井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

日本一早い紅葉を楽しむ! その2・(旭岳) 11年9月

2011-09-28 08:41:05 | 大雪山系の山
 9月25日、朝4時30分、まだ暗いうちに層雲峡のユースホステルを立ち、旭岳温泉に向かいます。
空を見ると満天の星空です。
今日も良い天気のようです。

 近くのコンビニで食料を買い込み朝食も済ませます。
層雲峡から下って上川町で高速に乗り、愛別町で降ります。
ここから東川町へ向かいますが、朝靄で視界が利きません。
旭山動物園の横を通り東川町へ入ったあたりで道を間違えてしまいました。

30分ほどロスしてやっと旭岳温泉に到着です。
天気は快晴なのですが、旭岳の山頂は笠雲が掛かかっています。

 まずはロープウェイで姿見の池まで登ります。
    
     ロープウェイから見た旭岳です。
     中腹部の紅葉はまだまだのようです。

 ロープウェイの駅前に出ると見えました。
    
     噴煙を吹き上げている旭岳です。

 7:25分、笠雲が無くなることを祈りつつ登ります。
その前に火山好きのみいちゃんの希望で噴気口を見に行きます。
    
     なかなかの迫力です。

    
     姿見の池に写る噴気口です。

 登山道はこの噴気口のある地獄谷の右手にある稜線を登ります。
    

 足元は砂礫ですので小さな石に足を取られないように注意して登ります。
今日は日曜日、沢山の人が登っています。
その中に日焼け止めの日傘を差して登っている男性がいました。
大きな荷物を背負っていますので縦走するのでしょうか?
不思議な雰囲気を持った男性でした。

 8合目あたりから登山道が雪になってきます。
地獄谷の対岸は黒い地肌に雪の縞模様が綺麗です。
   

 登山道が雪で滑るようになりみいちゃんが遅れだします。
そこで、みいちゃんは準備していた4本歯の軽アイゼンを付けます。
これで少しスリップしなくなるでしょう。

 寒いので休憩を取らないでゆっくり歩きます。
山頂に近づくとガスが掛かってきます。
辺り一面真っ白な中、約2時間かかって9:20分、山頂に到着です。
    

 折角の山頂ですのでガスが晴れるのを待つことにします。
ツエルトを被ってお茶を飲んで軽くお腹を満たします。
次ぎ次ぎと沢山の人が登ってきます。
隣では、お父さんが中学生らしい息子さんと登ってきており、ガスを出してお湯を沸かすところです。
このの光景はとても微笑ましく、この中学生の男の子が山好きになってくれると良いなあと思いました。

 20分ほど待っていましたが、ガスが晴れません。
仕方がないので下ることにします。

 降りの雪道は滑るので危険です。
みいちゃんはストックも使って慎重に降ります。
その横をすいすいと下る私を見てどうしてそんなに早く下れるかと聞きます。
そこで降り方を教えてあげます。

身体を横向きにして靴底のサイドを上手く使って小刻みにステップを切るのがコツだと教えてあげます。
しかし、これは雪国暮らしの長い私達にとって自然に身に付いたことです。
ですから、それほどのコツでもないのですが・・・

 7合目あたりまで来るとガスが晴れます。
目の下には忠別ダムなどが見えています。
1時間半ほどで姿見の池に戻ってきました。

    
    沢山の観光客も遊歩道を歩いています。

    
     池の周りに咲いていたエゾオヤマノリンドウです。

        
     ウラシマツツジも赤くなっています。

 旭岳は黒岳に較べて紅葉が遅いようです。
これからまだまだ楽しめそうです。

日本一早い紅葉を楽しむ! その1(黒岳→緑岳) 11年9月

2011-09-25 20:23:44 | 大雪山系の山
 7月に神戸のみいちゃんを十勝岳などを案内していた時に、次は紅葉を楽しみに大雪山へ行こうという話になっていました。

 9月24日に札幌入りしたみいちゃんと約束通り大雪山へ紅葉を見に行きました。
まずは、層雲峡からロープウェイとリフトを使い黒岳へ登ります。
そこから黒岳石室を経由して北海岳でお鉢平の雄大な光景を楽しみ緑岳から高原温泉へ下山して秘湯の湯まで楽しもうという贅沢な予定です。

 しかし、台風15号が通過した後、大雪山に昨年より3日早い22日に初雪!との報道もあり黒岳から緑岳へ抜けることが出来るか心配でしたが、現地で判断することにしました。

 朝、まだ暗い5時に札幌を発ちます。
高速道路を上川町に向かって走ります。
旭川を過ぎて大雪山が見えるあたりに来ましたが、山には厚い雲が多いその姿を見ることは出来ません。

 今日の天気予報はまあまあですので回復を祈りながら層雲峡へ向かいます。
するとどうでしょうか、黒岳が姿を見せてくれたのです。
   
    左手に見える黒い山が黒岳です。右手の雲の中は北鎮岳などの
    山々でしょうか。

 層雲峡のロープウェイ駅近くにある駐車場へ車を止めてはやる心を抑えながら準備をします。
一応、高原温泉に入るためお風呂道具と着替えも持ちます。

 ロープウェイとリフトを乗り継いで7合目にある登山口に着きます。
家族連れや高齢者などいろいな年齢層の人達が山に向かって登ります。
こんなに人のいる登山は久しぶりです。

 8時20分、私達も黒岳山頂へ向かって歩き出します。
子供達が元気に歩いていきます。
カラフルな服を身にまとった山ガールもいます。
賑やかな雰囲気の中を登ります。
日高などとはまったく違った楽しく和やかな雰囲気の山登りです。

 8:55分、8合目を少し登ったところで休憩します。
正面に見えるニセイカウシュッペ山や平山は雲の中です。
風がないのでうっすらと汗が滲んできます。

 9月になって風邪を引いて1週間ほど身動きが出来なくなっていました。
咳が酷く、2日ほど夜も眠れなかったほどです。
コイカクからペテガリの疲労が抜けきらずその疲労が引き金になった風邪でした。
この風邪がやっと治ったかという時の山登りですので、まずは、慎重に体調第一の登山です。
あまり汗をかきすぎないように登ります。

 9合目あたりに来ると「まねき岩」が見えてきます。
   
    このあたりに来るとやっと紅葉が見え始めます。

 谷を埋める紅葉です。
   

 私達が写真を撮っていると小学生低学年の男の子と女の子を連れたご夫婦が登ってきます。
女の子がしきりに「疲れた!疲れた!」「もう帰りたい!」といってお母さんを困らせています。
「あと、5回ぐらい曲がったら山頂が見えるから頑張ってね。」といって励まします。

 9:25分、山頂に到着です。
   

 雲に覆われていて視界がありません。
でも、少し待っていると雲が切れてきます。
その光景にビックリです!
紅葉を楽しみにきたはずですが、山は新雪で真っ白に輝いているのです。
   
    この光景を見て緑岳に行けるか心配になってきました。

 山頂は風が吹き寒いので黒岳石室へ降ることにします。
 
   
    ウラシマツツジは真っ赤に紅葉しています。

 雲がドンドン晴れてきます。
   
    北海岳は雪で真っ白です。

   
    雲が谷を動き幻想的な光景を生み出してくれます。

   
    雲がパーッツと晴れたら足元の方に黒岳石室が見えました。

   
    登山道の横にホシガラスが飛んできました。

 9:55分、黒岳石室に到着です。
   
    黒岳石室です。左にある三角屋根の建物はバイオトイレです。

   
    小屋の前にあるナナカマドはすっかり葉が落ちて赤い実だけが輝いていました。

 黒岳石室の管理人の方に聞くと緑岳方面は所々膝ほどの雪が残っているようですが踏み固められているので歩くには支障がないと教えてくれました。

 石室の前にあるテーブルでお茶など飲んで少し休みます。

 10:15分、緑岳へ向かって出発します。
    
     ハイ松の緑とウラシマツツジの赤が絶妙なグラデーションを生み出しています。

 正面には黒い山肌に真っ白な雪がいろいろな模様を生み出しています。
    

 北海岳に向かって登っていると正面に見えるはずの北鎮岳の山肌が見えてきます。
    
     雪の白さが神々しく綺麗でした。

 北海岳に向かって深くなってくる雪に足を取られないように歩きます。
    
     みいちゃんは、雪道になれていないので遅れますが、頑張っています。

 11:40分、北海岳に到着しました。
数人の登山者が休んでいますが、風がまともに当たりますのでお鉢平の写真を写したら直ぐに出発します。
  
    
     北海岳から白雲分岐にかけてが一番雪が深いです。
     ところどころ膝が埋まるくらいの雪でした。

    
       白雲分岐の方向ですが、右にある白雲岳は雲に隠れなかなか姿を見せてくれません。

 1時間ほど掛かって、やっと、白雲分岐に到着です。
ここには数人の人達が休んでしました。
ここまでの間にも赤岳から歩いてきたという人が何人もいました。
でも、私達のように黒岳から赤岳や緑岳に歩いている人はあまりいないようです。
    

 空が暗くなってきたと思ったら雨が降ってきます。
あまり長居は出来ません。
緑岳に向かって小泉岳へ行かずショートカットして緑岳へ向かって歩きます。

    
     途中で白雲の避難小屋が見えてきました。

 13:25分、緑岳に到着です。
山頂に積み上げられたケルンの陰で一休みします。

 緑岳の山頂からは急な岩だらけの斜面を降ります。
雨も降ってきて岩が濡れます。
滑るかもしれないので慎重に降ります。
標高差で2百メートルほど降るとやっと岩だらけの道からハイ松の中の道となります。

   
   高根ヶ原方面です。

 みいちゃんにトムラウシ山の姿を見せてやりたかったのですが、トムラウシは厚い雲に覆われ姿をむせてはくれませんでした。

 ここから下は木道がある平坦な草原を歩きます。

 そして、最後は林の中の急な階段を下ります。
左膝の外側が痛くなってきます。
雨は降ったり止んだりですが、幸いに気温が高いので寒くはありません。
ここが我慢のしどころです。
緑岳の山頂から休み無しに歩いているのですが、みいちゃんはしっかりと付いてきています。

 下に見える山肌から白い煙りが フワフワと流れてきます。
どうやら水蒸気のようです。
やっと高原温泉に着いたようです。

 15:10分、高原温泉に着きました。
ここからは、バスで大雪ダムが作った大雪湖の畔にあるレイクサイトまで降ります。
そしてバスを乗り換えて層雲峡へ帰ります。
最終のバスは16:00分です。

 みいちゃんは、この高原温泉が秘湯の会の温泉なので入りたいといいます。
私は風邪気味なので入り口の左手にある足湯で我慢することにしました。

   
    右手に一人達は15:30分発のバスに乗る人達です。

 16:00発のバスに乗るために足湯から上がり靴を履きます。

 ここで事件勃発です!
宿の入り口へ行くとみいちゃんが自分の登山靴がないといいます。
誰かが間違って履いたようです。

先ほど宿から数人がバスに乗り込んだので直ぐにバスへ行って靴を間違えて履いた人がいないか声を掛けます。
誰からも反応がないので、先ほど降っていたバスに間違って履いて行った人がいないかどうか運転手さんに無線で聞いてもらう様にお願いしました。
それを頼んでいると、一番奥に座っていた若い女性が立ち上がり「私が間違ったかもしれない」といいます。
自分の靴より大きいかもしれないといいます。

 直ぐに宿の玄関へ行ってもらい確かめてもらいます。
すると、やはり、彼女が間違っていたようです。
やあ、やあ、これで、事件は解決です。
それにしても、似たような色の登山靴でしたが自分の靴とサイズが違うのに気が付かないのでしょうか?
やれやれ、とんだことでひやりとさせられました。
自分の靴ぐらい間違わずに履いてほしいものです。

 16:00発の最終便になんとか乗れてレイクサイドでは層雲峡行きのバスにも間に合いまし
た。
今夜の宿は層雲峡ユースホステルに泊まります。
ユースの宿泊客は、若い人達と高齢者の割合は半々でしょうか。
最近感じることは、高齢者のユース利用が増えていることです。

 その前に流星の滝、銀河の滝を見に行きます。
みいちゃんがこの滝を見に来る機会はそれほどないと思ったからです。
滝はここ数日降った雨のせいか流量もあり勇壮な滝の姿を見せてくれました。

 



ダニに刺され死亡!

2011-09-19 06:30:05 | その他
 先日の『北海道新聞』に広島の男性がダニに刺され紅斑熱で死亡したとの記事が掲載されていました。

 記事によると、広島県福山市の70代の男性2人がダニに刺され、日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)を発病、うち1人が死亡したそうです。
 日本紅斑熱による死者は2008年に宮崎市で70代の女性が死亡して以来のようです。

 ダニに刺されたお2人は、別々の場所で刺されたようです。
死亡した男性は、9月11日に発熱や発疹を訴え、福山市内の医療機関で受診、日本紅斑熱の疑いがあるとして入院しましたが、14日に多臓器不全で死亡したようです。

 日本紅斑熱は病原体「リケッチャ」に感染しているダニに刺されると2~8日で発病するようです。
頭痛や悪寒、高熱と発疹などが特徴で人から人への感染はしないとのことです。
きちんと薬を服用すれば回復するとのことですが、発見が遅れると重症化して最悪の場合、死に至るとのことです。


 さて、日高を歩いているとこのダニが身体に食いついている事があります。
私も、7月に歩いたエサオマンからカムエクの縦走で首の下、ちょうど胸の上部に食いついていたダニを発見。
札幌へ帰ってから妻に毛抜きで引き抜いてもらいました。

 幸いに頭も残らず綺麗に取れましたが、刺された後が5ミリくらい腫れ上がり、1週間ほど赤くなっていました。

 日高では南に下がるほどダニの被害が多いようです。
今回のコイカクからペテガリの縦走でも私達より先に下山したTさんがザックなどを調べると20匹以上のダニがついていたといいます。
私も「あえる」に向かって車を運転している時に腕に蠢いているダニを発見、直ちに車を止めて取り除きました。

笹藪に沢山いるようですので、笹藪漕ぎをする場合には首にタオルを巻くなど十分に注意した方が良いと思います。
そして、下山後に入る風呂などでは首筋、脇の下、そけい部など入念にお互いの身体をチェックするのが良いと思います。

参考のために解説HPのアドレスをお知らせします。
http://61.122.3.3/hec/hidsc/kansen_wadai/nihon_kouhannetu.html

コイカクからペテガリ縦走 その5 ・ 11年8月

2011-09-11 08:35:10 | 日高山系の山
 8月30日(火)

 昨夜は広い小屋でゆっくり寝られるはずが・・・・
身体が疲れきっているせいか寝袋の中で身体が痛く寝返りばかりして余りよく寝られませんでした。
2階にいる愛知のご夫婦が起き出してきたので、私も起きることにします。

 寝不足のせいか、疲れのせいか緩慢な動作で朝食の準備をします。
この食事が山での最後の食事になりますのでありったけの食材を投入します。
といっても、いつも食べているお茶漬けに魚の甘露煮です。

愛知のご夫婦、Tさんも用意が出来たといって先に出発します。
私達もようやく準備が整い6:35分、ペテカリ山荘を後にします。
その前にちょっと記念写真です。
    

 ペテカリ山荘前にある林道を左に曲がり歩きます。
20分ほど歩くとペテガリ沢を渡ります。
この上流を登るとペテガリ岳へ行けますが、私達の力では〃でしょうか?

 この林道に昨年なかった標識が整備されています。
    
      所々に付けられています。

 ペッピリガイ沢に沿った林道の終点から、いよいよ沢を登ります。
小さな沢ですが源頭部はなかなかの急傾斜です。
この源頭部は笹で覆われていますが、きっちりと笹が刈られているので道に迷う心配はありません。
源頭部の笹原を右手に曲がり20~30メートルほど行くと神威山荘へ向かって降る沢です。

 8:30分、乗り越しでゆっくり休みます。

 ここからは急な泥付きの斜面を一気に降ります。
両側の笹に掴まりながら降り終えると沢形の地形になります。
この先は小さな沢をドンドン降ります。
枝沢からの水が入ってくるので沢水が増えていきます。

 沢を降っていると倒木があちらこちらで行く手を塞いでいます。
どうやら昨年の豪雨の影響でしょうか。
去年に較べて沢が荒れています。

 1時間ほど降るとこの沢唯一の滝に着きます。
高度差10メートルほどの沢ですがなかなか良い滝です。
    

 この滝は右岸に巻き道があるのですが、この巻き道も土が崩れ荒れています。
FIXロープが必要ですね。
何度も渡渉を繰り返し(靴が濡れることはありません。)ドンドン降ります。
小さな沢ですが、この沢の佇まいが私は好きです。

 沢の先に林道が見えてくると私達の縦走もいよいよ終わりです。
林道を歩いて最後に沢を渡ります。
飛び石伝いに沢を渡ると愛知のご夫婦が靴を洗っています。

奥さんが「ほんの少しですが。」といって2個のオレンジをくれます。
お礼を言って神威山荘へ向かいます。

 10:25分、神威山荘に到着です。
私の車を見ましたが、変わりないようです。

 これで今回の縦走も無事に終わりました。
天気が良く暑く、(株)漕ぎに苦しめられた縦走ですが、終わってしまえば良い思い出です。
これで終わりかと思うと、帰るのが惜しい気持ちになります。
あれだけ苦しい山だったのに、不思議なものです。

 この神威山荘で向かえに来る友人を待つというTさんを乗せて「あえる」に向かいます。

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  今回のコイカクペテガリ縦走で日高の主稜線に付けられている登山道を
 歩き終えたことになります。
 エサオマントッタベツ岳からペテガリ岳までの縦走路を2年掛けて歩きましたが
 今回のコースが一番藪が深く困難なコースでした。
 それにしても、私達は強運です。
 このコースをエサオマン→カムエク、カムエク→コイカク、コイカク→ペテガリと
 3回に分けて歩きましたが、いずれも天気に恵まれ一発で終えることができました。

  これから後に残された主稜線は、北はエサオマントツタベツ岳から戸蔦別岳、
 南はペテガリ岳から楽古岳までです。
 これらの主稜線は残雪期に歩こうと思います。
 藪漕ぎは卒業ですが、足幅リッジといわれる難コースもありまだまだ気を抜けない
 山歩きが続きます。

  どこまで歩けるか・・・
 気力と体力、それよりも天気に恵まれることが大切です。
 神様に良く思われるように精進を重ねて・・・
 挑みたいと思います。

コイカクからペテガリ縦走 その4 ・11年8月

2011-09-07 21:30:15 | 日高山系の山
 8月29日(月)

 昨夜は疲れのせいもあり泥のように眠っていました。
それでも、何度か目を覚ましていました。
テントを張った場所に大きな岩があり、その岩がちょうど私の頭の方にあるため寝ている姿勢が制限され思うように寝返りが打てなかったのです。
そのせいか、何度も目を覚ましていましたが、身体の疲れは少し取れているようです。

 4時頃になると薄明るくなってきます。
自然とみんなが起き出したのでまずは水を汲みに行きます。

靴を履いてテントから出ると今日も良い天気です。
朝露で濡れるかもしれないので雨具を着ていきます。
カールの岩がゴロゴロしている所に何となくの踏み分け道らしいものがあります。
その道を降っていくと灌木にピンクテープが巻き付けられています。
この灌木の中を10分ほど降るとカラ沢になり、ほどなく岩の隙間からコンコンと流れる水に行き当たります。
    
     なかなかの流れです。

アッという間にボトルが一杯になります。
この水を飲みましたが、美味しかった~ぁ!
冷たくて身体にしみ込むようでした。

全員の行動水や朝食用に水として15~16リットルを汲んでテントへ戻ります。
その帰り道、もっと分かりやすくなるようにピンクテープを補強します。
    
     上の方を見るとカール壁の上に稜線が見えています。 
     稜線は首が痛くなるくらい高いところです。
この稜線を下ってきたのかと思うと、真っ暗な中、よく降ったものです。
昨夜、この降りでSu氏が足を取られて前に転がったようです。
私は一番ラストを歩いていたのでみていませんが、怪我がなかったのが幸いです。

    
     私達のテントの左手にあるのがTさんのテントです。

    
     カールの中で満開に咲いていた「うめばちそう」です。

 朝食は風もなく気持ちがいいので外で準備をします。
今日の朝食はインスタントラーメンにします。
この方がノドの通りが良いかと思って作ります。

 何故かノンビリと朝食を食べ、今日の下山はあきらめることで話がまとまります。
今日はペテガリ山荘で泊まることにします。
予備日を使って下山を1日遅らせることにします。
それでも、ここからペテガリ山荘までは9時間ほどを見なければなりません。
下山が遅れるとの連絡はペテガリ岳の山頂から行うことにします。
昨年ペテガリ岳に登ったときに山頂はメールも電話も使えることを確認しているからです。

 朝食を済ませパッキングを終えるといよいよ稜線へ向かって歩きます。
ここはTさんに先行してもらい、私達はTさんの後に続きます。
何故かというと、私達は昨夜真っ暗中を降ったので正しいルートがハッキリと分からないからです。
 
 Tさんが登るところを見ながら5分後に私達もCカールを後にします。
    その前にちょっと記念写真を写します。
    
 
 7:25分、Cカールとお別れです。
灌木の中を歩きながら昨日の反省をします。
7~8分歩いたところで私達がルートを外れた現場に来ます。
明らかに灌木に中へ踏み込んだ後が残っています。

稜線への最後の登りは45度はあろうかという急斜面です。
両側に生えている笹を掴みながら腕の力で身体を引き上げながら登ります。
途端に息が上がってきます。
腕の力を抜くと落ちてしまいそうです。
必死に全身の力を使って登ります。

ようやく、稜線に到着です。
時計を見るとカールから20分ほどで稜線へ上がっています。
でも、それ以上に長く感じた登りでした。

    
     後ろを振り返るとルベツネだけの稜線が見えます。

ここで、Tさんと話をすると、このGWに神威岳からペテガリ岳への縦走をしたといいます。
私が目を通しているHPに同じコースを歩いた記録があり、その話をするとTさんも一緒に歩いていたといいます。
Tさんは、今日ペテガリ岳まで歩くと日高の主稜線で残された部分は神威岳からソエマツ岳の間だけになると話してくれます。

 ここで十分休んでからペテガリ岳へ向かいます。
Su氏が先行し私達が後を追います。
    
     コブに立つSu氏、この先もいくつかのコブを越えなければなりません。

    
     ペテガリ岳の山頂標識が見えてきます。
     あと一息です。

 10:50分、ようやくペテガリ岳に到着です。
Ko氏はこのペテガリ岳は初登頂です。
記念にみんなで写真を写します。
     
      左から私、Su氏、初登頂のKo氏、風邪薬を飲みながら頑張ったOn氏、

    
     途中の稜線で写した花です。小さく可憐な花でした。

    
     山頂から南側に広がる山々です。
     中の岳、ニシュウオマナイ山、神威岳が重なっています。

 ここで、それぞれの家にメールや電話をして1日下山が遅れることを伝えます。
30分ほどゆっくり休んで英気を養います。

 Tさんは一足先に下山します。
でも、Tさんも今夜はペテガリ山荘泊まりなのであとで話をしましょうといって別れます。

 11:20分、下山開始です。
しかし、ペテガリ岳の下山も楽はさせてくれません。
何度も登り返しがあるのです。

そして山頂から一気に5百メートル以上の降りがあります。
この降りを一気に降ります。
その途中で登ってくるご夫婦に出会います。
私達より高齢のご夫婦です。
ご主人はザックを背をっていません。途中でデポしたようです。

 12:20分、1時間かかってコルに到着です。

ここから先が苦しかった!
何度もある登り返しの道が笹で覆われています。
笹の密度が去年より深くなっているような気がします。
小刻みに休憩を取るのですがKo氏の足取りに元気が無くなってきます。

Ko氏のザックからテントを出してもらい荷物を少し軽くします。
水もドンドン飲みます。
私は3.5リットルの水を持ってきたので、ドンドン飲みます。
その分ザックが軽くなっているはずですが、そんな気がしません。
私も相当疲れてきているようです。

最後の登り1050m手前で休んでいると山頂からの降りで会ったご夫婦が追いついてきます。
「水はありますか?」と聞いたところほとんど無くなったといいます。
そこで、私がもっていた水をあげることにします。
1リットルほどの水をあげます。
ご主人の峰は軽い脱水症状が出ているようでガブガブと水を飲みます。
ここで捨てようかと思った水が思わないところで役に立ちました。
話を聞くと愛知県から来ているとのことです。

1050mの最後の登りを終えると、急な降りが待っています。
この降りも長いので膝に疲れが溜まってきます。
それを騙し騙し、何とか沢まで降ってきました。
ここまで来ると山荘までは15分ほどでしょうか。
冷たい水で顔を洗ったりして気分を変えます。

沢沿いに降って、17:20分、ようやくペテガリ山荘に到着です。
今日もけっこう歩きました。

山荘に泊まっている人は、私達の他にはTさんと愛知のご夫婦だけです。

1階の半分に荷物を広げて、まずは身体を洗いに行きます。
久しぶりに身体の汗をふき取り着替えをすると気分が一新します。
今夜は気持ちよく寝られそうです。

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 しかし、昨年と較べてペテガリ岳までの登山道の笹が濃くなっています。
登山道を完全に覆っているところが何カ所もあります。
1年でこの変化に気づくくらいですので、あと2~3年も経ったらどうなるのでしょうか。
何とか登山道を整備してほしいものです。
ペテガリ岳は二百名山の登山を目指して本州から沢山の登山客が入っています。
これらの人達は、このような笹に覆われた登山道には慣れていません。
思わないところで道迷いの遭難が発生するかもしれません。
森林管理署の皆さん、何とかしてください!

コイカクからペテガリ縦走 その3 ・ 11年8月

2011-09-06 08:44:37 | 日高山系の山
 8月28日(日)

 さあいよいよ核心部を歩く日がやってきました。
テントサイトから1839m峰が朝日に輝いているのが見えます。
    
 今日も良い天気です。
 
正面にはルベツネ岳が見えており、その左側に1600mピークも朝日に輝いています。
    
 テントサイトから見る稜線はサッシビチャリ沢の源頭部の稜線です。
一番左のピークが1600mのピークです。そこから右の稜線を歩くとルベツネです。
この稜線をぐるりと半円形状に歩くのが今日の行程です。
    
     北側を見るとカムエクも朝日に輝いています。

 朝食を済ませ、テントを畳みいよいよ核心部へ向けて出発です。
体調はまあまあです。
水をどの位い担ぐかみんなで検討しましたが、4リットルは必要でないかということになり、私は4.5リットルを持つことにします。

 5:15分、いよいよ長い稜線歩きに向かって出発です。
目標タイムは、1600mピークまで6時間、そこからルベツネまで4時間、さらにペテガリCカールまで2時間の合計12時間の長丁場を考えています。

 5分ほどでヤオロマップの山頂です。
そこから1569mピークを目指して降ります。
急な岩尾根を降ります。
ハイ松が順目なのでそれほど苦労はしませんが、このハイ松を逆目に登るのは相当苦労しそうです。
    
     朝一は頭と身体の働きが不十分ですので、慎重に降ります。

    
     30分ほど降って後ろを振り返るとヤオロマップの山頂が遠くなっています。

 体調は良いのですが、何しろ暑い!!
稜線歩きは直射を遮るものがないので暑いです。
おまけに標高が低くなると藪が濃くなってきます。
それでも、朝早くの元気がある身体ですからガンガン歩けます。

 7:30分、1569mピークに到着です。
ヤオロマップを出発してから2時間ほどで到達しました。
思ったより早いのでちょっと一息つけました。
このピークに1張り分のテントサイトがありました。
    
     草原に埋まってますが良いテントサイトです。

 次の目標は1600mピークです。
ここまで2時間、同じ様な距離ですので2時間で歩けると踏んだのですが・・・・
そうは問屋が降ろしてくれなかった・・・・

1569mピークから降るとさらに藪が濃くなってきます。
ルート自体は何とか分かるのですが横枝を張り出す樹木のせいでまったく進みません。
上空からは容赦なく太陽の光が照りつけます。
我慢、我慢の連続です。

それでも、10:50分、ようやく1600mピークに到着です。
    
 この辺りで私の体調が少しおかしくなってきました。
体の中に熱がこもり深い息が出来ないようになっています。
軽い熱中症でしょうか?
ノドが直ぐ渇いてしまいます。

それでも、気を取り直して進みます。
ここから一旦降って、1469mのコルから1688m間が一番藪の濃い場所です。
    
     いよいよ最核心部の藪漕ぎに突入です。

 この辺りは岳樺が太い幹を横に這わせています。
その様子がリンゴの木に似ていることから通称「りんご畑」と呼ばれているようです。
    
     このような岳樺が横に枝を張っています。

 このリンゴ畑では、何度もこの岳樺の枝を越えるのにかがんだり這ったりしてくぐり抜けました。
さらに、岳樺以外の小灌木も枝が伸び、その枝が横に伸びているので一本、一本の枝を両手で押さえながら前へ進みます。
小刻みに休憩を取らなければ息が続きません。
暑さのため水の消費がドンドン進みます。

 体調があまり良くないので、みんなが心配してくれます。
ファイントラックの下着を脱いで、プロポリスの飲み物をもらって、さらにキジを撃つと身体の熱が少し逃げていくような気がしました。

やっと登に入ります。
後ろを振り返ると1600mのピークが遠くなっています。
    

 15:00分、4時間ほど掛かって1688mに到着です。
イヤー、長かった!
ここまでの間は本当に苦しかったです。
休憩して歩き出すときにザックを担ぐ気持ちが湧いてきません。
本当に心が折れそうになりましたが、仲間に助けられて歩くことが出来ました。

 ここまで来ると藪は薄くハイ松が多くなります。
    
     正面にルベツネが大きく見えてきます。

左手にペテガリ岳が見えてきます。
さあ、もう一息だと自分に言い聞かせてザックを担ぎます。
    

1688mからは細い稜線歩きです。
左側はスッパリと切れた尾根ですが、ハイ松など掴まるものがあるのでそれほど怖くはありません。
ドンドン、ルベツネが大きく見えてきます。
さらに、今晩のテントサイトとなるCカールも見えてきます。
    

 Cカールに1張りのテントが見えます。
どうやら先客がいるようです。
夕暮れの時間が迫っているので急ごうとするのですが、この辺りでは全員疲労の色が濃くなり足が進みません。
尾根が狭く細いので慎重に歩きます。

    
     日高側から雲が湧いてきます。
     一番奥のピークがペテガリ岳です。

 いったい何時間あれば登れるかと思ったルベツネの登りも何とかこなして16:47分、ルベツネの山頂に到着です。
この山頂は思ったより広く、テント2張りを張れたでしょう。

 (ここで、1泊を考えても良かったかなとあとで反省しました。)

 さあ、Cカールまであと2時間、頑張り所です。
    
     ルベツネの山頂から肩に向かって歩きます。

    
     右のピークがルベツネの山頂、歩いてきた稜線を振り返ります。
     この両線も低いハイ松とはいえ、膝丈ですので思ったより歩きづらいのです。 
日暮れまであと1時間半ほどしかありません。
暗くなるまで出来るだけ先へ進まないといけません。
ルベツネの肩に向かって低いハイ松の上を歩きます。
右手は緩やかな斜面ですが、左手はカール壁ですのでスッパリと切れています。
登山道はこの切れ際に付けられています。

 注意して歩いているとKo氏が突然姿を消します。
ビックリして声を掛けるとこのカール壁へ足を踏み外したようです。
でも、ハイ松にしっかり掴まっていたので大事には至りませんでした。
自分で這い上がってきます。

全員が疲れてきているので声を掛け合いながら注意して歩きます。

    
 ドンドン陽が落ちてきます。
日高側は雲が掛かっているのでさらに日の落ちが早くなりそうです。

 18:05分、やっとルベツネの肩に到着です。
ここから急な岩尾根を降ります。
ここから100mほどの降りはハイ松の枝か背丈ほどあります。
幸いに降りは順目ですのでハイ松を両手で左右に分けるだけで降ることが出来ましたが、この斜面を登るとしたら相当苦労させられることは確実です。

足元が見えづらくなってきたので、トップをSu氏から替わって私が歩きます。
Su氏は薄暮の時間だと目が見えずらいのです。

30分ほど降ったところでヘッ電を使います。
陽が落ちて辺りが暗くなった頃、ようやくCカールの下降点辺りに着きます。
トップを歩いていた私は注意しながら歩いていたのですが、下降点を見つけることが出来ませんでした。
少し先にあるコブの向こうが大きく落ち込んでいるように見えたのでその先かと思い少し登りだしたときに後ろから「ここが下降点みたいだ。」と声が掛かります。

 戻ってみると確かに小さなピンクテープがハイ松に付けられ、ハイ松が少し切られています。
Su氏のGPSもこの地点が下降点だと指しています。

そこからSu氏、On氏、Ko氏、私の順に降ります。
いきなり急な降りです。
真っ逆様に落ちるような降りです。
両側の笹に掴まりながら少し濡れた土で滑るのを押さえながら降ります。
辺りは陽が落ちて真っ暗です。
目標となるものがありません。

そこで、笛を吹きCカールにテントを張っている人にヘッ電を付けてくれるように頼みます。
ヘッ電の灯りがつきました。
その電灯に向かって真っ直ぐに降ります。
途中でコースから外れたようですが、そのまま藪漕ぎをして降ります。

 19:05分、ようやく、Cカールのテン場に到着です。
疲れきった身体ですが直ぐにテントを張ります。

さて、水場へ水を汲みに行かなければいけませんが真っ暗な中では水場の位置が分かりません。
そこで、Ko氏から「今晩は、行動食を食べて寝て、明日の朝水汲みに行こう。」との提案がありました。

確かに水場の場所を正確に把握していないので、この暗さの中を水を汲みに行くのは危険です。
全員の水を集めると1リットルにもなりません。
そこで、On氏がテントを張っている人に水を分けてくれるように頼んでみます。
気持ちよく分けてくれた水でお湯を沸かしスープを作ります。
このスープとSu氏の持っているパンを食べて夕食にします。

時間は20時を過ぎています。
疲れた身体を寝袋に入れてまずは睡眠です。

 行動時間14時間、
 いやーぁ、今日は長い1日でした!
 
      

コイカクからペテガリ縦走 その2 ・ 11年8月

2011-09-03 22:05:33 | 日高山系の山
 8月27日(土)

 朝3時半に目を覚まします。
辺りはまだ暗いのですが、今日は千メートルを超える急登を登らなければなりません。
出来るだけ朝の涼しい内に登るために早立ちを考えています。

 いつものお茶漬けの朝食を終えるとさっそく準備をします。
白〃と夜が明けてきます。
谷間から見る稜線の向こうに青空が広がっています。
今日も良い天気のようです。

 5:15分、出発準備が出来ました。
朝露を避けるために雨具のズボンを穿きました。
しかし、昨晩は気温が高かったようで笹の葉にもそれほど露が付いていません。
暑くなってきますので最初の休憩で雨具のズボンを脱いでしまいます。

 今夜のテントサイトはヤオロマップの山頂を考えています。
ヤオロマップの山頂で水が取れるという情報がありますが、万が一の場合を考えて5リットルの水を担ぎ上げることにしました。

 このコースは、中部日高にあって唯一夏道で稜線まで上ることが出来ます。
そういう意味では貴重なコースなのですが・・・
標高差千メートルの急登はさすがにきついです。
しかし、我慢して登るとコイカクシュサツナイ沢右股の正面に見慣れた1823m峰が見えてきます。
    
     1823m方の手前に昨年テントサイトにした1643mの
    ピークが見えてきます。

 上の方から降ってくる人達がいます。
すれ違いざまに挨拶すると北大の山スキー部の若者達でした。
ヤオロマップの水場情報を聞くと、そこそこの流れで湧いているとのこと。
私達の取って嬉しい情報でした。
彼らは、1839m峰を目指したようですが天候が悪くヤオロアップから引き返したようです。

 7:15分、この急登の途中1305mに唯一のテントサイトに到着です。
    
 このサイトは、横の谷に遅くまで残雪が残るようでなかなか良いテントサイトです。

 さて、ここから少し登るといよいよ斜面の傾斜が増してきます。
小刻みに休憩を取って水もドンドン飲みます。
気温が高くなってきているので脱水症状がでないように水分の補給には注意しなければいけません。
ヤオロマップの水場情報も貰ったので水の心配はなくなりました。

 9:13分、やっと、コイカク夏尾根かしらに到着です。
ここでゆっくり休憩を取ります。
Ko氏はこのコースは初めてですので山座同定を一緒に楽しみます。
    
     十勝幌尻岳が正面に見えます。

 ユーチューブにコイカク夏尾根到着の様子を貼り付けています。  
     http://www.youtube.com/watch?v=3UaJ9q2GSm4 

    
     南側に目を転じるとこれから歩くヤオロマップが見えています。

 コイカクの山頂まではダラダラとした尾根歩きです。
その途中に北大生の慰霊碑があります。
    
     日高で遭難した北大生の慰霊碑です。

 慰霊碑の前で静かに手を合わせます。

 15分ほど歩くとコイカクシュサツナイだけの山頂に到着です。
    

 目の前に今日のテントサイトとなるヤオロマップ、そこから左手に尾根を伸ばして1600mピーク、さらに、右手に折れた尾根の先にルベツネなどこれから歩く山々が見えています。


 コースはここからいった降ります。
    
     ハイ松の中を降りますが、ハイ松に鋸目が入っており枝がそれほど
    邪魔になりません。

 この辺りは、1839m峰へ向かってツァーも行われているせいか数年前に較べても格段にハイ松が整理されているようです。
(ツァーガイドさんが邪魔な枝霧をしているのでしょうか?)

 10:52分、ヤオロマップの窓に到着です。
ここにはテントサイトがあります。
    

 ヤオロマップの窓という地名は通称名です。
直ぐ脇に稜線まで突き上げる沢があり、その沢口がまるで窓のように見えるところからこの地名になっているようです。
ここから先はヤオロマップに向けてまた登らなければなりません。
    
     一番左がヤオロマップです。

 暑さのために水の消費がドンドン進みます。
温度計を見ると20度を超えています。
直射もきつくなっています。
そんな中で、この尾根を登っている途中で振り返るとコイカクからこちらに向かって歩いてくる人影が2~3人見えます。
私達のようにペテガリまで縦走するのでしょうか?

 13:05分、やっとの思いでヤオロマップに到着です。
     

 北の稜線を見るとスカイラインにカムエクが堂々とした姿を見せてくれます。
     
      うーん、やはりカムエクはいい山ですね!

 山頂のテントサイトでは2張りを並べて張るスペースがありません。
1839m側に少し降ったところにもテントサイトがあるはずですので見に行きます。
5分ほど降ったところに最適なテントサイトがありました。
     
      3人用1張+2人用1張が張れる広さがあります。

 さあ、テントを張り終えたら水場探しです。
水場は山頂から十勝側に降ったところにあるはずです。
    
      山頂からコイカク側にあるテントサイトから降ります。
      ちょうどKo氏が立っているところから降ります。
 山頂から標高差で60m~70m降ったでしょうか。
水場の目標は1mくらいの岩があるところです。
    
     水場から見た山頂方面です。

    
      小さな流れですが、1~2分で5百ccのペットボトルが一杯になります。

ユーチューブに貼り付けた水場の様子です。
     http://www.youtube.com/watch?v=8aT9FxsmNhM

 今回、目標となるピンクテープを貼り付けました。

     
  テントサイトを上から見たところです。
  なかなか良いロケーションでしょう。



ユーチューブに貼り付けた1839m峰 
    http://www.youtube.com/watch?v=tICTKYyUNvA&feature=mfu_in_order&list=UL

 タップリの水を汲んでくるとあとは何もすることがありません。
熱い体を冷やすために寝ころんでノンビリします。
目の前には1839m峰が見える贅沢な場所でKo氏と世間話をして時間を潰します。

 そうそう、On氏は風邪気味で熱があります。
途中の浦河で風邪薬などを買って飲んでいます。
何より要してきた日本酒を上二股で投げてしまったといいます。
それくらいの覚悟でなければ明日の行程をこなすことが出来ないと思ったそうです。
今回の縦走が困難なことは全員が承知しています。

良いパーティに恵まれたことに感謝しています。

    
    太陽が沈んでくると東側の空が赤く輝いてきます。
太平洋も白く輝き、この光景を十分に楽しみ寒くなってきたのでテントに入ります。 
今夜は沢音がないので静かに寝られそうです。
 

      

コイカクからペテガリ縦走 その1 ・ 11年8月

2011-09-02 07:09:06 | 日高山系の山
 今年3度目となる日高山脈主稜線の縦走に行ってきました。
このコイカクシュサツナイ岳(1,721m)からペテガリ岳(1,736m)間の縦走は主稜線に残っている登山道のうち私達にとって残された最後の部分になります。

2年越しで歩いてきた最後の部分ですが、この区間は標高の低い稜線が続くため藪の深さが問題です。
特に3日目のヤオロマップからペテガリCカールまでは、標高が低く藪が濃いだけでなく、ここへ足を踏み入れたなら水場もないので最後まで歩き通さなければなりません。
私達にとって最難関の部分なのです。

 今回の縦走は前回と同じSu氏、On氏、Ko氏に私の4人で挑みます。


 8月26日(金)

 朝5時に2台の車で札幌を出発します。
集合場所は、道央道の美沢パーキングエリアです。
ここでOn氏と合流します。
ここからは、まず、下山口となる日高側の神威山荘へ行って1台デポして、それから十勝側にあるコイカクの登山口へ向かいます。
今日は、この車の回送とコイカク登山口からコイカクシュサツナイ沢の上二股まで歩きます。

 朝五時から走り詰めに走って昼過ぎ1時前にやっとコイカク登山口の駐車場に到着です。
駐車場には車が5台ほど止まっています。

 さっそく荷物を詰めて登山準備をします。

 13:15分、いよいよ私達の縦走が始まります。
    
     天気は上々、まずは沢登りです。

 今回はこの沢登りの部分が2時間弱しかありません。
そこで沢靴とネオプレーンのスパッツは使わないことにして、替わりに沢用の地下足袋を用いることにします。
沢用の地下足袋は底がフェルトになっているので岩の上を歩いても滑りません。
何よりこうすることで沢靴に較べると大幅な重量軽減が出来るからです。

 最初のゴルジュです。
    
     ここ1週間以上雨が降っていないので沢水は清く澄んでいます。

 こんなゴルジュがありますが、このコースはきちんとした巻き道があります。
上々の天気と思って歩いていると小雨がぱらつきます。
上空は黒い雲が稜線に掛かり、どうやら夕立のようです。
雨具を着ることにして休憩していると、その雨も直ぐに止んでしまいます。
せっかく着た雨具を仕舞い込み、多少の雨は気にしないで歩くことにします。

    
 行く手に大きな砂防ダムが現れます。
2段に作られた砂防ダムですが、右岸にロープがフィックスされており難なく越えることが出来ます。
  
    
     順調に、沢を渡渉したり、川の両側にある巻き道を歩きます。

    
     二つ目のゴルジュです。

 14:55分、上二股に到着です。
思いの外順調に歩くことが出来ました。
さっそくテントを立てると、Su氏とOn氏は釣りに出掛けます。
私とKo氏は薪拾いです。

せっかく時間があるのですから焚き火を起こしオショロコマを焼いて食べようという算段です。
     
    
     Ko氏が起こした焚き火です。

 さて、釣果の方はというと
    
     ごらんの通りですが、これは、釣果の一部です。

 なかなか型の良いオショロコマもあり焚き火で焼いて食べます。
    

 型の小さなオショロコマは私が用意した油で唐揚げにします。

 今夜の夕食は、麻婆茄子です。
それに、オショロコマの串焼きと唐揚げ、豪華な食事を焚き火に当たりながら楽しみます。
軽くお酒も飲んで馬鹿話をしているとこれから歩く藪の深い稜線のことを忘れてしまいそうです。
このまま帰っても良いかなと思うくらいです。

 うーん、こんなにノンビリしていて明日からの縦走に耐えられるかちょっと心配です。
でも、この夜はとても楽しい夜でした。
暗くなると満天の星空です。
明日も良い天気のようです。
ほどほどの時間で外の食事を終えてテントの中へ入ります。

それにしても、沢音を聞きながら焚き火の炎を見つめていると心が癒されます。
今夜の食事は満足のいく楽しい食事でした!