井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

アンギラスに登る!

2015-06-23 16:13:12 | ニペソツ山・中央山系の山
 大雪山と石狩川を挟んだ向かい側に平山とニセイカウシュッペ山があります。
その平山とニセイカウシュッペ山を繋ぐ稜線上に岩岩したコブ山があります。
このコブ山は岩でデコボコした形から怪獣の背中のようでアンギラスと呼ばれています。
今回は、そのアンギラスを目指してみました。

 実は昨年もこのアンギラスへ登ろうという話があったのですが、いろいろな事情からキャンセルになってしまいました。
今回も昨年誘ってくれたUcさんはじめとするピオレ山の会の人達3人と登ります。

 この山に札幌から登るには前泊が必要となります。
前泊は白滝キャンプ場にします。
最初はテント泊の予定でしたが、あいにくの雨。
テント泊をあきらめロッジを借ります。

 今回の食事はUcさんが事前に調理して持ってきてくれたハンバーグとデミグラスソースが夕食となります。
ご飯は着いてから炊くということでした。
実は、山を再開してから山でご飯を炊いたことがありません。
いつもアルファー米を使っていたのです。

 久しぶりにご飯を炊くので水加減から怪しいものとなりました。
それでも水量を人差指の第1関節やや上までとして炊いてみました。
煮立ってきたところで鍋の中をよくかき混ぜて火の通りを均等にします。
そのごは弱火にして蒸します。

 このご飯がとても美味しかったのです。
久しぶりに山で炊きたてのご飯を食べましたが、ご飯の美味しさを再認識しました。
さらに、Ucさんの作ってくれたハンバーグにデミグラスソースも絶品でした。

さて、寝る前に空を見上げると雨は上がり星が見えていました。
明日は晴れるかな?


 6月14日(日曜日)

 朝、目を覚ましましたが、何と屋根から聞こえるのは雨音です。
4時に起床しましたが、もう少し様子を見ることにして寝袋の中でウトウトします。
1時間ほど寝ていると雨音が小さくなってきます。
どうやら雨雲が動いてくれたようです。

 白滝キャンプ場を1時間ほど遅らせて出発します。
まずは平山の登山口を目指します。
登山口に着くと雨は上がっています。
さっそく準備をします。
   
      今日は私達だけのようです。

 7:20分、駐車場を出発します。
沢沿いの登山道を歩きます。
右手から支沢の水が流れ込んできます。
かなりの水量で流れ込む沢もあり仮設の橋が架けられています。

   
   この橋は、橋板が取り除かれてパイプだけになっています。

   
   行雲の滝です。水量があるのでなかなかの迫力です。

 さらに進んでいくと本流に冷涼の滝が轟音を響かせながら落ちています。
   
   ここで一休み、登山口から35分、なかなかいいペースです。

 所々残雪に登山道が隠れる場所があり、ルートを外さないように注意して歩きます。
   

 やがて目の前に大きな雪の壁が見えてきます。
8:30分、雪田に足を踏み入れます。
さて、第1雪田ですが、前回どのようにルートを取ったか思い出せません。
Ucさんにやや右手を目指して登ることを伝えます。
それは、稜線に出て右手に進むとアンギラスとの分岐があるからです。 

    
    登にしたがって雲の中へ突入です。

 視界が無くなるのでルート取りが一層難しくなってきました。

 結局、雪を追いかけて登りましたが、その雪も消えてしまいました。
やむなく藪漕ぎに突入です。
藪との格闘を約1時間、やっと稜線に出ることが出来ました。
後はアンギラスとの分岐を目指すだけです。

 ここで痛恨のミスをしてしまいました。
アンギラスの分岐を通り過ぎてさらに比麻良山も通り過ぎてしまったのです。
アンギラスへ進む稜線は湧き上がる雲の中で視界を遮られたせいもあるのですが、私の注意不足でした。

 休憩を取って仕切り直しをします。
   
   11:50分、再度、比麻良山の山頂です。

 約1時間ほどのロスをしましたがアンギラスへの分岐です。
   
   この時、一瞬雲が薄くなりアンギラスの姿がチラッと見えました。

 雲の動きは早く、上空には青空が見えたりしています。
    
   お花に癒されて歩きます。

 ハイ松の海を漕ぎ、岩の尾根を進みます。
なかなか変化に富んで面白い登山道です。
     
    岩の間を抜けるように歩きます。

   
   一瞬、雲が晴れ歩いてきた岩が見えました。
   猫の顔のように見えましたので、「猫岩」と名付けました。

 残雪の上を歩く箇所が数カ所ありましたのでマーキングをしておきます。
   
 
 13:00分、何とかアンギラスの山頂まで来ることができました。
   
   山頂は狭く、おまけに強風が吹き視界もないのでそうそうに退散します。
予定では、ニセイカウシュッペまで行くつもりでしたが、視界がないのでここから引き返すことにしました。

 帰り道になって雲が晴れてきます。
   
   まだまだ、沢には残雪が沢山残っています。

   
   やっと晴れたので記念写真をパチリ!

   
   猫岩と名付けた岩の全景です。
   こちらを向いて伏せている猫に見えませんか?

   
   こんなハイ松の海も歩きます。

 分岐まで戻ってきました。
ここからは平山との分岐を目指して稜線を歩きます。

   
   14:40分、平山分岐です。

 ここからの下山は登山道がどのようになっているか確認しながら降ります。
その結果ですが、第1雪田に出たところは、やや左に真っ直ぐ登り、雪が無くなりそうな辺りから右手に進むと登山道に出られるようです。

 途中の山腹に行者ニンニクの群落を見つけました。
せっかくですので山の恵みを収穫します。

 今回はルートミスをするなど反省点の多い山行となりました。
  

愛山渓から永山岳に向かって!

2015-06-17 09:12:20 | 大雪山系の山
 今年の6月は寒い日が続いています。
5月は暖かい日が多かったので余計に6月の寒さが身体に堪えます。

 さて、Omさんから大雪山で遊びたいという話をいただいていました。
旭岳の麓にある裾合平付近を歩きたいということでしたが、この時期の裾合平は残雪が多く花の時期にも早いのです。
そこで愛山渓から永山岳を目指すことにしました。

 6月8日(月曜日)

 早朝5:30分に札幌を発ちます。
天気の方は曇が空一杯に広がっています。
あまり天気は良くないのですが風がないのが救いです。

 高速道路を飛ばし8時少し前に愛山渓に着きました。
平日の月曜日とあって駐車場に止まっている車は2台しかありません。
それも愛山渓温泉の車のようです。

 登山準備を済ませて8:05分、出発です。
   
   登山口です。

 今日はイズミノ沢沿いを登って、帰りは沼ノ平を回るつもりです。
沢沿いの道には残雪が残っているので登山道が所々分かりずらうなっています。
   
   登山道を外さないように慎重に歩きます。

 やがて、左手から大きな音を立てて滝となって沢水が流れ込んできます。
   
   昇天の滝です。

 この滝には9:30分到着しました。

 この滝の少し上に今日のハイライトとなる村雨の滝があります。
村雨の滝は左岸を登るのですが、そこには残雪が張り付いた雪壁を登らねばなりません。
この雪壁が曲者でした。
下を見ると沢に流れる水が融かした大きな口がポッカリと開いているのです。
間違って滑ると沢に飲み込まれるのです。

 傾斜がある雪壁を慎重に登ります。
滝の落ち口まで登ってホッと一息つきました。

 村雨の滝の直ぐ上に永山岳と沼の平への分岐点があります。
この分岐点を左に登ります。
   
   ジグをきっている登山道が雪で埋まっています。

 この雪で埋まっている登山道には注意が必要です。
というのは、登山道の下を融けた水が流れています。
岩の周りには大きなくぼみを作っていますが、それが隠れていて上から見えないのです。
大丈夫だと思い足を下ろして踏み出すと落とし穴にはまったように膝まで埋まってしまうのです。

後ろを歩いているOmさんの叫び声が聞こえました。
何事かと思い後ろを見ると、何とOmさんの腰下がスッポリと雪の中に埋まっているではありませんか。
そのため自力で脱出できないのです。
Omさんの手を掴んで引き上げます。

 こんなことを繰り返しながら登っていると、今度は大きな雪原が広がってます。
さて、どちらへ進めばいいか? 
雪面にはうっすらと足跡が残っているのでそれを参考に登ります。
すると前方のハイ松にピンクテープを見つけました。

   
   後ろを振り返ると沼の平が見えてきました。

   
   遠くには十勝連峰の山並みが見えます。
 
 登るにしたがって沼の平の池が見える様になってきました。
   

 視界を遮るものがなくなると風が強くなってきます。
   
   永山岳が見えてきますが、この景色は春のものではありません。

 冷たい風が身体を冷やしていきます。
何とか当麻岳の稜線見えるところまでと思って登りました。
    
   当麻岳の姿が見えたところが限界でした。

 これ以上登っても寒いだけですでOmさんと相談の結果、今日はここから降ることにします。
11:00分、下山することにしました。

 そうと決まれば下山は早いです。
大きな雪原は滑るように降ります。

 アッという間に沼の平への分岐まで降りました。
ここで、慎重に登り口を探します。
数回のジグで沼の平へ続く台地に登りました。
ここからは笹原を歩きますが、やはりここの登山道も雪解け水が流れています。

 雪融け水が流れ込む沢のような登山道を靴を濡らさないように歩くのは神経が疲れます。
それでも、下山したら愛山渓の温泉が待っています。
冷えた身体を早く温泉で暖めたい一心で足早に降ります。

   
    山頂部は雲に隠れていますが、愛別岳です。

 イズミノ沢まで降ると後は登った時の足跡を辿って降ります。

 愛山渓温泉は私達しかお客がいなかったので湯船が貸切状態でした。
ゆっくりお湯に浸かって冷えた身体を暖めます。
極楽、極楽、これがあるから山に登っているくらいの楽しい時間です。


南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その4

2015-06-09 20:49:25 | 日高山系の山
 昨夜は小雨が降りました。
天気予報でも朝方には止むということですので雨音を聞きながら寝ていました。
今朝は少し寝坊をしてゆっくり起きました。

 5月27日

 昨夜の雨で下草が濡れていると思い雨具のパンツを履いて歩く準備をします。
ちょっと遅めの6:10分、テントサイトを出発します。

   
   目の前には1.839m峰がくっきりと見えています。

 ここからはいくつかのコブ山を登らなければなりませんが、昨日の行程で大きな所は終わっているので心は軽いです。
   
   朝日が白樺の幹に当たり白く輝いています。

   
   登山道の脇にエゾコザクラの紫色の花が咲いています。

 何カ所か残雪が登山道を覆い下山路が分かりずらい所があります。
そんな場所は3人が散らばってルートを探します。
所々、笹刈りが行われており快適な下山が続きます。

 8:00分、沢の源頭に到着しました。
   
ここで残っている水を捨てて沢水に入れ替えます。
雪を融かした水は雑味があるため美味しくないのです。
癖のない沢水をたっぷり飲んでペテガリ山荘を目指します。

 この沢沿いの登山道は倒木が多く歩きずらいのです。
幹の途中から折れている木が多いのです。
それを避けながら歩いているとペテガリ山荘の屋根が見えてきました。
8:35分、ペテガリ山荘に到着です。
   


 野営場でゆっくり休んで林道歩きに備えます。
ここからは一山越えて神威山荘を目指しますが、長い林道歩きが待っています。

   
   10:10分、林道歩きが終わり、沢の源頭部へ向かって歩きます。
この辺りには標識も整備され、道に迷うことはありません。

 小さな沢ですが、苔が美しい沢です。
   

 沢がドンドン狭くなり、傾斜が増してきます。
最後は泥付きの溝のような沢を登ると笹原が待っており、ここが乗越地点です。
ここで少し休憩してから沢を降ります。

 この沢の荒れ方がひどかった。
倒木が異常に多いのです。
15センチほどあるような幹が折れている木もあります。
狭い沢ですので倒木を避けて歩くのは大変です。
これからペテガリ岳を目指す人は、この神威山荘側の沢を登るのに今までより時間がかかると思っていた方がいいようです。

 何とか沢を降り林道へ出ました。
後は最後の渡渉を終えれば神威山荘だと思っていたのですが、突然林道がなくなり沢にぶつかりました。
   
    何と林道が無くなり沢となっているではありませんか。

   
   中央に大きな岩が縦1列に連なっています。
どうやら土石流で林道が流されてしまったようです。

 12:15分、最後の渡渉点に到着しました。
   
   ここも飛び石で渡るのは無理です。

 ようやくここまで歩いてきました。
今回の縦走は、車までの林道を歩けば終わります。

 今回の縦走は天候に恵まれ笹藪とハイ松との戦いでした。
当てにしていたペテガリ岳の東尾根の登山道はすでに廃道と化していました。
それらの苦難にも負けずに歩き通せたのは仲間のお陰です。

 さあ、これで私達が挑戦している日高全山縦走も王手が掛かりました。
残すのはエサオマントツタベツ岳山頂部付近だけです。
これを8月上旬に歩ききれば日高全山縦走が完結します。
あと一息のところまできました。

南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その3

2015-06-06 22:06:12 | 日高山系の山
 昨夜のテントサイトは雪の上でした。
風こそ当たらないもののやはり雪の上ですので明け方から深々と冷えてきて目が覚めてしまいました。
何とか寝返りを打ちながら朝の4時まで寝袋にしがみついていました。
小鳥の声がしてテントの外が明るくなってきましたので寝袋から出ます。

5月26日

 いつものように朝食を済ませザックのパッキングを行います。
今日は、頑張ればペテガリ山荘まで歩けるかなどと皮算用をして盛り上がります。
まずは、いきなりのやぶ漕ぎから1日が始まります。

 5:30分、背丈を超える笹との戦いが始まりました。
朝一は疲れが取れていますの元気に笹と格闘できます。
100mほど頑張ると1,469mのコブ山に続く残雪の上に出ます。
ここから一気に1,469mの山頂へ出ます。
目の前にはペテガリ岳東尾根に繋がる稜線が一望できます。
   
   あと一頑張りで東尾根に到達できます。

 それにしても、まだまだ細い稜線が続くようです。
稜線の十勝側に見える残雪が救いですね。

   
   細い稜線との戦いも3日目ともなれば、いくらか要領よく歩けるようになるもんです。

   
   少しでも残雪を使って楽に歩こうとします。

 時々後ろを振り返ると私たちが歩いてきた稜線が折り重なって延びています。
   

 8:45分、とうとう東尾根まで登りました。
ここでOn氏は主稜線が繋がりました。
というのは、彼は東尾根を使ってペテガリ岳に登っているからです。
さあ、ここからは登山道が使えると思ったのですが、何と東尾根の登山道はすでに廃道状態で跡形もなく消えているではりませんか。
私達の目論見では、東尾根に辿り着けばぺテガリ岳の山頂までは1時間もあれば行けるだろうと踏んでいました。
その目論見が無残にも消え去ったのです。

 しかし、嘆いていても山頂へはいけません。
   
   山頂までの稜線が長く遠く見えます。

 東尾根は細い稜線が続きますが、所々に岩が露出しておりその岩回り込んだり上を歩いたりと思うように歩けないのです。

 笹原が広がりその中に登山道と思われる筋がついています。
それを歩いていったのですが、路が途中で消えてしまいます。
やむなくハイ松の急斜面を登ります。
100mほども格闘したでしょうか?
稜線の右手に残雪を発見しました。
   
   どうやらこの残雪を使って登れば山頂まで行けそうです。
ホッとする間もなく残雪の急な斜面を登ります。

 登るにしたがってルベツネ山など北の山並みが見えてきます。
   

 さあ、あと一登りで山頂です。
   
   この残雪は嬉しかったです。
   ペテガリ岳の山頂に続く、まさに、ビクトリーロードといったとこでしょうか。

 残雪の上にあるハイ松を少し漕ぐとそこは山頂でした。
11:25分、ペテガリ岳の山頂に着きました。
   
   今朝の出発が5:30分でしたので約6時間掛かったことになります。

 出発前は4時間もあればこの山頂まで登れると思っていました。
そうすれば、こんやはペテガリ山荘まで降れると思っていました。
しかし、その考えはすぐに捨てました。
ここでしっかり休んで、下山途中にテントの張れる場所があればそこで1泊しようという話になりました。
それなら急ぐ必要はりません。

   
   ペテガリ岳から北に広がる山並みを楽しみます。
この稜線で途切れているのはエサオマントツタべツ岳山頂付近だけとなりました。

 さて、別れがたい山頂を後にして西尾根の登山道を降ります。
急な登山道をどんどん降ります。
何と登山道があるということは楽なんでしょうか。
面白いように高度が落ちていきます。

 40分ほどでコルまで一気に下ってしまいした。
その後は登り返しが待っているのですが藪漕ぎの無い登山道は楽なものです。
今夜の宿となるテントが張れそうな場所を探しながら歩き来ます。
   
   ペテガリ岳の山頂がどんどん遠くなっていきます

 1,191mの尾根で登山道の横にテントを張れそうな場所を見つけました。

13:30分、ちょっと早い時間ですが、残雪も近くにあるのでここで1泊することにします。
頑張れば明るいうちにペテガリ山荘まで行けないことはないのですが、食料も燃料も十分にありますので急ぐ必要はありません。
それよりは、疲れた体を休める方がいいのです。
今回は、このように早めに行動を切り上げているのが次の日の元気に繋がっていると思います。

 とりあえず、今回の目標である神威岳からペテガリ岳の主稜線が繋がりました。

   
   キバナシャクナゲが咲いていました。
   花を見る余裕も出てきます。

 今夜もゆっくり休んで明日の下山に備えます。

南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その2

2015-06-05 19:26:25 | 日高山系の山
 ニシュオマナイ山の山頂にあるテントサイトは快適でした。
西風が完全にブロックされているため谷から吹き上がる風が吹いてもテントはソヨともしないのです。
こんなことでゆっくり休むこととが出来ました。

 朝3時半頃になると小鳥が鳴き出します。
その声を聞きながら4時まで寝袋の中でウトウトしています。
私は、この時間が一番好きです。


   5月25日

 4時起床、さあ、ここから新しい1日が始まります。
テキパキと朝食を済ませてパッキングの準備をします。
今日も良い天気ですので外でパッキングをします。
   
   快適なテントサイトでした。 

 5;30分、まずはニシュオマナイ山の山頂めざして笹藪を登ります。
直ぐ雪の上に出ます。
ここからは、この先歩く中ノ岳までの稜線が一望できます。
稜線を見てがっかりしました。
稜線近くを歩けそうな残雪が見あたらないのです。
おまけに昨日のように細い稜線が続いています。
   
   右手前のピークが中ノ岳で、その奥のピークがペテガリ岳です。
   中央のコブが1,839m峰です。

 ニシュオマナイ山の山頂から急な降りが続きます。
残雪がありますが、この時間の雪は表面が堅くなっておりキックステップしても跳ね返されてしまいます。
横にある木の枝に掴まりながら慎重に降ります。
   
   それでも、雪の上を歩くのは藪を歩くより速いです。

 やがて、稜線が一気に細くなってきます。
   
   緊張はするものの昨日も同じ様な稜線を歩いていますので恐怖心は薄らいできました。

   
   昨日と同じように狭いところでは50cmほどしかない稜線の上を歩きます。
左側は切り立った崖です。
落ちる訳にはいきません。

 細い稜線に神経を使い、ちょっと広くなった場所は鹿道を利用します。
この辺りのコツはいかに鹿道を見つけて利用するかで歩くスピードが変わってきます。
   
   細い稜線ももう少しで終わります。
目の先に草付きの斜面が見えています。
そこまで歩けば少しは楽に歩けると思い頑張ります。

   
   やっと細い流線を歩き終えました。
後ろに見えるコブ山も稜線通しにあるいて来ました。
路のない稜線ですが、歩けば歩けるものです。
人間の能力も捨てたものではありません。

   
   振り返ればニシュオマナイ山からその奥に神威岳が見えています。
累々と重なる山並み、このすべてを歩いてきたのです。
見ているとウルウルしてきます。

 しかし、中ノ岳の山頂はまだ先なのです。
気持ちを入れ替えて草付きの斜面を登ります。
やっとコブ山に到着しました。
ここから中ノ岳の山頂まではハイ松が覆い被さってます。
慎重にルートを選んでいくと、何と、ハイ松の中に踏分路が付いてるではありませんか。
これはラッキーでした。

 10:00分、中ノ岳に着きました。
   
   この山頂には立派な標識がありました。
しかし、この山頂に立てる者がいったい何人いるでしょうか。
南日高でも最奥部の山で登山道はありません。
この山に登る最短のルートは沢から登ることですが、その沢も険悪な沢が多いのです。
この山頂に立てたのは本当に幸運なことだと思います。

    
   目の前にはペテガリ岳がドーンと大きな山容を見せてくれます。
この山頂にたどり着けば夏道があるのです。

 さあ、ここから先の稜線を見ると十勝側に雪が残っている所があります。
少しは楽が出来そうです。
20分ほど休んで稜線へ踏み出します。
しかし、ここの降りもしびれるほど急な斜面なのです。

 その斜面もゆっくり、1歩、1歩づつと心に言い聞かせながら降ります。
またしても細い稜線を歩きますが、十勝側にある残雪が少し楽をさせてくれます。
   
   この残雪はとても助かりました。
藪漕ぎの3倍は歩けると思います。
でも、雪の反射もあり気温が一気に上がります。

 1,469mのコブ山を目指して登っていましたが、とうとう力が尽きました。
残雪の中にいい場所があったので今日は雪の上をテントサイトにします。
1,469mのコブ山から200mほど南の尾根上でしょうか。
目の前には中の岳と歩いてきた稜線が目の前に見える絶好のポイントでした。

 14:30分、ザックを下ろして雪を削ります。
   

 まだまだ早い時間なのですが、毎日8時間は歩いています。
早めに行動を終えるのは疲れを翌日に残さない方法として最適だと思います。

 この際奥部の稜線でも携帯の電波は飛んでいました。
緊急用に携帯は必携ですね。





南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その1

2015-06-04 20:19:24 | 日高山系の山
 私達が取り組んでいる日高主稜線縦走もいよいよ佳境に入ってきました。
3月には十勝岳から楽古岳を歩きました。
この時点で残された部分が今回歩こうとしている神威岳からペテガリ岳、エサオマントツタベツ岳の山頂を挟んで1kmほどなのです。

 今回は、この残されている部分の神威岳からペテガリ岳を歩いてきました。
この区間は南日高でも最奥部に位置しているためアプローチが長いのです。
ベースとなる神威山荘まで林道歩きが13Kmほどあり、歩いて4時間はかかります。
そのためこの林道歩きを入れるとどうしても1泊~2泊余分に考えなければいけないのです。
さらに、神威岳からペテガリ岳東尾根までは登山道がありません。
そんな理由から、このルートを縦走するには5月の残雪期が適期といわれています。

 私達はメンバーの都合からこの適期であるGWに歩くことが出来ません。
そんなことから昨年と同じこの時期にこのルートに挑戦することになりました。
根拠のない自信ですが、昨年はこの時期に神威岳からソエマツ岳を歩いた実績があります。
まあ、何とかなるでしょう!?ということで計画しました。
幸いなことにこの時期に天気はとても安定しています。
今回も約1週間ほど雨マークの見あたらない週間天気予報に勇気付けられています。


 5月23日(土曜日)

 朝8時に集合して浦河町にある登山口を目指します。
登山口に突いたのは12時頃です。
さっそく登山準備をして林道を歩きます。
林道歩きをしていて気の付いたのが何と倒木が多いのです。

15センチほどの木の幹が途中で折れて道路を塞いでいるのです。
こんな場所が所々に現れます。
昨年はこんな倒木はなかったのです。
倒木だけでなく道路にも沢水が流れて作られた深い溝があるのです。
昨年秋に南日高を襲った豪雨の影響だと思われます。

 3時間ほど歩くとやっと神威山荘が見えてきました。
   
   今日はこの小屋で1泊します。
それにしてもニシュオマナイ山は格好いい山です。


 5月24日(日曜日)

 昨夜は暖かい夜だったのでゆっくり寝ることが出来ました。
4時起床、5時には登山準備が出来たので出発です。
   
 今日の目標はニシュオマナイ山まで行くことです。
ここかあ神威岳までは昨年も歩いた路ですのでドンドン歩きます。
15分ほどで渡渉点に来ましたが、飛び石で渡れた沢の様子が昨年とは違っています。
沢の中央部にあった大きな石が下流に動いています。
そのため飛び石伝いで沢を渡ることが出来なくなっています。

 今回は沢を歩くことも想定して沢靴を用意してきました。
ですから私は沢をザブザブ渡りました。
渡り終えて廃道となった林道を進みます。
熊の足跡がありますので時々笛を吹きながら進みます。

 5:35分、下二股に到着です。
   
 沢の様子を見ましたが、特に変わった感じはしません。

 直ぐに笹原へ進みますが、この笹原に付けられた踏分路が途中で消えています。
右手の沢へ向かえばいいだけなので強引に進みます。
初めての方には十分注意のいる場所だと思います。

 さて、左股の沢は昨年と比較しても変わったようすが感じられません。
淡々と沢を登ります。

 6:30分、大塚さんのレリーフに到着です。
   
    今回の登山の無事をお願いして手を合わせます。

 この辺りから少し登ると日陰の斜面に雪が残っているのです。
その雪の量がドンドン多くなってきます。
   

 上二股の辺りでは沢が完全に雪で埋まっています。
   

 この状態では沢水を汲むことが出来ません。
どこかいい場所がないか探していると山の斜面から水が流れ込んでいるではありませんか。
   
   細い流れですが、十分な量の流れでした。
ここで今夜の飲料水として3リットルの水を担ぎあげます。
残雪があればそれを融かして飲料水を作る予定ですが、稜線の様子が分からないのでとりあえず担ぎ上げることにしました。
これでザックの重さが一気に増したような気がします。

   
 さて、上二股から直ぐ上に尾根取付点があり、沢の中央部にある大きな岩に矢印が書かれています。
しかし、残雪のためその岩は雪の下です。
右岸の斜面を注意深く見るのですが探せません。
やむなく、ザックを置いて懸命に探しました。
すると、やっと登山路を発見することが出来ました。
登山路の手前に倒木があり、そのため路が隠されていたのです。
7:15分、これで先へ進むことが出来ます。

 安心したのも束の間、ここからは急坂が延々と続きます。
ザックの重さはそれぞれ20kを超えています。
肩に食い込むザックの重さに耐えて急坂を一歩一歩登ります。
今日一番の苦しい登りです。

   
   ニシュオマナイ山が見えてきました。
この様子では残雪で水を作れそうです。
それが分かれば担ぎ上げた水を少し捨てても良いようです。
飲めるだけ飲んで、行動用の水以外に1リットルだけ残して捨てました。
捨てた水は1.5リットルほどですが、これだけでザックが少し軽く感じます。

 9:50分、やっと、稜線への分岐点まで登ってきました。
細くなった稜線に強い風が吹き付けてきます。
   
   
ここからニシュオマナイ山へ向かいます。
   
   ニシュオマナイ山までの稜線が一望できます。
しかし、この景色を見ると何と遠いことか、気が滅入ってしまいます。

 風陰で休憩しましたが、強い風が吹いているため直ぐに身体が冷えてしまいます。
風に追われるように稜線を降ります。
しかし、この稜線は急なのです。
足下が見えない位急な斜面でしかも、細いのです。
おまけに谷から吹き上がってくる風が身体を揺らします。

 ハイ松の枝を必死に掴んでバランスを取りながら降ります。
アドレナリンが農を駆け巡ります。
左側はスパッと切れ落ちています。
こちらに落ちると命を落としそうな感じがします。
真剣にならざるを得ません。
それでも風にバランスを崩されあわててハイ松に覆い被さり耐風姿勢を取ることが数回ありました。

   
   ハイ松の深いところもありますが、この方が安心して歩けます。

 真剣に歩いているといつの間にか神威岳の姿が遠くなっています。
   

 十勝側に残雪があるのが分かっていました。
距離にして300mはありそうでした。
その残雪に辿りついてホッと一息つけました。
   
   この残雪は本当に助かりました。
雪の上を歩くのは照り返しで暑いのですが、それよりもさくさく進むのが気持ちいいものです。

   
    ニシュオマナイ山も大分近くなってきました。

 この残雪を歩きながらニシュオマナイ山攻略のルートを話し合います。

 残雪を繋ぎながら登りますが、数カ所ハイ松を越えなければなりません。
   

 最後は笹原に残っている鹿道を使いながらニシュオマナイ山に到着です。

 13:40分、山頂の東側にあるテントサイトに着きました。
   

 このテントサイトは最高です。
草原を少し均してテントを張ります。
後は、今日歩いてきた稜線を見ながらゆっくりお酒を楽しみます。
   
   昨年歩いた神威岳からソエマツ岳、一番奥にはピリカヌプリが見えています。
 至福の時間を楽しみます!!
 

芦別岳・本谷へ!

2015-06-03 20:27:43 | 芦別・夕張山系の山
 日高へ一緒に登っていたKm氏の息子さんと飲む機会がありました。
その時に一緒に飲んだ彼の上司が大学時代山岳部に入っていた方でした。
飲み会の席でも山話が弾み楽しい飲み会となりました。
その折に芦別岳の本谷を登ってみたいと言っていましたので5月16日~17日に行くことで約束していました。

 5月16日は、午後から札幌を出発して芦別岳の麓にある「太陽の里」キャンプ場でテント泊をします。
翌17日に日帰りで本谷を登る計画で挑みました。
参加者は、いつも一緒に登っているSz氏と私、それにYb氏の3人です。


 5月17日(日曜日)

 朝4時に目を覚まし、朝食を食べて出発します。
   
   テントは草原に張りました。

   
   登山道の入り口に設置されている鹿除けのゲートです。
このゲ-トを5:00分に通過します。
ここから1.2kほど林道歩きとなります。
その先はユーフレ川に沿って登ります。
歩いているときに霧雨が2ほど降ってきましたが、雨具を着るほどではありません。
それもすぐに止んでしまいました。

 途中に5~6カ所高巻きがありますが、Yb氏の足取りは順調です。

 6:40分、滝下の渡渉点に着きました。
   
   ここには1本の木が橋のように架けられていますが、この木は滝の飛沫で濡れており、とても歩けるものではありません。
私たちは、木の上流側を飛び石を使って渡りました。

   
   上流にある滝です。
   水量がありますのでなかなかの迫力です。

 7:00分、約時間でユーフレ小屋に着きました。
   
   小屋の付近に雪が残っているのでゴルジュは雪で埋まっていることでしょう。
   今年は雪が少ないのでちょっと心配していました。
 ここで少し休んで飲み物や軽食を口に入れます。

 ここからは、左岸沿いに進みます。
ほどなく沢が雪で埋まってきます。
   

 そして、ゴルジュまで来ました。
    
   ゴルジュはまだまだ厚い雪で埋まっていました。

 ここから先は雪の上を歩くと思いアイゼンを付けます。
しかし、すぐ先で沢が開いているではありませんか。
でも右岸沿いに難なく抜けることができました。
ここから先はズーッと雪の上です。

    
   天気が気になってきます。
沢の上部が雲で隠れています。
視界がないのが気になります。

    
   登るにしたがって傾斜が増してきます。
枝沢からの雪崩の跡はそれほど目につきません。

   
   前方に三股が見えてきますが、そのすぐ上は雲で見えないのです。
パラパラと霰が降ってきます。
風も強くなってきました。

   
   私たちの後ろから若者が5人ほど登ってきます。

 さて、三股からどう登るかで私とSz氏の意見が別れました。
私は正面に見える真ん中の沢を登るように主張したのですが、Sz氏はいったん右股に入りすぐに左へ曲がれば傾斜が少しゆるく登れるといいます。
そのルートを私は登ったことがないのですが、ここから上は雪面の表面が堅くなっているので傾斜がいくらかでもゆるいならその方がいいかと思いSz氏の言う右股に入ることとします。

 しかし、右股に入って少し登ると視界が10m~20mほどになってしまいました。
そため、Sz氏のいう左へ進む起点となるポイントがうまく見つけられないのです。
やむなく、上の方が白く見えている方向へ向かって登ります。
感覚的にも本谷を右にずれてることは分かっていたのですが、上部の稜線には旧道がありますのでとりあえずどんどん登ります。

 やっと稜線まで登ると、そこは強風が吹き荒れていました。
そのため、後から登ってくる2人を待つために風陰に隠れます。
視界がないことと強風が吹き荒れる稜線で待つこと20分、11:20分、2人が稜線に到着します。
   
 ここから本谷上部のコルを目指して旧道を歩きます。
20分ほどでコルに到着いたのですが、ここから山頂へ向かうには風が強すぎます。
3人で協議した結果、山頂を目の前にして下山することにしました。

 ここからの下山も緊張を強いられれるものでした。
急傾斜の固い雪面、おまけに積もった霰が風に吹き飛ばされてサラサラと流れてくるのです。
アイゼンの爪がこの霰によって雪面への食い込みが甘くなるのです。
ここは安全性を高めるためにバックステップで本谷を降ります。

 三股までは気の抜けない下りが続きます。
3人が三股まで下ってホッと一息つけました。
この三股からの登行でYb氏の消耗が激しく疲れが溜まっていました。

しかし、さすがに大学で山岳部に入っていた人です。
泣き言ひとつ言いません。

 ここからの下山は、消耗した身体にとって厳しい高巻きの登り返しがあります。
それを乗り切って登山口へ戻ってきたのは17:00分でした。

 やあやあ、長い1日が終わりました!