夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『クレストーン』

2021年05月21日 | 映画(か行)
『クレストーン』(原題:Crestone)
監督:マーニー・エレン・ハーツラー

第七藝術劇場で2本ハシゴの2本目。

ナナゲイでは“フォーカス:サニーフィルム”と題した特集が組まれています。
前述の『ヴィクトリア』とこの『クレストーン』もそのうちの1本。
これもベルギーのドキュメンタリー作品。

アメリカ中西部コロラド州のクレストーン。
かつて先住民ナバホ族が暮らしていた土地なのだそうです。
現在はスピリチュアリストたちのメッカとなっているこの地に移住して、
コミューンを作っているラッパーたち。
ラッパーの高校時代の友人であるマーニー・エレン・ハーツラー監督は、
彼らに会いに行き、カメラを回してその姿を収めます。

ナレーションを務めるのは監督自身。
その声はとても耳に心地よいのですが、作品自体は好きになれませんでした。
映像は美しいんです。
でも被写体になっている彼らの生活にまったく共感できません。

今は廃墟と化したクレストーンの空き家に忍び込み、
家具や食料品などありったけ盗んでくる。
誰も使わないんだから有効活用なのでしょうけれど、
ふだん彼らがどのように生活しているかというと、大麻の栽培が主。
好きなときに起きて、大麻を育てて、ラリって、音楽をつくる。
それをSNSに投稿していいね!を稼ぐ。

「俺たちに寄付しろ。そしてここへ来いよ。一緒に暮らそうぜ」。
“please”なんて付いてないですからね、“Donate.”。
なんでこんな奴らに寄付しなきゃいけないんだか、私にはわからん。
でもきっとこれがカリスマ。実際、寄付する人が多いのでしょう。
みんな本当にこんなふうに暮らしたいのかしらん。

自由至上主義、勝手に唱えてください。羨ましくもなんともない。
出た腹も見苦しいし、あんな汚いキッチンは耐えられません。
それを崇める女性監督の気持ちも理解できないのです。

それから、字幕に難あり。
「愛にあるれる」「シュミレーション」「前ら」、なんすかそれ。
単なる誤字はまだいいとして、「シュミレーション」は最悪。
好きな作品だったとしても字幕の誤字で萎えることがあるのに、
「寄付しろ」なんて偉そうなうえに(笑)、こんな字幕だとガクッ。

超辛口になってしまいました。すみません。

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