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火星で観測された史上最大の天体衝突! 隕石の衝突が作り出す火震を観測

2022年12月03日 | 火星の探査
NASAにとって火星への着陸に成功した8機目の探査機“インサイト”。
その“インサイト”が2021年12月24日に天体の衝突に伴う地震を検出したんですねー
この時作られたクレーターは、形成の瞬間を人類が記録できたものとしては太陽系で最大のもののようです。

火星の地質調査を行う探査機

NASAの低予算プログラム“ディスカバリー”の候補に挙がっていた、3つの計画から選ばれたのがインサイト計画でした。

選ばれた理由は、スケジュールがずれ込む可能性や、予算の上限を超える可能性が低かったこと。
ただ、搭載機器の“地震計”に問題が発生し打ち上げは延期に…
“地震計”の改良や、完成している探査機本体や機器の保管などに更に予算が必要になってしまいます。

それでも2018年5月に火星探査機“インサイト”は打ち上げに成功。
2018年11月には、火星の赤道付近にあるエリシウム平原地域の“ホームステッド”と呼ばれる浅いクレーターに着陸し、観測を続けてきました。

隕石の衝突が作り出す火星の地震

“インサイト”は2022年10月27日時点で1318回の火星における地震“火震”を検出しています。

その中には隕石の衝突に伴う火震もあったのですが、マグニチュード2以下と弱いものでした。

でも、2021年12月24日に記録された火震はマグニチュード4という、“インサイト”がこれまでにとらえたものとしては最大規模のもの。
この大きな火震が隕石の衝突によるものだったことは、NASAの火星探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”が上空からとらえた画像などから今年の2月11日に判明しています。

衝突でチリが飛び散る様子が検出されたほか、震源地と推定される付近に大きなクレーターが形成されていました。
2021年12月24日にあった隕石の衝突でクレーターができる前(左)と後(右)の白黒画像。探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”の高解像度カメラが撮影。(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)
2021年12月24日にあった隕石の衝突でクレーターができる前(左)と後(右)の白黒画像。探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”の高解像度カメラが撮影。(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)

隕石の衝突で出来た直径150メートルのクレーター。周囲に白い氷が飛び散っている。探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”の高解像度カメラが撮影。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ University of Arizona)
隕石の衝突で出来た直径150メートルのクレーター。周囲に白い氷が飛び散っている。探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”の高解像度カメラが撮影。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ University of Arizona)

衝突した隕石の推定サイズは直径が5~12メートルほど。
地球の大気圏であれば燃え尽きるほど小さな隕石でした。

でも、気圧が地球の1%しかない火星の大気は通り抜けてしまい地表に到達。
幅約150メートル・深さ約21メートルのクレーターを形成したんですねー

衝突の瞬間を人類がとらえて記録することのできたクレーターとしては、これ以上大きなものは太陽系に存在していません。

また、衝突で噴出した物質の一部は、37キロ先にまで吹き飛ばされていたことも分かってきました。

画期的なのは、衝突の大きさだけではありませんでした。

衝突地点はアマゾニス平原(Amazonis Planitia)と呼ばれる領域の北緯35度付近。
ここは極冠から遠く、火星の赤道にこれほど近い領域で、地下に氷が見つかったのは初めてのことでした。

この辺りは、火星の中では比較的温暖で宇宙飛行士にとっても活動しやすい場所なので、必要不可欠な資源である水が見つかったというのは、将来の有人探査にとって福音と言えます。

“インサイト”のソーラーパネルにはチリが降り積もり続けていて、ここ数か月間で電力が大幅に低下しています。
今後6週間以内に装置への給電は絶たれる見込みで、その時に“インサイト”は役目を終えることなりそうです。
衝突で出来たクレーターのアニメーション動画“Flyover of Mars Impact Using HiRISE Data (Animation)”(Credit: JPLraw)

隕石の衝突時に“インサイト”が記録した地震を音声に変換し、波形と共に再生する動画。(Credit: JPLraw)


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