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ヴァージンの有人宇宙船“スペースシップ2”が飛行試験を中止。ロケット・モーターを正常に点火できず帰還

2020年12月17日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
日本時間の2020年12月13日未明、ヴァージン・ギャラクティック社は宇宙船“スペースシップ2”の2号機“VSSユニティ”による有人飛行試験を実施しました。
同日1時15分頃、“VSSユニティ”は空中発射母機“ホワイトナイト2”から切り離されるのですが飛行試験は中止。
2名の乗員と機体は、切り離しから12分後に無事地上へ帰還しています。
“スペースシップ2”の2号機は、当初“VSSヴォイジャー”と呼ばれていたが、最終的には“VSSユニティ―”と名付けられた。1号機の“VSSエンタープライズ”と共に、SF作品スタートレックに登場する宇宙船にちなんで名付けられた。
“VSSユニティ”の名前が意味するのは「団結」や「結束」。物理学者スティーブン・ホーキングさんによって名付けられた。
滑空する“スペースシップ2(VSSユニティ)”。(Credit: Virgin Galactic)
滑空する“スペースシップ2(VSSユニティ)”。(Credit: Virgin Galactic)

サブオービタル軌道を飛行する宇宙船

民間による宇宙旅行の実現。
このために設立された会社がヴァージン・ギャラクティック社です。

ヴァージン・ギャラクティック社が開発中の宇宙船“スペースシップ2”は、ロケットで打ち上げるのではなく、航空機“ホワイトナイト2”に吊るされて離陸します。

“スペースシップ2”は、上空で“ホワイトナイト2”と分離した後にロケット・モータを点火。
一般的に宇宙とされている高度約100キロまで上昇するんですねー

ただ、乗客が宇宙空間を体験できるのは数分間で、その後“スペースシップ2”は地球を1周する前に飛行機のように地上に帰還する、サブオービタル軌道を飛行することになります。
“サブオービタル宇宙船”とは、スペースX社の“クルー・ドラゴン”やロシアの“ソユーズ宇宙船”などとは異なり、地球を回る軌道には乗らない宇宙船。同社はすでに“スペースシップ1”によって、高度100キロへの弾道飛行を成功させている。

ロケット・モーターを正常に点火できず飛行試験は中止へ

今回の飛行試験は、ヴァージン・ギャラクティック社の拠点がニューメキシコ州のスペースポート・アメリカに移ってから初めて試みられた有人宇宙飛行でした。

当初、この有人宇宙飛行の実施予定日は2020年11月19日~23日でした。
でも、新型コロナウィルス感染症の影響によりスケジュールが遅れていたんですねー

パイロットのCJ Sturckow氏とDave Mackay氏の2名が乗り込んだ“VSSユニティ”が、“ホワイトナイト2”に吊り下げられて離陸したのは12月13日の0時24分頃。
宇宙船“VSSユニティ”を抱えて離陸する空中発射母機“ホワイトナイト2”(Credit: Virgin Galactic)
宇宙船“VSSユニティ”を抱えて離陸する空中発射母機“ホワイトナイト2”(Credit: Virgin Galactic)
およそ50分後の1時15分頃に“ホワイトナイト2”から切り離されますが、ロケット・モーターを正常に点火できなかったことから飛行は中止されました。

原因は、“VSSユニティ”のエンジンを監視するオンボードコンピュータが接続を失ったこと。
このため、安全対策としてエンジンが停止されたそうです。

機体はスペースポート・アメリカへ安全に帰還しているので、今後は根本的な原因の調査を含むデータの評価を進めるそうです。
“スペースシップ2”の1号機“VSSエンタープライズ”は、2014年の空中分解による墜落で失われている。

ヴァージン・ギャラクティック社は“スペースシップ2”による宇宙旅行の商業化を目指していて、2018年12月には2名のパイロットを乗せた飛行試験において、高度82.7キロの宇宙空間への到達に成功しています。
国際的には高度100キロ以上が宇宙とされているが、アメリカ空軍は高度80キロ以上と定義している。

“スペースシップ2”には、2人のパイロットと6人の乗客が搭乗可能です。

地球を周回しないサブオービタル飛行ではあるものの、旅行に参加した6人の乗客は100キロ上空の「宇宙」で、無重力の体験や、漆黒の宇宙と地球の青という美しいコントラストを6分間楽しめるそうです。


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