夜な夜なシネマ

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『けったいな町医者』

2021年05月03日 | 映画(か行)
『けったいな町医者』
監督:毛利安孝
ナレーション:柄本佑

十三のシアターセブンにて、前述の『痛くない死に方』とハシゴ。
『痛くない死に方』の原作者、長尾和宏氏に密着したドキュメンタリーです。

長尾さんは兵庫県尼崎市の長尾クリニックの院長。
病院へやってくる患者を診つつ、往診にも走り回っています。
医者といえば白衣。でも長尾さんは着ない。普段着。
私はものすごい白衣高血圧なのですけれど、
長尾先生にかかればもしかして大丈夫だったのでしょうか(笑)。

病院では器官という器官に管を繋がれ、薬漬けにされる。
そして患者は「溺れる」。自然に「枯れる」のを待つのが理想的な死に方。

長尾さんの話を聴くにつけ、私は自分の湿疹のことを思い出します。
長年使っていたステロイドが効かなくなり、脱ステロイドを試みました。
それと同時に脱保湿も開始して、そりゃもうつらかった。
死ぬ気で我慢している間、人間の体って凄いと思うことがよくありました。
痛痒くてたまらない手をいっさい保湿しないでいると、耳たぶが痒くなりました。
ああ、これは体が全力で手を保湿しにかかっているのだなとわかる。
手が治ってくるにつれて、いつのまにか耳たぶの痒みが消える。

湿疹などで悩んでいる人の話をネットで見かけると、
アドバイスのほとんどが「保湿が足りない、とにかく保湿すること」。
「保湿しないほうがいい」なんて言おうものなら絶対叩かれるから言えないけれど(笑)、
私は言いたい、保湿せずに耐えてみよと。←過酷なので勧められませんが。(^^;
保湿に頼っているとたぶん一生湿疹は治らないだろうと思っています。

保湿するということは、まさにこの「溺れている」状態なのではないかと。
保湿しなければ体は自ら水分をなんとかしなくてはと思う。
だから、必要な水分を発して湿疹を治そうとする。
脱ステ・脱保湿に挑んだのが8年前。
あれからハンドクリームさえ塗らなかったら、傷ができても治るのが異様にはやくなりました。
もともとの湿疹に悩まされた手以外の箇所、首や足の脛、膝の裏などが痒くなっても、
痒み止めはまったく塗りません。塗らなくても治ります。

癌は酸素とブドウ糖が大好物。呼吸器と点滴はそれを与えるもの。
癌が進行してしまうのは当然といえば当然のことなのですね。

管に繋いで点滴すれば、人間の体は自分でどうにかしようとは思わない。
脳に「自分でなんとかしないと」と思わせられたらいい。
思わせることができなくなったら、それがその人の死に時で。

訪問介護ステーションの車の多くは小回りの利く小型車だけど、
尼崎という土地柄、このほうが都合がいいとベンツに乗る長尾先生。
確かにそうだろうと笑ってしまいました。

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