夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2021年4月に読んだ本まとめ

2021年05月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2021年4月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4085ページ
ナイス数:1065ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■緑の窓口 樹木トラブル解決します (講談社文庫)
『闇に香る嘘』とはおよそ同じ作家とは思えないこの表紙。読み始めてもやはり同じ作家だとは信じ難い文体。区役所に新設された「緑の窓口」。木に関する何でも相談室。あの木が邪魔だとか倒木があるとか、そんな程度の相談しか思いつかないし、その通りの相談事が寄せられるわけですが、そこには木を想う人の気持ちが存在している。樹木医に診断を仰ぎ、謎を解きつつ人の気持ちに寄り添った解決方法を考える主人公。軽く読めて楽しいけれど、こうして樹木がらみのミステリーまで出てくると、ミステリーもニッチ産業のように思えてしまいます(笑)。
読了日:04月01日 著者:下村 敦史
https://bookmeter.com/books/15413941

■ラストスタンド 感染領域 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
「コメが危ない!?」のキャッチコピーに、コメが汚染されるバイオテロの話かと思ったらそうじゃなかった。コメの研究開発に目を光らせる各国。先月『シャドー・ディール』というドキュメンタリー映画を観たばかりなので、武器商人にとっては勝ち負けなんてどうでもいい、どこかで戦争さえ起こっていればという言葉を思い出したりもします。化学も生物も苦手な私にも易しく、登場人物がさらに要約して説明してくれるから超わかりやすい。『このミス』受賞作品って、感動させられることはなくても、読みやすくて娯楽に徹しているなぁと思うのでした。
読了日:04月03日 著者:くろきすがや
https://bookmeter.com/books/16286153

■今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)
持つ手が疲れるほどの分厚さに怯んで京極さん未体験の方にも、この程度の厚さならお試しいただけるのではないでしょうか。百鬼夜行シリーズではありますが、1冊も読んだことがなくても大丈夫。舞台は昭和29年。日本刀で人をバッサリ斬るという通り魔事件が発生。最初の被害者は怪我で済んだのに、犯人はどんどん腕を磨き、腕をもがれた人の次は皆絶命。京極作品の雰囲気を知るにはもってこい。そんな時代のことは知るわけもないのに、なぜか懐かしい気分にさせられます。単行本も文庫本も必ず見開きに文字を収める懲り様も一緒に楽しんでほしい。
読了日:04月07日 著者:京極 夏彦
https://bookmeter.com/books/13661192

■魔力の胎動 (角川文庫)
円華が登場した瞬間から広瀬すずが頭に浮かぶ。『ラプラスの魔女』と「魔」の字がかぶってるだけなのに私って単純。と思ったら、まさに『ラプラスの魔女』の前日譚でした。しかも単行本は映画公開直前に発行されたそうで、もしもそのときに読んでいたら、商売っ気ありすぎに感じられて少々しらけた気持ちになっていたかもしれません。3年経った今なら当時の商売っ気も関係なし。すずちゃんの姿を思いながら素直に読めます。過去の自分の行動を悔やむとき、こんなふうに科学的根拠を以て説明されるのは目からウロコ。これほど納得できるものは無し。
読了日:04月08日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/17551155

■DOUBT 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
このシリーズの執筆を開始したときにはコロナウイルスの流行など予想していなかったでしょうに、これだけ現況を反映させた物語を創作できるものなんですねぇ。登場人物は警察関係者もホームレスたちも皆マスク姿。繁盛しすぎでコロナ禍なら密まちがいなしのダミちゃんのお店も休業中。こんな中で起きるのは、生きたままゴミにされるという悲しすぎる事件。涙で文字がにじむエピローグ。警察学校を卒業してどんな刑事になるのか、ケッペーのこれからが楽しみです。コロナが落ち着いてダミちゃんのお店に再開してほしいけど、宅配弁当も食べてみたい。
読了日:04月13日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/17536958

■さよならドビュッシー (宝島社文庫)
今でこそ中山作品あれこれにどっぷりハマっていますが、以前は読まず嫌いでした。それというのも本作の映画版に唖然呆然、原作も好きになれそうにないと思って敬遠していたから。ようやく読んでみる気になりましたけれど、ら抜きならぬ「ら入れ」などにドン引きしたりもして、文体がちょい苦手。私が最初に読む中山作品がもしもこれだったら、以降なかなか食指が動かなかったでしょうから、今読んで正解だったのかも。今なら、七里センセも若かったんだなぁと思いながら楽しめます。でもやっぱり、弁護士や検事や医師が主人公の話のほうが好きです。
読了日:04月15日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/1653479

■「相対性理論」を楽しむ本: よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (PHP文庫)
高校時代、物理の試験で5点を取ったことがあります。学年の平均が11点だった試験で、そんな試験問題を作る先生に問題があると思いました。しかし80点を取った生徒もいて、どんな賢いねんとたまげたものです。理系科目まるで駄目な私でも理解できるかしらんと手に取りました。字は大きめで250頁、お手頃だけど無理でした(笑)。でも、アトラクションに見立てた導入部や、アインシュタインの人柄がわかるような話が面白くて、少なくとも読みはじめる前よりは物理に興味を持てました。宇宙に憧れる気持ち、謎を追いつづける気持ちを尊く思う。
読了日:04月16日 著者:
https://bookmeter.com/books/546984

■魔性 (PHP文芸文庫)
「魔性の」に続く言葉はたいてい「女」だと思っていましたが、これは「男」でした。そんな男に引っかかっても全然気の毒に思えないんです、ヒロインのことが。実家は大金持ち。元カレとは今もセフレ、今カレには妻子あり。そして彼女がハマった魔性の男とは。どの登場人物も好きになれず、台詞と描写にいちいち悪寒が走る。こんな女は地の果てまで飛んで行け!とバッドエンドを期待していましたが、え~っ、そうはならないのですね。なんだかんだのハッピーエンドにがっくりする私に気づき、笑ってしまいました。単なるひがみでしょうか。(^^;
読了日:04月19日 著者:明野 照葉
https://bookmeter.com/books/14093315

■女學生奇譚 (徳間文庫)
出だしに三津田信三、時代設定に京極夏彦を想う。しかし読み始めればどちらとも違う。料理の腕前抜群で、恐怖の感情を知らないフリーライター・八坂と、身長180センチの美人だけど、喋りも立ち居振る舞いもまるで男のカメラマン・篠宮。呪われ本を持ち込んだ依頼人・あやめとの会話が可笑しくて、オカルトな雰囲気にそぐわず笑ってしまう。すべてにおいて好みだと中盤までは思っていたのに、唐突すぎる人物の登場に違和感。それさえなければ私にとってほぼ満点。このコンビはまた見たいので、あの人物の謎も明かすべくシリーズ化をお願いします。
読了日:04月26日 著者:川瀬七緒
https://bookmeter.com/books/14085262

■カレーライス 教室で出会った重松清 (新潮文庫)
私が重松清を大好きなのは、彼に教室では出会わなかった世代だからなのかもしれません。もしも出会っていたら、アマノジャクの私は、こんなにも清廉な作品群を皮肉混じりの目で見ていた可能性があります(笑)。がんばればいいことがあるとか、努力は必ず報われるとかって、叶った人だけが言うことだと。重松清はいじめをすっかり解決するわけじゃない。つらいこと全部どこかへ運び去るわけでもない。でも、周囲には自分のことを気にかけてくれる人もきっといる。今はいいことがなかったとしても、がんばるうちにいいことがあるかもと思えるのです。
読了日:04月27日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/15995625

■絶対正義 (幻冬舎文庫)
道路を走行中の車の台数としては少ないのに、どうしてここだけ混んでいるんだと思って右車線の行く先を見たら、やたら遅い車がいるということが結構な頻度であります。そういうとき、「〇〇なんたらの何番の車を先頭に渋滞しています」とアナウンスしてほしくなる。ええ、私はそういう人間です。渋滞のもとを作っている車にすれば、法定速度を守っているだけ。しかし流れに乗るということを知らんのかい!といつも思っていましたが、正義の夜叉には通じない。私も同じ目に遭うところを想像するとゾッとします。そして正義は常に勝つ。凄いイヤミス。
読了日:04月29日 著者:秋吉 理香子
https://bookmeter.com/books/13427225

■満月の泥枕 (光文社文庫)
道尾作品でたまに見かける、顔見知りが集まって大それた計画を実行するやつ。しかもあまり頭脳明晰とは言えない人が大半を占めるから、とってもドタバタ(笑)。飲酒しながら読んだ私が悪いんですが、酔っぱらいの頭には、表紙そのままのお祭りや坑道での彼らの動きが複雑すぎて、イメージするのに難儀しました。でも「そんなものを紙袋に入れてカジュアルに持ち歩く」姿は想像できて笑ってしまう。「後悔なんてものはみんな、言い訳」という言葉も心に沁みて、なんだかんだで笑った後は切なさが胸に迫る道尾さんなのでした。ま、だいぶ分厚いけど。
読了日:04月30日 著者:道尾 秀介
https://bookmeter.com/books/16419733

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