『あなたの頼み』(英題:Mothers)
監督:イ・ドンウン
出演:イム・スジョン,ユン・チャンヨン,イ・サンヒ,ソ・シネ他
またまた“おうちでシネマート”。これも独占配信、1,200円。
2017年の韓国作品です。
ヒョジンは32歳、友人と学習塾を営んでいる。
事故で夫を亡くした後、独身のまま。
心身共に不調でカウンセリングにかよいつつ仕事中。
ある日、亡夫の弟が訪ねてくる。
バツイチだった夫には、前妻との間に一人息子ジョンウクがおり、
当時小学生だったジョンウクを彼の祖母が引き取ったが、
祖母に認知症の兆候が現れ、これ以上ジョンウクと暮らせないと言う。
亡夫の前妻はどこにいるのかわからず、義弟が頼れるのはヒョジンだけ。
そう聞かされても血のつながらない息子の面倒を見るなんて無理。
どうにか断ろうとするヒョジンだったが、断りきれず。
ヒョジンのもとへ16歳になったジョンウクがやってくるのだが……。
きちんと挨拶もするし、礼儀正しい。
しかし無口すぎるジョンウクにどう接すればいいかヒョジンは悩みます。
祖母に会いに行くから交通費を貸してほしいと言われ、
送り出したらジョンウクはそのまま女友達と家出。
ジョンウクは祖母に会いに行ったのではなく、
生みの親を探しに行ったのだということがわかります。
だけどその生みの親も実はジョンウクの実母ではありません。
それを知っていながら会いに行くジョンウクの心境が複雑。
“おうちでシネマート”で最初に観た『愛の終わり、私のはじまり』と少し似た雰囲気。
あちらのほうが沈鬱ですが、亡夫の影がちらついたり、
その亡夫の誕生日を残された者で祝ったり、
「同じ人を愛した人間」が、その人のことを想いながら生きていくところは同じ。
ヒョジンとジョンウクの関係のみならず、
ヒョジンとその母親、ジョンウクと生みの親などなど、さまざまな関係が描かれています。
英語タイトルが“Mothers”である所以。
ジョンウクの茶髪の女友達の話には『朝が来る』(2020)を思い出したりも。
ちなみに韓国語の原題を直訳すると「あなたの願い」のようです。
気持ちの整理をつけることは容易くない。
でも、日々何かを選択して、諦めることがあっても受け入れて、前向きに生きてゆく。