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“こうのとり”を打ち上げたH-IIBロケット第2段機体が制御落下に成功

2015年09月07日 | 宇宙 space
“こうのとり”5号機を打ち上げた、
H-IIBロケット5号機の第2段機体の“制御落下”が計画通り実施され、
成功していたそうです。

制御落下の目的は、打ち上げ後のロケット機体を安全に処分すること。

H-IIBの2号機から行われているので、今回で4機連続での成功になるんですねー

ロケットの安全な処理

衛星を打ち上げた後のロケットは、衛星とほぼ同じ軌道に乗ることになります。

なので、長い間留まり続けると、
他の衛星に衝突したり、残った推進剤やバッテリーなどが爆発して、
スペース・デブリ(宇宙ごみ)を発生させてしまう可能性があります。

また、人家のある地域の上空で再突入すると、
燃え残った破片が地上に落下し、人や建物に被害を与える可能性も…

そこでJAXAや三菱重工では、“制御落下”という取り組みを実施しています。

“こうのとり”を打ち上げた後のH-IIB第2機体を、
早い段階で意図的に軌道から離脱させ、大気圏に狙って落とすことで、
安全に処理するというのが“制御落下”です。

“制御落下”では、
まず、“こうのとり”を分離した後のH-IIB第2段機体の状態を確認し、
問題が無ければ、機体を進行方向の逆向きに回転させます。

そして地球を1周し、
種子島の地上局から通信が出来る範囲に戻ってきた際に、
再度機体の状態や、落下の推定点が確認され、
ここでも問題が無ければ逆噴射が行われることになります。

そして軌道を外れた第2段機体は、打ち上げから約100分後に、
南太平洋の上空で大気圏に再突入。

機体の大部分は燃え尽きるか、あるいは燃え残った破片があっても、
安全な海上に落下することになります。

一部のミッションでのみ実施される先進的な技術

世界的にもまだ実験レベルの段階にあるのが、
ロケット上段機体の“制御落下”です。

たとえばアリアン5ロケットによる補給機“ATV”や、
デルタIVロケットによる軍事衛星“DMSP-17”の打ち上げなど、
ほんの一部のミッションで実施されているのみの、
先進的な技術になります。

H-IIBでの実施に向けては、
機体の健全性・軌道の状態を確かめるための軌道離脱可否判断システムや、
第2段ロケットエンジン“LE-5B-2”を、
小さな推力で動かすための新しい運転方式の適用など、
いくつもの技術開発が行われています。

H-IIBの“制御落下”は、
2011年1月22日に打ち上げられた2号機から行われていて、
すべて狙った海域への制御落下に成功。

今回で4機連続の成功となりました。

なお、H-IIAとH-IIBの第2段機体は、ほぼ同じものなので、
H-IIAでも“制御落下”は行えることになるんですねー

H-IIBの場合は“こうのとり”の投入軌道が、
地球上の大部分の居住地域上空を通過するので、
優先して実施されているそうです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 順調すぎて予定を前倒し。“こうのとり”が国際宇宙ステーションに到着


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