ウィルベリーたちからの贈り物(人生の終わるところ)

2007年08月01日 | 80’s
『トラベリング・ウィルベリーズ・コレクション』のDVDのドキュメンタリーのお話。

「善人は若死にする」だとか、「憎まれっ子、世に憚る」だとか。
馬鹿らしいとか思いつつ、なんかどっかで、すご~く信じちゃってる自分がいたりします。

で、このビデオのロイ・オービソンを見て「やっぱりなぁ」とか思ってしまった。もちろん前者の方。

まるで天使みたいに、いつも変わらず穏やかで、静かに小さく微笑んでいる彼。
みんなに尊敬されるロックンロール・レジェンドで一番上の立場なのに、全く偉ぶる所がない。
現役のスーパースターたちが自分を盛り上げてくれている、という事に感謝し、決してでしゃばる事はない。

「彼らがこう歌って欲しいというビジョンがあったから、素直に受け止めたよ。プロ中のプロたちが集まって、何かを作り上げる。多くを学ばせてもらった」と謙虚に語るロイ。


すごーく細かいトコなんだけど、ウィルベリーズのこのドキュメント・ビデオで、ずっと心に残ったままの風景があります。
それは全員でコーラスを録り終えた1コマ。
ディランが真っ先にヘッドフォンを頭から取って、ボンッ、と言うか、ガツンッって位、乱暴に置いて、サッサと1番にヴォーカルブースから出る。
実に、「らしい」と思う。
このせっかちな程の素早さがあるからこそ、あの涌き出てくるよな言葉の大洪水をキャッチし、形に出来るのだ。性急の美学が彼にはある。

次に他のみんなも適当にヘッドフォンを置いてゾロゾロ出ていく。

そして。ロイ・オービソンが一番最後に出て行く。テンポがゆっくりで、みんなにワンテンポ遅れているのです。
けれどロイのヘッドフォンは、キチンと引っ掛けて置かれていた(一番ヘッドフォンに対して優しい置き方)。
実に、「らしい」…。

本当になんてことないシーンなんだけど、こういうの、なぜだかグッとクるんですよねぇ。


ジョージもディランも、みんなまだ若くて、かっこよくて、彼らの暖かい人柄を偲ばせる友情にはホントーに感動するんだけど、それ以上に私の場合、このDVDは、ロイ・オービソンを聴き、そして見ることが一番の、大きい喜びとなりました。これには自分でもびっくりしています。


ウィルベリーズの1stアルバムが出た1988年の暮れ、ロイ・オービソンは心筋梗塞で亡くなりました。

その1stアルバム収録曲に"THE END OF THE LINE"というものがあります。
その線/道/人生の終わるところ。
この"LINE"は色んな風に取れるんだけど、やっぱり人生の終わるところ、人生の最後をどうしても思い起こさせます。

ロイのあの素晴らしい声で、こんな風に歌われると、特に。



♪(そうさ いいじゃないか)
いざという時だって
(そうさ いいじゃないか)
愛する人がいるならば
(そうさ いいじゃないか)
すべてはきっとうまくいく
(そうさ いいじゃないか)
僕たちは人生の最後に向かって進んでるんだ♪



天国の奥さんと子供に会いに行ったのかな、ロイ。


R.I.P ROY ORBISON 1936-1988