夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『消えた時間』

2021年05月27日 | 映画(か行)
『消えた時間』(英題:Me and Me)
監督:チョン・ジニョン
出演:チョ・ジヌン,ペ・スビン,チョン・ヘギュン,チャ・スヨン,イ・ソンビン他
 
これも“おうちでシネマート”、独占配信。1,200円払って視聴。
2019年の製作で、韓国で公開されたのは2020年。
 
田舎に引っ越してきた夫婦。
夫スヒョクは小学校の教師で人望厚い。清楚な妻イヨンも近所で良い評判しかない。
しかしこの夫婦には誰にも言えない秘密があった。
 
イヨンは毎日夜になれば憑依され、別の人格に変わってしまうのだ。
スヒョクの母親になったり、コメディアンになったり、力道山になったり。
スヒョクは別人格のイヨンとも上手くやり、そのことをイヨンも自覚していた。
朝になればイヨンは元通り、何の問題もないはずだった。
 
ところがある晩、近所の住民が憑依の様子を覗き見てしまう。
覗き見た住民は黙っていられずに村中に言いふらし、
その結果、怯えた村人たちはイヨンを鍵付きの檻に閉じ込める。
夜が近づけば村人の誰かがやってきてイヨンを閉じ込め、
朝になると鍵を開けに来る、その繰り返し。
 
そんな日が続いた後、スヒョクの家が火事に遭う。
スヒョクとイヨンは遺体となって発見され、村は騒然とする。
捜査を担当する刑事ヒョングは単なる事故とは思えず、
村人たちひとりひとりの取り調べを開始するのだが……。
 
気づいたときにはヒョングがなぜかスヒョクに替わっているという、
不条理バリバリ、非常に説明しづらい話です。
見た目はヒョングのままなのに、彼に会う人が皆、彼のことを「先生」と呼ぶ。
村人たちの目にはなぜかヒョングがスヒョクに見えているんですね。
 
帰宅するとそこには別人が住んでいる。妻子はどこへ行ったのか。
隣人は自分に見覚えがない様子。
腑に落ちなくて暴れると警察を呼ばれる始末。
誰もが自分のことをスヒョクだと思っています。
 
スヒョクとイヨンを死に追い込んだのは村人たちですが、彼らも根は善人。
噂を広めた住民は大いに責任を感じている。
その罪悪感からなのか、スヒョクは今も生きていて、しかも独身。
イヨンの存在は最初からなかったことにされてしまうのです。
 
最初は抵抗を試みるものの、スヒョクとしての人生を受け入れて、
小学校に教師として通いはじめるヒョングはどうなるのか。
ヒョング役はチョ・ジヌン
彼がワケわからんまま巻き込まれる話はたいてい面白い。
 
なるほどね。出逢うべくして出逢ったふたり。
このエンドレスな状態は切ない。辛いけど好きでした。

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