宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

宇宙最大の構造! 銀河密度が異常に低い13億光年の領域

2015年06月08日 | 宇宙 space
ハワイの“パンスターズ1望遠鏡”と赤外線天文衛星“WISE”の観測データから、
銀河密度が異常に低い、差し渡し13億光年という、
巨大な領域“スーパーボイド”が発見されました。

この発見により、
宇宙マイクロ波背景放射中にある冷たい大きな領域“コールドスポット”が、
なぜ存在するのかを、説明が出来るかもしれないんですねー
宇宙マイクロ波背景放射マップ中に示した、
エリダヌス座方向にあるコールドスポット(右下の楕円)。
コールドスポットと並ぶスーパーボイドの角直径は30度を超える。

ビッグバンのなごりである宇宙マイクロ波背景放射の全天マップ中に、
冷たい大きな領域“コールドスポット”が発見されたのは2004年のことでした。

初期宇宙には、
さまざまな大きさの暖かかったり冷たかったりするスポットの存在が、
物理的に予測されています。

でも発見されたのは、予想以上に冷たく巨大なものだったんですねー

ただ最新の研究によって、
そのコールドスポットの存在が、説明できるのかもしれません。

この研究で使われたのは、
ハワイにある“パンスターズ1望遠鏡”とNASAの赤外線天文衛星“WISE”の観測データ。

このデータを使って、
コールドスポットの方向に銀河密度が異常なほど低い、
差し渡し13億光年の巨大な領域“スーパーボイド”を発見します。

以前の観測では、見つからなかったのですが、
銀河の3次元分布を調べることで、
スーパーボイドが、約30億光年の距離に位置していることが分かったんですねー

巨大な空洞(ボイド)が、私たちと宇宙マイクロ波背景放射との間にあると、
宇宙マイクロ波背景放射がボイドを通り過ぎる間に、エネルギーを失うことになります。

そして、宇宙マイクロ波背景放射の光の波長は長くなって、温度が低くなることに…
これが、巨大コールドスポットを説明する答えになるのかもしれません。

ただ、スーパーボイドの存在と予測される、宇宙マイクロ波背景放射における効果は、
コールドスポットの特徴を完全には説明できていません。

でも、スーパーボイドとコールドスポットが同じ方向に存在するのは、
偶然ではない気がしますね。

今後も、進歩した“パンスターズ1望遠鏡”と、
“ダークエネルギー・サーベイ”によるデータを活用して、
コールドスポットとスーパーボイドの研究は続けられるそうです。

次は、りゅう座近くに存在する大きな別のボイドについても調べるそうですよ。