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『SNS 少女たちの10日間』

2021年05月04日 | 映画(あ行)
『SNS 少女たちの10日間』(原題:V siti)
監督:バルボラ・ハルポヴァー,ヴィート・クルサーク
出演:テレザ・チェジュカー,アネジュカ・ピタルトヴァー,サビナ・ドロウハー他

4月25日にシネ・リーブル梅田で観るつもりだった作品です。
なのに緊急事態宣言が発令されて、その日から休業。
営業が再開されてから観るしかないと思っていました。

5月1日は京都へ晩ごはんを食べに行く予定だったので、
その前に京都シネマで別の作品を観るべく計画を立てていたら、
飲み友だちの姐さんから本作の上映情報を教えてほしいとのメールが。
緊急事態宣言が発令されていない地域にお住まいの姐さんのご友人から、
たいそう面白かったと聞かされて、観たいと思ったとのこと。

これこれこうで、シネ・リーブル梅田でしか上映していないんですと返信後、
私、嘘ついてへんやろかと心配になって調べてみたら、
アップリンク京都で上映中ではないですか。
新風館って休業中でしょと思ったら、新風館自体は休業しているけれど、
そこに入っているアップリンク京都のみ営業しているのですと。
慌てて姐さんにそのことをお知らせし、
私は京都シネマへ行く予定を変更してアップリンク京都へ。
ちなみに姐さんはシネ・リーブル梅田の営業再開まで待つそうです。

アップリンク京都へ行くのは初めてです。
心躍る素敵な建築物の新風館の地下、小さめのスクリーンが4つ。
列の前後は広めに取られており、傾斜も適度で非常に観やすい。
もちろん座席の間隔を空けて販売されています。
3本ハシゴの1本目にこのチェコ作品を観ました。
ちょうど前日、“報道ステーション”でも取り上げられたせいか、満席。
満席と言っても、本来の定員は73名で、今はその半分。
アップリンク京都の中ではここがいちばん大きくて、
ほかはそれぞれ59名、44名、38名がもともとの定員です。

12歳の少女が親の知らない間にSNSで見知らぬ大人と無防備に繋がったら、
いったいどんなことが起きるのかを検証したドキュメンタリーです。
コロナ禍で家にこもる日が増えればそんな機会も増える。
チェコでは本作が証拠となって逮捕された大人が多数とのこと。
学校でも教材として使われているそうです。

実際に12歳の少女を起用するわけにはいきませんから、
18歳以上の、12歳に見える童顔の女優3人をオーディションで選抜。
男慣れしているとまでは言いませんが(笑)、それなりに恋愛経験もあって、
多少のことでは驚かないくらい肝の据わった3人。
でも、彼女たちですら想像もできなかった事態に遭遇します。

スタジオ内に設置された3つの子供部屋。
3人は偽名でSNSに登録し、接触してくる者を待ちます。
12歳であることを強調する、こちらから接触しない、挑発しない等のルールを持ち、
スタジオ内にはカウンセラーや弁護士も待機しています。

登録してからわずかな時間でどれほどの友達申請があることか。
12歳の少女として登録している彼女たちに友達申請してくるのは、20代ならまだ若いほう。
40代、50代、孫のいる世代の男性まで接触してきます。
少女に服を脱げと強要したり、自分の性器を露出させたり、
世の中にこんなに変質者が多いのかと唖然。

スタジオに居合わせたスタッフが接触者を見て驚くシーンもありました。
今まさに映っている相手を知っている、彼は子供キャンプの運営者だというのです。

チェコでは、子供の6割が親から何の制限を受けることもなくネットを利用し、
そのうちの4割が相手から性的な動画を送られた経験があるそうです。
そしてさらにその5分の1は、見知らぬ相手と直接会うことに抵抗がない。
10日間に彼女たちに接触を試みた大人は実に2,500人近く。
その大半が下心ありだったとしたら、なんとも恐ろしい。
接触者は男性だけではありません。3Pを申し出る女性もいる。
そういうのは同じ嗜好を持つ大人同士でやってくれ。

心も折れそうな彼女たちが出会った稀有な存在。
ネタバレになりますが、それはただシンプルに話したかったという20代の男子学生でした。
彼には恋人もいるけれど、お互い実家暮らしで、会いたいときにすぐ会えるわけではない。
だから、ネットで見知らぬ相手とこんなふうに会話を楽しむことがあると言います。
その後1年に渡って種明かしもせずに会話を続けたそうえですが、
彼が性的な会話をすることは一切なかったとのこと。
本作で唯一、彼だけはモザイクなしで顔が映されています。
これがまたイケメンで(笑)、彼の存在には鑑賞者も救われるはず。

これを観てもまだ少年少女たちは見知らぬ大人と繋がろうとするのでしょうか。
たとえ直接会わなくても、これは間違いなくおぞましい性的虐待
チェコだけが特別ではないはずです。観て、危険を知ってください。

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