夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『FUNNY BUNNY』

2021年05月06日 | 映画(は行)
『FUNNY BUNNY』
監督:飯塚健
出演:中川大志,岡山天音,関めぐみ,森田想,レイニ,ゆうたろう,
   田中俊介,佐野弘樹,山中聡,落合モトキ,角田晃広,菅原大吉他
 
アップリンク京都で3本ハシゴの3本目。
 
シアターセブンでも上映中だから、京都で観ることもないかと思ったものの、
晩ごはん前にちょうどいいのはこれだったから。
おバカなコメディだろうと思っていたのに、想定外のヘヴィーさ。
1本目と逆の順で観てもよかったかなと序盤は後悔しました。
観終わってみれば、やっぱりこれを〆にしてよかったと思います。
 
飯塚健監督によるオリジナル脚本で、自ら演出も手がけた舞台劇の映画化。
 
ウサギの着ぐるみをかぶり、閉館直前の図書館に押し入ったのは、
小説家の剣持聡(中川大志)と相棒の漆原聡(岡山天音)。
司書の服部茜(関めぐみ)と新見晴(レイニ)を縛り上げ、
剣持と漆原が探し始めたのは「絶対に借りられない本」らしい。
 
服部と新見以外に図書館には誰もいないはずが、
退館し遅れた客の遠藤葵(森田想)が事態を目撃して息を潜めており、
剣持と漆原が油断した隙に服部と新見を助ける。
形勢はあっけなく逆転し、通報しようとした服部は、
「絶対に借りられない本」とは何なのかが気になり、剣持と漆原に問いただす。
 
剣持に引きずられてここへ来ただけの漆原こそ事情を知りたい。
理由次第で本探しに協力してもよいと言われた剣持の話は……。
 
ネタバレです。
 
剣持は高校時代に親友を失っていました。
その親友は、剣持の知らないところで凄絶ないじめを受け、
やられ放題はもう嫌だと反撃のために体を鍛え始めた折、
逆にそれがあだとなって死に至ったのでした。
親友があるものを図書館に隠したことに気づいた剣持が、
親友を殺した相手に復讐すべく、そのあるものを探しに来たというわけ。
 
これはほんの序盤で、話は一気に4年後へと飛びます。
あのとき復讐の念に駆られていた剣持は、
捨て身でそれを止めようとする漆原と図書館に居合せた3人のおかげで、
暴走には至りませんでした。
以降、ずっと続いていた5人の交流。
 
ここに新たな問題が発生。
剣持は自殺しようとしていた菊池広重(落合モトキ)を助けます。
この落合が、偶然にも服部の元彼の友人で、
しかも服部の元彼はずいぶん前に事故死している。
それでも服部は力強く生きているというのに、
元彼と同じバンドで活動していた落合は絶望して死にたいと思っている。
心の中は悲しみでいっぱいなのに気丈な服部の姿が凛々しい。
 
短時間で剣持の信奉者になるタクシー運転手役の菅原大吉や、
隔日で24時間営業、へんてこな中華料理屋の店主役の角田晃広がとっても○。
中華料理のみならず、美味しいコーヒーも淹れてくれるこんな店、
あったら行ってみたくないですか。
 
「忘れるという前進はあるけど、あきらめるという前進はない」。
剣持のその言葉は、真実かもしれないと思いました。

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