井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

遙かなる山、ペテガリ岳 その2 10年9月

2010-11-28 20:38:03 | 日高山系の山
9月23日(木)

 朝、目を覚まして窓の外を見ると空は薄曇り、昨夜は月が煌々と輝いていたので今日は晴れると思っていましたが、高曇りの空です。

 5時に起きて朝食を作り登山準備を始めます。
横浜の人はもう出発の準備を終えて私より一足先に小屋を出ていきます。
お互いにお別れの挨拶をしましたが、今回、この方に逢えたのは良い収穫でした。

 5時45分、私も準備ができたので出発です。
今日は私一人がペテガリに向かいます。
小屋の右手にある登山口から小さな沢に沿って登ります。
この沢の佇まいはなかなかいい感じです。
    

 この沢水を小屋まで引いて飲料水にしています。
下草が露で濡れていると思い雨具のズボンをはいて登りましたが、下草が濡れていないのでズボンを脱ぎます。
雨具のズボンをはいていると汗のためかえって濡れてしまうためです。

雨具のズボンを脱いですっきりとしたところで沢道と分かれ雑木林の中にジグを切った笹藪の道となります。
急な斜面に切られたジグをゆっくり登っていくと尾根に取り付きます。
高度が上がり左右の見通しが利いてきます。

6時45分、尾根に出てきました。
風もなくこの辺りは笹刈りがなされているので快適に登れます。
ここから先の標高1200m辺りは登ったり下ったりと辛抱が続きます。
しかし、ペテガリ岳が左手前方に姿を見せてくれていますので、頑張り甲斐があります。

    

 1259mのピーク辺りから笹が登山道を覆い始めます。
でも、道はハッキリしているので迷う心配はありません。
先日登ったカムエクからコイカクの縦走路に較べればどっていうことのない登山道です。

しばらく歩いていると左手に見えている1839峰が雲に隠れてきます。
どうやら天気は悪い方へ動いているようです。
    
    1839峰が雲で半分覆われヤジリのような姿をしています。
 

しかし、右手に見える中ノ岳方面はまだよく見えています。
    

8時10分、1293mから下ったコルで一休みします。

ここからのいくつかのコブを越え、やっと、1309mを下り最後の登りになります。
天気はドンドン悪くなってきます。
冷たい風が吹き上空から雲が低く垂れ込めてきます。

山頂まで500mほどある最後の登りの途中1500mで休みます。
山頂までノンストップでと思いましたが、寒さのため足が動きません。
山頂は見えているのですが、流れる雲が次第に厚くなってきます。
何とか山頂からの眺望を得たくて頑張って登ります。

山頂にある標識が見えてきました。
もう一頑張りです。
10時15分、やっと山頂に到着です。
    
   残念ながら山頂からの眺望は雲に隠されて見ることが叶いません。
風が強く冷たいので山頂の北側にあるテントサイトの草陰で休みます。
山頂の北側にはテントが2張りほど張れるスペースがあります。
     
  ここで昼食を取ります。
寒いのでダウンジャケットを着て休みます。
そして友人数人に山頂到着のメールを打ちます。

 山頂から北に続くルベツネ山が見えないかと思って休んでいるのですがそれも叶いません。少し雲が薄くなってきたと思っても直ぐに濃くなってしまいます。

    
    Bカールの壁が少し顔を見せてくれました。

あまりの寒さに山頂で15分ほど休んだだけで下ることにします。 

山頂下の急な斜面を単独の人が登ってきます。
両手にビニール袋と水筒を持っただけで登ってきます。
どうやら途中でザックをデポしたようです。

この人と別れ快調に下ります。
1301mのピークまで下ると風も治まり暖かくなってきます。
ここで少し休み、ここからは笹藪の道を登った下ったりの単調な道を歩きます。

14時、やっと沢との合流点に戻ってきました。
ここまで下ってくるとペテガリ山荘は目と鼻の距離です。
ここでタップリと水を飲みお菓子などを食べてゆっくり休みます。

今日は単調な歩きばかりでしたのでちょっと飛ばしすぎています。
何カ所かあるピークを辛抱強く登りのがペテガリ岳のようです。

憧れていた山でしたが登り終えても達成感が沸いてきません。
何か物足りなさだけが心に広がっています。
いったいこれはどうしたことでしょう。

うーん!自分でも理解のできない感情です。
遙かなるペテガリ岳! 心の中で美化しすぎてしまったのでしょうか?
「来年は東尾根から登ってみるか。」
そんなことを考えながら沢に沿って下るとほどなく山荘の屋根が見えてきました。

   

遙かなる山、ペテガリ岳 その1 10年9月

2010-11-27 21:19:25 | 日高山系の山
9月22日から2泊3日でペテガリ岳へ行って来ました。
ペテガリ岳は憧れの山です。
日高山脈でも奥深い位置にあるため山を始めた頃(40年ほど前)には私などが登れる山ではなく、本当に1部の人達が登れる山だったのです。
そのペテガリ岳には十勝側から東尾根コース、日高側から西尾根コースの2コースの夏道があります。
しかし、東尾根コースはコースの長さから入る人が少なくなりハイ松や灌木に登山道が塞がれた荒れた道となっているようです。

一般的には西尾根を登ります。
その西尾根も登山口となるペテガリ山荘へ車で入ることができないために、神威岳の登山口となる神威山荘から一山越えてペテガリ山荘へ来ることになります。


 9月22日(水)

 札幌を朝5時半に発ち、途中で静内町(現新日高町静内)にある森林管理署に立ち寄り元浦林道の鍵を借ります。
林道の鍵は森林管理署へFAXで申し込みをして事務所が始まる前の時間に受け取りたいのでその旨書いておくと事務所前に設置されている入林ポスト鍵を用意してくれています。
その鍵を受け取り神威山荘目指して走ります。

9時40分、やっと神威山荘に到着です。
ペテガリ岳には、神威山荘の手前2キロほどのところからニシュオマナイ沢へ向かって200mほど走ります。
ここには、駐車場があります。

ここへ車を止めて、9時丁度、いよいよペテガリ山荘へ向かっての山越えです。
まずはニシュオマナイ川を渡ります。
     
    沢水は足首を少し越えるくらいの水量です。
川にある飛び石を越えて渡りますので、夏靴のまま沢を越えます。
ここから15分くらい廃道となった林道を川上に向かって歩きます。
     
     
     小さな沢を渡り廃道となった林道跡を登り、コースを間違っていることに気が付きました。
ここはこの沢に沿って登らなければいけないところです。
左にある木の根本に標識があったのですが気が付かず、氏バラ帰庫の林道を登ってしまいました。

 この沢は踏み分け道がしっかりと付いています。
小さな沢を右に左に渡りながら登っていきます。
     
   この沢は日当たりも良くこの季節になると虫もいないので気持ち良く歩けます。

 しばらく歩くと前方に滝が見えてきます。
    
     落差7m~8mのすっきりとした滝です。
右岸にしっかりとした巻き道がありますので簡単に乗越せます。

 沢がだんだん狭きなってきますが、踏み分けもしっかりしており、さらに、枝沢に間違って踏み込まないようにピンクテープが張られるなど道に迷う心配はありません。

前方に笹藪が見えてくるともうすぐ乗越点です。
狭い掘り割り状の道を笹に掴まりながら登ると乗越点です。
ここまで、登山口から1時間15分ほどでした。

ここから笹藪を右手に少し進み、小さく急な沢を下ります。
この沢は急ですので足元に注意して下ります。
20分ほど下ると斜面一面に植林された明るい場所に出ます。
これで乗り越しは終わりました。

ここから右手に向かって草原を歩きます。

  
  林道が大きく削られています。
ここに、ペテガリ山荘と神威山荘の標識がありました。
川原から林道にあがりペッピリガイ川に沿って下ります。

しばらく下ると前方に見える林道が綺麗に新設されています。
路面は砂利が綺麗に転圧され、路肩も綺麗に造成られています。
今歩いてきた道との違いにビックリです。

20分ほど歩くと建設作業用のK形ハウスがあり、どうやら工事関係者の事務所のようです。
この事務所を横目で見ながら、ここまで車や重機が入ってこれるなら静内ダムからの林道を使わせてくれても良いと思いました。

こんな事を考えながら歩いているとペテガリ川に掛かるペテガリ橋が見えてきました。
この端が見えてくればペテガリ山荘はもう少しです。

林道の右手に三角屋根が見えてきました。
ペテガリ山荘です。
その手前の林道に鹿がいます。
   
   近づいていっても逃げようとしません。
よほど人慣れしているのでしょうか。
     

 12時55分、神威山荘近くの登山口から約3時間の道のりでした。
今日はこの山荘に泊まってペテガリ岳には明日登ります。


 ペテガリ山荘は、なかなか立派な小屋でした。
窓はしっかりとしたサッシがはめこまれており、入口も一般住宅用のサッシです。
小屋の左側にはトイレ、右側には台所があります。
どちらも、夜には自動で電気が点灯します。

小屋の中にはいると40半ば位の男性が一人います。
話を聞くと1昨日ペテガリ沢に入り途中で1泊、昨夜はペテガリ山頂で1泊、今日下山してきたと話してくれます。

今夜はこの人と二人きりのようです。


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  この男性は、横浜から来ているようでした。
 長年ペテガリ岳に憧れを持っていたがペテガリ岳に登るためには1週間ほどの休暇が
 必要とのことです。
 何故か聞いていると、ペテガリ岳にはペテガリ沢から登りたっかったと話してくれます。 今回は、7~8年振りに仕事が少し暇な部署に異動になったのでやっと来ることができた ようです。

  普段も沢登りが主体のようで、すでに、百本は登ったと言います。

  この人がペテガリ沢を登っていると下降してくる人達に会ったといっています。
 自分が苦労して登っている沢を下降ルートに使っている人達がいる。
 上には上の人がいるのだと感心していました。

 (この時には気が付きませんでしたが、あとからこの下降してきた人達はネパールで
  一緒だったO君達だと分かりました。
  O君達もこの人の出で立ち(地下足袋にわらじ)を見てただ者ではないと
  話していたようです。)

  ペテガリ岳に登に来る人は二百名山巡りの人ばかりだとガッカリしています。
  私に「あなたも二百名山ですか?」と聞くので、私は「違います」と答えると、
  安心したような顔をしています。

  きっと、自分の憧れの山が単なるスタンプラリーのような山登りの対象として
  登られることにガッカリしているようです。
  この点については、私も同感です。

  ペテガリ岳でなくカムイエクエチカウシ山も二百名山にランクされている
  ことによって本州から多くの登山客が押し寄せています。
  カムエクはいい山であることは間違いがありません。

  しかしその山へツァーで入る登山客が起こしている事故が増えています。
  ペテガリ岳のように登山基点として立派な小屋があるところはオーバーユース
  の問題は軽減されます。

  しかし、カムエクは8の沢出合いなどはトイレの問題もあり環境が汚染される
  危険性があります。
  オーバーユースの問題だけでなく、沢登りに不慣れな登山客には危険なコースです。
  そのため事故も増えます。

  もう少し、自分の実力をわきまえた登山はできないものなのでしょうか?

  
  今夜は中秋の名月です。

  夜、外へ出ると煌々とした月の光が辺り一面を照らしています。
  その月の光の中を鹿が草を食べています。

  今夜はストーブの暖かさに包まれた小屋で熟睡です。
  

    
   

トムラウシ川・地獄谷 10’9月

2010-11-12 08:22:27 | 大雪山系の山
9月4日から5日にかけてトムラウシ本流の中程にある地獄谷へ行って来ました。
地獄谷というのは、温泉水の吹き出ている場所です。
ここからは、トムラウシ山へ登ったり五色岳に登ったりできます。
メンバーは、先日日高を縦走したS氏とO氏の3人です。

 最初の計画では、クァウンナイ川を遡上してトムラウシ山に登り、ワセダ沢・トムラウシ川を下るという計画でした。
しかし、2日から雨が降り3日も様子を見ましたが雨が降り続いていたのでクァウンナイ川から遡上をあきらめました。
当初の計画を変更してトムラウシの地獄谷からトムラウシ山を登ることとして4日に出発しました。

 札幌を朝5時に出発して4時間半ほど掛かってやっとトムラウシ川の手前にある登山口へ着きます。
この登山口は、トムラウシ山へ登る短縮登山口のさらに西側へ続く林道にありますが、手入れのされていない林道なので沢水により崩れた場所の手前に車を止めます。

ここから廃道となった林道を約1時間ほど歩きやっとトムラウシ川にたどり着きます。

     
     初めてお目に掛かるトムラウシの流れですのでどのくらい増水しているかが分かりません。
でも、これ位の水量なら大丈夫と判断して地獄谷を目指すことにします。

     
   川原は広いのですが、流木が散乱しています。
   この流木は8月に降った豪雨のせいです。

 最初は右岸を登ります。
直ぐ先に岩肌が露出している場所があります。
       ここは足元が滑らなかったので水際を何とか歩いて登りました。
     (上流から見たところです。)

 さてこの先にもっと大きな壁が待ちかまえています。
ここは高巻きをすることにしました。
     
 この壁は思ったより面倒で結局20mほど上を高巻くことになってしまいました。

 上流に登っていっても水量は落ちてきません。
やはり、前日降っていた雨の影響なのでしょうか。
なかなか速い流れが続きます。

     
   たくさんある流木に難儀しながら登ります。
右岸には巻き道もありますが、それもハッキリしたものではないので流れに沿って登ります。
   

   流れが速いところを渡渉するときには念のためザイルを使って確保します。
  膝くらいの深さなのですが水量があるためなかなかの水圧です。
    

 何度か渡渉をして約4時間歩きました。
やっと地獄谷が見えてきました。
   
   左岸にモクモクと白い煙が上がっています。
ここが地獄谷のようです。

 地獄谷の直ぐ川下にワセダ沢との合流点があります。
なかなかの水量です。
   
   地獄谷の左岸にテントサイトを見つけました。
水際から2mほど高く増水しても安全な草付きの良い場所です。
早速テントを張ってS氏とO氏はワセダ沢へ釣りに出掛けます。
私は、焚き火がしたかったのでS氏からノコを借りて流木拾いに出掛けます。
    
   1時間ほどでワセダ沢へ釣りにいていたS氏とO氏が帰ってきます。
釣果の方はオショロコマを7~8匹、その中に20センチほどの大きな物がありました。
O氏はその一番大きなオショロコマを木の枝にさして焚き火で焼きます。

 そうそう、流木を拾ってきて焚き火をしたのですが、山で焚き火をしたのは何十年振りでしょうか。
うまく火が着くか心配だったのですが新聞紙数枚を焚き付け代わりに使って何とか着けることができました。
焚き火が大きく燃えだしたときにS氏とO氏が帰ってきたのです。
日が陰った沢は寒かったようで二人とも焚き火に当たり暖を取ります。
そしてそのまま宴会へ突入です。

S氏のザックから2リットル入りのお酒がでてきます。
オショロコマを唐揚げにしたり焼いたりしたものを肴にお酒が進みます。
しばらく振りにノンビリとした至福の時間が過ぎていきます。
宴会は暗くなるまで続きました。


 9月5日、朝、目を覚ますとテントをポツリポツリと雨が当たります。
ラジオの天気予報を聞くとすでに檜山地方は雨でありこれから全道的に雨になると報じています。
これを聞いては、トムラウシへ登る気も失せて直ちに下山することにします。

 テントを畳んでから左岸の奥にある蒸気を噴いている場所を見に行きます。
小さな流れに沿って登りますが、その水がすでに温泉水です。
上り詰めたところは溜まった灰色の水がボコボコと音を立てて吹き上がっています。
泥がポコポコと丸くなって盛り上がってます。
     
     
  そぼ降る雨の中を下ります。
登りの時には気が付かなかった巻き道が左岸にあるのでそれを上手く使って下ります。

 渡渉点を探して川筋を見ていると上手い具合に川幅一杯に倒れている松の木を見つけました。幹の太さは一抱えはあるでしょうか。
その木にまたがって渡渉します。

3時間ほどで最初にへっつた場所へ戻りました。
S氏がここから右岸を直接登ると林道へショートカットできるというので草付きの斜面を登ります。
30分ほどで林道へ出ます。
ここから1時間ほど歩いてやっと車を駐車していた登山口に着きます。

今回の山行は雨に祟られましたが、何とか無事に終えることができました。


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  地獄谷は初めての場所でしたがなかなか良いところでした。
 湧き出ている温泉水を溜めると露天風呂ができるという話ですが、それを作っている
 時間はありませんでした。

  ここから右岸の奥にはトムラウシの山頂がちょこっと見えています。
 ワセダ沢を登り詰めると北沼に出ますので、地獄谷から3~4時間で山頂です。
 
  私は、久しぶりに焚き火ができたので満足な山行でした。
 やはり焚き火は良いものです。
 焚き火の炎を見ていると不思議に心が落ち着くのです。
 これからも、沢登りの折りにはできるだけ焚き火をしたいと思っています。
  




    
              

日高の主稜線を歩く!(カムエクからコイカクへ)その4

2010-11-05 19:41:48 | 日高山系の山
8月23日(月)

 今日もいい天気です。
このテントサイトは朝日が当たりとても気持ちがいい場所です。

 さて、朝食後に残りの水を確認します。
そして、1人1リットルの水を行動用に分けて残った水でコーヒーを沸かします。
それを飲んだら、さあ、出発です。

    
     昨日は登るのが精一杯で後ろを振り返ることができませんでした。
後ろには1823峰が堂々とした山容を見せています。

    
     いよいよこの稜線を下って1444mのコルを目指します。

 5時30分、1444mのコルに向かって下ります。
下るにしたがって藪が深くなってきますが、なんと、荷物が軽くなったせいか
それとも、藪になれてきたせいかそれほど負担に感じずドンドン下れます。

 約1時間ほどでコルに着きます。
この辺りは踏み分け道も分かりずらいのですが、何とか勘を働かせて進みます。

 コルで休み最後の登りに備えます。
ここから尾根が細くなりところどころ岩が顔を出してきます。
尾根を登っていると湧き上がった雲にブロッケン現象が現れます。
私の陰が雲に写っているのです。
    
    ちょっと見づらいかもしれませんが、私の陰が雲に写っています。

 尾根は岩場混じりでかなりの傾斜があるのですがO氏がドンドン登ります。
その跡を私が登っていきます。
踏み分け道の分かりずらいところはお互いに確認しながら登ります。
S氏は後ろからビデオを写しながら登ってきます。
    
     こんなオベリスクのような岩もあります。

コルから2時間弱で尾根の上に到着です。
これから先は夏尾根の頭まで背の低いハイ松に付けられた踏み分け道を歩きます。
    
    登ってきた尾根を振り返りますが、なかなかの傾斜です。
    よく登ってきたと思います。    

 ここからは、コイカク目指して夏尾根の頭へ向かいます。
平坦な道なのですが、微妙にハイ松の枝が気になり歩きずらい道です。

 9時30分、夏尾根の頭に着きます。
ここまで3時間で歩きました。
快調なペースです。
ここからは、泉めー鶴ほどの急な下りが続くのでゆっくり休みます。

南側にコイカクの山頂が見えています。
    
    コイカクの山頂と今いる頭の標高差は2mしかありません。
私以外の二人はコイカクの山頂を踏んでいるので、私にどうするか聞いてきます。
私は、コイカクの山頂をみてあまり魅力を感じなかったのでこのまま夏尾根を下ることにします。
コイカクの山頂を踏むのは来年1839峰へ来るときの楽しみに取っておきます。

 さて、コイカクの夏尾根を下りますが、なかなかの急勾配です。
山道の両側にある笹や灌木に掴まりブレーキを掛けながら快調に下ります。
何と100mを下るのに10分も掛かりません。
コイカクシュサツナイ川との出合いまで1時間30分で下ってしまいした。

 この夏尾根の途中で本州から来た5~6人のグループに会いました。
1839峰へ行くと言っています。
年齢層はなかなか高く、私達のザックを見て随分大きなザックですねと言います。
この人達のザックを見るとなるほど私達のよりは随分小さなザックです。

1839峰へ登るには、夏尾根の下から水を担ぎ上げなければならないのですが
この人達はヤオロマップで水を取るつもりなのでしょうか?

 沢の出合いでゆっくりと昼食を取ります。
ここまで来れば今回の縦走も終わりに近づいているのです。
沢水をお腹一杯に飲んで、ついでに体を拭きます。
顔を洗い、体を拭くと気持ちがシャンとします。

昼食を食べ終わりそろそろ歩こうかと思っていると雨がポツポツと降ってきます。
その雨がドンドン強くなってくるので、あわてテザックに荷物を入れて沢靴を履きます。
雨具の上だけ来て歩きます。

広い川原をドンドン歩きます。
慣れている二人の後を追いかけるようにして歩いていくとコイカクの駐車場に着いてしまいます。

このコイカクの駐車場からカムエクの登山口となるゲートまでそれほどの距離がないので歩いていくことにします。
実は、S氏がこの駐車場にランニングシューズを置いてあったのです。
S氏は私達をこの駐車場に待たせておいて車を取りに走るつもりだったのです。

しかし、O氏の提案でカムエクのゲートまで3人で歩くことにします。
トンネルを抜けるとほどなくゲートが見えてきます。

14時丁度、カムエクのゲートに着きました。
これで、今回の縦走は終了です。


  ☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆

    今回の縦走で私が得たものはとても大きなものでした。
   一番大きなものは、この縦走を歩き通せた身体に自信が持てるように
   なったことです。
   27K~28Kの重量に耐えて主稜線を歩き通せたことは一番の収穫です。
   これから先に主稜線歩きに展望が開けました。

   そして、この縦走が成功したのはとても良い仲間に恵まれたことです。
   パーティシップは申し分のないものでした。
   仲間に感謝ですね!
   

    さて、この雨は札幌へ帰る途中でワイパーで拭いきれないほどの
   強い雨となって降りました。
   そして、この雨が天人峡で道路を削り取った豪雨なのです。
   
    私達は、タッチの差でこの豪雨に当たる前に下山することができました。
   今回の縦走は本当に天気に恵まれました。
   それは、天気に絶対的な自信を持っているO氏のお陰なのでしょうか?
 


日高の主稜線を歩く!(カムエクからコイカクへ)その3

2010-11-04 21:02:06 | 日高山系の山
テントを立て終わったのでホット一息です。

          ピラミッドピークとその奥に聳えるカムエク
       この稜線を歩いてきました。

 さて、テントに入ってザックの中からお菓子などを出してポリポリ食べながらホット一息つきます。
夕食まではしばしの時間をお酒を飲んだりしながらノンビリ過ごします。
この時間が私は好きです。

 暗くなる前に夕食を食べることにします。
まずはお湯を沸かしますが、O氏はガスコンロの上に置いたコッフェルを掴んだままでお湯を沸かします。
感心してみていると、不安定なコンロだから調理するときなどは必ずコッフエルを掴みながらやるそうです。
確かにこの方法なら鍋などをひっくり返すことはありません。
夕食はフリーズドドライのカレーです。
沸いたお湯をまず尾西のアルファー米に入れます。
そして20分経った頃合いをみはらかってカレーを作ります。
カレーを作ると行ってもフリズドライのカレーですのでお湯を入れると10秒でカレーができあがります。
 
 暗くなってくるとパラパラとテントに雨が当たります。
日高側の谷からゴーッと風が吹き上がってきます。
でも、この点とサイトは岳樺など灌木と岩に守られその風も直接テントには当たらないのです。
天国、天国ですね。

 ラジオで天気予報を聞くと今夜は気圧の谷が北海道を通過するため全道的に雨のようです。でも、明朝にはあがると報じています。
その放送を聞きながら眠りにつきます。


 8月22日(日)

 昨夜は時折強い雨と風が吹いていました。
4時頃に目を覚ましましたがまだテントをパラパラと雨が当たっています。
今日は停滞かな?などと考えながら寝袋の中に入っています。
S氏、O氏も起きる気配がありません。

 取り敢えず雨が上がらなければ行動しないこととして7時頃まで様子を見ることにします。
そんなことでダラダラと寝袋の中で惰眠をむさぼります。

 7時頃に雨が上がったようなのでテントから外を見ると流れる雲合い間から何と青空が見えています。
さあ、急いで朝食を食べて出発しなければなりません。

 8時30分、まずは1823峰(実際は1826mあります。)を目指して登ります。
テントサイトから1737mを目指して歩くのですがこの辺りは標高が低いので灌木の枝が立っているので非常に歩きづらいです。
両手でハイ松や灌木の枝を押さえて脇に持っていって1歩1歩慎重に歩きます。
踏み分け道もハッキリしないのでルートを外さないようにします。

1737mを超えると目の前にドッシリとした1823峰(実際は1826mあります。)の山頂が見えてきます。
高度を稼ぐにしたがって足元の灌木やハイ松が膝くらいの枝となるので歩きやすくなります。

 1823峰に着くと山頂にはテントサイトがあります。
そして、ゴールとなるコイカクシュサツナイ岳が目の前に聳えています。
しかし、その頂まではさらに下って登り返しが2カ所あります。

         このテントサイトは眺望抜群です。

 さて、ここで泊まるにはまだ早すぎます。
ここから一度下って登り返した1643mのピークにテントサイトがあることを祈りつつ1823峰を下ります。

 コルまで下っての登り返しで体の調子がおかしくなってきます。
どうも身体の中に熱がこもって暑苦しいのです。
水を飲んでも直ぐにノドが渇きます。

   
   この尾根の先にあるピークが1643mのピークです。
このピークまで何とかたどり着かなければと思いトップで頑張って登ります。

 やっとピークにたどり着きます。
テントサイトは?と思いピークを見ると何と立派なテントサイトがあります。
後ろから歩いてくる二人に「良いテントサイトがあるよ」と伝えます。

さて、テントサイトに着きましたが身体が暑くてたまりません。
テントを立てる二人にことわって木陰で休みます。
日陰で休んでいても体の熱が引かないのです。
そこで、ザックからネオプレーンのスパッツを出して身体の下に置いてその上に上半身裸で寝ます。
濡れているスパッツはひんやりして気持ちがいいです。
頭は水で濡らしたバンダナで冷やします。
そうして30分は寝ていたでしょうか。

やっと、谷から吹き上がって吹いてくる風が冷たく感じるようになりました。
そこで服を着てその辺に散らかしていた自分の荷物をテントの中に仕舞います。

テントの中は熱いので外で涼みます。
目の前には明日歩くコイカクまでの尾根が真正面に見えています。

            この尾根を下ってさらに登り返しが待っています。
    いったい何時間かかるのでしょうか?

 目の下に見えるコルの標高は1444mです。
標高が下がると藪が深くなってきます。
その藪漕ぎにいったい何時間かかるのでしょうか?
弱気になっている私の計算では、下りに1時間半、登りに2時間半、合計4時間は掛かると計算しました。
そこから30分掛かって夏尾根の頭、夏尾根を下るのに2時間、プラス沢歩きに2時間、合計で8時間半あれば駐車場まで下ることができそうです。

 明日は、5時に出発できれば午後2時には下山できそうです。
今回の縦走もやっと先が見えてきました。

       やっと元気になった私です。


   ☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆☆★☆★☆☆

    どうやら熱中症に罹ったようです。
   でも、身体を冷やすことによって何とか直すことができました。
   原因を考えたのですが、今日は気温が高かったこと、それなのに
   水をあまり飲まないようにしていたことが影響したのかもしれません。

   水は1.5リットルを目処としていたので今日はちょっと足りなかった
   のでしょう。

    でも、大事に至らなくて幸いでした。
  

日高の主稜線を歩く!(カムエクからコイカクへ)その2

2010-11-03 16:35:16 | 日高山系の山
8月21日(土) 晴れ

 昨夜は、適度な疲れもありぐっすりと寝ることができました。
テントから顔を出して外を見ると青空が広がっています。
今日もいい天気です。

 今日はカムエクの山頂まで登り、そこから折り返してピラミッドピークを越えて南へ向かいます。

 朝食を終えて荷物をまとめます。
今回は、テントはS氏、夕食とガスコンロはO氏、朝食とコッフェルは私が背負います。
ここからの主稜線はコイカクまで水場がありませんので担ぎ上げなければなりません。
それぞれ、水を7~8リットル背負います。
私は7リットル背負うことにします。
この水に加えフエルト底が水を吸いずっしりと重くなった沢靴とネオプレーンのスパッツもありますので、10キロは増えたでしょうか。
この荷物を背負っての主稜線歩きとなります。

 5時30分、いよいよ縦走が始まります。
まずはカムエクとピラミッドピークのコルを目指します。
ウーン、重い! こんな重さのザックを背負ったのは何十年ぶりです。
この重さに耐えて歩けるか!?
ちょっと不安ですが歩くしかないのです。
一歩、一歩慎重に足を運んでコルを目指します。

   
   足元は踏み分け道がしっかりしているので迷う心配はありません。

 20分ほどでコルに到着です。
重い荷物に喘ぎあえぎでしたがここまで背負った感じでは何とかなりそうです。
ここにザックをデポして水とカメラだけを持ってカムエクの山頂を目指します。

   
   分岐点から見た八の沢カールです。

   
   カムエクの山頂(一番奥の丸い頂)が遙か先に見えています。

 空身となった身体ですので足元も軽く山頂へ向かいます。
登山道はハッキリしています。
快調なペースで登っていきます。

   登るにしたがってドンドン視界が開けてきます。
主稜線の西側、日高側は谷から雲が湧き上がってきます。
      

 約一時間ほどでカムエクの山頂へ到着です。
まずは北側を見ます。
   
   先日敗退したエサオマントッタベツ岳が遠くにかすんでいます。
 この稜線を歩き、ここから繋ぐはずでした。
この稜線歩きは来年の課題として残りました。
手強そうな稜線ですが何とか来年は歩きたいと思います。

 南側には遙か彼方に1839峰が見えています。
   
    1839峰は水平の尾根の先に聳えていますので直ぐに分かります。

   
   カムエクの山頂から南に広がる主稜線を見るS氏とO氏

 カムエクは日本二百名山に取り上げられているのでこの山を目出して全国から登山者が登りに来ています。
日高山脈の中では日高幌尻岳に次いで二番目の標高を誇る山です。
日高幌尻岳と違ってカムエクは日高山脈の中程に堂々と聳える山ですので盟主といって良いほどの存在感があります。
そんなことで、この山を目指すツァーも沢山企画され全国から登りに来ていますが、ご承知の通り遭難騒ぎで物議を醸している山でもあります。

   
   先ほどザックをデポしたコルをまるで竜のような雲が吹き抜けていきます。

 この光景は幾ら見ていてもあきないのですが、私達は先へ進まなければ行けません。
もう一度カクエクから北の山並みを心に刻んで山頂を後にします。

 ザックをデポしたコルへ戻ります。
ここからまずはピラミッドピークを目指して急な斜面に挑みます。
足元の道は思いの外ハッキリとしています。
膝下ほどの灌木を掻き分けゆっくりと登ります。
後ろを振り返ると八の沢カールがドンドン目の下になっていきます。

ピラミッドピークに着きました。
休憩していると八の沢カールからコルへ向かって歩いている人達が見えています。
10人ほどの人達と、少し離れて6人ほどの人達が歩いています。
どうやらツァーできた人達のようです。

 私達はピラミッドピークを越えて今度は急な斜面を下ります。
ハイ松に掴まり岳樺に掴まりながらドンドン下ります。
太陽が真正面から照りつけてきます。
暑さと肩に食い込む荷物に負けずに下ります。

    
    ところどころ鋭い岩稜となっているところがあります。
左右はスッパリと切れ落ちています。
こんなところで足を踏み外すと大変です。
慎重に行動します。

 トップはO氏と私が務めます。
S氏は後ろから全体を見ています。
ところどころ踏み分け道が分からないところろがあります。
そんな時には直ぐに変わって道を探します。
ほとんど足を止めることなく、交代でトップを務めます。
背中の荷物の重さにも身体が慣れてきます。

 1602mのコルに着きます。
ここにはしっかりとしたテントサイトがあります。
日高側の風に耐える石積が作られています。
ここで昼食を取ります。

    
   1602mのコルから少し先へ進み後ろを振り返る。

 1602のコルから少し登りさらに下って1573mのコルを目指す。
今日の宿をこの1573m辺りで探すつもりです。

 標高が下がるにしたがって灌木が立ってきて枝が邪魔になります。
ハイ松の枝もヨコバイから立ち上がっている枝が多くなり行く手を遮ります。
この遮る枝を両手で分けながら進むのですが、ところどころ踏み分け道自体が無くなっているところがあります。

そんなところは稜線を外さないように進みます。
1573mのコルに近づいているのですがテントサイトらしいものが見つかりません。
地面が平らになっている場所があるので最悪の場合にはここにテントを立てるつもりで準備をすることにします。
私がここに残りテントサイトを作ることにして2人はこの先を偵察に出掛けます。

ほどなく、S氏の声がします。
直ぐ先にテントサイトとして絶好の場所を見つけたと言います。
   
 ここは最高のテントサイトです。
稜線上にある大きな岩陰で日高側に開けた地面が草原となってます。
おまけに日高側は岳樺などが生い茂り沢からの風を防いでいます。
広さも3人用のテントを立てるに十分です。

私は、先ほどの場所から2人のザックを移します。
偵察に行っていた2人が帰ってきますが、この先に適当なテントサイトは見つからなかったようです。

 今夜の宿はこのサイトに決定して早速テントを立てます。
テントを立て終わり荷物の整理を終えた頃をまるで察知したかのように雨がパラパラと降ってきます。

 最高のタイミングでした。 


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   今日は天気のも恵まれ初めてカムエクの山頂を踏むことができました。
  昨年の日高幌尻岳に続き標高一位、二位の山の頂を踏んだことになります。

   日高の主稜線は標高が落ちてくるとハイ松や灌木の枝が立ってきて
  踏み跡を隠すようになりとても歩きづらくなります。
  その踏み跡ですが、笹藪などは笹の勢いに押され登山道そのものが
  ほとんど消えている場所があります。
  そういった場所では、枝に付いている登山靴によってつけられた傷や
  枝先に残るノコ目などを探しながら歩きます。
   そういった意味では、主稜線は原始性一杯の道を歩きます。

   今回は7リットルの水を担いで歩きましたが、どれだけ担ぐのが
  いいのか?難しい問題です。
  一番のネックとなるのは、物理的に何キロ担いで歩けるか?
  これが一番の問題です。
   私は、1日3リットルで何とかなると考えて7リットル担ぎました。
  行動中の水は1.5リットルを目標に消費しました。
  天候にも左右されますが、何とかこの量を守って歩きました。

   今日は好天にもかかわらず1.5リットルで歩けたのは、こまめに水を
  口に含んでのどの渇きを感じないようにして、決してがぶ飲みを
  しないようにしたのが良かったと思っています。

日高の主稜線を歩く!(カムエクからコイカクへ)その1

2010-11-02 19:52:29 | 日高山系の山
エサオマントッタベツ岳からカムイエクエチカウシ山へ日高の主稜線に初挑戦もあえなく敗退!
しかし、その痛い目にも懲りずに8月20日から23日まで3泊4日の予定で今度はカムイエクエチカウシ山からコイカクシュサツナイ岳へ縦走することとしました。
メンバーは3月にトムラウシ山へ行った3人組です。

リーダーはS氏、サブリーダーをO氏として3人で挑戦します。
S氏はフルマラソンを走れる体力の持ち主、O氏も春からトレイルランに挑戦中、いづれも体力抜群です。このメンバーの中で体力に不安のあるのは私だけです。
問題は、縦走装備の重さに耐えられるかどうかです。
こんな不安を抱えながらの縦走ですが、唯一の救いは天候は良さそうという予報だけです。


8月20日(金)

 朝4時に札幌を発ちます。
 狩勝峠を越えると十勝平野は一面の霧です。
十勝平野の早朝は霧がでることが多いのであまり気にせずに登山口となる中札内川へ向かいます。

 8時に登山口となる林道ゲートに到着です。
登山準備をしていると朝日が射してきます。
空を見上げると青空がドンドン広がってきます。
どうやら今日は予報通りの晴天のようです。

 8時30分、いよいよ縦走の開始です。
まずは林道を歩き札内川7の沢の出合いを目指します。
二人の足の速いこと、私は付いていくのがやっとです。

7の沢の出合いまで1時間20分ほどで着いてしまいました。
昨年私が一人で歩いたときには、途中で1回の休憩を挟み1時間50分ほど掛かったのですが、今日は何とそれより30分も早いのです。
うーん、早すぎます!

 7の沢からは沢靴に靴を履き替え、いよいよ沢登りとなります。

    
   このように7の沢出合いは広いのでどちらへ歩けばいいのか分からないくらいです。

 広い川原をドンドン歩きます。
ところどころにピンクテープがありますのでそれを見失いように歩くのですが、
S氏とO氏はここを1度歩いていますのでドンドン歩いていきます。
私は辺りを見渡す余裕もないほどのペースで進んでいきます。
途中で数回渡渉する他は立派な踏み分け道となっている巻き道を歩きます。

       
    こんな沢を渡ります。

 途中で1度休憩しますが、沢水は少ないので渡渉も難なく終えることができます。

 そして、7の沢から1時間30分ほどで8の沢の出合いに到着です。
時計をみるとまだ12時前です。
予定では、今日はこの八の沢出合いで泊まるはずでしたが、昼前でしたので予定を変更して8の沢カールまで上がることにします。

    
     8の沢出合いは木立の中にありなかなか快適そうなキャンプ地でした。

 さて、8の沢出合いからまずは三股を目指します。

 1時間ほどで三股に到着です。
三股には、大きな雪の塊がまだ残っていました。
背丈の倍はある大きな雪渓の片割れです。
    
    この残雪の横をすり抜け三股で休憩します。

    
    正面に見える流れに沿って登ります。
 
 この三股から一気に傾斜がきつくなります。
沢水で顔を洗います。冷たい水が心地よく顔や首筋の汗をぬぐいます。
ゆっくり休んで8地の沢カールを目指します。

 三股から少し登ったところでトラブル発生です。
私がトップを歩いていたのですが、どうやらコースミスをして左岸の枝沢に入ってしまいました。
ラストを歩いていたS氏が途中で「登れるかい?」と聞いてきたのですが、その時私が登っている先に足跡がありましたので疑いもしなかったのですが、左にそれた途端に踏み跡が無くなってしまいました。
行く手には枯れた枝沢があります。

O氏から「藪こぎの練習に丁度良いのでドンドン行きましょう。」といわれ、そのまま枯れた枝沢を詰めていきます。
その枯れ沢も消えてしまいます。
左手をみるとさらに枯れ沢があるのでその沢に移ります。
その沢でストックを見つけました。
どうやら私達のようにこの沢に紛れ込んだ人達がいるようです。

枯れ沢を詰めきったところで左手にあるコースを目指して少し下ります。
この下りはクマザサに覆われた斜面ですのでフエルト底の沢靴は滑ります。
両手でクマザサを掴みながら慎重に降り、やっと本来のコースへ戻ります。
ここから30分ほどでドンドン沢水の量が少なくなり、吸い込まれるように8の沢カールへ到着です。

 15時30分、ちょっとしたアルバイトがありましたが8の沢カールに到着です。
まずは、カールにクマがいないかよく見ます。
どうやら大丈夫です。
先着者のテントが1張り張られています。
その横に私達のテントを立てます。

   
   今日のねぐらとなるテントを立てて水を汲むとやっと一息です。
夕食まで時間があるのでお茶など湧かしてノンビリします。
私は、昨夜あまり寝ていなかったので横になって少し休みます。
腰を伸ばして今日一日の疲れを取ります。

さあ、明日から本格的な縦走が始まります。
    

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   今年は日高の主稜線に挑戦と考えていましたが、2週間前に挑戦した
  エサオマンからカムエクは天候にも恵まれず途中で敗退。
   今回は2度目の挑戦でしたが、今年一番の良い山行ができました。
  同行者と天候に恵まれこれほどの山行ができたのは本当に幸せなことです。

   エサオマントッタベツ岳から南へ下ってペテガリ岳まで一応夏道があると
  いわれています。
  しかし、その夏道は笹藪に消えたりハイ松や岳樺などの灌木に覆われ
  消えかかっているところも多いのです。
  そんな道ですが、まずはこの主稜線を歩いてみたいのです。
  
   主稜線には水場がありません。
  ですから必要な水は担ぎ上げなければなりません。
  必然的に荷物が重くなります。
  体力気力が無ければ歩けない稜線です。
  その稜線に少しでも体力が残っている内に歩きたいと思っています。