井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

コイカクからペテガリ縦走 その3 ・ 11年8月

2011-09-06 08:44:37 | 日高山系の山
 8月28日(日)

 さあいよいよ核心部を歩く日がやってきました。
テントサイトから1839m峰が朝日に輝いているのが見えます。
    
 今日も良い天気です。
 
正面にはルベツネ岳が見えており、その左側に1600mピークも朝日に輝いています。
    
 テントサイトから見る稜線はサッシビチャリ沢の源頭部の稜線です。
一番左のピークが1600mのピークです。そこから右の稜線を歩くとルベツネです。
この稜線をぐるりと半円形状に歩くのが今日の行程です。
    
     北側を見るとカムエクも朝日に輝いています。

 朝食を済ませ、テントを畳みいよいよ核心部へ向けて出発です。
体調はまあまあです。
水をどの位い担ぐかみんなで検討しましたが、4リットルは必要でないかということになり、私は4.5リットルを持つことにします。

 5:15分、いよいよ長い稜線歩きに向かって出発です。
目標タイムは、1600mピークまで6時間、そこからルベツネまで4時間、さらにペテガリCカールまで2時間の合計12時間の長丁場を考えています。

 5分ほどでヤオロマップの山頂です。
そこから1569mピークを目指して降ります。
急な岩尾根を降ります。
ハイ松が順目なのでそれほど苦労はしませんが、このハイ松を逆目に登るのは相当苦労しそうです。
    
     朝一は頭と身体の働きが不十分ですので、慎重に降ります。

    
     30分ほど降って後ろを振り返るとヤオロマップの山頂が遠くなっています。

 体調は良いのですが、何しろ暑い!!
稜線歩きは直射を遮るものがないので暑いです。
おまけに標高が低くなると藪が濃くなってきます。
それでも、朝早くの元気がある身体ですからガンガン歩けます。

 7:30分、1569mピークに到着です。
ヤオロマップを出発してから2時間ほどで到達しました。
思ったより早いのでちょっと一息つけました。
このピークに1張り分のテントサイトがありました。
    
     草原に埋まってますが良いテントサイトです。

 次の目標は1600mピークです。
ここまで2時間、同じ様な距離ですので2時間で歩けると踏んだのですが・・・・
そうは問屋が降ろしてくれなかった・・・・

1569mピークから降るとさらに藪が濃くなってきます。
ルート自体は何とか分かるのですが横枝を張り出す樹木のせいでまったく進みません。
上空からは容赦なく太陽の光が照りつけます。
我慢、我慢の連続です。

それでも、10:50分、ようやく1600mピークに到着です。
    
 この辺りで私の体調が少しおかしくなってきました。
体の中に熱がこもり深い息が出来ないようになっています。
軽い熱中症でしょうか?
ノドが直ぐ渇いてしまいます。

それでも、気を取り直して進みます。
ここから一旦降って、1469mのコルから1688m間が一番藪の濃い場所です。
    
     いよいよ最核心部の藪漕ぎに突入です。

 この辺りは岳樺が太い幹を横に這わせています。
その様子がリンゴの木に似ていることから通称「りんご畑」と呼ばれているようです。
    
     このような岳樺が横に枝を張っています。

 このリンゴ畑では、何度もこの岳樺の枝を越えるのにかがんだり這ったりしてくぐり抜けました。
さらに、岳樺以外の小灌木も枝が伸び、その枝が横に伸びているので一本、一本の枝を両手で押さえながら前へ進みます。
小刻みに休憩を取らなければ息が続きません。
暑さのため水の消費がドンドン進みます。

 体調があまり良くないので、みんなが心配してくれます。
ファイントラックの下着を脱いで、プロポリスの飲み物をもらって、さらにキジを撃つと身体の熱が少し逃げていくような気がしました。

やっと登に入ります。
後ろを振り返ると1600mのピークが遠くなっています。
    

 15:00分、4時間ほど掛かって1688mに到着です。
イヤー、長かった!
ここまでの間は本当に苦しかったです。
休憩して歩き出すときにザックを担ぐ気持ちが湧いてきません。
本当に心が折れそうになりましたが、仲間に助けられて歩くことが出来ました。

 ここまで来ると藪は薄くハイ松が多くなります。
    
     正面にルベツネが大きく見えてきます。

左手にペテガリ岳が見えてきます。
さあ、もう一息だと自分に言い聞かせてザックを担ぎます。
    

1688mからは細い稜線歩きです。
左側はスッパリと切れた尾根ですが、ハイ松など掴まるものがあるのでそれほど怖くはありません。
ドンドン、ルベツネが大きく見えてきます。
さらに、今晩のテントサイトとなるCカールも見えてきます。
    

 Cカールに1張りのテントが見えます。
どうやら先客がいるようです。
夕暮れの時間が迫っているので急ごうとするのですが、この辺りでは全員疲労の色が濃くなり足が進みません。
尾根が狭く細いので慎重に歩きます。

    
     日高側から雲が湧いてきます。
     一番奥のピークがペテガリ岳です。

 いったい何時間あれば登れるかと思ったルベツネの登りも何とかこなして16:47分、ルベツネの山頂に到着です。
この山頂は思ったより広く、テント2張りを張れたでしょう。

 (ここで、1泊を考えても良かったかなとあとで反省しました。)

 さあ、Cカールまであと2時間、頑張り所です。
    
     ルベツネの山頂から肩に向かって歩きます。

    
     右のピークがルベツネの山頂、歩いてきた稜線を振り返ります。
     この両線も低いハイ松とはいえ、膝丈ですので思ったより歩きづらいのです。 
日暮れまであと1時間半ほどしかありません。
暗くなるまで出来るだけ先へ進まないといけません。
ルベツネの肩に向かって低いハイ松の上を歩きます。
右手は緩やかな斜面ですが、左手はカール壁ですのでスッパリと切れています。
登山道はこの切れ際に付けられています。

 注意して歩いているとKo氏が突然姿を消します。
ビックリして声を掛けるとこのカール壁へ足を踏み外したようです。
でも、ハイ松にしっかり掴まっていたので大事には至りませんでした。
自分で這い上がってきます。

全員が疲れてきているので声を掛け合いながら注意して歩きます。

    
 ドンドン陽が落ちてきます。
日高側は雲が掛かっているのでさらに日の落ちが早くなりそうです。

 18:05分、やっとルベツネの肩に到着です。
ここから急な岩尾根を降ります。
ここから100mほどの降りはハイ松の枝か背丈ほどあります。
幸いに降りは順目ですのでハイ松を両手で左右に分けるだけで降ることが出来ましたが、この斜面を登るとしたら相当苦労させられることは確実です。

足元が見えづらくなってきたので、トップをSu氏から替わって私が歩きます。
Su氏は薄暮の時間だと目が見えずらいのです。

30分ほど降ったところでヘッ電を使います。
陽が落ちて辺りが暗くなった頃、ようやくCカールの下降点辺りに着きます。
トップを歩いていた私は注意しながら歩いていたのですが、下降点を見つけることが出来ませんでした。
少し先にあるコブの向こうが大きく落ち込んでいるように見えたのでその先かと思い少し登りだしたときに後ろから「ここが下降点みたいだ。」と声が掛かります。

 戻ってみると確かに小さなピンクテープがハイ松に付けられ、ハイ松が少し切られています。
Su氏のGPSもこの地点が下降点だと指しています。

そこからSu氏、On氏、Ko氏、私の順に降ります。
いきなり急な降りです。
真っ逆様に落ちるような降りです。
両側の笹に掴まりながら少し濡れた土で滑るのを押さえながら降ります。
辺りは陽が落ちて真っ暗です。
目標となるものがありません。

そこで、笛を吹きCカールにテントを張っている人にヘッ電を付けてくれるように頼みます。
ヘッ電の灯りがつきました。
その電灯に向かって真っ直ぐに降ります。
途中でコースから外れたようですが、そのまま藪漕ぎをして降ります。

 19:05分、ようやく、Cカールのテン場に到着です。
疲れきった身体ですが直ぐにテントを張ります。

さて、水場へ水を汲みに行かなければいけませんが真っ暗な中では水場の位置が分かりません。
そこで、Ko氏から「今晩は、行動食を食べて寝て、明日の朝水汲みに行こう。」との提案がありました。

確かに水場の場所を正確に把握していないので、この暗さの中を水を汲みに行くのは危険です。
全員の水を集めると1リットルにもなりません。
そこで、On氏がテントを張っている人に水を分けてくれるように頼んでみます。
気持ちよく分けてくれた水でお湯を沸かしスープを作ります。
このスープとSu氏の持っているパンを食べて夕食にします。

時間は20時を過ぎています。
疲れた身体を寝袋に入れてまずは睡眠です。

 行動時間14時間、
 いやーぁ、今日は長い1日でした!