2016年の秋は北海道に連続して大型の台風が上陸し多大な損害を与えました。
特に。登山口までの林道に甚大な被害を及ぼし、その復旧もままならないところが沢山あります。
ニペソツ山の登山口となっている16の沢林道もこの台風被害で林道がズタズタとなっています。
そのため、今は16の沢林道から登山口へ至る杉沢コースを登る人はほとんどいません。
現在、ニペソツ山に登るには幌加温泉ルートから登るしかありません。
このルートは登山口から長いので従来はあまり使われていなかったのですが、地元の有志の方々のご尽力により笹刈などが行われ、
見違えるように歩きやすくなりました。
今回、ニペソツ山に秀岳荘スタッフの方たちと登ることになりました。
そこで、あえて杉沢コースを選択し16の沢林道の現状をつぶさに見てみたいと考えました。
この記事は、16の沢林道の現状を報告するのが目的となります。
6月5日(水曜日)
札幌を朝5時に立ちます。
今回は、秀岳荘スタッフの方々5名に私と友達の7人で登ります。
テント泊が初めての人もおり、安全第一が目標です。
さて、16の沢の入口となる十勝三股には、8時30分頃に着きました。
早速登山準備をしますが、その時間を利用して最初の橋の状態を確認したいのでOn氏と二人で林道を歩きます。
ゲートの横から林道に入り歩き出すとすぐに林道が消えています。
林道があると思われる場所は小さな沢となり水が流れています。
少し先に歩いて行くと林道がありました。
その林道を歩いて行くと左カーブを曲がったところから100mほど先の林道上に丸く大きな黒い塊が見えます。
「あっ!」と思いよく見ると何と熊ではありませんか。
熊は左下の地面に顔を付け何か草を食べているように見えます。
「ホッ、ホー、ホッ、ホー」と声を出しますが、気がつかないようです。
On氏がもう少し大きな声を出すと、クマがこちらを観ました。
さらに、On氏が両手を挙げて左右に振ると熊の方も私たちに気がついたようで、あわてるように反転して雑木林に駆け込んでくれました。
私たち二人は、前に進むことができず引き返しましたが、思い直して橋の様子を見るために熊のいた方へ歩きます。
あまりいい感じはしないのですが、何とか熊がいたあたりを越えて橋のある場所が見えるところまで来ました。
最初の橋は、支流から流れ込んでいるようですので大丈夫だと判断して戻ります。
9時にいよいよスタートします。
歩き出して数分のところです。
林道がすっかり流されていますが、小さな流れですので支障なく歩けます。
どこが林道がか分からないほど沢が広がったようです。
10分ほどで熊のいたあたりまで来ました。
そこに残っていたのは、クマの足跡です。
下にある水の溜まった足跡が熊のもので、その上にある登山靴(25cm)と比べるととても大きな足跡です。
こんな熊が住んでいるのが北海道です。
林道が沢から離れ登り坂となります。
しかし、そこは林道の右半分がスッパリと流されていました。
7~8mほどの高さがあると思われますが、きれいに流されていました。
ほどなく最初の橋に到着です。
この橋は流木が絡まり傾いていましたが、橋自体を渡ることができました。
9:35分、石狩岳との分岐点に着きました。
分岐点のすぐ下流は林道が流されていましたが、分岐点そのものは以前のまま残っていました。
ここから先の状態ですが、地図上で林道と沢が並行している場所はあちらこちらで林道が流されています。
しかし、林道わきに巻き道があり(鹿道と思われる。)それを使えば歩くことができます。
林道の上から樹木が倒れているところも沢山あります。
また、1か所だけ高巻きを余儀なくされる場所がありますが、ピンテープが付けられていますので迷くことなく歩けます。
そして、林道が大きく右に曲がりヘアピンカーブとなり沢から離れます。
この沢から離れた林道は依然と変わりない状態となっています。
緩い登りを登り切り、降っていくと杉沢橋があります。
この杉沢橋がひどいことになっていました。
手前から見ると橋の手前がえぐられているだけの様に見えました。
しかし、橋のすぐそばに行くとその惨状に言葉が出なかったです。
端の向こう側に流木が累々と重なり合っています。
沢の流れ自体も橋の向こう側となり橋自体が浮き上がっているように見えます。
この立木を伝って歩けるように感じましたが、上流に渡れるところが無いか探してみました。
しかし、渡るる場所が見つかりません。
橋まで戻ってみるとOn氏が流木を伝って対岸へ渡っているではありませんか。
こんな感じで渡りました。
杉沢橋を渡ったところから見た全景です。
この先も崩壊しているところがありました。
こんな林道もやっと終わり杉沢登山口に着いたのはスタートしてから4時間ほど経っていました。
杉沢登山口周辺は以前と変わりない状況です。
しかし、以前、渡渉に使った流木は流されていました。
でも、落ち着いて流れを見ると飛び石状態で靴を濡らさず渡渉ができます。
さあ、無事に渡渉を終えて以前と変わらない登山道を登ります。
しかし、天気の状態が思わしくなく、時折小雨が降ってきます。
ここからは我慢の登りが続きます。
その我慢も雨が白さを増しどうやらミゾレ状態となってくると濡れた身体が一気に冷えます。
おまけに登山道に融け残った雪が現れ、その踏み抜きが疲れを倍増させます。
我慢に我慢を重ね、やっと、岩を越えるところにたどり着きました。
私はフリースを着るためにザックを降ろしたのですが、そのとたんに震えが来て止まりません。
指もこわばり、震えが止まらない、これは低体温症の症状のようです。
ようやく震えが止まったので岩を越えます。
メンバー全員が力を合わせてこの岩を越えました。
その先にテン場となる斜面があったので、今日はこの斜面にテントを張ります。
幸いに小さな流れですが水も取れます。
ここまで7時間はかかっていたでしょうか?
テントも張り、ガソリンストーブをガンガン炊いて身体や濡れた物を温めます。
お腹の中からも暖かいコーヒーを飲んで温めます。
あとは、夕食まで身体を温め疲労回復に努めます。
夕方、一瞬、雲が晴れ辺りが見えるようになってきました。
明日は好天が期待できるか?
今夜は雪の上に寝ることになりますが、初めての人もいますので防寒対策として湯たんぽを作ります。
ペットボトルやプラッティパスにお湯を入れて衣類などで包みます。
これをお腹に当てているだけで暖かく寝ることができます。
6月6日(木曜日)
朝4時に起床します。
外は曇り空ですが、明るいので期待が持てそうです。
朝食を済ませ、テントをたたみ出発の準備をします。
これから登る小天狗を見ると上の方は雲の中です。
でも、青空が顔を見せてくれていますので天気が回復してくれることを祈りながら登ります。
この残雪の多い時期はルートハンティングに注意を要します。
何度か雪の上でルートを見失いそうになりますが、何とか探して繋ぐことができました。
小天狗から先はルート上に雪がないので夏道状態で歩くことができます。
しかし、天気が回復してこないのです。
登っても登ってもガスが周りを覆い周囲は真っ白です。
おまけに風も出てきます。
2時間ほど登ったところで天狗平の手前まで来ました。
ここでこの先をどうするか相談します。
これ以上登っても視界がないこと、風が強くなってきたこと、などを考慮して今回はここから撤退することにしました。
たまたまあった標識を使い偽山頂写真を写します。
今回頑張った秀岳荘スタッフの女性3人です。
ここからテン場までは早かったです。
テン場でも記念写真を写します。
快適なテン場でした。
下りは、降るにしたがって天気が良くなり、時折太陽も顔を出してくれます。
快調に林道も歩き終え、車に戻った時間は午後4時でした。
山頂まで行くことはかないませんでしたが、アドベンチャー要素満天の山行でした。
16の沢林道を歩いてみた感じですが、歩くことはできます。
しかし、健脚の方でも3時間はかかると思います。
それを踏まえて、幌加温泉コースから登るか、杉沢コースを選択するか考えなければなりません。
十分な検討をお願いします。
特に。登山口までの林道に甚大な被害を及ぼし、その復旧もままならないところが沢山あります。
ニペソツ山の登山口となっている16の沢林道もこの台風被害で林道がズタズタとなっています。
そのため、今は16の沢林道から登山口へ至る杉沢コースを登る人はほとんどいません。
現在、ニペソツ山に登るには幌加温泉ルートから登るしかありません。
このルートは登山口から長いので従来はあまり使われていなかったのですが、地元の有志の方々のご尽力により笹刈などが行われ、
見違えるように歩きやすくなりました。
今回、ニペソツ山に秀岳荘スタッフの方たちと登ることになりました。
そこで、あえて杉沢コースを選択し16の沢林道の現状をつぶさに見てみたいと考えました。
この記事は、16の沢林道の現状を報告するのが目的となります。
6月5日(水曜日)
札幌を朝5時に立ちます。
今回は、秀岳荘スタッフの方々5名に私と友達の7人で登ります。
テント泊が初めての人もおり、安全第一が目標です。
さて、16の沢の入口となる十勝三股には、8時30分頃に着きました。
早速登山準備をしますが、その時間を利用して最初の橋の状態を確認したいのでOn氏と二人で林道を歩きます。
ゲートの横から林道に入り歩き出すとすぐに林道が消えています。
林道があると思われる場所は小さな沢となり水が流れています。
少し先に歩いて行くと林道がありました。
その林道を歩いて行くと左カーブを曲がったところから100mほど先の林道上に丸く大きな黒い塊が見えます。
「あっ!」と思いよく見ると何と熊ではありませんか。
熊は左下の地面に顔を付け何か草を食べているように見えます。
「ホッ、ホー、ホッ、ホー」と声を出しますが、気がつかないようです。
On氏がもう少し大きな声を出すと、クマがこちらを観ました。
さらに、On氏が両手を挙げて左右に振ると熊の方も私たちに気がついたようで、あわてるように反転して雑木林に駆け込んでくれました。
私たち二人は、前に進むことができず引き返しましたが、思い直して橋の様子を見るために熊のいた方へ歩きます。
あまりいい感じはしないのですが、何とか熊がいたあたりを越えて橋のある場所が見えるところまで来ました。
最初の橋は、支流から流れ込んでいるようですので大丈夫だと判断して戻ります。
9時にいよいよスタートします。
歩き出して数分のところです。
林道がすっかり流されていますが、小さな流れですので支障なく歩けます。
どこが林道がか分からないほど沢が広がったようです。
10分ほどで熊のいたあたりまで来ました。
そこに残っていたのは、クマの足跡です。
下にある水の溜まった足跡が熊のもので、その上にある登山靴(25cm)と比べるととても大きな足跡です。
こんな熊が住んでいるのが北海道です。
林道が沢から離れ登り坂となります。
しかし、そこは林道の右半分がスッパリと流されていました。
7~8mほどの高さがあると思われますが、きれいに流されていました。
ほどなく最初の橋に到着です。
この橋は流木が絡まり傾いていましたが、橋自体を渡ることができました。
9:35分、石狩岳との分岐点に着きました。
分岐点のすぐ下流は林道が流されていましたが、分岐点そのものは以前のまま残っていました。
ここから先の状態ですが、地図上で林道と沢が並行している場所はあちらこちらで林道が流されています。
しかし、林道わきに巻き道があり(鹿道と思われる。)それを使えば歩くことができます。
林道の上から樹木が倒れているところも沢山あります。
また、1か所だけ高巻きを余儀なくされる場所がありますが、ピンテープが付けられていますので迷くことなく歩けます。
そして、林道が大きく右に曲がりヘアピンカーブとなり沢から離れます。
この沢から離れた林道は依然と変わりない状態となっています。
緩い登りを登り切り、降っていくと杉沢橋があります。
この杉沢橋がひどいことになっていました。
手前から見ると橋の手前がえぐられているだけの様に見えました。
しかし、橋のすぐそばに行くとその惨状に言葉が出なかったです。
端の向こう側に流木が累々と重なり合っています。
沢の流れ自体も橋の向こう側となり橋自体が浮き上がっているように見えます。
この立木を伝って歩けるように感じましたが、上流に渡れるところが無いか探してみました。
しかし、渡るる場所が見つかりません。
橋まで戻ってみるとOn氏が流木を伝って対岸へ渡っているではありませんか。
こんな感じで渡りました。
杉沢橋を渡ったところから見た全景です。
この先も崩壊しているところがありました。
こんな林道もやっと終わり杉沢登山口に着いたのはスタートしてから4時間ほど経っていました。
杉沢登山口周辺は以前と変わりない状況です。
しかし、以前、渡渉に使った流木は流されていました。
でも、落ち着いて流れを見ると飛び石状態で靴を濡らさず渡渉ができます。
さあ、無事に渡渉を終えて以前と変わらない登山道を登ります。
しかし、天気の状態が思わしくなく、時折小雨が降ってきます。
ここからは我慢の登りが続きます。
その我慢も雨が白さを増しどうやらミゾレ状態となってくると濡れた身体が一気に冷えます。
おまけに登山道に融け残った雪が現れ、その踏み抜きが疲れを倍増させます。
我慢に我慢を重ね、やっと、岩を越えるところにたどり着きました。
私はフリースを着るためにザックを降ろしたのですが、そのとたんに震えが来て止まりません。
指もこわばり、震えが止まらない、これは低体温症の症状のようです。
ようやく震えが止まったので岩を越えます。
メンバー全員が力を合わせてこの岩を越えました。
その先にテン場となる斜面があったので、今日はこの斜面にテントを張ります。
幸いに小さな流れですが水も取れます。
ここまで7時間はかかっていたでしょうか?
テントも張り、ガソリンストーブをガンガン炊いて身体や濡れた物を温めます。
お腹の中からも暖かいコーヒーを飲んで温めます。
あとは、夕食まで身体を温め疲労回復に努めます。
夕方、一瞬、雲が晴れ辺りが見えるようになってきました。
明日は好天が期待できるか?
今夜は雪の上に寝ることになりますが、初めての人もいますので防寒対策として湯たんぽを作ります。
ペットボトルやプラッティパスにお湯を入れて衣類などで包みます。
これをお腹に当てているだけで暖かく寝ることができます。
6月6日(木曜日)
朝4時に起床します。
外は曇り空ですが、明るいので期待が持てそうです。
朝食を済ませ、テントをたたみ出発の準備をします。
これから登る小天狗を見ると上の方は雲の中です。
でも、青空が顔を見せてくれていますので天気が回復してくれることを祈りながら登ります。
この残雪の多い時期はルートハンティングに注意を要します。
何度か雪の上でルートを見失いそうになりますが、何とか探して繋ぐことができました。
小天狗から先はルート上に雪がないので夏道状態で歩くことができます。
しかし、天気が回復してこないのです。
登っても登ってもガスが周りを覆い周囲は真っ白です。
おまけに風も出てきます。
2時間ほど登ったところで天狗平の手前まで来ました。
ここでこの先をどうするか相談します。
これ以上登っても視界がないこと、風が強くなってきたこと、などを考慮して今回はここから撤退することにしました。
たまたまあった標識を使い偽山頂写真を写します。
今回頑張った秀岳荘スタッフの女性3人です。
ここからテン場までは早かったです。
テン場でも記念写真を写します。
快適なテン場でした。
下りは、降るにしたがって天気が良くなり、時折太陽も顔を出してくれます。
快調に林道も歩き終え、車に戻った時間は午後4時でした。
山頂まで行くことはかないませんでしたが、アドベンチャー要素満天の山行でした。
16の沢林道を歩いてみた感じですが、歩くことはできます。
しかし、健脚の方でも3時間はかかると思います。
それを踏まえて、幌加温泉コースから登るか、杉沢コースを選択するか考えなければなりません。
十分な検討をお願いします。