雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

駅は梨原

2014-06-25 11:00:08 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百二十五段  駅は梨原

駅は、梨原、望月の駅。 
山の駅は、あはれなりしことをききおきたりしに、またもあはれなることのありしかばなほ取り集めて、あはれなり。


駅(ムマヤ・街道に設けられた乗継用の馬を置く駅舎)は、梨原。望月の駅。(共に和歌に歌われているもののようであるが、必ずしも特定できない)
山の駅(播磨の備前との国境近くの野磨駅という所らしい)は、心打たれる話を聞いていましたが、その上に、お気の毒な出来事がありましたので、一層あれこれと重なり、感慨無量でございます。



山の駅の部分は、今昔物語の中に野磨駅の梁上に住む毒蛇が法華経の功徳で人に転生したという話があり、貴族の間などでは知られた話だったらしい。そして、定子の兄伊周が太宰権帥に左遷させられて下向の途中留め置かれたのが、野磨駅であったとか、あるいは母の訃報を聞いた所だった、と推察されています。
少納言さまにとっては、定子一族没落の道標のように感じての「あはれなり」だったのではないでしょうか。

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