MOVIE レビュー

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「ブラッド・ダイヤモンド」を観ました。

2007年04月13日 | 映画感想 ハ 行
私は、若い頃のディカプリオにワイルドと言う言葉は似合わないし、ずっとあの童顔を引きずったまま、演技もアイドルっぽさが抜けないんだろうなと思っていました。でも、最近の映画では内面の繊細さと、外見のしたたかさを併せ持った複雑な役でも違和感無く見れるようになりました。この映画のディカプリオは今までの役では、あまり見た事がないタイプの悪役を好演しています。2時間23分と長いですが緊張感は途切れる事無く一気に観てしまいました。テーマは硬派の社会悪を根幹にしていて、冒頭の映像は救いようの無い悲しい現実を投影したものでショッキングでしたが、ストーリーが重くなりすぎないで、アクション映画としても十分に楽しめます。

ブラッドダイヤモンド
ブラッドダイヤモンド
ブラッドダイヤモンド
ブラッドダイヤモンド
「ブラッドダイヤモンド」 (4月7日)
原題≫「Blood Diamond」上映時間≫2時間23分

監督≫エドワード・ズウィック
出演≫レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー、アーノルド・ヴォスルー

内容≫1990年代後半のアフリカでの激しい内戦を描いた社会派アクション映画。【ダイヤの密売人である元傭兵のダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、巨大なピンク・ダイヤを隠し持つソロモン(ジャイモン・フンスー)という男の存在を知る。ダニーは、RUFに武器を調達し、代わりに受け取ったダイヤモンドを隣国リベリアへ密輸中に逮捕されてしまう。留置所でのソロモンとポイゾンのやり取りを聞いたダニーは、ソロモンが見つけた大粒のピンク・ダイヤを手に入れて、紛争の絶えないアフリカの地を脱出するための切符にしようと考える。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリ)は、反政府組織“RUF”の資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を探っていた……。

来日≫ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリと監督が来日 / (ディカプリは来日なし)ディカプリのインタビューはこちら

アカデミー賞≫主演、助演の男優賞、他5部門にノミネート。
ランキング≫全米興行成績初登場5位が最高位
米Yahoo!ユーザー6段階平均評価「B+」
米Yahoo!批評家6段階平均評価「B-」

ゴールデン・グローブ賞で「ブラッド・ダイヤモンド」と「ディパーテッド」で主演男優賞に史上初めてWノミネートされ、アカデミー賞では、「ブラッド・ダイヤモンド」で主演男優賞にノミネートされました。彼の演技が高く評価された証でしたが、今回も受賞は出来ませんでしたね。私はどちらの映画も映画館で観ましたが、Wノミネートに恥じない見応えの有る内容で2作品とも良かったと思います。

今回のディカプリオの演じるダニー・アーチャーと言う役は、元傭兵のダイヤの密売人で、お金の為なら手段を選ばず躊躇無く人も殺せる冷酷な男です。反乱軍のゲリラ組織からダイヤを仕入れて、政府軍に賄賂を贈りながら安全に国外へ持ち出すと言う密輸ルートで、汚れたダイヤを先進国の正規の市場へ売りさばく。そして、その闇の商取引で動いたお金は、ゲリラ組織の活動資金に化ける。そのせいで紛争が長引き人が死のうが、生きようが知った事ではないと言う処世術の持ち主です。それが彼ダニー・アーチャーがこの地でたった一人で生き抜くための術で有り、実は彼もまた紛争の地で生まれた犠牲者だったと言うくだりはジーンと来て泣かせます。

涙も枯らして感情を押し殺してただ這い上がる為に人を犠牲にしてきたアーチャーが、連れ去られた息子を必死で探す親と子の絆や紛争地域で無償の愛で奔走する人に接して、彼の心の中で微妙な変化が生じてきます。彼の幸せな人生を奪い去った不幸な過去。そして命の保障の無い国で生き残る術として、権力と暴力に組み入れられていく弱い人間の立ち場を、ディカプリオが静かだけど力強い演技で弱者のメッセージとして発しています。

遠めに見れば雄大な大自然の綺麗な山並みが広がり心癒される大地の筈なのですが、山に分け入りダイヤモンドの採掘現場に足を踏み入れると、そこには拉致され銃で脅されながら、奴隷の様に働かされている男達の苦しみが満ち満ちている。そして同じ様に村から拉致された少年達もまた、暴力と洗脳で少年兵に仕立てられ長く苦しい苦難の道を歩かされる事になります。これが現実の世界で起こっている事実だと言うのですからショッキングな映像でした。

ダイヤモンドの輝きの価値の目安はColor(カラー)、Cut(カット)、Clarity(透明度)、Carat(カラット)の“4つのC”が大事だと言われているらいけど、その輝きの裏にもう一つのCが隠れていたらしい。この映画の主題である「紛争のダイヤモンド」のConflict(争い)の「C」。市場の原理からくる需要と供給のバランスが崩れると価格が暴落したり、跳ね上がったりする。その市場を一部の企業が秘密裏に操作してダイヤモンドの供給を抑える事で、ダイヤの価格を高値で推移させていると言うカラクリも・・・有るのか!?無いのか!?真相はどうなのでしょうかねぇ?・・・。

もうダイヤモンドと言えば、値段が高い宝石として完璧に刷り込まれているので、今更ガラス玉並みに価格が下がっても、マリッジリングとしての有り難味がなくなるかも知れませんね。だから宝石のキングとしての需要は無くなる事はないでしょうけど、供給側の紛争を減らす事は出来る筈です。まずは、この映画を観て、ダイヤモンドを買う時は、Conflict(争い)の「C」を意識する事から!


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