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『朝が来る』

2020年11月23日 | 映画(あ行)
『朝が来る』
監督:河瀬直美
出演:永作博美,井浦新,蒔田彩珠,浅田美代子,佐藤令旺,田中偉登,利重剛他
 
TOHOシネマズ梅田にて。
 
原作は辻村深月の同名小説。
読むとイライラすることが多いのに、読んでしまう作家です。
監督は河瀬直美、これまた私は苦手。好きだったのは『あん』(2015)だけ。
観たい要素はないけれど観ました。そして、結構よかった。
 
サラリーマンの栗原清和(井浦新)とその妻・佐都子(永作博美)は、
清和が無精子症であることがわかってから不妊治療を続けてきたが、断念。
夫婦で生きていくと決めた矢先、特別養子縁組制度の存在を知る。
迎え入れた男児に朝斗(佐藤令旺)と名づけ、大切に育てる。
 
それから6年が経ち、時折無言電話がかかるように。
何度目かの無言電話でやっと話しはじめた相手は、
朝斗の生みの親・片倉ひかり(蒔田彩珠)を名乗り、
「子どもを返してほしい」と言うのだが……。
 
映画を観た後に原作を読みはじめました。
栗原夫妻の章、片倉ひかりの章の順で進んで行きますが、
映画版はその順序を巧みに組み替えて、
よりドラマティックに仕立てられています。
 
本作に登場する組織“ベビーバトン”は、
子どもが小学生に上がるまでの間に告知することを義務づけています。
原作では推奨に留めるのみで、いつまでという期限もありませんでした。
この点は映画版のほうがよかった。
栗原夫妻はもっと早いうちから朝斗に話をしてきたから、
朝斗は幼いながらも自分にはお母さんがふたりいることを知っている。
それをひかりが知るシーンは絶対泣いてしまう。
 
ひかりは性の知識が何もない中学生だったけれど、
それでも大好きだった人の子どもを産んだ。
世間体だけを気にして、「なかったこと」にしようとする大人たち。
「なかったこと」にされたためにその後もつらい人生を歩む少女たちを
なんとか救えないものでしょうか。
 
こういう物語の中においてはどうでもいいことなのかもしれませんが、
タワーマンションに同じ幼稚園に通う子どもの家族がいっぱい住んでいて、
高層階に住む人は高給取りだからみたいな会話、嫌だなぁ(笑)。
私にはやっぱり母親になるのは無理だと思いました。(^^;

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