井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

盛夏の日高幌尻岳に登る・その3

2013-07-28 14:20:11 | 日高山系の山
 昨夜、目を覚ましてテントの外を見ると多少雲が出ていたものの星空が綺麗に見えていました。
北斗七星のヒシャクが手を伸ばせば届きそうなくらい近く見えました。
 
 七つ沼カールに泊まったのは二度目です。
前回は40数年前のことです。
北見市内にある高校の山岳部が、夏山合宿に戸蔦別川を上り戸蔦別岳のAカールを越えて七つ沼カールから日高幌尻岳を目指すという計画を立てました。
この山岳部のサポートとして同行したのです。

 それ以来、四年前の日高幌尻岳は北戸蔦別岳からピストンしたので七つ沼カールには降りませんでした。
ですから、今回の七つ沼カールはとても楽しみにしていたのです。

   
    今日もいい天気です!

 七つ沼カールは風もなく穏やかな朝を迎えました。

 すでに出発したパーティーが雪渓を登っています。
私達も後を追うようにして、6:10分、七つ沼カールを出発します。

   

   

 みいちゃん達の雪渓歩きも慣れてきたのか、今日はアイゼンなしで登ります。

   
   急な登りも2回目となると少し落ち着いて登ることができました。
30分ほどで分岐点に到着。
ここから戸蔦別岳に向かって登るのですが、山頂は覆い被さるような斜面の上です。
あまり上を見ないようにして登ります。

 山頂について一息!
快晴の中、日高幌尻岳の姿を目に焼き付けます。
そして、七つ沼の姿も目に焼き付けます。
   
    この次はあるのでしょうか?

   
    七つ沼カールの向こうにはエサオマントツタベツ岳、一番奥のスカイラインにはカムエクの姿も見えます。

 反対側に目を転じると北戸蔦別岳への稜線が見えています。
   

 ここで、またもや事件です。
夜行虫さんが2日前からチクチクと痛かったお腹を見ると、何と、ダニがしっかり食い付いていました。
   
    頭が皮膚の中に食い込んでいます。

 まずはダニを捕るのが先決かと思いピンセットで取ることにします。
マキュロンでお腹とピンセットを消毒してからできるだけ深く皮膚の中にピンセットを差し込み一気にダニを引き抜きます。
どうやら上手くとれたようです。
もう一度、患部を消毒しておきます。
やれ、やれ、もっと早く気が付いていれば簡単に取れたと思いますが・・・


 一度歩いた稜線ですが、少し疲れもあり休憩を取りながらゆっくり歩きます。

   

   
 
 高山植物の花は疲れた心を癒してくれます。

 北戸蔦別岳を越えぬかびら岳まで来ると、この先では日高幌尻岳を見ることはできません。
休憩を取ってよく見ていきます。

 ここからはトッタの泉目指して降るのですが急な坂道が続きます。
まだまだ気を抜くわけには行きません。

   

   
   特にこの雪渓は降らなければならないので注意するように言いました。

 トッタの泉には数人の方が休んでいました。
40代の屈強という形容詞が似合うガイド風の方が70歳に近いご婦人と登っていきます。
彼のザックは本当に重そうでした。

  
  尾根の取り付きまで降ってきました。
ここからは沢を降ります。
まだまだ気を抜くわけには行きません。

 沢の巻き路も降りの方が見つけやすく順調に降ります。
二の沢の二股について、これでほぼ今回の山場を越えたことになります。

 取水ダムで一休み、ここから花が林道歩きが残っています。
でも、4人で話をしながら歩くと思いの外進むのです。
ところが、後30分ほどで駐車場に着くかというところで雨が降ってきました。

 今日の天気予報も午後からは夕立が降るかもしてないという予報です。
とりあえず、雨具の上だけを着ます。
すると、すぐに大粒の雨が降ってきます。
私は大きな蕗の葉を捜し、傘代わりにして歩きました。

 駐車場についても雨が降り止みません。
とりあえずザックをトランクに入れると一目散に日高町へ降ります。

 最後はバタバタとしましたが、今回の日高幌尻岳は天気に恵まれ最高の山でした!!
  

盛夏の日高幌尻岳に登る・その2

2013-07-24 21:36:02 | 日高山系の山
 前日は早めに寝ることができましたので身体の疲れはすっかりとれています。
まだ暗い中、外を歩いている足音が聞こえました。
2人の足音が耳元に響いてきました。
こんなに早くから?と思いながら寝ていました。

 4時に起きてテントの外へ出ると目の前には朝日に輝く穂高幌尻岳がドーンと大きな姿を見せてくれます。
   
 そして目を左の方へ転じると戸蔦別岳も輝いています。
   

 今日もいい天気のようです。
俄然、やる気が出てきました。

 朝食は前日造った残りのアルファー米をみそ汁のぶっかけご飯にしてサラサラと食べます。
朝食は汁物と一緒に流し込むのが私のやり方です。

 テントの中のものを全部外へ出してパッキングをします。
テントはクロさんに任せてパッキングをしているときに事件は起きました。

 後ろで、「アーッ!」という叫び声が聞こえます。
後ろを振り向くと私とクロさんが寝ていたテントが風に飛ばされハイ松の上を谷に向かって吹き飛ばされるとこでした。
クロさんが追いかけたのですがハイ松の枝に邪魔されて手が届きません。
テントはコロコロとハイ松の上を谷底に向かって転がっていきます。

 「ア~ア!どうしょう!」、みいちゃん達はすでにあきらめ顔です。
私は、ハイ松の上から転がるテントを見ていました。
テントは70~80mほど下で一旦止まりました。
これなら回収できるかも?と思いハイ松の中に飛び込みます。

 ハイ松は順目ですが、枝が複雑に絡み合っているのでなかなか進みません。
テントが風に吹かれて2度3度と転がります。
「止まってくれ!」と念じながらハイ松を降ります。

 もう少し吹き飛ばされたら見えなくなるという辺りで幸いにテントは止まっています。
どのくらい時間が経ったか分かりませんが、やっとテントに手が届き無事に回収することができました。
テントは、幸運にも張り綱がハイ松の枝に絡まって止まっていました。

 テントのポールを抜いて折り畳み、脱いだウインドブレーカーの中に仕舞い込んで肩掛けして落ちないようにします。
テント本体は腰にしっかり縛り付けてハイ松を登ります。

 ここからの登りが辛かった!
ハイ松は逆目となっており枝が下向きになっており私の行く手を遮ります。
そのハイ松の枝を一枝ごとに左右に分けてその隙間に身体を入れて登ります。
できればテントを張っていた方へ行きたいのですが横方向への移動はまさに枝渡り状態となるのでできません。
辛抱しながらハイ松の枝を分けて真っ直ぐ上に向かって登ります。

 やっと、テントを張っていた場所が見えるところまで登ってきました。
約40分ほどのアルバイトでしたが、無事にテントを回収できました。
よかった!!

 6時を少し回りましたが、気を取り直して北戸蔦別岳へ向かいます。
   

 一山越えたところにもう一つテントが張れる場所がありました。
そこには先客のテントが張られていました。
   

   
 高山植物の花々に癒されながらの一登りで北戸蔦別岳の山頂に到着です。

   
    ここから戸蔦別岳のBカール、Cカールが見えます。

   
    山頂にはテントを畳んでいる単独の人がいましたのでシャッターを押してもらいました。

 ここから戸蔦別岳に向かって一旦降ります。
快適な尾根歩きとなります。
   
    途中で見たムシトリスミレです。
    黄色い葉にネバネバした液があり、ここで虫などを捕らえます。

   
    まさにイワヒゲです。

 2時間ほどで戸蔦別岳に到着です。
ここで今晩テント泊する七つ沼カーの姿が目の下に見えます。
   
   ずいぶんと大きな雪渓が残っています。

   
    この写真は4年前の8月に写した七つ沼カールの写真です。

 両方の写真を比較すると写した時期の違いはありますが雪渓の残り具合が全然違いますね。

 さて、七つ沼の下降点に来ると数人の人たちが休んでいます。
置いてあるザックもあります。

 私達は七つ沼カールにテントを張ってから日高幌尻岳へ登ることにしてますのでカール目指して降ります。
この下降路がなかなか大変な路でした。
上部はガラガラの浮き石だらけのガラ場です。
そこをダブルストックを使いながら慎重に降ります。

そして雪渓に到着。
この雪渓も短いのですがなかなかの傾斜があります。
持ってきた軽アイゼンをつけてもらって慎重に降ります。

 何とか七つ沼カールに到着。
さっそくテントを張る場所を探します。
砂地でテント2張りが十分に張れる場所を見つけたのでここにテントを張ります。
    
 テントを張ってしまうと、何かやり遂げた感がメンバーに漂います。
それを払拭して目標の日高幌尻岳へ向かいます。

   
    この雪渓を目の前にして多少戦意喪失気味のメンバーを引っ張ります。

 やっと登ったカール壁の上の稜線、目の前にドーンと聳えるコブ山、適当に休憩を入れて歩きます。
25分ほど歩くと日高幌尻側に下降点に到着です。

 ここから急な登りが続きます。
それをやっと登り終えてもまだまだいくつかのコブを越えなければ山頂には着きません。
我慢の重ねながらやっと日高幌尻岳の山頂に到着。

    
     満足な顔です。

 ここで意外な発言がありました。
クロさんがこの山頂で百名山に王手だというのです。
残るは利尻岳だというのです。
私達が日高幌尻岳に行くというのを聞いて急遽参加を決めたのはこれが理由だったようです。

 山頂で30分ほど休みます。
その間にも沢山の方達が登ってきます。
新冠側から登ってきた人たちもいます。
やはり百名山人気は凄いものがありますね。

 さあ、何時までも山頂にいるわけには行かないので七つ沼に戻ることにします。
登ってきた道を帰るだけですのでドンドン進みます。
   

 さて、堀尻岳側から七つ沼への下降点にきて考えました。
上部は草津期の斜面にきっちりとしたジグが切られています。
下部には大きな雪渓が残っていますが、それほど難しいとは思えません。

 みんなに相談してここを降ることにしました。
草付きは順調に降りました。
その下に10mの小さな雪渓があります。
ここはアイゼンをつけて降ります。

 雪渓の雪が堅いので注意しながら降ります。
私は先に降って雪渓の下で、万が一滑落した場合に止めようと準備して待ってました。
そこへ、あと5mほどという場所でみいちゃんが足を滑らせて落ちてきます。
私のすぐ横へ落ちてきたので身体ごとぶつけるようにして止めました。

 幸いに滑った距離も少ないためスピードが遅かったので何とか止めることができました。
みいちゃんに怪我もなく止められたのは幸いでした。

 しかし、まだまだ難所は続きます。
雪渓下にあるガラ場はアイゼンを付けたままで降ります。
そして大きな雪渓に出ます。
最初の傾斜が急ですのでトラバース気味にして高度を落とします。
   

   
   この雪渓の中ほどまで降るとあとは傾斜の緩んだ斜面ですので、ホッと一息つけました。

 後は雪渓下まで降りアイゼンを外して一休みします。
ここからは藪の中の踏み分け路を見つけてテントサイトへ戻ります。

 テントサイトには私達以外のテントが4張りあり10人ほどの人たちがいました。

   
   夕暮れ時に鹿が草をハミに出てきました。
 雄鹿が姿を見せるのは珍しいことです。
おまけにこの雄鹿の角は皮膚に覆われて赤く見えます。

 風もなく穏やかな七つ沼でのんびりした時間を楽しみます。

 もう日が暮れるという6時30分頃に七つ沼に向かって降ってくるグループがいます。
4人グループのようですが雪渓の上部をウロウロしています。
みいちゃんの話では、このグループは私達が降ってきた幌尻側の下降路を降ってきたが雪渓が降れずに登り返したグループでないかといいます。

 アイゼンを持っているか声を掛けると持っていないといいます。
そこから動かないように声を掛けてから私はメンバーのアイゼンを持って雪渓を登ります。

 東京から来た4人のグループでした。
すでに日が落ちて暗くなる寸前でしたので私が持ってきたアイゼンを付けさせて降ります。
中にはアイゼンの付け方が分からない人もいます。
最初の急な雪渓をゆっくり歩かせて何とか全員を降ろすことができました。

すでに暗くなってきたのでヘッ電を付けさせて水路となっている藪を降ります。
下の雪渓は傾斜が緩いのでそのままテントサイトへ誘導します。
リーダーらしい人が上の雪渓で下降路が発見できずに困っていたといいます。
こんなに雪渓が残っていると思わなかったのでアイゼンは持ってこなかったともいいます。

 完全な準備不足です。
しかも、こんなに遅い時間まで行動するのは異常です。
最初の計画からして甘いものだとしかいえません。

 北海道の山は標識がほとんどありません。
まして、日高は大雪山や十勝岳とは違いあるとすればピンクテープがちょこっと付いているくらいのものです。
地図をしっかり読んで登山道の周辺にも十分に目配りをしていないと登れないところなのです。

 日高幌尻岳は本州の登山道が整備された百名山とは違います。
そのことを十分に理解した上で登って欲しいものです。
 

 


盛夏の日高幌尻岳に登る・その1

2013-07-23 20:31:04 | 日高山系の山
 昨年は神戸の女性達(みいちゃんと夜行虫さん)をトムラウシ山に案内しました。
今年は日高幌尻岳に行ってみたいということで案内してきました。

 日高幌尻岳は百名山に名前を連ねているのですが、そこは日高、なかなかの何コースが待ちかまえています。
一般的なルートは額平川を沢登りして幌尻山荘に1泊、翌日、尾根を登り山頂に到達します。
しかし、このルートは幌尻山荘の宿泊は事前に予約が必要なこと、そして、その予約がなかなか取れないのが難点です。
さらに、数年前からは途中の林道もシャトルバスに乗らなければいけなくなっています。
こうでもしないとオーバーユースになってしまうのでこのような制限も致し方のないことだと思っています。

 このルート以外では、今回歩いた日高町から入るぬかびら岳ルート、新冠川からのルート、戸蔦別川からのルートがあります。
ぬかびら岳からのルートは沢登りの部分がそれほど長くなく、しかも、夏靴でも大丈夫という点が特徴となっています。

 そんなことで、7月の三連休(13日~15日)を使って案内することになりました。


 7月12日(金曜日)

 この日は仕事を終えてから千歳空港入りするというハードスケジュールです。
みいちゃんと夜行虫さんは、8:50分到着予定の神戸便が少し遅れて千歳に無事到着、さらに、今回、緊急参加したクロさんも羽田から15分ほど経ったところで無事に到着。

 早速、日高町に向かいます。
今回は、前泊を日高町として北海道山岳連盟が所有している登山研修所を借りることにしました。
1泊1人当たり8百円、場所は日高町千栄にあります。
廃校した中学校を利用して研修所を開設しています。

 中学校の校舎そのものと隣接する教員住宅の1戸を利用したロッジがあります。
今回は、4人と少人数ですのでロッジの方を借りました。

 途中のコンビニで翌日の朝食を買い込みロッジに着いたのは11:30分過ぎです。
さっそく、布団を借りてお休みなさい!

 翌日は、4時起きの予定を睡眠時間を確保するため5時起きとします。


 7月13日(土曜日)

 予定どおり5時に起きて出発の準備をします。
外は快晴で暑くなりそうです。

   
    この建物がロッジです。

 林道を走り、ぬかびら岳の登山口に着くと、そこには、10台以上の車が止まっています。
一番隅に1台駐車できそうなので割り込みます。
   
   出発準備も終え、いざゆかん!

 日射しが強く暑くなりそうな1日ですが、まだ日陰となって涼しい林道を取水ダム目指して歩きます。
1時間ほど歩くと左手に取水ダムが見えてきます。
   

 ここからはいよいよ登山道に入ります。
まずは左岸の巻き道をドンドン歩きます。
途中で熊の糞を発見、暗緑色の糞であることから若い草や蕗などを食べているのしょう。

   

   
   遙か上の方に稜線が見えてきます。

 二股からも左岸を歩きます。
やがて沢が細くなり最初の渡渉点となります。
   
   ここからは、巻き道を歩きながら沢を渡っていきます。

   

   

   

 ドンドン歩いていくと沢音が大きくなってきます。
目の前に滝が現れてくると沢から尾根への取り付き点です。
   
   ここからは急斜面に切られたジグザグのつづら折りの登山道を登ります。

 もういい加減にしてくれと思った当たりでトッタの泉に到着です。
   
   細い流れですが冷たくて美味しい水です。
ここで水を詰め込みます。
みいちゃんと夜行虫さんはそれぞれ2リットル、私は5リットル、クロさんは4リットル、これだけあれば充分でしょう。

 今日は暑いので途中でのどが渇いたら遠慮無く水を飲むようにいいます。
今日のような天気で一番気をつけなければいけないことは熱中症です。
担ぎ上げる水の量を気にして飲まなければ脱水症状を起こし熱中症になってしまいます。
この点には十分に気をつけて登ります。

 急斜面が続きます。
ザックの重さに耐えて一歩一歩をしっかり歩きます。
一度だけ雪渓が出てきます。
ここは慎重に歩くようにいいます。
本州の人たちは雪渓の上を歩くのが慣れていないので注意が必要です。

   
   疲れた心を癒してくれるのが花です。

 短いハシゴを2段登るとやっと稜線に到着です。
ここまで来ると目の前には大きな日高堀尻岳がドーンと大きな姿を見せてくれます。
   

 ここで一休みます。
ここまで来れば今日のテントサイトとなる北戸蔦別岳はすぐそこです。
   
    北戸蔦別岳の山頂が見えています。

   
    ぬかびら岳を象徴するかんらん岩です。

   

   

   

 この辺りにはいろいろな高山植物が咲いており目を楽しませてくれます。

   

   

 山頂から降ってくる単独の人がいます。
山頂にテントが張られているか聞くと2張り張っているといいます。
それでは、山頂のテントサイトは一杯なので途中に張れる場所がないか探しながら登ります。

 最初にいい場所がありましたが、そこは先客がすでにテントを張っています。
北戸蔦別岳の山頂にもう一登りという場所にテントが張れそうな草地を見つけたのでここにテントを張ることにします。

 13:30分、テントサイトを決めたのでお茶を飲んでのんびりして過ごします。
さすがに4か月振りに担いだ重いザック、身体に負担がきておりヘロヘロでした。

   
   日暮れ時、雪渓が赤く輝きました。

   
   雲が風に乗って幻想的な光景を見せてくれます。

  今夜はのメニューは麻婆ナス、沢山食べて十分に休養を取ります。
食事を取り、珍しくお酒を飲んで今日の疲れを取ります。

 真夜中に目を覚ましテントから外を見ると銀河がクッキリと白くなって見えます。
久しぶりに星空を間近に見ました。 

 明日もきっといい天気でしょう!

風不死岳(ふっぷしだけ)楓沢を降る!

2013-07-19 06:15:08 | 札幌近郊の山
 苫小牧市に住んでいるHkさんとどこかへ一緒に登りましょうと言う話をしていました。
苫小牧市と札幌市の中間にある山と言えば恵庭岳、樽前山、風不死岳などがあります。
楓沢の話をしているとHkさんは行ったことがないと言います。
そこで、昨年に引き続き楓沢を降ることにしました。

 7月11日

 支笏湖湖岸にある国道の樽前の入口で待ち合わせをします。
ここで合流後、まず、下山場所となる紋別橋に車を1台止めておきます。
そこから樽前山7合目駐車場へ行きます。
   

 登山準備を終えると風不死岳に向かって歩きます。
樽前山7合目の登山口からは左手に樽前山の外輪山、右手には支笏湖を見ながら歩きます。
20分ほど歩くと登山道が左手の尾根に延びる辺りで登山道を外れ右手に進みます。

 ここからは藪漕ぎです。
鹿道があちらこちらにあるのでそれらを上手く利用しながら北へ向かって歩きます。
枝沢を何本も越えながら楓沢の入口となる545m地点を目指します。
   
   30分ほどの藪漕ぎでどうやら目的の場所に到着したようです。

 ここで一休み、足下は細かな砂です。
そこに鹿の足跡が沢山ついています。
沢型を歩いていくと苔むした沢が現れてきます。
どうやら楓沢に入ったようです。
   

 ここからは両岸の緑色を楽しみながら歩きます。
苔は先日の雨でしっとりしており緑色が鮮やかです。
   

 水の力で不思議な形にえぐられています。
   

   
   両岸がドンドン高くなってきます。

   

   

 苔を楽しんでいるとすっぽり切れ落ちています。
ここは懸垂下降で降ります。
この楓沢は3カ所ほど懸垂下降をしなければなりません。
   
 
   

   毛足の長いビロウドのような苔が出てきます。
   

   

   

 やがて、両岸が広くなってくるとこの苔も終わりです。
砂防ダムを越え、倒木が目立ってくると終点が近くなってきます。

 車の走る音がしてくると紋別橋の近くです。

 夏の暑い一日、涼しい日陰のの中、苔を楽しむ!
ちょっと変わった山を楽しみました。


    

ペンケヌーシ岳(北日高)に登る

2013-07-16 21:46:53 | 日高山系の山
 神威岳から1週間、太股の筋肉痛も癒えたのでちょっと軽めの山へ行きたいと思いペンケヌーシ岳に行くことにしました。
今日もSz氏と一緒に登ります。

 7月8日

 早朝に札幌を発ち日帰りの予定で出発します。
ペンケヌーシ岳に行くには日高町から日勝峠に向かって走り、国道を右折してペンケヌーシ林道を走ります。
途中にはチロロ岳の登山口もあります。

 ペンケヌーシ林道は7月5日に通れるようになったばかりでした。
国道から20分ほど走ると登山口となる駐車場に到着です。
札幌からは3時間ほどかかるでしょうか。
   
    駐車場には2台の車が止まっていました。

 早速、身支度を整えてスタートです。
歩き出すとすぐ目の前には堂々とした滝が轟音をたてて流れ落ちています。
   

 この滝を登るのは無理!
と思ったら右手の左岸に林道が延びています。
この林道を登っていきます。
   

 林道に架かる橋らしい残骸があるところに来ます。
   
   この先は林道に沢水が流れ込み林道だか沢だか分からない路となりますが、沢水の量がそれほど多くはないのでそのまま歩いていきます。
(この流された橋の地点が一つのポイントでした。)
ここから沢に沿って歩く方が距離的には短いのです。

 私達は林道をドンドン詰めていきます。
   
    林道が二股に分かれますが、直進する方には赤いテープが貼られています。
ここは左へ曲がります。

   
   笹の密集した林道となります。

 そしてその先に沢へはいる入口がありました。
   
   ここからは沢登りになります。
といっても、小さな沢です。
夏靴で充分歩けますが、沢水が多いので長靴でも良いかもしれません。

 沢に沿って登っていくと3人の男性が歩いています。
この人達を抜いていくと行く手に雪渓が見えてきます。
第1花苑の辺りでしょうか?
   
   この雪渓をやや左寄りに登ります。

するとその先のもっと大きな雪渓がありました。
   
   この雪渓が第2花苑の辺りでしょうか?
ここは右手に進んでいくと稜線にある登山道に出ます。

 そこで休憩を取っていると、上の方から長靴を履いた男性が降りてきます。
「道を間違わなかったか?」と聞いてきます。
聞くとこの男性はこの雪渓から左手に山頂があると思い登山道を探したと言います。
地図を持っていないのかと聞くと持っていないと言います。

 単独で歩くなら地図くらい用意しておかなければ遭難の危険性があると思いますが、そんなことには頓着していないようです。

 さて、追い抜いた3人組もやってきました。
話を聞くと九州から来ているようです。
この時期、本州は梅雨の季節です。
梅雨が無く天気のいい北海道の山を楽しみに来ているようです。
しかし、そんな人たちがこのペンケヌーシ岳に来るとは渋い選択だと思いました。

   
    山頂が見えています。

   
    登山口から2時間半ほどで山頂に着きました。

   
   目の前にはチロロ岳、その奥には1967m峰の姿も見えます。

 山頂で気持ちいい風に吹かれながら北日高の眺望を楽しみます。
風が涼しく本当に気持ちのいい山頂でした。

 この日の札幌は、何と33度まで気温が上がったそうです。
 気持ちのいい山頂からは考えられない気温でした。
  

飯舘村へ除染に来てみた! その5

2013-07-10 07:13:43 | その他
 昨夜のニュースで福島第1原発が地震と津波に襲われた現場で収束作業の指揮した吉田昌郎元所長(58)が9日死去した。
とのニュースが流れていました。

 日本の原発にとってあり得ない事故に直面した時に何を考えどう行動したか、その結果がどうなったのか、これらを身をもって体験した方でしたのでもっと事故に関することを語っていただきたいかった。

 ご冥福をお祈りいたします!


 さて、除染作業中に感じたことの中に汚染された枯葉や土などがどう処理されるか考えたことがあります。
山林などから集められた枯葉や表土、住宅周りから剥ぎ取った土などはフレコンといわれる大きな袋に詰められます。
この袋は、一旦、「仮仮置場」に集積されます。

「仮仮置場」、変な名前ですね。
これは、各市町村が設置する「仮置場」に集積する前段として一時保管する場所としての名称です。
現場で作業をしていると「仮置場」の設置が上手く進まず、さらに「仮仮置場」の設置自体も地権者の了解などが得られず進んでいないと言う声が聞こえてきます。
地権者にとって最終処分場が決まっていない現状では、仮仮置場として一旦認めるとその既成事実が優先して仮置場の場拡充や最終処分場が決まらない場合には、なし崩しで何時までも汚染部質の保管をしなければいけなくなるという懸念があるからではないでしょうか。
ひいてはこのことが除染作業のネックになっています。

 除染作業を進めるに従って大量の汚染物質を詰めたフレコンが造られます。
このフレコンは1個ごとに放射線量を測り管理されています。
私も「仮仮置場」へ行ったことがありますが、黒いフレコンが山のように積まれていました。
しかし、このフレコンを「仮仮置場」から「仮置場」へスムーズに運ばれているという話が聞こえてきません。

 まして、最終処分する場所や方法がどうなっているのか見えてきません。
ここでも、原発自体が放射性部質を最終処分する場所を持っていない現状が影を落としています。
「トイレのない住宅」と揶揄される日本の原発です。
原発から出てくるプルトニュウムをどう処理するのかそれを決めないで再稼働させようとする政治家や電力会社、これはどう考えてもおかしいことです。

 私は、除染作業によって出てきた汚染物質は福島第1原発の隣接地に保管するしかないと考えています。
原子炉から保管容器、さらには建家にまで融け出した燃料棒を処理することは不可能でしょう。
おそらく福島第1原発は「石棺処理」するしかないと思います。
そうするなら、ここにすべての汚染物質を集めて管理するのが理にかなっているのではないかと思います。

 こういった考えは、南相馬市にある原町の図書館から借りてきた原発に関する本なども読んで得たものです。 



神威岳(南日高)に登る

2013-07-09 06:28:18 | 日高山系の山
 除染作業を終えて自宅に帰ってからは、すっかり気が緩んだのか昼寝の連続を繰り返す生活をしていました。
この怠惰な生活から抜け出すために今夏山シーズン初めて山へ登りました。

 初めての夏山に選んだのは神威岳(南日高・1,600m)です。
この山を選んだ理由は、日高主稜線歩きで残された難関部分ペテガリ岳→ソエマツ岳間にある山だからです。
神威岳は夏道が付いているのでこの山頂からソエマツ岳までの稜線を歩くことができないかの調査をかねたものです。

 いつもの仲間、Sz氏と2人で出かけました。
神威岳の麓には神威山荘という立派な小屋があるのですが、林道情報を見るとこの子や手前900mに崩落している箇所があり通行止めになっているということです。

 6月30日、前泊するために札幌を午後3時に出発。
夕方7時前に現地に到着、早速崩落現場を見に行くとこんな状態でした。
   
 
   
   林道の路肩が、右下の沢に向かって崩れています。
 沢の下までは20~30mはあるでしょうか?
これでは通行止めにするのは仕方がないところです。

 仕方がないので100mほど手前に駐車してテントを張ることにしました。
先客の車が1台止まっていたのでその横へ止めます。
   


 7月1日

 朝4時に起きて出発準備をします。
前日に買っておいたお弁当を食べてからテントも畳んでしまいます。

 4:45分、駐車している場所から山へ向かいます。
15分ほどで神威山荘に到着です。
   
    晴れていれば前方に見えるニシュオマナ山の山頂部は雲の中です。

 最初の渡渉点です。
   
    ここは右手の岩を跳んで渡ります。
 沢水の水量は少ないのですが、今回は沢靴をはいて登りました。
ニシュオマナイ川の右岸にある林道跡を使って上流へ向かいます。
30分ほど歩くと二股に到着、ここでやっと沢に降りますが、左股を越えて笹原を歩き右股へ向かいます。

 ここからは槇道などを使いドンドン上流へ向かいます。
   
    沢は明るく、水量も少ないのでこれなら夏靴でも大丈夫です。

 気持ちよく沢歩きを楽しみます。
   

 6:40分、上二股に到着です。
   
    ここは右股へ進みます。

 ほどなく沢の真ん中に矢印が書かれた岩を発見、ここから尾根に取り付かなければなりません。
   

 ここからが苦しい急登となります。
笹原に切られた登山道が急なのです。
今シーズン初めての山道ですので身体が悲鳴を上げます。
それを騙し騙し登ります。

 路が狭い尾根になり見晴らしが利くようになってくると山頂はもうすぐです。
8:40分、場違いなところに標識があります。
   
    この標識から右手に登山道はないのですが、ここから右に進むと主稜線でニシュオマナイ山へ行くことができます。

 ハイ松を越えると藪が薄くなってきます。
左手に山頂がうっすらと見えてきます。

 9:00分、山頂に到着です。
残念ながら山頂は雲に覆われ眺望はゼロです。
   

 山頂で少し休み汗が引いてきたところでソエマツ岳へ続く稜線を降ってみます。
そこはうっすらとした踏み跡があります。
ハイ松の枝に赤いテープが巻き付けられていたり枝が鋸で切られた跡もあります。

  
   灌木の間にある草に付けられた踏み分け路です。
ここには鹿の糞が落ちていました。
  

 10分から15分ほど降ってみましたが、薄いながらも稜線上には踏分路があるようです。
この様子ならソエマツ岳に向かって歩けるのかもしれません。
そんな期待を持ちながら、しかし、残雪期の稜線歩きの方が楽かな~あ、と思いながら登り返します。

   

 9:50分、山頂をあとにして下山します。

 この下山が大変でした。
太股の筋肉が急な降り坂に悲鳴を上げます。
両側にある笹や灌木を掴みながら降らなければ登山道を転がり落ちる羽目になりそうです。
両手で笹を掴み、滑る土を踏ん張りながら降ります。

 このお陰で自宅に帰ってきてからも筋肉痛が4~5日続きました。

 眺望には恵まれなかったのですが、今シーズン初めての夏山は満足いくものでした。

 



飯舘村へ除染に来てみた! その4

2013-07-02 07:47:50 | その他
 札幌へ帰ってきて1週間が過ぎました。
この間、すっかり気が緩んだのか朝食後にちょっと寝て、昼食後にも一眠り、それでいて夜は普通に寝るという生活が続いていました。
やはり、除染作業へ出かけていたときは緊張していたのでしょう。

 今回は賃金等について紹介したいと思います。

 私が今回の除染作業で得た日給は16,160円です。
この内訳を見ると作業手当は日給が6160円、除染手当が10,000円です。
日給は、時給が770円ですので×8時間の計算となっています。

 寮費と食事代が1日当たり1,500円かかります。
この金額は、日曜日の食事が出ない日も引かれます。
そういったことで何もお金を使わなければ1日当たり14,160円が手元に残ることになります。

 実際には、洗剤や身の回り品を購入しますので計算通りには行きません。
休憩時間に飲む飲物代もかかります。
私はお酒を飲まないのですが、お酒代もかかります。


 給料の支払いは、月末締めの翌月10日の支払いですのでかなり良い条件かと思います。
月末締めの翌月末支払いとかも普通にあるようですのでこの翌月10日支払いは運転資金がきちんと確保されている証拠だと思っていました。

 しかし、この会社でもいろいろな問題があります。
当初電話で聞いていた雇用条件が違うなどの不満を持っている人が多数いました。
雇用契約書などのコピーが欲しいと言ってもなかなか出してきません。
雇用条件を取り交わした書面が本人に渡せないと言うのはおかしなことです。
(この雇用契約書はあとでやっと本人に渡されました。)

 さて、この業界の特徴なのか賃金の前借りができます。
1週間働くと2万円が前借りできるのです。
この前借金を土曜日に渡してくれるので日曜日の食事代や買い物ができます。

 日給の時給が770円、この金額はとても低いと思いました。
日曜日の朝食は「すき家」へ行って食べたのですが、ここのアルバイト募集でも時給は1,050円でした。

 帰ってから調べると私達のような単純土工の日給が発注元の環境省では10,700円を計上しています。
その金額に除染手当の10,000円が加わるので20,700円となります。
差額の金額が、元請会社、1次下請会社、そして労務者を派遣している会社の三社で取っている(言葉を悪く言うとピンハネ)ことになります。

 作業内容(放射線の影響を受ける現場)から考えてももう少し日給が高くても良いと感じました。


 除染作業はこれからが本格化します。
雇用される人の数もドンドン増えます。
作業内容に見合った賃金が支払われるように配慮して欲しいものです。