夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヴィクトリア』

2021年05月20日 | 映画(は行)
 『ヴィクトリア』(原題:Victoria)
監督:ソフィー・ベノート,リザベス・デ・ケウラール,イザベル・トレネール

緊急事態宣言発令下でも変わらぬ毎日を送っています。
塚口でノンアルコールの食事をする予定だった日、
日中わが家はクロスの張替えと畳替えを業者さんに依頼。
複数の車が立ち入るため、駐車スペースを空けておくほうがよかろうと、
立合いをダンナにまかせ、私が車に乗って出かけることに。

どうせ行くなら2本は観たいけれど、十三まで車に乗って行ったら、
塚口の予約時間に全然間に合わない。ならばどうする?
ということで、まずは塚口まで車で行ってコインパーキングに入庫。
電車に乗って十三まで行きました。塚口から十三までは電車ならわずか7分。
鑑賞後にまた十三から乗れば塚口まですぐですもの。

第七藝術劇場でサニーフィルムの配給作品を2本ハシゴ。
その1本目が本作。
アメリカ作品だと思い込んでいましたが、なんとベルギー作品。
日本初公開のドキュメンタリーです。

カリフォルニア・シティ。
そんな町があることを私は知りませんでした。

ロサンゼルスから約2時間、内陸に車を走らせると出てくるその町は、
1960年代にある富豪がロスに次ぐ街を目指して開発に着手した町。
しかし、ゴルフ場とボウリング場を建設後、その富豪は去って都市計画は頓挫。

こうして州で3番目に大きな敷地面積を持つこの町は、
砂漠の中にある巨大なゴーストタウンと化しました。

ロサンゼルスでの暮らしを捨て、家族と共にここに移り住んだ青年、
ラシェイ・T・ウォーレンの目線でこの町を見つめます。

都市開発を急げばろくなことにならない。
この町ではあちこちで水道管がしょっちゅう破裂。まるで噴水です。
笑ったのは、ラシェイがスマホで撮影する「噴水」の向こうに美しい虹がかかる光景。
「おい、あれは虹か!? 最悪のときにも虹は出るんだな」とラシェイも苦笑い。

ほとんど住む人のいないこの町にも学校はあります。
だけど、本来の道路を通ると片道1時間半も要する。
だから、ゴルフコースになるはずだった空き地を突っ切って進む。

道路にはすべて何々通りみたいな名前がきちんと付けられていて、だから余計に空しい。
大統領の名前が付いていたりするのに、地図に載っていない、ウィキですらヒットしない町。

半ばあきらめ口調のラシェイですが、ここを離れる気はないらしい。
未来はないように見えるのに、子どもたちも意外に楽しそう。
目の前に広がるのは砂埃舞う荒れ地でも、彼らは生に溢れている。

いったいその富豪って誰ですか。もっとこの町のことが知りたい。

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