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井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

やっぱり、居心地最高の七つ沼カール!(その2)

2019-07-12 09:01:08 | 日高山系の山
 6月25日(火曜日)

 朝4時に起床、このテン場は少し斜面になっているので寝ていると自然に上の人が下に落ちてきます。
そのせいか微妙に左右に挟まれ寝苦しい夜でした。

テントの外はガスで真っ白です。
朝食を済ませ6時に出発です。
15分ほどで北戸蔦別の山頂に到着です。
    
     一面ガスの中を歩きます。

    
     はい、北戸蔦別の山頂です。

 ここから戸蔦別に向かって降ります。
すると、どんどんガスが吹き飛ばされて青空が広がってきます。
    
     十勝側の斜面には大きな雪渓が残っています。

 この斜面にはお花畑がありいろいろな花が咲いています。
    

    

    

 北に目を転じると1967m峰の俊映な姿が目につきます。
    

 戸蔦別岳の山頂も見えてきました。
    

 後ろを振り返ると北戸蔦別岳の山頂が遠くなっています。
    

 そして、右手の奥には日高幌尻岳が雲の向こうに見えてきました。
    
     こうなるとがぜんやる気が起きてきます。

 岩々した稜線歩きですが、快調に歩けます。
やはり、天気のいい中を歩くのは気持ちがいいです。
    

    
 ドンドン、戸蔦別岳の山頂が近くなってきます。

 やっと、戸蔦別岳の山頂に到着です。
    

 真下に見えるのが今夜泊る七つ沼カールです。
    

    
     山頂にはミヤマキンポウゲの黄色い花が風に揺れています。

 戸蔦別岳の山頂から一気に降り七つ沼カールへの下降点まで来ました。
この分岐に余分な荷物をデポして幌尻岳の山頂へ向かいます。
ここからは細い稜線歩きになります。
左下に広がる七つ沼カールを眺めながら幌尻岳の肩を目指して歩きます。

    
     可憐な花に癒されます。

    
     やっと登り切った幌尻岳の肩から眺める七つ沼カールの全景です。

 ここから軽いアップダウンに耐えると幌尻岳の山頂が間近かになってきます。
山頂で前で後ろから歩いてくるMyさんを待って、彼女を先頭に山頂を踏みます。

    

    

    

 山頂標識を見ると幌の文字が見えません。
風雨にさらされている標識です。
幌の文字は風に飛ばされた様で標識の下に破片が落ちていました。

    
    隣の山がエサオマントツタベツ岳です。

 山頂でゆっくり休み、いよいよ七つ沼カールへ降ります。

肩までの軽いアップダウン、そして肩からの急な下り、ハイ松に覆われた細い稜線を歩きデポ地点に戻ります。
でも、ここから七つ沼カールまでの斜面も急斜面のザラ場ですので気を抜くわけにはいきません。

    
    ザラ場を降り、やっと、七つ沼カールに到着です。
今夜のテン場は砂地で真っ平と最高のテン場です。
雪渓から流れる水を汲めばあとは夕食までゆっくりカールの景色を楽しみます。

    
     中央部を降ってきました。

    

 カールの中には5個の沼が確認できました。
あとの2つは雪渓の中にあるようです。
今日この七つ沼カールにいるのは私たち4人だけです。
何と贅沢な環境でしょう。

    
    デポ地点に咲いていたハクサンイチゲです。


 6月26日(水曜日)

    
     朝日に輝く吊り尾根を見ていると美しさに時間を忘れます。

 しかし、今日は下山日です。
この光景を目に焼き付けて、稜線までの急登の備えます。

    

    

    

    

 帰りは余裕がありますので花の写真を撮りながら登ります。

    
     稜線に登ると今日はすっきりと晴れた日高幌尻岳です。

 戸蔦別岳から北戸蔦別岳にかけての稜線にはいろいろな花が咲いています。
    

    

    
    こんなところも歩きます。

 そして、きた戸蔦別岳の山頂まで戻ってきました。
    
    この山頂に十勝側には小さなテントが2張り張れるスペースがあります。

 ここまで戻ってくると大きな登りはありません。
あとはひたすら降るだけです。

 今回の日高幌尻岳は晴天に恵まれ最高の参考となりました。

 Myさんにとって初めての日高でした。
稜線までの急登を初めて体験したわけですが、稜線から見る雄大な景色に感動したようです。

 On氏は、七つ沼かーるでの初テン泊が心に残る山旅でした。
実は、彼の義理のおじいさまが坂本直行さんと泊ったことのあるテン場ということで一度は来てみたい場所だったようです。

 私は、日高全山縦走を歩き通した3人で日高の主峰である幌尻岳の山頂を踏めたことが心に残る山旅でした。

 それぞれが思い出となるいい山行でした。


     


 

やっぱり、居心地最高の七つ沼カール!(その1)

2019-07-11 20:03:42 | 日高山系の山
 3年前の台風により北海道の道路に甚大な被害が出ました。
特に北海道を東西に繋ぐ日勝峠が1年にわたり不通となる重大な被害が記憶に残ります。
この日勝峠の麓にある日高町が日高幌尻岳の登山口となっています。
3年前のこの台風が来る前の夏に名古屋のおばさま3人を日高幌尻岳に案内したことがあります。
今回はこの時以来の幌尻岳になります。

 同行者は、道内にある日本百名山に登ってみたいという秀岳荘スタッフのMyさんと日高全山縦走を一緒に歩いたOnなどと4人になります。
On氏にSz氏の4人です。
特にOn氏は七つ沼カールにテン泊するという工程に強く惹かれての参加です。
考えてみると日高全山縦走に挑戦した3人ですが主稜線から外れる幌尻岳に3人で登ったことが無いのです。
3人で日高の主峰登るという記念になる山行となります。

 6月24日から2泊3日での山行となり、天気は上々の予報が出ています。


 6月24日(月曜日)

 札幌を朝5時に出発します。
登山口に着いたのは7時半です。
3年前の台風の影響ですが、国道の千走にある橋は新しく架け替えが終わっています。
林道に入り1か所だけ路肩が流失しましたが、そこは立派な護岸が築かれ補修されています。

    
     登山口には先行者の車が数台あります。

 たたずまいは台風が来た前と何ら変わりはありません。
早速登山準備をしてまずは林道歩きが始まります。
まだ太陽が低いので木陰があり、気持ちよく歩けます。
1時間ほどで取水ダムに到着です。
    
    ダムを見ましたが台風による影響は無いようです。
しかし、ダムの上部にある川床はきれいに砂利が寄せられていましたので、こちらには上流から相当数の岩が流れ込んできたようです。

 取水ダムからまずは二岐出合いを目指します。
登山道は適度に整備され下草などが刈払われています。
そんなことで快適に歩けました。
ふと前を見ると熊の姿が見えます。
    
    よく見ると緑色をしているのですから熊ではありません。
    倒れた木の根に苔が生えているのですが、熊がこちらを向いているように見えます。


 二岐出合いから右股を沢沿いに進みます。
こちらも台風の影響は皆無のようです。
3年前を思い出しながら快調にピッチを刻みます。

 やがて、一番大きな渡渉点まで来ました。
    

 ここからは何度か沢を渡渉しますが、夏靴でも歩ける小さな沢です。
巻き道を歩きますが、ここも下草が刈り払われています。

 やがてゴルジュが現れ高巻きをします。
    

    
 
 高巻きを終えてから沢の状態を確認すると沢の中を飛び石で渡れるようなので帰りは高巻きは必要ないねと話しながら登ります。

 標高千mに近くなってきます。
そろそろ尾根取り付きかな?と思って登っていると大きな雪渓が沢を塞いでいます。
    
    何度かこの沢を歩いてますが、こんなに大きな雪渓で覆われているのは初めてでした。

 そろそろ尾根取り付きです。
    

 尾根に取り付くとジグザグの急坂が続きます。
これを我慢しながら汗だくになって登ります。
40分ほど急坂に耐えると「トッタの泉」があります。
    
    小さな流れですが、命の流れです。

 ここでタップリ湧水を飲んで、さらに一人3リットルを担ぎ上げることにします。
ここから糠平岳までの急坂が今日の核心部になります。

 直登気味の登山道を担ぐ水の重さに耐えながら登ります。
すると左太ももの内側の筋が吊りそうになります。
久し振りの重いザックに足が悲鳴を上げてきました。
それを騙しだまし登ります。
梯子を二つ越えると、やっと、特徴のある橄欖岩が見えてきました。
    
    この岩が見えてくるとほどなく急な登りが終わります。

       
    稜線を30分ほど登り詰めると今日のテン場となります。

    

    

    

 疲れた身体と心を癒してくれるのは、可憐な花たちです。

 やっと、テン場に来ました。
    
     すぐ横には大きな雪渓があります。
いつもは7月に来ています。
今回は1か月ほど早いので残雪の量も多いのでしょう。
残念ながらガスのため目の前に見えるはずの日高幌尻岳の姿は見えません。

 しかし、そのガスがドンドン晴れてきます。
    
    戸蔦別岳です。

    
    そして、やっと姿を見せてくれた日高幌尻岳です。

 この景色を夢中に撮影するのが今回初めてこの山を見るMyさんです。
    
    彼女にとって感動の景色でした。

 この後雨がポツポツしてきたのでテントに入ります。
そのうち雨がどんどん強くなってきます。
しかし、私たちはテントの中でお酒を飲んだり夕食を食べているとその雨も止みました。

 いよいよ明日は日高幌尻岳です。



花の山・アポイ岳に登る!

2018-07-28 07:47:29 | 日高山系の山
 以前から気になっている山があります。
それが日高管内様似町にあるアポイ岳です。
標高が8百メートルほどですが、一応日高山脈の主稜線からは外れますが南部の末端部にあります。
標高は低いのですが、花の固有種が多いことで有名な山なのです。
まあ、標高が千メートルに満たないという山ですので歳を取ってからでもいいかと思いなかなか行く機会がなかったのです。

 今回は、いつも遊んでいただいているピオレ山の会のお姉さまたちのお誘いですので登ってきました。


 6月26日

 苫小牧で合流して一路日高路を走り様似町を目指します。
しかし、これが遠いのです。
札幌からだと約3時間ほどかかります。

 休憩を取りながら、何とか登山口に着きました。
天気は快晴、ジリジリと太陽がてりつける中スタートします。

 10:00分、スタートです。
この山は標高は8百メートルと低いのですが、スタート地点の標高も低いので正味の標高差は700mを超えます。
    
 スタート地点から5合目にある避難小屋までは雑木林の中を歩きます。
樹木が強い日差しを遮ってくれるので快適に歩けます。
    
     エゾコウゾリナですかね。

 11:15分、5合目の避難小屋まで登ってきました。
    
     立派な小屋です。

 登山路は、ここから急な尾根道となり、今までの緩やかな道と一変します。

    

    

 吹き出る汗をぬぐいながら急な登山道を登ります。
後ろを振り返ると目の下には太平洋と様似の町が見えています。
    

    

 お花の山ですので期待してきたのですが、思ったより花が咲いていません。
ちょっと肩透かしをくらった感じです。

 12:40分、やっと山頂に到着です。
    

    

 山頂は広いので皆さんの邪魔にならない場所で昼食を取ります。
海を見ながらの昼食は贅沢ですね。
ほぼ1時間ほど休み、お腹も一杯になったので下山します。

    
     下山前の記念写真です。

 下山は早いです。
あっという間に5合目まで下ってきました。

あとは温泉です。
このアポイ岳は、登山口のすぐ横にアポイ山荘という温泉宿泊施設があります。
ここの露天風呂からは太平洋が望めます。
疲れた足をマッサージしながら温泉で汗を流す、至福の時間ですね。

心折れた山・イドンナップ岳

2018-06-01 13:02:08 | 日高山系の山
【この記事は2年前の2016年のものです。】

 思い返せば、このイドンナップ岳で心折れたのがブログのアップから遠ざかったのかもしれません。

 日高主稜線縦走を何とか成し遂げ、ちょっと目標を失いかけたときにこの山へ行かないかとの誘いを受けました。
以前からこの山のことは気になっていましたが、なんせガイドブックでも山頂まで7時間、往復13時間はかかるかという大変な山なのです。
以前は、沢を使って登るしかなかった山なのです。
しかし、尾根道の登山道が整備されたことからガイドブックでも紹介されるようになったのです。
とはいえ往復13時間ですので簡単に登ることができない山なのです。

 それではと、せっかくの誘いですので出かけることにしました。


 6月18日、前泊するために登山口に向かいます。

 通いなれた日高路を南下します。
新冠川の河口から上流に向かって林道を走ります。
この林道の先に新冠ダムがあり、その先には日高幌尻岳の登山口となる新冠山荘があります。

 最近は、額平川から幌尻岳に登るのが林道を走るバス、幌尻山荘の予約が取りづらいなどから、この新冠コースで幌尻岳を目指す人が増えています。

 新冠川に沿ってひたすら上流を目指して長い林道を走ります。
新冠ダムの堰堤を越え、さらに走ったところで、やっと、サツナイ沢の入口に到着です。
しかし、沢の入口から続く林道にはゲートがあり、閉じられているではありませんか。
これでは奥に行けないのかと思いましたが、もしやと思いゲートを確認すると鍵はかけられておらず、開けることができました。
ホッとしてゲートを開け、林道を走ります。

 600m~700mほど走ったところで沢にぶつかります。
微妙な深さですので、今夜は、この沢の手前にテントを張って明日に備えることにします。


 6月19日

 朝3時に起きて真っ暗な中朝食を済ませ、登山準備をします。
4時には明るくなってきたので出発です。

    
    朝一から、いきなりの渡渉です。
    足首が隠れるくらいの深さですが、水の冷たさでいっぺんに目が覚めます。

 ここから20分ほど林道を歩きますが、その間に2度ほどの渡渉があり、その先に車が7台~8台止まれそうな広場があります。
車高の高い四駆の車ならここまで入れると思います。

 ここから小さな沢に沿って廃道状態の林道を登ります。
ほどなく、沢の中にピンクテープが見えてきますが、ここで最初の間違いをしてしまいました。
私がトップで歩いていたのですが、ガイドブックに沢に入るとの記述がなかったと思い、さらに林道らしい道を詰めますが消えてしまいます。

いったん戻って沢に入ります。
    
沢を登りますが、登山道らしい景色は全くなくて、これでいいのか?と思いながら歩いていくと右手の岸にピンクテープがあり、ここから林道に上がります。

 この先はジグを切って稜線を目指して登ります。
やっと稜線に出ますが、林道が下っていきます。
おかしいと思い、少し戻ると右手の尾根に細い登山道がありました。

 どうも、今日は感が冴えていません。
ところどころ消えそうな登山道を登っていきます。
目の前に行く手を遮るような急斜面が見えてきます。
どうやら第1岩場のようです。

    

    

 第1岩場、第2岩場を登るとやっと展望が開けてきました。
    

    
    遅咲きのシラネアオイです。

 ここから先は、尾根の少し下をトラバースしながら高度を稼いでいきます。
しかし、このトラバース道が大変でした。
というのは、このトラバース道は一面の笹に覆われ、登山道が狭くなっているのです。
そんなわけで、笹の上に足を置くしかないところも多く、しかも朝露で濡れた笹が滑るのです。
両手で笹を掴み足が滑るのを防ぎながら延々と続くトラバース道にすっかり体力を奪われ、嫌気がさしてしまいました。

 そうこうしながら登っていくと目の前に急斜面が現れロープが固定されています。
ロープに捕まりながら登りきると、そこは一面アイヌネギの畑でした。
帰りにアイヌネギを収穫することにして先を急ぎます。

 9:30分、5時間30分かかってようやく新冠富士に到着です。
    

私はこの辺でかなり疲労が溜まってきていましたが、さらに先へ進みます。

 今までは、曲がりなりにも登山道らしい踏み跡が明瞭でしたが、ここから先は一気に不明瞭となります。
    
ほとんど獣道のような登山道を灌木を避けながら歩きます。
1時間ほど歩き、やっと三角点に到着です。
    

    
    右手の奥にある三角形の山がイドンナップ岳の山頂です。

 ここで私の心が折れてしまいました。
ここまで6時間半ほど歩いてきました。
イドンナップの山頂は、1時間ほど掛ります。

 みんなは元気で山頂を目指すといいます。
私はこの三角点で待っていることにして、汗で濡れた上着を脱いで干し、休憩を取ります。

 この間、不思議なことがありました。
イドンナップ岳に向かって歩いている人たちの声がすぐ近くから聞こえるのです。
ウトウトと寝ていた私が起き上がってイドンナップ岳に山頂を見ると豆粒位の大きさで歩いている仲間が見えます。
でも、彼らが話す声がすぐ近くで話しているように聞こえるのです。

 結局、1時間半ほどで仲間が戻ってきました。

 ここからの下山も大変でしたが、一度歩いた道ですので苦も無くひたすら足を動かします。

    
    沢の向こうに車が見えたときは、本当にほっとしました。

 16:50分、やっとテントサイトまで戻ってきました。
長い一日でした!!

 もう歩かなくてもいい!!
心の中に残ったのは、これだけでした。




日高全山縦走踏破への道程

2015-08-16 09:11:14 | 日高山系の山
 7月30日にエサオマントツタベツ岳北側の尾根の未踏破部分800mを歩くことができました。
このことによって芽室岳から楽古岳に続く日高と十勝の国境稜線のすべてを歩くことができました。

 その記録を整理しておきたいと思います。
北の芽室岳から南の楽古岳へ向かって整理しました。
歩く方向ですが、ある時は北から南、また、南から北、その時々の条件によって歩いた方向が変わっています。

  アンダーラインを引いた部分をクリックすると縦走した記事へ飛ぶことができます。

 1 芽室岳からピパイロ岳1,911m肩まで
2014.3.24~28
    芽室岳から伏見岳まで 

2014芽室岳~ピパイロ岳【日高国境稜線大縦走】



 2 ピパイロ岳1,911m肩から北戸蔦別岳まで
2011.7.11~12
    伏見岳から北戸蔦別岳まで

 3 北戸蔦別岳から戸蔦別岳まで
2013.7.13~15
    北戸蔦別岳から幌尻岳まで

 4 戸蔦別岳から1、840mのコブ山まで
2013.3.28~29
    1,803mコブ山から戸蔦別岳まで

2013トッタベツ恐怖クレバス落下


 5 1、840mのコブ山からエサオマン北尾根1,670m地点まで
2013.2.12~14
    1,840m東コブ山からエサオマン北尾根1,670m地点まで

2013トッタベツ~エサオマン


 6 エサオマン北尾根(1,670m)地点からエサオマンJP(1,869m)まで
2015.7.29~30
    エサオマンJPからエサオマン北尾根(1,670m)地点まで

 7 エサオマンJPからカムイエクウチカウシ山東コル(1,700m)まで
2011.7.26~28
    エサオマンJPからカムエク東コルまで

エサオマン~カムエク1


 8 カムエク東コル(1,700m)からコイカクシュサツナイ岳の頭(1,719m)まで
2010.8.20~23
    カムエク東コルからコイカクの頭まで

 9 コイカクの頭(1,719m)からペテガリ岳まで
2011.8.26~30
    コイカクの頭(1,719m)からペテガリ岳まで

コイカク~ペテガリYouTube


10 ペテガリ岳から神威岳まで
2015.5.23~27
    神威岳からペテガリ岳まで

神威岳~ペテガリ岳国境稜線縦走2015年5月23日~27日



11 神威岳からソエマツ岳まで
2014.5.27~31
    神威岳からソエマツ岳まで

2014残雪期神威岳~ソエマツ岳


12 ソエマツ岳からピリカヌプリまで
2012.9.12~14
    ソエマツ岳からピリカヌプリまで

ヌビナイ右股3


13 ピリカヌプリからトヨニ岳まで
2012.3.3.~5
    トヨニ岳からピリカヌプリまで

2012厳冬期ピリカヌプリ2


14 トヨニ岳から1,268mコブ山まで
2012.2.22.~23
    1,268mコブ山からトヨニ岳まで

2012厳冬期トヨニ岳


15 1,268mコブから野塚岳まで
2011.4.18
    野塚岳から1,268mコブまで

野塚岳動画1.mp4


16 野塚岳から十勝岳まで
2014.2.27
    野塚岳から十勝岳まで

2014野塚岳~オムシャヌプリ~十勝岳


17 十勝岳から楽古岳まで
2015.3.25.~26 
    十勝岳から楽古岳まで

南日高 十勝岳~楽古岳残雪期縦走2015年3月25日~26日





日高主稜線縦走達成を目指して・エサオマントツタベツ岳 その2

2015-08-05 20:04:42 | 日高山系の山
 夏山に登っていると、朝まだ暗いうちに鳥の声が聞こえてきます。
時計を見ると3時半なのです。
そして、明るくなるまでうたた寝を楽しみます。
いつも山にはいると感じるのですが、この時間が最高です。

 4時に寝袋から出て朝食の準備をします。
隣のテントは早い時間から起き出しています。
朝食を食べているときにすでに出発のようです。

 私達も出発の準備ができたので不要な物をテントに残して出発します。
5:10分、テントサイトを出発です。
まずは雪渓の上を歩き札内岳とジャンクションピークを繋ぐ稜線に向かって登ります。
このルートが、なかなか難しいのです。

私達が前回カムエクまでの縦走に取り組んだときも取り付きは良かったのですが、途中でルートを間違えていました。
登山道といっても岩が累々と積み重なっており正規ルートを見つけるのが難しいのです。

 案の定、先行して登っている2人も左に寄りすぎて右往左往しています。
私達は、きっちりとルート選択ができています。
   
   振り返ればテントが小さく見えています。

 6:00分、稜線に到着です。
ここまでの登りは、下部はザラザラの岩場、上部は狭く細い沢状の急斜面です。
両手で左右の枝を掴みながら慎重に登らねばいけません。

 稜線上は風が出てきています。
空は高曇りですが視界は良好です。
   
   目の前にエサオマンの山頂がクッキリと見えています。
   そして、山頂から右手の稜線をよく見て、前回登った地点を確認します。

 ジャンクションピーク手前のテントサイトで休憩を取ります。
   
   南側を見るとスカイラインにうっすらとカムエクが見えています。

   
   札内岳方向の稜線です。

 ジャンクションピークからいったん降ります。
   
   「エサオマンの窓」といった切れ込みです。 


   左側に私達のテントが見えています。

 6:35分、コルに到着です。
ここにはテントを張ることができます。
そして、ここから5分ほど登った所にもテントが1張張れる場所があります。
   
   このテントサイトが、On氏が山頂側から歩いてきていた最終到達点でした。

 On氏は、このテントサイトに着いた時点で日高全山縦走を達成したことになります。
しかし、私とSz氏は山頂の向こう側8百メートルほど降らねばなりません。

 ハイ松を掻き分け、山頂を目指して登ります。
しかし、一応登山道が付いている上にハイ松の背丈も低いのでドンドン歩けます。

   
   山頂手前からジャンクションピークを振り返ったところです。

 6:50分、エサオマンの山頂に着きました。
   
   以前はなかったと思いますが、小さな山名板がありました。

 さあ、ここから神威岳に向かっての稜線を降ります。
最初はダラダラと降りますが、二股に分かれる所から一気に斜度が増します。
転がり落ちそうになりますのでハイ松の枝を掴みながら慎重に降ります。
尾根筋をはずさないように降りますが、よく見ると廃道状態ではありますが以前の登山道が足下にあるのです。
その登山道を外さないように降ります。

 7:50分、尾根の様子を見ながら降り、前回登ってきた最終到達点まで降りました。
   
    最終到達点から見たエサオマンの山頂です。
    エサオマンの山頂は一番左のピークです。

 ここで、Sz氏と私も日高全山縦走を達成したのです。
目の前には日高幌尻岳のどっしりとした姿とその右手にクッキリとした三角形の戸蔦別岳が見えています。
そのさらに奥には、ピパイロ岳や伏見岳も見えています。
この北側の稜線のスカイラインの先まで私達は歩いているのです。


 日高全山縦走を達成したといえ、まだまだ今回の山行は続きます。
まずは、エサオマンの山頂まで登り返さなければなりません。
これが意外と早く登れました。
下から見上げる方が登山道を見つけやすいのです。
約1時間ほどで山頂まで戻ることができました。

 8:45分、エサオマンの山頂で記念写真を写します。
   

 テントサイトには10:00分に戻りました。
ここで腹ごしらえをしてテントを畳みます。

 10:30分、エサオマンの北東カールを出発します。
   

 ここからは気持ちも軽く登山口を目指して沢を降ります。
天気が良くなり太陽が顔を出し強い日差しを降り注いできます。
汗だくになりながら岩を飛び、足が暑くなったらわざと沢水の中を歩き足を冷やします。

 15:00分、登山口まで戻ってきました。
これで、今回の目的だった日高の未踏破部分の踏破を達成することができました。

 思えば5年、3人で力を合わせ、怪我することもなく達成できたのは幸運でした。
また、一緒に歩いてくれたKo氏とmocoさんにも感謝しなければなりません。

 この時、私の心には全山縦走を達成できた喜びより、これで苦しい山行をしなくてもいいという、ホッとした気持ちの方が強かったのです。

 しかし、帰ってきて写真の整理をしたりブログの文章を考えているとジワリジワリ本当に歩けたんだという喜びの気持ちが湧いてくるのです。

 私の登山スキルを上昇させてくれた日高。
 友達の大切さを再認識させてくれた日高。
 日高に、感謝!感謝!です。

 

日高主稜線縦走達成を目指して・エサオマントツタベツ岳 その1

2015-08-03 20:07:47 | 日高山系の山
 私達が、ここ5年越しに取り組んできた日高の主稜線縦走は、春5月に南日高の神威岳からペテガリ岳を歩いたことにより残された部分はエサオマントツタベツ岳の山頂部を挟んだほんの少しだけになりました。
On氏は、エサオマントツタベツ岳とジャンクシションピークのコルからジャンクションピークまで、Sz氏はコルから山頂を越えた神威岳(北日高と南日高に神威岳があります。)側の尾根を8百メートルほど降った場所まで、私はエサオマンの山頂からSz氏と同じ山頂から8百メートルほど降った場所がそれぞれ未踏となり残された部分でした。

 今回は、その未踏部分を歩き、日高の主稜線縦走を完結させようとするものです。

 7月29日(水曜日)

 朝6時に札幌を発ちます。
天気予報では、雷の発生もあり得る不安定な天気です。
気温が高くムシムシする何ともいやな空気なのです。
順調に高速を走り、十勝清水で下道に入り、戸蔦別林道の登山口に着いたのが9時20分を少し回った頃でしょうか。

 何と、以前は6号堰堤のゲートが閉じられて、ここが登山口となっていたのですが、ゲートが開いているではありませんか。
嬉しくなってそのまま車を走らせます。
約1,100mほど走った所のゲートが閉じられています。
しかし、ちょうどエサオマンの登山口となる場所ですのでものすごく得した気分です。
   
   戸蔦別林道のゲートです。

   
   車が2台止まっていました。

 さっそく登山準備をします。
9:45分、今日のテントサイトである北東ーカールを目指します。
   
   エサオマンの廃道となっている林道にもゲートがあります。

 ここからは、廃道となった林道を上流に向かって歩きます。
所々笹が背丈ほどの高さに生い茂っている所があります。
この笹を掻き分けて歩くと、本当に日高に来たのだという思いを強く感じます。
40分ほど歩くと最初の渡渉点に着きます。
   
   水量は少ないようです。

 ザブザブと水の中に入り対岸の巻き道を歩きます。
さあ、ここからが沢歩きです。
3人とも何回か歩いているエサオマンの沢ですので順調に沢歩きを楽しみます。

 25分ほど歩いた所にちょっとした溜まりがあります。
On氏が、ここで20分ほど釣りをしたいといいます。
天気もいいし、特段急ぐ理由もないので20分ほど休憩を取ります。
その間、On氏が淀みの中に釣り糸を投げ込むと直ぐにオショロコマが掛かります。
   

   

 20分の間に15cm程のオショロコマが5~6匹釣れました。
この魚は今晩のおかずにします。

 さあ、後はどんどん登ります。

 11:15分、F1の滝に到着です。
    

 今回は水量が少ないので巻き道よりも沢沿いにドンドン歩きます。

 12:10分、流木が両岸を埋めるようになってきます。
ほどなく、2年前に雪崩のデブリで埋まっていた場所に来ました。
    
 2年前は、この地点にたかさ3~4mの雪がデブリとなってうず高く積み上がっていました。

    
    雪崩は神威岳側の主稜線から落ちてきました。  
    これは対岸ですが、雪崩の直撃を受けて地肌が削られています。

    
    主稜線から落ちてきている沢です。
    この沢の奥から雪崩が落ちてきたのです。
    最奥に見える稜線近くの山肌が露出しています。ここから雪庇が崩れて雪崩になったのでしょう。

しかし、そのデブリも今は流され、沢は綺麗な水が流れています。

 13:05分、997m二股に到着です。
ここにはテント1張りが張れるテントサイトがあります。
   

   

   

 ここで少し休憩を取ります。
私は全身汗まみれで、呼吸が苦しくなっています。
どうやら蒸し暑さのせいで脱水症状を起こしているようです。
沢水をゴクゴク飲んで脱水症状を軽減します。

 それほど重くもないザックですが、実は350ccの缶ビールを6個持ってきているのです。
休憩後も足が上がらず、辛抱しながら沢を登ります。
ひょっと前方を見ると人が歩いているではありませんか。
その先にもう一人歩いています。
追いついて話をすると駐車場に止めたていた2台の車の人達でした。
彼らも今夜は北東ーカールで1泊の予定です。

「お先に!」と声をかけて先を歩きます。

苦しい登りが続きます。
ひょいと顔を上げると滑滝下にある大きな滝が見えてきました。
   

 14:18分、大滝の下まで来ました。
   
   いつ見ても勇壮な滝です。

 さあ、ここまで来るとこの先に続く300mの滑滝を登ると北東カールです。
あと一息です。
滝の左岸を登ります。

   
足下の岩は滑らないのですが、ここは慎重に歩きます。

   
   細い流れが続きます。

   
   少しずつ沢一杯の流れになってきます。

   
   ここからが滑滝のハイライトです。

   
   右に左に中央部と快適な登りが続きます。

やがて沢の流れが収束され細くなってきます。
もうすぐカールに入ります。
   
   
   

 15:00分、カールに到着です。
今夜のテントサイトは、左岸側を少し登った窪地にします。
ここは最高のテン場です。
下草が生い茂り、エアーマットがいらないくらいです。
   

 すぐにテントを立てると濡れていた服を全部脱いで横にある白樺に干します。

   
   札内岳側の稜線です。
   この中央部を登ります。

   
   カールの全景です。
   
   
   エサオマンの山頂が覆い被さるように見えています。

 小1時間程すると2人組が登ってきます。
声がしたので、左岸側に登ってくるといいテン場があることを伝えます。

 今夜は、2グループ5人でこの北東ーカールを独占です。
さっそく冷やしたビールを振る舞い5人での宴会に突入です。
山談義の楽しい時間の始まりです。


南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その4

2015-06-09 20:49:25 | 日高山系の山
 昨夜は小雨が降りました。
天気予報でも朝方には止むということですので雨音を聞きながら寝ていました。
今朝は少し寝坊をしてゆっくり起きました。

 5月27日

 昨夜の雨で下草が濡れていると思い雨具のパンツを履いて歩く準備をします。
ちょっと遅めの6:10分、テントサイトを出発します。

   
   目の前には1.839m峰がくっきりと見えています。

 ここからはいくつかのコブ山を登らなければなりませんが、昨日の行程で大きな所は終わっているので心は軽いです。
   
   朝日が白樺の幹に当たり白く輝いています。

   
   登山道の脇にエゾコザクラの紫色の花が咲いています。

 何カ所か残雪が登山道を覆い下山路が分かりずらい所があります。
そんな場所は3人が散らばってルートを探します。
所々、笹刈りが行われており快適な下山が続きます。

 8:00分、沢の源頭に到着しました。
   
ここで残っている水を捨てて沢水に入れ替えます。
雪を融かした水は雑味があるため美味しくないのです。
癖のない沢水をたっぷり飲んでペテガリ山荘を目指します。

 この沢沿いの登山道は倒木が多く歩きずらいのです。
幹の途中から折れている木が多いのです。
それを避けながら歩いているとペテガリ山荘の屋根が見えてきました。
8:35分、ペテガリ山荘に到着です。
   


 野営場でゆっくり休んで林道歩きに備えます。
ここからは一山越えて神威山荘を目指しますが、長い林道歩きが待っています。

   
   10:10分、林道歩きが終わり、沢の源頭部へ向かって歩きます。
この辺りには標識も整備され、道に迷うことはありません。

 小さな沢ですが、苔が美しい沢です。
   

 沢がドンドン狭くなり、傾斜が増してきます。
最後は泥付きの溝のような沢を登ると笹原が待っており、ここが乗越地点です。
ここで少し休憩してから沢を降ります。

 この沢の荒れ方がひどかった。
倒木が異常に多いのです。
15センチほどあるような幹が折れている木もあります。
狭い沢ですので倒木を避けて歩くのは大変です。
これからペテガリ岳を目指す人は、この神威山荘側の沢を登るのに今までより時間がかかると思っていた方がいいようです。

 何とか沢を降り林道へ出ました。
後は最後の渡渉を終えれば神威山荘だと思っていたのですが、突然林道がなくなり沢にぶつかりました。
   
    何と林道が無くなり沢となっているではありませんか。

   
   中央に大きな岩が縦1列に連なっています。
どうやら土石流で林道が流されてしまったようです。

 12:15分、最後の渡渉点に到着しました。
   
   ここも飛び石で渡るのは無理です。

 ようやくここまで歩いてきました。
今回の縦走は、車までの林道を歩けば終わります。

 今回の縦走は天候に恵まれ笹藪とハイ松との戦いでした。
当てにしていたペテガリ岳の東尾根の登山道はすでに廃道と化していました。
それらの苦難にも負けずに歩き通せたのは仲間のお陰です。

 さあ、これで私達が挑戦している日高全山縦走も王手が掛かりました。
残すのはエサオマントツタベツ岳山頂部付近だけです。
これを8月上旬に歩ききれば日高全山縦走が完結します。
あと一息のところまできました。

南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その3

2015-06-06 22:06:12 | 日高山系の山
 昨夜のテントサイトは雪の上でした。
風こそ当たらないもののやはり雪の上ですので明け方から深々と冷えてきて目が覚めてしまいました。
何とか寝返りを打ちながら朝の4時まで寝袋にしがみついていました。
小鳥の声がしてテントの外が明るくなってきましたので寝袋から出ます。

5月26日

 いつものように朝食を済ませザックのパッキングを行います。
今日は、頑張ればペテガリ山荘まで歩けるかなどと皮算用をして盛り上がります。
まずは、いきなりのやぶ漕ぎから1日が始まります。

 5:30分、背丈を超える笹との戦いが始まりました。
朝一は疲れが取れていますの元気に笹と格闘できます。
100mほど頑張ると1,469mのコブ山に続く残雪の上に出ます。
ここから一気に1,469mの山頂へ出ます。
目の前にはペテガリ岳東尾根に繋がる稜線が一望できます。
   
   あと一頑張りで東尾根に到達できます。

 それにしても、まだまだ細い稜線が続くようです。
稜線の十勝側に見える残雪が救いですね。

   
   細い稜線との戦いも3日目ともなれば、いくらか要領よく歩けるようになるもんです。

   
   少しでも残雪を使って楽に歩こうとします。

 時々後ろを振り返ると私たちが歩いてきた稜線が折り重なって延びています。
   

 8:45分、とうとう東尾根まで登りました。
ここでOn氏は主稜線が繋がりました。
というのは、彼は東尾根を使ってペテガリ岳に登っているからです。
さあ、ここからは登山道が使えると思ったのですが、何と東尾根の登山道はすでに廃道状態で跡形もなく消えているではりませんか。
私達の目論見では、東尾根に辿り着けばぺテガリ岳の山頂までは1時間もあれば行けるだろうと踏んでいました。
その目論見が無残にも消え去ったのです。

 しかし、嘆いていても山頂へはいけません。
   
   山頂までの稜線が長く遠く見えます。

 東尾根は細い稜線が続きますが、所々に岩が露出しておりその岩回り込んだり上を歩いたりと思うように歩けないのです。

 笹原が広がりその中に登山道と思われる筋がついています。
それを歩いていったのですが、路が途中で消えてしまいます。
やむなくハイ松の急斜面を登ります。
100mほども格闘したでしょうか?
稜線の右手に残雪を発見しました。
   
   どうやらこの残雪を使って登れば山頂まで行けそうです。
ホッとする間もなく残雪の急な斜面を登ります。

 登るにしたがってルベツネ山など北の山並みが見えてきます。
   

 さあ、あと一登りで山頂です。
   
   この残雪は嬉しかったです。
   ペテガリ岳の山頂に続く、まさに、ビクトリーロードといったとこでしょうか。

 残雪の上にあるハイ松を少し漕ぐとそこは山頂でした。
11:25分、ペテガリ岳の山頂に着きました。
   
   今朝の出発が5:30分でしたので約6時間掛かったことになります。

 出発前は4時間もあればこの山頂まで登れると思っていました。
そうすれば、こんやはペテガリ山荘まで降れると思っていました。
しかし、その考えはすぐに捨てました。
ここでしっかり休んで、下山途中にテントの張れる場所があればそこで1泊しようという話になりました。
それなら急ぐ必要はりません。

   
   ペテガリ岳から北に広がる山並みを楽しみます。
この稜線で途切れているのはエサオマントツタべツ岳山頂付近だけとなりました。

 さて、別れがたい山頂を後にして西尾根の登山道を降ります。
急な登山道をどんどん降ります。
何と登山道があるということは楽なんでしょうか。
面白いように高度が落ちていきます。

 40分ほどでコルまで一気に下ってしまいした。
その後は登り返しが待っているのですが藪漕ぎの無い登山道は楽なものです。
今夜の宿となるテントが張れそうな場所を探しながら歩き来ます。
   
   ペテガリ岳の山頂がどんどん遠くなっていきます

 1,191mの尾根で登山道の横にテントを張れそうな場所を見つけました。

13:30分、ちょっと早い時間ですが、残雪も近くにあるのでここで1泊することにします。
頑張れば明るいうちにペテガリ山荘まで行けないことはないのですが、食料も燃料も十分にありますので急ぐ必要はありません。
それよりは、疲れた体を休める方がいいのです。
今回は、このように早めに行動を切り上げているのが次の日の元気に繋がっていると思います。

 とりあえず、今回の目標である神威岳からペテガリ岳の主稜線が繋がりました。

   
   キバナシャクナゲが咲いていました。
   花を見る余裕も出てきます。

 今夜もゆっくり休んで明日の下山に備えます。

南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その2

2015-06-05 19:26:25 | 日高山系の山
 ニシュオマナイ山の山頂にあるテントサイトは快適でした。
西風が完全にブロックされているため谷から吹き上がる風が吹いてもテントはソヨともしないのです。
こんなことでゆっくり休むこととが出来ました。

 朝3時半頃になると小鳥が鳴き出します。
その声を聞きながら4時まで寝袋の中でウトウトしています。
私は、この時間が一番好きです。


   5月25日

 4時起床、さあ、ここから新しい1日が始まります。
テキパキと朝食を済ませてパッキングの準備をします。
今日も良い天気ですので外でパッキングをします。
   
   快適なテントサイトでした。 

 5;30分、まずはニシュオマナイ山の山頂めざして笹藪を登ります。
直ぐ雪の上に出ます。
ここからは、この先歩く中ノ岳までの稜線が一望できます。
稜線を見てがっかりしました。
稜線近くを歩けそうな残雪が見あたらないのです。
おまけに昨日のように細い稜線が続いています。
   
   右手前のピークが中ノ岳で、その奥のピークがペテガリ岳です。
   中央のコブが1,839m峰です。

 ニシュオマナイ山の山頂から急な降りが続きます。
残雪がありますが、この時間の雪は表面が堅くなっておりキックステップしても跳ね返されてしまいます。
横にある木の枝に掴まりながら慎重に降ります。
   
   それでも、雪の上を歩くのは藪を歩くより速いです。

 やがて、稜線が一気に細くなってきます。
   
   緊張はするものの昨日も同じ様な稜線を歩いていますので恐怖心は薄らいできました。

   
   昨日と同じように狭いところでは50cmほどしかない稜線の上を歩きます。
左側は切り立った崖です。
落ちる訳にはいきません。

 細い稜線に神経を使い、ちょっと広くなった場所は鹿道を利用します。
この辺りのコツはいかに鹿道を見つけて利用するかで歩くスピードが変わってきます。
   
   細い稜線ももう少しで終わります。
目の先に草付きの斜面が見えています。
そこまで歩けば少しは楽に歩けると思い頑張ります。

   
   やっと細い流線を歩き終えました。
後ろに見えるコブ山も稜線通しにあるいて来ました。
路のない稜線ですが、歩けば歩けるものです。
人間の能力も捨てたものではありません。

   
   振り返ればニシュオマナイ山からその奥に神威岳が見えています。
累々と重なる山並み、このすべてを歩いてきたのです。
見ているとウルウルしてきます。

 しかし、中ノ岳の山頂はまだ先なのです。
気持ちを入れ替えて草付きの斜面を登ります。
やっとコブ山に到着しました。
ここから中ノ岳の山頂まではハイ松が覆い被さってます。
慎重にルートを選んでいくと、何と、ハイ松の中に踏分路が付いてるではありませんか。
これはラッキーでした。

 10:00分、中ノ岳に着きました。
   
   この山頂には立派な標識がありました。
しかし、この山頂に立てる者がいったい何人いるでしょうか。
南日高でも最奥部の山で登山道はありません。
この山に登る最短のルートは沢から登ることですが、その沢も険悪な沢が多いのです。
この山頂に立てたのは本当に幸運なことだと思います。

    
   目の前にはペテガリ岳がドーンと大きな山容を見せてくれます。
この山頂にたどり着けば夏道があるのです。

 さあ、ここから先の稜線を見ると十勝側に雪が残っている所があります。
少しは楽が出来そうです。
20分ほど休んで稜線へ踏み出します。
しかし、ここの降りもしびれるほど急な斜面なのです。

 その斜面もゆっくり、1歩、1歩づつと心に言い聞かせながら降ります。
またしても細い稜線を歩きますが、十勝側にある残雪が少し楽をさせてくれます。
   
   この残雪はとても助かりました。
藪漕ぎの3倍は歩けると思います。
でも、雪の反射もあり気温が一気に上がります。

 1,469mのコブ山を目指して登っていましたが、とうとう力が尽きました。
残雪の中にいい場所があったので今日は雪の上をテントサイトにします。
1,469mのコブ山から200mほど南の尾根上でしょうか。
目の前には中の岳と歩いてきた稜線が目の前に見える絶好のポイントでした。

 14:30分、ザックを下ろして雪を削ります。
   

 まだまだ早い時間なのですが、毎日8時間は歩いています。
早めに行動を終えるのは疲れを翌日に残さない方法として最適だと思います。

 この際奥部の稜線でも携帯の電波は飛んでいました。
緊急用に携帯は必携ですね。