夜な夜なシネマ

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『今年の恋』

2021年05月24日 | 映画(か行)
『今年の恋』
監督:木下恵介
出演:岡田茉莉子,吉田輝雄,田村正和,石川竜二,東山千栄子,
   三遊亭圓遊,浪花千栄子,若水ヤエ子,三木のり平他
 
緊急事態宣言発令下でもなんとか営業中のシネ・ヌーヴォでは、
「おちょやん」公開記念として、浪花千栄子の出演代表作15本を一挙上映中。
どれか1本は観たいと思っていたところ、
訃報が届いたばかりの田村正和も出演している本作と時間が合いまして。
 
1962年の公開作品です。
木下恵介監督が製作も脚本も担当した松竹の正月映画だそうで、
1967年には連続テレビドラマとしてリメイクされています。
 
山田光(田村正和)と相川一郎(石川竜二)は同じ高校に通う親友同士。
光は良家のぼんぼん、一郎は繁盛している料理屋の息子で、
上級生からは「スカしている」と因縁をつけられることしょっちゅう。
強くなって仕返ししてやろうと、光は一郎を誘ってボクシング部へ。
 
ふたりともこんなふうで成績はお世辞にもいいとは言えない。
なんとか一郎に大学へ行ってほしいと願う姉・美加子(岡田茉莉子)は、
弟がふらふらしているのは友だちが悪いせいだと思っている。
一方、大学院生である光の兄・正(吉田輝雄)も、
弟の成績が上がらないのはつるんでいる友だちのせいだと考える。
 
相川家の様子をこっそり偵察することにした正は、
ガールフレンドを連れて相川家が営む料理屋“愛川”へ。
ところが女中として現れた美加子は驚くほどの美人で一目惚れ。
美加子にデレデレする正に怒ったガールフレンドは憤り、
正にコップのビールを浴びせかける。
その様子を見た美加子は呆れ果て、正に悪い印象を持つのだが……。
 
九条に着いてからハタと気づいたのですけれど、
NHKの朝の連ドラ“おちょやん”を一度も観たことがなかった私は、
浪花千栄子をまったく知らないのです。
彼女の特集だからといって、彼女の主演作を集めたものではありません。
連ドラを観ていたとしも本物の浪花千栄子の顔はわからなかったでしょうが、
彼女役を演じていた杉咲花からどんな人を想像すればいいのか。
 
結局、彼女がどの人だったのかわかったのはこうして書いている今。
そうか、美加子の母親役が彼女だったのか〜。
 
なんにせよ、とても楽しい作品でした。
当時の料理屋にプライバシーなんてあったもんじゃない(笑)。
女遊びをすれば直ちに家族にチクられてしまうのですから。
また、今だったら即刻問題になりそうな発言がいくつも登場。
ボクシングも「愚連隊しかやらない」とか、酷い言われようだし(笑)。
これを観て笑っていられた時代、そして今それを観て笑っていられることを
とても幸せに思うのでした。
 
岡田茉莉子ってものすごい美人ですね。吉田輝雄はタイプじゃないなぁ。
田村正和が高校生のときからちっとも変わらない顔立ちだったことにびっくり。
美加子の父親役、つまり浪花千栄子の夫役を演じていた三遊亭圓遊も可笑しい。
相川家の女中役を演じていた若水ヤエ子は伊藤沙莉に似ている!
 
そういえば先週、ナナゲイでシネ・ヌーヴォのスタッフをお見かけしました。
普通に客として来られていた模様です。
ナナゲイのスタッフが「浪花千栄子特集、盛況らしいですね」と声をおかけになったら、
「そうなんですよ。なんか、ウチに初めて来られるお客さんも多いみたいで」。
「若い方も観に来られているんですか」というナナゲイスタッフの問いに、
「いえ、若い人は来られていません」とお答えになっていました(笑)。
はい、確かに昨日も年配者ばかりでした。(^^;

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