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『AWAKE』

2021年05月28日 | 映画(あ行)
『AWAKE』
監督:山田篤宏
出演:吉沢亮,若葉竜也,落合モトキ,寛一郎,馬場ふみか,
   川島潤哉,永岡佑,森矢カンナ,中村まこと他
 
TSUTAYA DISCASでDVDをレンタル。
観る時間がないくせして定額レンタル契約を継続中だから、観なければ。
 
人気の吉沢亮主演なのに、わりとひっそり公開された記憶があります。
ま、このコロナ禍では派手に公開もできませんよね。
確か昨秋、なんばパークスシネマへ行った折にポスターを見て、
こんな映画が公開されるんだ、観たいな~と思っていたのに、
気づいたときには上映終了していたという。
3月末よりDVDレンタルおよびセル共に開始されています。
 
監督はこれが商業映画デビューとなる山田篤宏。
2015年に将棋の一流棋士と将棋プログラムが対決したイベントをモチーフに、
山田監督が書き上げたオリジナル脚本
オリジナル脚本を書ける人は偉いという思い込みが私にはあります。
たまにスベることもありましょうが、本作はとても面白かった。
 
将棋の天才少年が集まる将棋会館。
近所では大人も負かすほどの天才ぶりを発揮していたとしても、
ここに来れば自分よりも強い子どもがうようよいる。
 
清田英一(吉沢亮)もかつてはそんな子どものうちのひとりだった。
プロ棋士の養成機関である奨励会に所属していたが、
同世代の浅川陸(若葉竜也)に力を見せつけられ、プロの道を断念。
将棋の道からは外れるべく21歳で大学を受験して入学する。
 
ゴルフ部に勧誘されて一旦は入部したものの、すぐに喧嘩。
その翌朝、父親がコンピュータ将棋と対決する音で目が覚める。
指し手を見てびっくり。自分でこのプログラムを組みたい。
英一はさっそく大学のサークル、人工知能研究会を訪ねる。
 
その研究会の部員は磯野達也(落合モトキ)ただひとり。
何の知識もない英一を達也は追い返そうとするが英一は引かず、
プログラミングの本を数冊渡されると、驚くべき速さで暗記する。
 
こうしてコンピュータ将棋のプログラム開発を始めた英一だったが……。
 
英一の開発した将棋AI(人工知能)“AWAKE”が陸と対戦することになります。
どちらが勝つのかももちろん注目のしどころですが、
英一と陸、それぞれの思いも丁寧に描かれていて面白い。
 
機械に負けるのは人間の恥。
だからこんなイベントに本当なら誰も出たくない。
陸が期待の星だからこの大役を任せられたということはあるけれど、
押しつけられた感じもなくはありません。
「無理をするなよ」と声をかける人に陸は言います、「しますよ」。
勝ちたいという気持ちがなくなったときは将棋のやめ時。
だからその気持ちがある限り、無理しますよと言うんですね。
 
一方の英一がAWAKEの開発に没頭する姿からも目が離せません。
本作を観て知ったことですが、プロ棋士なら絶対に選ばない指し手があるそうで。
奇襲のようですから、これは品格にかかわるということなのでしょうか。
それをやっちゃあおしまいよ、みたいな。
 
棋譜を叩き込まれたAWAKEは、誰も使わない手を安全だと認識する。
人間なら選ばないであろう指し手を人間が選べば、AWAKEは負ける。
AWAKEに勝ちたいならその指し手を選べばいいのですけれど、
それをはたして陸が選ぶのかどうか。
 
本作はフィクションではありますが、
“AWAKEに勝てたら100万円”などのイベントは実際におこなわれたもの。
エンドロールでは人間と将棋プログラムのその後もざっと記されるので、
将棋好きな人も将棋わからないという人も楽しめる作品だと思います。
 
ついついタイプのほうを応援してしまう(笑)。

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