小惑星リュウグウは地表の岩塊も周辺土壌も多孔質で、隙間だらけの物質でできた天体。
だということが、小惑星探査機“はやぶさ2”の中間赤外線カメラによる観測から明らかになったようです。
どのようにリュウグウは作られたのか
“はやぶさ2”が探査した小惑星リュウグウは“C型小惑星”と呼ばれる炭素質の小惑星でした。
NASAの“オシリス・レックス”が探査している“ベンヌ”もC型小惑星になる。
こうした小惑星は、46億年前の太陽系形成時の始原的物質を保持している“化石”と考えられています。
なので、探査やサンプルリターンによって、太陽系初期の様子や惑星形成などに関する手掛かりが得られると期待されているんですねー
今回の研究の目的は、どのような物質がどのように集まってリュウグウが形成されたのか? っという天体の進化を調べること。
その方法としてJAXA宇宙科学研究所の研究チームが注目したのは、“はやぶさ2”に搭載された中間赤外線カメラ“TIR”による撮像、つまりサーモグラフィです。
これだと、すべての主要な地形や地質構造を検知でき、季節変動も調べることができます。
研究チームは、この中間赤外線カメラ“TIR”を用いてリュウグウの1自転分の連続撮影を実施。
史上初になるC型小惑星の全球撮像データを取得しています。
スカスカで凸凹が激しい天体
理論計算により、リュウグウの熱慣性を調べてみると、炭素質コンドライト隕石や地球の石と比べて非常に小さい値だと分かります。
熱慣性とは、温まりやすさ、冷めやすさの指標。熱慣性の値が小さいほど温まりやすく冷めやすい。
熱慣性の小ささが示しているのは、リュウグウの表面温度が温まりやすく冷めやすいということ。
このことは研究チームにとって予想外の結果でした。
より詳しくモデル計算と比較すると、この熱慣性の小ささはリュウグウが極めてスカスカ(高空隙)で、凸凹が激しいことを表すものと分かります。
また、岩塊と周辺の土壌で観測された温度の日変化が小さく、両者の変化がほぼ同じことも明らかになります。
このことは、岩塊と周辺の土壌が、熱的に同等の物質で多孔質であることを示していて、これも予想外の結果でした。
さらに、中間赤外線カメラの観測では、“コールドスポット”と呼ばれる周囲より20度以上も温度が低い岩塊が複数発見されます。
これらの熱慣性は地球で発見された炭素質コンドライト隕石と同程度で、密度も同程度と推測されています。
以上の結果から、研究チームが考えるリュウグウ形成のシナリオは以下になります。
隙間だらけのリュウグウは、原始太陽系でふわふわのダストから密度の高い天体が形成される途中の天体なのかもしれません。
地球のような岩石天体も同様の過程で成長すると考えられているので、今回の成果はそうした過程の解明にもつながると期待されています。
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NASAの“オシリス・レックス”が探査している“ベンヌ”もC型小惑星になる。
こうした小惑星は、46億年前の太陽系形成時の始原的物質を保持している“化石”と考えられています。
なので、探査やサンプルリターンによって、太陽系初期の様子や惑星形成などに関する手掛かりが得られると期待されているんですねー
今回の研究の目的は、どのような物質がどのように集まってリュウグウが形成されたのか? っという天体の進化を調べること。
その方法としてJAXA宇宙科学研究所の研究チームが注目したのは、“はやぶさ2”に搭載された中間赤外線カメラ“TIR”による撮像、つまりサーモグラフィです。
これだと、すべての主要な地形や地質構造を検知でき、季節変動も調べることができます。
研究チームは、この中間赤外線カメラ“TIR”を用いてリュウグウの1自転分の連続撮影を実施。
史上初になるC型小惑星の全球撮像データを取得しています。
スカスカで凸凹が激しい天体
理論計算により、リュウグウの熱慣性を調べてみると、炭素質コンドライト隕石や地球の石と比べて非常に小さい値だと分かります。
熱慣性とは、温まりやすさ、冷めやすさの指標。熱慣性の値が小さいほど温まりやすく冷めやすい。
熱慣性の小ささが示しているのは、リュウグウの表面温度が温まりやすく冷めやすいということ。
このことは研究チームにとって予想外の結果でした。
左の図は小惑星リュウグウの1日の最高温度の分布。右のグラフは、各地点で観測された一日の温度変化(□マーク)と理論計算に基づく予測値(実線と破線)の比較。理論計算では一様な熱慣性を仮定し熱慣性の値を変化させて計算している。(Credit:Okada et al., Nature2020) |
また、岩塊と周辺の土壌で観測された温度の日変化が小さく、両者の変化がほぼ同じことも明らかになります。
このことは、岩塊と周辺の土壌が、熱的に同等の物質で多孔質であることを示していて、これも予想外の結果でした。
さらに、中間赤外線カメラの観測では、“コールドスポット”と呼ばれる周囲より20度以上も温度が低い岩塊が複数発見されます。
これらの熱慣性は地球で発見された炭素質コンドライト隕石と同程度で、密度も同程度と推測されています。
以上の結果から、研究チームが考えるリュウグウ形成のシナリオは以下になります。
- ふわふわのダストが集まって成長。
- 微惑星が形成される。この微惑星は密度が低くスカスカな状態。
- 微惑星が成長し、高空隙であまり熱進化もしていなかったと思われる母天体を形成。
母天体の中心部はやや圧縮され密度が増大した可能性もある。 - 天体衝突により母天体が破壊される。母天体の外側の物質が飛散し、中央部の物質が露出する。
- 飛び散った岩塊が再度集積し“ラブルパイル天体”を形成。
大部分は高空隙な岩塊であり、その一部に圧密を受けたものも含まれて表面に露出する。
天体の自転は比較的早く、赤道付近が膨らんだ形状になる。 - その後、何らかの理由で自転が遅くなり、軌道も変化し、現在のリュウグウになる。
中間赤外線カメラで発見された低温の岩塊は、母天体の中心部で圧密を受けた物質、もしくは母天体に衝突してきた天体が起源とする可能性がある。
リュウグウ形成のシナリオ。(Credit:Okada et al., Nature2020) |
地球のような岩石天体も同様の過程で成長すると考えられているので、今回の成果はそうした過程の解明にもつながると期待されています。
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