井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

やっぱり、居心地最高の七つ沼カール!(その2)

2019-07-12 09:01:08 | 日高山系の山
 6月25日(火曜日)

 朝4時に起床、このテン場は少し斜面になっているので寝ていると自然に上の人が下に落ちてきます。
そのせいか微妙に左右に挟まれ寝苦しい夜でした。

テントの外はガスで真っ白です。
朝食を済ませ6時に出発です。
15分ほどで北戸蔦別の山頂に到着です。
    
     一面ガスの中を歩きます。

    
     はい、北戸蔦別の山頂です。

 ここから戸蔦別に向かって降ります。
すると、どんどんガスが吹き飛ばされて青空が広がってきます。
    
     十勝側の斜面には大きな雪渓が残っています。

 この斜面にはお花畑がありいろいろな花が咲いています。
    

    

    

 北に目を転じると1967m峰の俊映な姿が目につきます。
    

 戸蔦別岳の山頂も見えてきました。
    

 後ろを振り返ると北戸蔦別岳の山頂が遠くなっています。
    

 そして、右手の奥には日高幌尻岳が雲の向こうに見えてきました。
    
     こうなるとがぜんやる気が起きてきます。

 岩々した稜線歩きですが、快調に歩けます。
やはり、天気のいい中を歩くのは気持ちがいいです。
    

    
 ドンドン、戸蔦別岳の山頂が近くなってきます。

 やっと、戸蔦別岳の山頂に到着です。
    

 真下に見えるのが今夜泊る七つ沼カールです。
    

    
     山頂にはミヤマキンポウゲの黄色い花が風に揺れています。

 戸蔦別岳の山頂から一気に降り七つ沼カールへの下降点まで来ました。
この分岐に余分な荷物をデポして幌尻岳の山頂へ向かいます。
ここからは細い稜線歩きになります。
左下に広がる七つ沼カールを眺めながら幌尻岳の肩を目指して歩きます。

    
     可憐な花に癒されます。

    
     やっと登り切った幌尻岳の肩から眺める七つ沼カールの全景です。

 ここから軽いアップダウンに耐えると幌尻岳の山頂が間近かになってきます。
山頂で前で後ろから歩いてくるMyさんを待って、彼女を先頭に山頂を踏みます。

    

    

    

 山頂標識を見ると幌の文字が見えません。
風雨にさらされている標識です。
幌の文字は風に飛ばされた様で標識の下に破片が落ちていました。

    
    隣の山がエサオマントツタベツ岳です。

 山頂でゆっくり休み、いよいよ七つ沼カールへ降ります。

肩までの軽いアップダウン、そして肩からの急な下り、ハイ松に覆われた細い稜線を歩きデポ地点に戻ります。
でも、ここから七つ沼カールまでの斜面も急斜面のザラ場ですので気を抜くわけにはいきません。

    
    ザラ場を降り、やっと、七つ沼カールに到着です。
今夜のテン場は砂地で真っ平と最高のテン場です。
雪渓から流れる水を汲めばあとは夕食までゆっくりカールの景色を楽しみます。

    
     中央部を降ってきました。

    

 カールの中には5個の沼が確認できました。
あとの2つは雪渓の中にあるようです。
今日この七つ沼カールにいるのは私たち4人だけです。
何と贅沢な環境でしょう。

    
    デポ地点に咲いていたハクサンイチゲです。


 6月26日(水曜日)

    
     朝日に輝く吊り尾根を見ていると美しさに時間を忘れます。

 しかし、今日は下山日です。
この光景を目に焼き付けて、稜線までの急登の備えます。

    

    

    

    

 帰りは余裕がありますので花の写真を撮りながら登ります。

    
     稜線に登ると今日はすっきりと晴れた日高幌尻岳です。

 戸蔦別岳から北戸蔦別岳にかけての稜線にはいろいろな花が咲いています。
    

    

    
    こんなところも歩きます。

 そして、きた戸蔦別岳の山頂まで戻ってきました。
    
    この山頂に十勝側には小さなテントが2張り張れるスペースがあります。

 ここまで戻ってくると大きな登りはありません。
あとはひたすら降るだけです。

 今回の日高幌尻岳は晴天に恵まれ最高の参考となりました。

 Myさんにとって初めての日高でした。
稜線までの急登を初めて体験したわけですが、稜線から見る雄大な景色に感動したようです。

 On氏は、七つ沼かーるでの初テン泊が心に残る山旅でした。
実は、彼の義理のおじいさまが坂本直行さんと泊ったことのあるテン場ということで一度は来てみたい場所だったようです。

 私は、日高全山縦走を歩き通した3人で日高の主峰である幌尻岳の山頂を踏めたことが心に残る山旅でした。

 それぞれが思い出となるいい山行でした。


     


 

やっぱり、居心地最高の七つ沼カール!(その1)

2019-07-11 20:03:42 | 日高山系の山
 3年前の台風により北海道の道路に甚大な被害が出ました。
特に北海道を東西に繋ぐ日勝峠が1年にわたり不通となる重大な被害が記憶に残ります。
この日勝峠の麓にある日高町が日高幌尻岳の登山口となっています。
3年前のこの台風が来る前の夏に名古屋のおばさま3人を日高幌尻岳に案内したことがあります。
今回はこの時以来の幌尻岳になります。

 同行者は、道内にある日本百名山に登ってみたいという秀岳荘スタッフのMyさんと日高全山縦走を一緒に歩いたOnなどと4人になります。
On氏にSz氏の4人です。
特にOn氏は七つ沼カールにテン泊するという工程に強く惹かれての参加です。
考えてみると日高全山縦走に挑戦した3人ですが主稜線から外れる幌尻岳に3人で登ったことが無いのです。
3人で日高の主峰登るという記念になる山行となります。

 6月24日から2泊3日での山行となり、天気は上々の予報が出ています。


 6月24日(月曜日)

 札幌を朝5時に出発します。
登山口に着いたのは7時半です。
3年前の台風の影響ですが、国道の千走にある橋は新しく架け替えが終わっています。
林道に入り1か所だけ路肩が流失しましたが、そこは立派な護岸が築かれ補修されています。

    
     登山口には先行者の車が数台あります。

 たたずまいは台風が来た前と何ら変わりはありません。
早速登山準備をしてまずは林道歩きが始まります。
まだ太陽が低いので木陰があり、気持ちよく歩けます。
1時間ほどで取水ダムに到着です。
    
    ダムを見ましたが台風による影響は無いようです。
しかし、ダムの上部にある川床はきれいに砂利が寄せられていましたので、こちらには上流から相当数の岩が流れ込んできたようです。

 取水ダムからまずは二岐出合いを目指します。
登山道は適度に整備され下草などが刈払われています。
そんなことで快適に歩けました。
ふと前を見ると熊の姿が見えます。
    
    よく見ると緑色をしているのですから熊ではありません。
    倒れた木の根に苔が生えているのですが、熊がこちらを向いているように見えます。


 二岐出合いから右股を沢沿いに進みます。
こちらも台風の影響は皆無のようです。
3年前を思い出しながら快調にピッチを刻みます。

 やがて、一番大きな渡渉点まで来ました。
    

 ここからは何度か沢を渡渉しますが、夏靴でも歩ける小さな沢です。
巻き道を歩きますが、ここも下草が刈り払われています。

 やがてゴルジュが現れ高巻きをします。
    

    
 
 高巻きを終えてから沢の状態を確認すると沢の中を飛び石で渡れるようなので帰りは高巻きは必要ないねと話しながら登ります。

 標高千mに近くなってきます。
そろそろ尾根取り付きかな?と思って登っていると大きな雪渓が沢を塞いでいます。
    
    何度かこの沢を歩いてますが、こんなに大きな雪渓で覆われているのは初めてでした。

 そろそろ尾根取り付きです。
    

 尾根に取り付くとジグザグの急坂が続きます。
これを我慢しながら汗だくになって登ります。
40分ほど急坂に耐えると「トッタの泉」があります。
    
    小さな流れですが、命の流れです。

 ここでタップリ湧水を飲んで、さらに一人3リットルを担ぎ上げることにします。
ここから糠平岳までの急坂が今日の核心部になります。

 直登気味の登山道を担ぐ水の重さに耐えながら登ります。
すると左太ももの内側の筋が吊りそうになります。
久し振りの重いザックに足が悲鳴を上げてきました。
それを騙しだまし登ります。
梯子を二つ越えると、やっと、特徴のある橄欖岩が見えてきました。
    
    この岩が見えてくるとほどなく急な登りが終わります。

       
    稜線を30分ほど登り詰めると今日のテン場となります。

    

    

    

 疲れた身体と心を癒してくれるのは、可憐な花たちです。

 やっと、テン場に来ました。
    
     すぐ横には大きな雪渓があります。
いつもは7月に来ています。
今回は1か月ほど早いので残雪の量も多いのでしょう。
残念ながらガスのため目の前に見えるはずの日高幌尻岳の姿は見えません。

 しかし、そのガスがドンドン晴れてきます。
    
    戸蔦別岳です。

    
    そして、やっと姿を見せてくれた日高幌尻岳です。

 この景色を夢中に撮影するのが今回初めてこの山を見るMyさんです。
    
    彼女にとって感動の景色でした。

 この後雨がポツポツしてきたのでテントに入ります。
そのうち雨がどんどん強くなってきます。
しかし、私たちはテントの中でお酒を飲んだり夕食を食べているとその雨も止みました。

 いよいよ明日は日高幌尻岳です。