたのが但馬玄です。
月に2~3頭しか出荷しないので幻の但馬牛といわれています。
特徴は低温で溶け出す甘味のある脂なんですねー
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今回食べたのは脂少な目のモモ肉を使ったローストビーフ丼です。
きれいに盛り付けられたローストビーフ丼を崩していくと、中に隠れていたご飯の上には半熟卵。
まろやかな味の中にも肉の味がしっかりして美味しくいただきました。

後で気付いたことですが、“但馬玄バラ肉ステーキ丼”というのもメニューあるようです。

ひょっとすると、こっちの方が溶け出す脂の甘味を堪能できるのでは?
っということで、もう一度行かなアカンな~と思いつつ店を出て、小代から村岡に抜けて家に帰ってきました。
小代からの県道89号はクネクネ道で楽しめましたよー


舞鶴若狭自動車道の春日ICから北近畿豊岡自動車道を走って、八鹿氷ノ山ICからは国道9号~県道47号で浜坂へ。浜坂からは県道47号~国道9号を引き返して国道482号を走れば山の駅 Shakunage。帰りも同じルートを使いました。


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生まれてすぐに恒星に落ち込んでいくはず… 木星よりも大きなガス惑星が生き残る方法とは?

2020年04月17日 | 星が生まれる場所 “原始惑星系円盤”
木星やそれ以上に大きなガス惑星はどうやって形成されるのでしょうか?
惑星形成のシナリオを再現しようとすると、これまでの理論では生まれてすぐに恒星に落ち込んでしまうんですねー
でも、観測では木星よりも大きなガス惑星が見つかっているので、何か理由があるはずです。


木星よりも大きなガス惑星は恒星へ落ち込んでしまう

太陽系以外の恒星の周りを回る系外惑星が初めて見つかったのが1995年のこと。
それ以来4000個以上の系外惑星が発見されています。

ただ、質量も軌道の形も様々なこれら系外惑星の統計結果を、うまく説明できるような惑星の形成モデルを構築するのは容易ではありません。

とりわけ問題になっているのが、木星や土星のようにガスを主成分とし、その木星を上回るほどの質量を持つ巨大ガス惑星の存在です。

系外惑星は太陽系の惑星と同じように、恒星が誕生する際に周囲を取り巻くガスやチリからなる“原始惑星系円盤”の中で形成されると考えられています。

巨大ガス惑星だと“原始惑星系円盤”の中で、ガスを大量に集積することで作られたとされています。
でも、残された物質が抵抗になって巨大ガス惑星の回転を遅らせていくと、急速に恒星へ引きずり込まれることになります。

なので、木星よりも大きな質量のガス惑星は、最終的には恒星へ落ち込んでしまい生き残ることができない。っとされてきました。
ただ、これまでに木星よりも大きなガス惑星は見つかっているんですねー


巨大ガス惑星の生き残りはガス密度の低下にあった

この謎に迫るため、東北大学の研究チームは最新の数値流体計算に基づいて新たな理論モデルを構築。
これまで別々に研究されていたガスが集積する過程と惑星の落下を同時に計算すると、落下が抑制されることが分かってきます。

落下が抑制されるのは、ブレーキになるはずのガスが惑星に取り込まれることで、ガス密度が低下して抵抗が減るからでした。
惑星質量と惑星軌道半径の進化経路を表した図。実線は今回の研究結果、破線はこれまでの研究の一例。青点は観測された系外巨大ガス惑星、赤は土星を表す。これまでの研究の進化経路では、惑星は急速に落ち込んでいくので重い巨大惑星を作れないが、今回の研究の進化経路であればすべての系外惑星の形成が可能になる。(リリースより)
惑星質量と惑星軌道半径の進化経路を表した図。実線は今回の研究結果、破線はこれまでの研究の一例。青点は観測された系外巨大ガス惑星、赤は土星を表す。これまでの研究の進化経路では、惑星は急速に落ち込んでいくので重い巨大惑星を作れないが、今回の研究の進化経路であればすべての系外惑星の形成が可能になる。(リリースより)
このモデルでは、木星の10倍以上も重い系外巨大ガス惑星も中心星に落ち込むことなく形成ができていました。

巨大ガス惑星の最終的な質量は“原始惑星系円盤”の総質量で決まります。
この形成モデルは、観測されている様々な“原始惑星系円盤”の質量の分布から、これまで観測された巨大系外惑星の質量の分布を説明することにも成功しています。
今回の研究のモデルによる系外惑星を再現する“原始惑星系円盤”の質量分布と、観測された“原始惑星系円盤”の質量分布を比較したグラフ。恒星質量の0.01倍以上では両者の質量分布の形はよく一致していて、観測された“原始惑星系円盤”から系外巨大惑星を再現できることを示す。恒星質量の0.01倍以下の“原始惑星系円盤”では巨大惑星は形成されない。(リリースより)
今回の研究のモデルによる系外惑星を再現する“原始惑星系円盤”の質量分布と、観測された“原始惑星系円盤”の質量分布を比較したグラフ。恒星質量の0.01倍以上では両者の質量分布の形はよく一致していて、観測された“原始惑星系円盤”から系外巨大惑星を再現できることを示す。恒星質量の0.01倍以下の“原始惑星系円盤”では巨大惑星は形成されない。(リリースより)
今回の研究で対象になっていたのは、質量が地球の数百倍から数千倍もある巨大ガス惑星でした。

でも、理論モデルをさらに発展させることで岩石惑星にも対応できれば…
生命が居住できる条件を備えた地球型惑星の誕生を説明できるようになるかもしれませんね。


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太陽が二つあると惑星の形成環境や性質はどう変わるの? とりあえず惑星の軌道面は影響を受けるようですよ。

2020年04月13日 | 星が生まれる場所 “原始惑星系円盤”
私たちの住む太陽系には恒星は1つしかありませんが、意外なことに恒星の多くは2つ以上で一緒に生まれ、互いの周りを回る“連星”を形成しているんですねー
今回は、誕生したばかりの連星を取り巻くチリとガスの円盤“原始惑星系円盤”のお話し。
新たな性質が分かってきたようです。

恒星の多くは2つ以上で一緒に生まれている

過去20年余りにわたって数多く発見されてきた太陽以外の恒星を回る惑星“系外惑星”。

その中には、映画スターウォーズでルーク・スカイウォーカーの故郷として描かれた架空の惑星“タトゥイーン”のように、連星の周りを回るものあります。

私たちが住む太陽系には、恒星は太陽1つしかありません。
でも、意外なことに恒星の多くは2つ以上で一緒に生まれ、互いの周りを回る“連星”を形成しているんですねー
こうした惑星では、空を見上げると2つ以上の太陽が見えるはずです。
太陽が2つある惑星から見た光景(イメージ図)。(Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)
太陽が2つある惑星から見た光景(イメージ図)。(Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

連星系の軌道面と“周惑星系円盤”の傾き

惑星は、一般的に若い恒星を取り巻くチリとガスの円盤“原始惑星系円盤”の中で作られます。
  原始惑星系円盤とは、誕生したばかりの恒星の周りに広がるガスやチリからなる円盤状の構造。恒星の形成や、円盤の中で誕生する惑星の研究対象とされている。

これまでに観測された“原始惑星系円盤”の多くは単独の恒星を取り巻くものでした。

一方、連星を取り巻く“原始惑星系円盤”は“周連星系円盤”といいます。
アルマ望遠鏡はこの“周連星系円盤”の観測も行ってきました。

2つ以上の恒星が存在するという多様な環境で、惑星はどのように形成されるのか?
このことを理解するのに“周連星系円盤”を観測することは重要なことだからです。

これまでの観測から見つかっているのは、波打つようにゆがんだ“周連星系円盤”や連星の軌道面に対して傾いた“周連星系円盤”など。
極端な場合では、連星の軌道と“周連星系円盤”が、ほぼ直角に交わっているものも発見されています。

この“周連星系円盤”の典型的な特徴を知るため、研究を行っているのがカリフォルニア大学バークレー校のチームがです。
研究では、アルマ望遠鏡が観測した19個の“周連星系円盤”のデータを活用し、連星の軌道と“周連星系円盤”の傾きについて分析しています。
  高い解像度を持つアルマ望遠鏡は、これまで観測された中で最も小さく暗い“周惑星系円盤”を観測するのに適している。

その結果、連星系の軌道周期が短い、つまり恒星同士が近づいているものほど、連星系の軌道と“周連星系円盤”の向きがよく一致していることが分かります。

逆に、軌道周期が長い連星系(恒星間の間隔が大きな連星系)では、“周連星系円盤”は連星系の軌道面から大きく傾いていました。
アルマ望遠鏡で観測された“周連星系円盤”の例。観測画像の左下は連星の軌道を示している。(左)コップ座の“HD 98800 B”と呼ばれる連星系(軌道周期は315日)。中央にある連星系の軌道面と円盤面が一致していない。(右)“さそり座AK星”と呼ばれる連星系(軌道周期は13.6日)。連星系の軌道面と円盤の傾きが一致している。(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), I. Czekala and G. Kennedy; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)
アルマ望遠鏡で観測された“周連星系円盤”の例。観測画像の左下は連星の軌道を示している。(左)コップ座の“HD 98800 B”と呼ばれる連星系(軌道周期は315日)。中央にある連星系の軌道面と円盤面が一致していない。(右)“さそり座AK星”と呼ばれる連星系(軌道周期は13.6日)。連星系の軌道面と円盤の傾きが一致している。(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), I. Czekala and G. Kennedy; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello)

連星を回る惑星の軌道面との比較

さらに、研究チームでは、この結果をNASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測と比較しています。

“ケプラー”は連星系を回る惑星も発見しています。
でも、定常観測期間が4年間に限られていたので、軌道周期が40日以内の小さな連星系ばかり…
ただ、発見した連星系の系外惑星は、すべて軌道面が連星系と一致していました。
  “ケプラー”は地球から見て系外惑星が主星の手前を通過するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る。連星系が大きい場合、その周りを回る惑星の軌道周期も長くなり、観測期間中に惑星の兆候をとらえるのが難しくなる。

そう、軌道周期が短い連星系を回る“周連星系円盤”と“ケプラー”によって連星系の周りに発見された惑星の性質がよく一致していたんですねー
この一致により、“ケプラー”が見逃してしまうような大きく軌道の傾いた惑星は、さほど多くはないと研究チームは考えています。

今回の研究から分かってきたのは、間隔の大きな連星系には、軌道の大きく傾いた惑星が存在しうること。
このような惑星は、直接撮像や重力レンズ効果を使った方法などによって発見が期待できそうです。
  重力レンズ効果とは、恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力がレンズのような役割を果たすことで、曲げられたり、その結果として複数の経路を通過することにより、恒星や銀河が発した光の像が複数に見える現象。

研究チームが考えているのは、小さな連星系において連星系の軌道面と“周連星系円盤”の傾きが一致している理由。
それには、アルマ望遠鏡や現在構想中の次世代電波望遠鏡“ngVLA”による詳細な観測が必要なようです。

円盤の構造をこれまでにないほど詳しく調べることができれば、円盤のねじれや傾きが、惑星の形成環境にどのような影響を及ぼすのか? その中で作られる惑星の性質にどう影響するのか? が明らかになってくるはずです。


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  連星系誕生の謎に迫れるかも… 双子原始星から噴き出す不揃いな分子流から分かったこと。
    

道具として手に馴染んできたSurface Go。そろそろ新型が発表されそうなので18か月使ったレビュー

2020年04月08日 | book gadget goods etc
Surface 2から乗り換えたSurface Goも4月で18か月を迎えます。

自分にとって、軽くて持ち出しやすい道具になってきたSuface Go。
新型の発表があるようなので、ひとまずレビューをまとめてみました。

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出先での作業に使っているSuface Goの主な用途
  1. ブログの記事入力とネットでの情報集め
  2. RAWデータの写真現像とレタッチ
  3. プラネタリュウムのソフト“Stellarium”や動画の閲覧
これらの作業が、ほぼストレスなく使えている感じ。

RAWデータの現像では結構パラメータをいじる方なので、良さそうな画像をサクッと選んで現像。
さすがに、RAWデータの点数が多いと時間もかかるけど、10点前後ならSuface Goでやってしまいます。
たぶん、これが一番負荷のかかる作業だと思います(使っているのはメモリが8GBのモデル)。

良かった点はというと
  1. この軽さとサイズ感
  2. サッと出して直ぐに使える
  3. タッチパネルは便利
軽くて小さい本体なのでバッグの中に入れておける。小さなバッグにも入るので気軽に持ち出せます。
自分はこんなの使ってます。
  これ一つで出かけられる! PCと必要なアイテムをまとめてくれるポーチを買いました。
    

立ち上がるのが速いのでサッと出して直ぐ使える。
これは、SSD搭載とWindows Hello対応の顔認識のおかげですね。
電源ボタンを押して顔認識で自動ログインまでが5秒ほどで終わります。
気にならない時間なので自分は毎回電源OFF派になりました(スタンバイはあまり使わなくなった)。

タッチパネルが便利だと感じているのは、主にブログの記事を入力している時です。
文字を打ちながら、画面をタッチしてPCを操作するのって効率が悪いですよね。
でも自分のスタイルは、参考資料(Webコンテンツ)を指でスイスイ移動して読みながらの文字打ち。
タッチパッドでも行えますが、画面をタッチする方が直感的で自分に合っているようです(あっ、マウスは使ってません)。

良くない点も挙げてみると
  1. キーボードのアルカンターラが汚れそう
  2. 拡張性が低い
  3. バッテリーの持ちがあまり良くない
アルカンターラは、あまり汚れないことが分かってきたので、汚れは気にならなくなりました。
ときどき、硬く絞った雑巾で拭いていれば大丈夫。

Suface Goが搭載しているのはUSB Type-C、microSDカードスロット、イヤホンジャックの3つと少な目。

使っている周辺機器は、カメラ、ポータブルSSD、充電器、モバイルバッテリー。
ポータブルSSD、充電器、モバイルバッテリーがUSB Type-Cなので、専用の充電コネクタをUSB Type-Cに変えてくれると嬉しい。
カメラはmicroSDをSDカードアダプタに入れて使っている。

3つ目もあまり困ってないけど、本体の重量変わらずでバッテリー容量を増やしてくれると… これは贅沢かな。
まぁー 泊りなど長時間の使用があるときには、窒化ガリウムの急速充電器や20000mAhのモバイルバッテリーがあるので大丈夫。
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とりあえず、約半年間の使用レビューを書いてみて確認できたのは、自分にとってSuface Goが手放せない道具になってきたということ。

他のPCと比べると見劣りする点もあるけど、この軽さとサイズ感、サッと出して直ぐ使えるが手放せない理由になっています。

4月には上位のCPUが搭載された新型が発表されそうなので、このままモデルチェンジを続けてくれるといいですね。

なぜ氷天体には赤色が見られるものと見られないものがあるのか?

2020年04月07日 | 宇宙 space
外太陽系のような極低温環境を模した実験により、氷天体に見られる赤色に似た様子が再現されました。
温度が上昇すると色が薄くなって消える現象も見られ、氷天体の色分布の謎を解明する手掛かりになると期待されています。


ケンタウルス族と木星族彗星

火星と木星の間に広がる小惑星帯より外側の領域には、摂氏マイナス100度からマイナス230度という極寒の世界が広がっています。

この領域は“外太陽系”と呼ばれ、数多くの氷天体が存在しています。

氷天体のうち、海王星より外側に存在する太陽系外縁天体やケンタウルス族天体では、赤色を示すものが見られています。
  ケンタウルス族天体とは、木星と海王星の間に公転軌道を持つ氷天体のこと。

でも、より太陽に近づいた距離に存在する木星族彗星では、赤色を示すものは観測されていません。
  木星族彗星とは、太陽からもっとも離れたときに木星軌道付近に来る短周期彗星の総称。
探査機“ニューホライズンズ”がとらえた冥王星。右側の白っぽい“トンボー領域”と対照的に、左側には“エリオット・クレーター”や“ヴァージル地溝帯”などの地形が存在する赤い領域が広がっている。(Credit:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)
探査機“ニューホライズンズ”がとらえた冥王星。右側の白っぽい“トンボー領域”と対照的に、左側には“エリオット・クレーター”や“ヴァージル地溝帯”などの地形が存在する赤い領域が広がっている。(Credit:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)
ケンタウルス族と木星族彗星の起源は、共に太陽系外縁天体と考えられていました。
なぜ、両者の色分布は異なっているのでしょうか?

その理由の1つとして考えられているのは、赤色を示す物質が太陽系の内側に行くにつれて昇華したり壊れたりするということ。
木星族彗星は太陽系の内側へ行くため、赤色を示さなかったというわけです。

ただ、宇宙環境を模したこれまでの実験では、氷天体が色分布を持つ理由は謎のままになっていました。


赤色を示す氷天体の謎

そこで、東京大学大学院新領域創成科学研究科のチームは、“クライオプラズマ”をメタノール及び水からなる氷の表面に摂氏マイナス190度で照射し、“外太陽系”の環境を模した実験を行います。
  “クライオプラズマ”は極低温環境で生成可能なプラズマ。東京大学大学院新領域創成科学研究科のチームが独自に開発してきた。

実験の結果、“クライオプラズマ”を照射した箇所だけが、“外太陽系”に存在する氷天体と類似した赤色を示すことが明らかになります。

さらに、この赤色は温度が上昇して摂氏マイナス150度を超えると徐々に薄くなり、マイナス120度で消失するという現象も見られました。

このような極低温環境での温度依存性が示されたのは初めてのことでした。
極低温環境での昇温により赤色が消失していく様子。(リリースより)
極低温環境での昇温により赤色が消失していく様子。(リリースより)
そして、赤色が消失した温度と良い一致を示したのが、“外太陽系”において赤色の氷天体が見られなくなる距離(木星と土星の間付近)で想定される天体の表面温度です。

このことから、赤色の氷天体は太陽系の外側から内側へと旅をする間に、温度変化に伴って赤色を失い得るという可能性が示されることになります。

“外太陽系”の氷天体に見られる赤色は、単に現在の天体の状況を物語っているだけではありません。
天体移動の歴史や、地球外におけるアミノ酸など生体物質生成の可能性とも密接にかかわっていると考えられています。

今回発見された極寒でしか存在できない赤色は、“外太陽系”の氷天体の色分布の謎を解き明かす新たな手がかりになります。
ひょっとすると、太陽系の形成及び進化のメカニズム解明や、生命の起源の探索にも貢献するかもしれませんよ。


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