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tapestry

超犀門的日常身辺雑事控

from Musashino
since December 8, 2009

#011 哄う合戦屋

2010-02-10 | 読書
哄う合戦屋
北沢秋
双葉社
978-4-575-23664-4
2009/10
★★★★

東大工学部卒の著者のデビュー作。

武勇者として名高い稀代の戦上手『石堂一徹』が、甲斐の武田と越後の長尾に挟まれた中信濃に主従を求めて現れた。

「もはや拙者には富貴も栄華も要らぬ。願うはただ殿を天下人にすることのみでござる」

領主、遠藤吉弘に無禄の家臣として拾われ軍師の力を存分に発揮し、やがて武田との戦を目前にするが…。

生まれながらの合戦屋と、領主との間に漂い始める不穏な空気。

壮大な動乱の世を背景にしながらも、領主の娘『若菜』との心の通じ合いが清涼に描かれているのが印象に残る一冊。

#010 巡査の休日

2010-02-06 | 読書
巡査の休日
佐々木譲
角川春樹事務所
978-4-7584-1145-5
2009/10
★★★

①笑う警官 ②警視庁から来た男 ③警官の紋章 に続く『北海道警察』シリーズの第4弾。

今回は女性刑事の『小島百合』が活躍。札幌での『よさこいソーラン』を舞台に、以前にストーカー事件を起こした犯人が、踊り手であるターゲットに再度近づく。

祭りの喧騒の中での攻防の先に思いも寄らぬ展開が…。

いやはや、人間、誰に恨まれるか判りませんなぁ…。

#009 八つ花ごよみ

2010-01-27 | 読書
八つ花ごよみ
山本一力
新潮社
978-4-10-460605-4
2009/07
★★★★

文化11年(1814)。富岡八幡宮のお膝元である門前仲町に店を構える薬種問屋『岡崎堂』の主人夫婦に突然降り掛かる災難。

脳を患い、もはや心がないかのように振る舞う妻が、庭にひっそりと咲く桔梗に寄せる思いと、主人の深い悲しみが淡々と描かれる『路ばたのききょう』他7編の短編集。

人情に溢れる江戸の人々の暮らしに触れたいなら、是非、一力作品をご一読あれ。

#008 吼える遺伝子

2010-01-26 | 読書
吼える遺伝子
霧村悠康
静山社文庫
978-4-86389-005-3
2009/10
★★★★

現役の勤務医でもある著者の書き下ろし医療ミステリー。

事の発端は国立大学病院で起きた女性の墜落死。身元確認と共に司法解剖された体には、驚くべき特徴があった。

警察は遺体から発見されたメモを元に捜査を開始。やがて、既に日本地図から抹消された山奥の村が浮かび上がり、戦慄の事実が明るみに出る。

若くして優秀な遺伝学教授の白神は、自身がが背負った悲しい生い立ちを根絶すべく研究に没頭するが、その成果は思わぬ方向に…。

…この本は既に23日に読了していて、次の短篇集も終盤に差し掛かっているのだが、何せ文才がないものだからレビューを書くのが一苦労なのですw。

#007 排出権商人

2010-01-21 | 読書
排出権商人
黒木亮
講談社
978-4-06-215917-3
2009/11
★★★★

昨年12月に開催された『COP15』にて 「到底達成出来ない!」と、中国や国内の業界団体から苦言が噴出した鳩サンのCO2削減宣言。

勉強不足の為、正直申してこの空気頭にはピンとこなかった。

そもそも『京都議定書』の中身も知らんし…。

つまり、凡人の意識なんてこんな程度。

『地球温暖化』は判ります。二酸化炭素の際限なき排出が原因なのだと知らされ、エコだ何だのと世間は踊らされてます。

しかし、果たしてこんな事で良いのでしょうか!?。バシッ!(←机を叩いた音)

そんな時に書店の平台で見つけた、未チェックだったこの黒木本。

この本を読んでみて、漸く基本的な事が理解出来ましたわ。

世界中で売買されている『排出権』とは一体何ぞや?という初歩的な疑問が多面的な視点から描かれていて、入門書にはうってつけでしょう。

また『リストラ屋』で登場したカラ売屋のパンゲア社が鋭く絡んでいるで、経済小説としても当然楽しめます。

…ラストに語られる論文の内容を信じるか信じないかは…貴方次第ですがねw。