NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

無意味で危険な作業 (11月7日)

2010年11月09日 | 間伐
中野生産森林組合の森林作業に参加しました。
今回の現場は、恵那と竹並の境界にある低い丘陵地帯を複雑に延びた道路沿いに細長く位置し、20年生程、樹高5、6mの間伐が必要な人工林です。
現場の周囲には転々と小さな工場や田が広がり、道路沿いには不法投棄のゴミも目に付きます。
今回の作業は、間伐ではなくこの人工林の下刈りでした。
現場に着くと、皆一斉に刈払い機で林の中の低い潅木や草を刈り始めました。

今までのところ、中野生産森林組合の作業はほとんどがこの人工林の下刈りです。
どうしてこんなに一生懸命下刈り作業をするのでしょうか。
しかも理由の説明はありませんので、作業員は何のために下刈り作業をしているのか知らずに漫然と作業をしています。
驚くべき事に、どうやら指示している側も合理的な理由を知らない様子です。
ただ今までそうして来たからというだけの理由で、無益で有害な作業が続けられています。
人工林での下刈りは、植栽したばかりのひ弱な苗木を守るためにだけ必要です。
20年もたった人工林で必要なのは、せいぜい除伐です。
しかも数十年後のヒノキの価値を考えたら、今はそれさえ必要ないかもしれません。
間伐の目的の一つが下層植生を育てる事なのに、必要な間伐はしないでせっかく育った下層植生を根絶やしにする矛盾。
これはいつか正す必要があります。

作業方法もかなり問題があります。
皆が一斉に狭い場所で刈払い機を使い、安全作業の為の適切な間隔が保たれていません。
間伐をしているグループが掛木処理に悪戦苦闘しているので見に行くと、使っているチェンソーはチェーンブレーキが壊れています。
チェンソーの扱いも実に乱暴で、チェンソー用の防具も身につけていません。
これは流石に見かねて、作業を止めるようアドバイスしました。
全ての生産森林組合という組織がこんな様子だとは思えないのですが、多くはこの程度の意識と技術の可能性があります。
だとすると、日本の林業衰退の原因が外部からの要因ではなく、少なからず内部にあったのだと思わざるを得ません。
これは直ぐにでも現場での教育と意識改革が必要です。
かなり困難な仕事になりそうですが、何とか少しずつでも改善していきたいものです。
コメント (2)
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