宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

生命の起源物資のひとつ有機物分子の進化

2014年03月29日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
天の川銀河内に広く豊富に分布し、生命の起源物質のひとつとしても注目される有機物分子“PAH”。
今回、赤外線天文衛星“あかり”のデータから、この“PAH”の大きさを推定する手がかりや、周囲の環境に応じて形が変わっていくようすが明らかになったんですねー
本観測で得られたスペクトルの典型サンプル
右は“HII領域”の赤外線(3μm)像。

宇宙空間に存在する多環芳香族炭化水素“PAH”は、炭素や水素原子が数十から数百個集まってできる有機物で、その大きさや構造により、さまざまな種類が存在します。

“PAH”は隕石や水星、星間空間や遠方の銀河… といった多種多様な環境に豊富に存在します。
その豊富さと、初期地球の過酷な環境に耐えうる強靭さから、人類の生命のもととなった物質の候補のひとつとして注目されているんですねー

今回調べられたのは、天の川銀河の中で活発に星形成が行われている36個の“HII領域”。

“HII領域”とは、若い大質量星から放射された紫外線が、周囲のガスを電離して明るく輝いている領域です。
この“HII領域”で、星の光で暖められた“PAH”が放つ近赤外線を、赤外線天文衛星“あかり”の観測データから調べたんですねー

その結果、“PAH”の炭素・水素結合による波長5.25μm前後のかすかな放射バンドの存在が、初めて確実なものとして明らかになりました。
そして、この波長帯の観測は、星間空間に存在する“PAH”の大きさを測定する指標として有効と期待されることになります。

この研究では他にも、3.3~3.6μmに現れる放射バンド群のスペクトルの形の違いから、
“PAH”が星からの紫外線に照らされて「変成」を受け、構造が変化していくようすを、多数のサンプルからとらえることに初めて成功しています。

また、スペクトルの特徴から示唆される星間空間の物理環境と、
“あかり”の全天観測データから得た“赤外線カラー(2つの波長での明るさの比)”とを比較したところ、
これらの領域で、有機物を含む星間ダストの組成に、変化が起こっている可能性があることが分かりました。

今回の成果は、宇宙の物質進化をひもとく星間物理学の分野において、
特に有機物や氷といった星間ダストの研究に、ひじょうに有用なものとなることが期待されているそうです。


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