井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その6

2015-09-25 08:05:49 | 北アルプスの山
 九州に上陸した台風は日本海に抜けて北上中です。
夜半には時折強い雨に伴い強風が小屋に当たります。
遠くからゴーという低い唸り声のような音がして突然小屋の柱を揺らします。
柱のすぐ横に寝ていた私は柱の揺らぐ振動で目を覚ましてしまいました。

 こんな強風が空が白んでくる頃まで続いていたでしょうか。
その風も止み、明るくなってくると視界が開けてきます。
朝日小屋の食堂からは、目の下に富山湾が広がり、その向こうには能登半島が見えています。

 朝食も美味しくいただき、さあ、蓮華温泉に向かって下山します。
その前に目の前に見える朝日岳に登らねば行けません。

 8月26日(水)

 5:40分、小屋主の清水さんに見送られて出発です。
   

 小屋から少し降るといよいよ朝日岳に向かっての登りです。
朝一は、身体の動きをチェックするためにゆっくり登るのですが、身体の動きは快調のようです。
   
   朝日小屋の全景です。

   
   左の山肌を水平道が走っています。
   奥に見える山並みは白馬岳の稜線です。

小1時間ほどで朝日岳に到着です。

 6:30分、朝日岳の山頂です。
   
   曇り空ですが台風の影響はないようです。

   
   ふと、よく見ると虹が出ています。

 さあ、朝日岳からは千代の吹き上げに向かって一気に降ります。
6:50分、千代の吹き上げです。
   
   ここは蓮華温泉と栂海新道から上親不知への分岐点になります。

   
   朝日池の向こうには富山湾が見えています。

 この辺りから延々と木道が続きます。
そして、五輪の森までには雪渓から流れる沢を何カ所か越えながら降るのです。
その水辺に春の花が咲いています。
   
 
   

   
    風花になったチングルマの群落です。

   
    なんとアヤメも咲いてました。

   
   
 花々に癒されながら滑る木道に気を付けながら降ります。

 7:55分、五輪の森を通過します。
   

 この辺りから時々パラパラと雨が降ってきます。
雨具を着るほどの雨ではないのでそのまま歩きます。
   
   森を抜けると一気に視界が開けます。

   
   右奥には雪倉岳の姿も見えます。

   

   
   花園三角点という標柱が建っています。

 まだまだ先は長いのですが、遠くに見える山の中腹に赤い屋根が見えます。
どうやらあれが蓮華温泉のようです。
   

ここからまた森に入りどんどん沢に向かって降ります。
ずいぶん降ったと思ったら橋が見えてきます。
9:10分、白高地沢橋を渡ります。
   
   すごく立派な橋でした。

 少し登ってまた降ります。
時折り夕立のような雨が降ってきます。
雨具を着るのも面倒ですし、すぐ止むと思い木の陰に避難してやり過ごします。

また橋が見えてきます。今度の橋は、瀬戸川橋です。
9:55分、橋を渡ります。
   

 この橋を渡ると登山道が登りになります。
ゆるやかに登っていくと突然目の前に湿原が広がります。
兵馬の平のようです。
   

10:45分、湿原を横切るとさらに登りが続きます。
そろそろ蓮華温泉が近いと思い歩くのですが、なかなか着きません。
一度休憩しようかと思ったところで林道に出ます。
この先が蓮華温泉だと思い我慢して歩きます。

ようやく目の前に蓮華温泉の黒い建物が見えてきました。
11:20分、蓮華温泉に着きました。

 これで、今回の縦走が終わるのですが、実はこれから麓へ降りる手段に大きな問題を抱えています。
それは後で考えることにして、まずは1週間分の汗を流さなければいけません。
蓮華温泉のお風呂に直行します。

 さて、お風呂を独り占めして身体の汗を流してスッキリしました。
ここで問題の解決方法を考えなければいけません。
問題というのは、蓮華温泉から麓のJR平岩駅までの交通手段です。

この間には路線バスが走っているのですが、24日で夏の営業が終了してしまいました。
そして、週末の金曜日から月曜日だけの運行となっているのです。
ですから当てにしていたバスで平岩駅まで行くことができません。

バスを使って降るとしたら蓮華温泉に2泊しなければなりません。
もう一つの方法は、蓮華温泉から白馬大池目指して登ることです。
あとはヒッチハイクで誰かに乗せてもらうしかありません。

ヒッチハイクをすることに決めて小屋の人に泊まり客で下山する人がいないか聞きましたが、いないと言われました。
そうすると、あとは日帰りで入浴に来た人か白馬岳から降ってくる狙うしかありません。

雨の中、駐車場を見に行きます。
すると、結構な台数が駐車しています。
おまけにトイレの新築工事が行われているようで工事現場で働いている人もいます。
最悪の場合、この工事で働いている人達が仕事帰りで麓に降る車に便乗させてもらおうと思い、いったん温泉にもどります。

 途中で温泉から歩いてくる2人の男性がいます。
これは?と思い、声をかけてみます。
すると、乗せてくれると言います。

そんなことで、麓のJR平岩駅まで無事に送ってもらうことができました。

 今回の縦走もいろんな人に助けられました。
感謝!感謝!です。

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  今回の縦走ですがコースタイムを参考にしたところ8泊の予定でした。
 しかし、この予定を2泊分短縮することができました。
 まず1泊分は、初日のブナ立尾根をコースタイムより大分早く登ることができたため
 2泊目の船窪小屋まで歩けたためです。

  もう1泊分は、キレット小屋から唐松岳、白馬岳に泊まり、3泊目を朝日小屋での
 宿泊予定を、唐松岳を越えて天狗山荘に1泊しただけで朝日小屋まで歩いたためです。
 台風に追いかけられたという事情があったこともありますが、午後3時前には宿泊する
 小屋に着くことができていたのですから小屋にも迷惑をかけずに歩けたことになります。

  これで西穂高岳から朝日岳まで北アルプスの主稜線をほぼ歩いたことになります。
 まだまだ北アルプスで歩きたいルートはあるのですが、いったん、離れたいと思っています。
 次の目標は南アルプスです。
 
  まだまだ、本州に登りたい山がたくさんあります。
 自分の年齢との戦いの数年になると思っています。










北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その5

2015-09-22 21:45:25 | 北アルプスの山
 天狗山荘の夕食は名物となっている天狗鍋でした。
この鍋は、奉書紙を鍋代わりにした鶏肉の鍋でした。
薄味でしたが、さすがに鍋です。身体が温まります。

 濡れた衣服は乾燥室に干しましたが、数時間だけ石油ストーブを焚いてくれるのですっかり乾きました。
夕食後は少し暇な時間ができたので食堂で備え付けの山雑誌を読みます。
片隅には従業員の方たちが談笑しています。
北海道の話題がでていたので話に加わろうとしましたが、盛り上がった話の腰を折ると思い遠慮しました。

 今夜は宿泊客が少ないのでゆったりと寝られます。

 朝になって目を覚ますと窓の外が赤く染まっています。
私の寝ていた部屋は東側に窓がありましたので朝焼けが部屋に入ってきているようでした。
早速起きて朝日を見に小屋の外へ行きます。

      水平線がオレンジ色に輝いています。

 ジャケットを着ていないのですが、それほど寒くはありません。
そのまま座り込んで日の出を待ちます。
      少し厚い雲の中から太陽が昇ってきました。

      今回の縦走で初めて見た日の出です。
   やはり、日の出は荘厳ですね。

8月25日(火)

 朝食を済ませて、いよいよ朝日小屋に向かって出発です。
今日の天気ですが、午前中はいいようですが台風が九州に上陸し日本海へ抜けるということで午後には雨が降るかもしれません。
朝日小屋までは、コースタイムで10時間30分です。

 6:10分、天狗山荘を出発です。
   
   なかなかいい小屋でした。

   
   はるか前方に朝日岳が見えています。

 まずは目の前にある白馬鑓ケ岳を目指します。 
砂礫の登山道を歩きますが、足の運びはいいようです。
グングン登って6:55分、白馬鑓ケ岳に到着です。
   
    山頂標識の左に見えるのが白馬岳です。

   
    左が鹿島槍ヶ岳、右の一番奥に槍ヶ岳が見えています。

   
   長野県側(右側)は雲海に沈んでいます。
   これから歩く稜線が一望できます。
   右手に見えるのが杓子岳で、トラバースルートが見えます。
   中央が白馬岳です。

 次の杓子岳は巻道を歩き山頂はパスします。
丸山手前で杓子岳の山頂標識を背負った人を中心に3人の人が歩いてきます。
一番最後を歩いていた人はパトロールの人のようで、「どこまで行きますか?」といわれたので「朝日小屋までです」と答えると、水平道の残雪が薄くなっているので踏み抜きに注意するようにいわれる。
お礼を言って先を急ぐ。

   
   丸山から見た白馬岳です。
   目の下に見えるのが白馬岳村営頂上宿舎、山頂の右手に見える大きな小屋が白馬山荘です。

 いったん下って、再度登ります。
8:35分、白馬山荘を通過します。
   
   登山道を挟んで建物がある大きな小屋です。

 ここから山頂まで10分ほどですが、この登りが意外と苦しかったです。
白馬岳の標高は2、932mほどあります。
幾分空気が薄いのか、思うように足が出ない感じがしました。

 8:45分、白馬岳山頂に到着です。
   
   立派な山頂標識が据え付けられています。

   
   今日歩いてきた杓子岳に白馬鑓ケ岳が見えます。

 ここから馬の背を一気に下ります。
   

   
   目の前をヨチヨチ歩く雷鳥がいます。
   歩くのが遅いので追いつきそうになります。

 下の方に沢山の人が休んでいます。
9:15分、三国境の分岐でした。
   
   このまま真っ直ぐ進むと白馬大池方面、左に曲がると朝日岳です。

 さあ、この分岐を左に曲がります。
前方には誰もいません。
ここからは私一人のようです。
   
   すると、雷鳥の親子が4~5羽私の前をヨチヨチ歩いています。
全く雷鳥の歩き方は遅いのです。

   
   所々に咲いている花が心を和ませてくれます。

   
   途中で振り返ると右手に白馬岳が遠くなって見えます。

 鉢が岳の山腹を回り込み雪倉岳の避難小屋を目指します。
   
   雪倉岳の避難小屋です。

 10:25分、雪倉岳避難小屋前を通過します。
ここから雪倉岳への登りとなります。
ちょっとつらく長い登りでしたが、何とかクリア。
   

   
   この登りでも咲いている花が力をくれます。

 11:00分、雪倉岳の山頂に到着です。
ここで少し休み、長い降りに備えます。
   
  
   
   立山から劔岳が見えます。

 雪倉岳の山頂から長い降りが続きます。
その登山道の両側にも高山植物の花が咲き乱れています。
   

   

   

   

   

   

       足を止めては花の写真を写します。

 やっと長い降りを歩き終え、少し登ると右手にガラガラと岩が折り重なっている斜面が見えてきました。
ツバメ岩でした。
12:10分、ツバメ岩を通過します。
   

 この辺りまで歩いてくると目の前に見える大きな山肌は朝日岳の山腹です。
時折、雨がぱらついてきます。
雨具を着るほどでもないのですが、雨粒が大きいので上着だけ出して頭から被りザックを覆います。

 12:40分、やっと水平道の分岐まできました。
   
   ここまで来ると朝日小屋はもうすぐです。

 水平道は、文字通り朝日岳の山腹を朝日小屋のある水谷のコルへ向かって緩やかに登ったり降ったりしています。
2カ所ほど雪渓がありましたが、その下部を回り込んで歩きます。
この雪渓が融けたところにはアオノツガザクラの小さな群落がありました。
   
   雪の融けた山腹には秋の花が咲き、雪渓のソバには春の花が咲いている、花の時期が長いはずです。

 13:45分、朝日小屋に到着です。
   
   長い1日でしたが、今日も無事に歩き終えることができました。

 この小屋も食事が美味しいと評判の小屋なのです。
小屋主は、清水ゆかりさん、私よりは少し若い人です。

電話の話を聞くと、この小屋は無線の公衆電話が備え付けられており、その電話で予約を受け付けていたといいます。
しかし、この電話が故障してしまい、予約の受付ができなくなってしまったようです。
北アルプスを始めいろいろな山小屋に無線の公衆電話が設置されていましたが、10年ほど前から次々と取り外され北アルプスの山小屋で無線の公衆電話を設置しているのは朝日小屋だけになったようです。
そんなことでNTTも補修が利かないのかと心配していました。
来年は、予約方法を考えなければと気さくに話してくれます。

 濡れた物を玄関先に干して一段落、部屋で休みます。


  

北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その4

2015-09-14 09:55:42 | 北アルプスの山
 昨夜の夕食はハンバーグ(キレット小屋の名物らしい。)でした。
肉の噛みごこちがしっかりした美味しいものでした。
付け合わせのキャベツも沢山あり、野菜の摂取を心配していた身体には嬉しいものでした。

 明日の天気を見ていると、明日もいい天気のようですが、気になるのは台風15号の進み方です。
台風15号が沖縄に近づいており時速15キロと遅いスピードで北上しています。
数日で九州上陸もあり得るような状況です。
ここは少し行程を縮めなければいけないようです。


 8月24日(月)

 今日の予定は、五竜岳を越えて唐松岳の山頂手前にある唐松岳頂上宿舎です。
この山小屋までのコースタイムは6時間10分です。
しかし、今日は天気がいいのでその先にある天狗山荘まで歩きたいと思っています。
この部分のコースタイムは4時間50分です。
唐松岳から先には不帰の嶮(かえらずのけん)といわれている難所があります。
唐松岳頂上宿舎に11時までに着いたら先へ進むことにしました。

 5:30分、キレット小屋を出発します。
   
   昨日はガスに隠れていた横の山に日が差しています。

 今日は鎖場や階段が続く岩尾根ですのでヘルメットを被って気を引き締めます。
   
   これから歩くルートです。
   一番奥に見えるのが五竜岳でしょうか?

   
   こんなハシゴを登っていきます。

   
   私より早く出発していたご夫婦に追いついてしまいました。
   先を歩くご主人が奥さんに細かく指示を出して難所を越えています。

   
   後ろを振り返ると立山から剱岳の稜線がクッキリと見えています。

   
   五竜岳の姿も近くなってきます。
   堂々とした岩峰が空に向かって突き上げています。

 6:15分、口の沢コルに着きました。
   

 後ろには鹿島槍ヶ岳の雄姿が見えます。その山肌を黒部川を越えて雲が流れています。
   

 快調なペースで歩けます。小さなコブを越える度に景色が変わります。
そんなことで、後ろを見たり横を見たりしながら写真を撮ってしまいます。
   
    五竜岳への稜線です。

   
    どんどん大きくなってくる五竜岳、このどこを登るのだろうか?

   
    後ろに見える鹿島槍が岳も雲により姿を変えます。

   
    雲上の稜線、雲に浮かぶ立山から剱岳です。

 これらの景色を楽しみながら快調なピッチで進みます。
五竜岳から降ってくるグループとすれ違います。
五竜岳の真下で休憩を取り、最後の登に備えます。

   
   間近に迫る五竜岳の山頂です。

 8:10分、五竜岳に着きました。
   

   
   鹿島槍ヶ岳から歩いてきた稜線が一望できます。

そして、鹿島槍ヶ岳南峰の右肩に槍ヶ岳の姿も確認できます。
   
   北アルプスのラウンドマークといわれる槍ヶ岳、天を突く姿は存在感満点です。

   
   これから歩く稜線です。

   
   唐松岳も見えています。

 この先は鹿島槍ヶ岳が見えなくなると思いその姿を目に焼き付けます。
   

 五竜岳の岩峰部を降ると快適な稜線歩きの登山道となります。
ここまで来ると一安心です。五竜山荘を目指してドンドン降ります。

 8:10分、五竜山荘に到着です。
   
   ここで10分ほど休憩します。

 休憩後は唐松岳に向かって出発します。
この辺りでは唐松岳方面から歩いてくる人も多くなってきます。
   
   登っては降るの繰り返しです。

 目の前に大きな岩が見えてきました。
   
   大黒岳でしょうか?

   
   唐松岳が近くなってきました。
   稜線上に唐松岳頂上宿舎も見えます。

 10;45分、唐松岳頂上山荘に到着です。
   
 
 ここでは、小屋の周りに休んでいる人が沢山します。
私も休憩を取ることにします。
そして、11時前にこの小屋に着いたので天狗山荘まで歩くことにします。
そのためには水が少なくなったので小屋に買いに行くと自販機から買ってくださいと言われます。
500ccの水が3百円でした。

 この小屋に泊まった人の話では、小屋を新築したので北館は9千5百円で泊まれますが、新館は8百円増しだと言います。
そんなことを聞いていたので、この小屋に泊まるのは避けたいという気持ちになっていました。

 11:10分、唐松岳を越えます。
   

さあ、ここから先が不帰の嶮です。
山頂には休んでいる登山者がいたのですが、先へ進む人は皆無でした。
ここからドンドン降ります。
   

 11:40分、不帰2峰南峰を越えます。
      この先が不帰の嶮の核心部でした。

 鎖場も出てきて緊張します。
ただし、落ち着いて足場を捜せばそれほど問題のあるところはありません。
鎖場で下から登ってくる2人組がいます。
大きなザックを背負っています。
その人達は片手にストックを握り、汗だくになりながら鎖を両手で掴み力任せに登ってきます。

ちょっと危ない感じがしたので思わず「ストックを仕舞った方がよくありませんか?」と言ってしまいました。
先を歩いている人が、これはこれで使いでがあるのでと言っています。
これ以上言うことはないので、彼らが登り終えたので私は降ります。

      最後の降りです。
   最後は長い鎖場がありました。

これを慎重に降って、少し先へ行くと天狗の大下りのコルでした。

 13:55分、ここで休憩を取り次の登に備えます。
   
   ここから目の前に見える急斜面は標高差3百メートルあります。

 休憩後、天狗の頭目指して急斜面を登ります。
この斜面の登がなかなかきついのです。
我慢して30分頑張ります。
目の上に鎖場が見えています。
その下で休憩を取ります。

そこからもうひと頑張りします。
鎖場を登り終えると休憩している男性がいました。
挨拶して少し話をすると今夜は天狗山荘に泊まるといいます。
同じ宿ですが、声をかけて先へ進みます。

 天狗の大下りを登り終えたところが天狗の頭だと思っていましたが、標識がありません。
目の前にはなだらかな砂礫地が広がっており、その真ん中に登山道があります。
ほとんど平坦に近い登山道ですのでドンドン先へ進みます。

 14:30分、天狗の頭に到着です。
   

 さて、天狗山荘がどこにあるか探しながら歩きます。
ずーと先に雪渓が見えます。
どうやらその辺りに天狗山荘があるのではないかと思いラストスパートをかけます。

   
   狙い通り、雪渓の横に天狗山荘がありました。

 14:50分、天狗山荘に到着です。
   

 ここは、目の前にある雪渓の水を自由に使えます。
そんなことで足を洗い、身体も拭きます。
久しぶりに冷たい水で身体や顔を拭くことができたのでスッキリしました。

 さて、ここで問題が発生です。
明日の宿を朝日小屋にしようと思っていました。
受付の女性が朝日小屋に予約しているか尋ねるのでこれから電話しますと伝えると、朝日小屋の電話が故障して使えないといいます。
予約するにはHPかメールでするのだといいます。

さて、私は朝日小屋の電話番号をメモしてますが、その中に携帯番号はありません。
受付の女性が朝日小屋の携帯番号を教えてくれるといいます。
その番号にメールで明日の予約を入れて一安心。

後は小屋でのんびり昼寝を楽しみます。

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   小屋泊まりの料金と飲料水について

   今回はすべて小屋泊で縦走を行いました。
  小屋泊の料金ですが、2食付きで9,500円がほとんどでした。
  1カ所だけ9,300円と言う山小屋がありました。
  その中で唐松頂上宿舎が旧館は9,500円ですが、新館は800円増しとのことでした。
  
   9,500円という金額は決して安いものではありませんが、この小屋があるお陰げで
  日帰り装備で縦走ができるのです。
  テント泊ではテントに食料などを背負わなければなりません。
  それでは、高齢者がこの稜線を縦走するのは不可能です。

   それに、小屋を維持するのは大変なことだと思います。
  しかも半年ほどしか営業できないのです。
  これらのことを考えるなら9,500円の料金もやむを得ないものだと私は思います。

   さらに、飲料水ですが、小屋によっては天水に100%頼っている小屋も多いようです。
  宿泊者も水1リットルの無料券を渡され、それ以上は有料で水を得なければなりません。
  天狗山荘は目の前にある雪渓の水を一旦汲み上げて水道のように蛇口から出ます。
  しかも、無料です。
  朝日小屋は、朝日岳から流れる沢水をホースで小屋まで引いています。
  どの小屋も水をどう確保するかに知恵を絞っています。
  
  そんな事情がありますので、水は大事に使いたいものです。

 


北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その3

2015-09-13 07:54:46 | 北アルプスの山
 昨日は夕方から雨が上がり青空が顔を出してきました。
今日からやっと天気が回復しそうです。
朝食を食べるときには青空が広がっています。

 8月23日(日)

 今日は鹿島槍ヶ岳を越えて八峰キレットに挑戦です。
キレット小屋までコースタイム6時間30分、でも、天気がいいので楽しく歩けそうです。

 6:05分、種池山荘を出発します。
   
   青空が広がり、申し分のない天気です。

 まずは爺が岳を目指して歩きます。
   
   ゆったりとした登りが続きます。

 前には鹿島槍ヶ岳の姿がくっきりと見えてます。
   

 後ろには立山が姿を見せてくれます。
   

そして剣岳も見えています。
   

まさに、後立山連峰にいることを実感させられる風景が広がっています。

 6:40分、爺が岳の南峰に到着です。
   
 空気がヒンヤリしており、軽く汗ばむくらいで到着です。
山頂からはいっそう大きくなった鹿島槍ヶ岳が早く来いと誘っています。
   
後ろを見ると種池山荘が見えています。
   

 ここは休憩なしで先へ進みます。
冷池(つめたいけ)山荘から歩いてきたグループとすれ違います。
登山道は広く快適です。

   
   鹿島槍ヶ岳、見れば見るほどいい姿をしています。
  
   
   そして剱岳、岩の殿堂という名に恥じない姿を見せてくれます。
今日は周囲の山を堪能しながら幸せな歩きが続きます。

   
   赤岩尾根分岐です。
   ここまで来るともうすぐ冷池山荘です。

 7:40分、冷池山荘に到着です。
      実は、昨日ここまで来ることはできたのですが、この小屋が激混みとのことでしたので手前の種池山荘に宿泊しました。
ここでちょっと休憩します。
   
   小屋の横にあったお花です。

 10分ほど休んで出発します。
小屋から5分ほど先にテントサイトがありました。
この点とサイトは最高です。
何がいいって劔岳が目の前に見えるのです。

 ここからの登山道はしっかり整備されており快適に歩けます。

 8:40分、布引山を通過します。
   

      リンドウでしょうか。

 9:30分、快適な登山道を登り、念願の鹿島槍ヶ岳に着きました。
   鹿島槍ヶ岳は、二つの頂を持っています。
今いる山頂は南峰です。
ここでしっかり休憩を取り、周囲の眺望を楽しみます。

 さあ、北峰に向けて出発です。
歩き出してすぐに今までと違って岩々した登山道となります。
ここから先はちょっと落石などの恐れがありそうですので、ヘルメットをかぶります。

 一気に降り北峰とのコルへ降ります。
先ほど沢山の人が南峰へ向かって歩いていたのですが、北峰へ歩く人は少ないようです。
コルから北峰へ向かって登ると降ってきた単独の男性が「上には誰もいないから、気を付けて!」と注意してくれます。
お礼を言って登ります。

 10:10分、北峰に到着です。
   

 さあ、ここから八峰キレットまでの降りがきつかった。
転がり落ちそうな急斜面、それも岩々した登山道が続きます。
滑り落ちないように、岩角に足を取られないように慎重に歩きます。
その歩きも40分ほどで、目の前に大きな岩が見えてきます。
登山道の横に小さな標識があり、八峰キレットと書かれています。

 さあ、ここからはいっそう慎重に歩かねばなりません。
   
   最初の難所を歩いてから振り返ったところです。
   岩には鎖、鉄製のハシゴが足場替わりに設置されています。

   
その先は大きな岩に両側を挟まれ、狭くなっています。
一番奥にはハシゴが見えています。

   
   鎖があるところは鎖から手を離さず慎重に歩きます。

   

 最後にあるのが足場が宙に浮いているので角材を縛り付けているところです。
   
   ここはほんの2~3歩ですので鎖を掴みながら抜けます。

 最後にはしごを登ると上から声が掛かります。
上を見るとパトロールの男性が立っています。
どうやら、このルートを歩く人を見守っているようでした。
「小屋まで後5分くらいですが、急斜面なので注意して降ってください」と注意してくれます。

      目の下に、ボンヤリ小屋が見えてきます。

 11:00分、キレット小屋に到着です。
   

 八峰キレットの通過にはほんの10分ほどですが、ちょっと緊張しました。

 ちょっと早い時間ですが、今日はこの小屋にお世話になります。
受付をすると、小屋番の方から「予約しているか」と聞かれます。
「予約はしていない」と答えると、この次から必ず予約してくださいと言われる。
キレット小屋は小さな小屋なので予約なしで泊まると部屋が確保できないことがあると言われる。
「分かりました」と答えたが、このルートをこの先歩くことがあるかな?と思い、ちょっと複雑な心境でした。

 夕方、ガスが晴れると目の前には夕焼け空をバックに剱岳の姿が見えました。
      言葉が出ない、息を飲むような景色です。
こういう光景に出会えるから山に登っているのです。
 
    
 

北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その2

2015-09-10 19:08:12 | 北アルプスの山
 昨夜は雨が降ったり止んだりでした。
今日の天気も信濃大町では曇りですが、山の天気はどうでしょうか?

 8月21日(金)

 朝6時に朝食をとります。
船窪小屋の朝食は、これもまた気を遣った朝食でした。
しかし、天気の具合がパットしません。
時折パラパラと雨が降ってきます。

 今日は針ノ木小屋まで行ければいいと思っています。
コースタイムでは6時間ほどかかります。
出発を8時にしても午後2時には着くことができます。
もう少し天気の様子を見て出発することにします。

 7時を回ると空が明るくなってきます。
雨も降っていません。
出発の準備をして船窪小屋とお別れです。

 7:30分、小屋の皆さんに見送られて出発です。
   
   女将さんが別れの鐘を鳴らしてくれます。

 一面のガスですが空は明るく光っています。
10分ほど歩くと七倉岳です。
ここで、大きなザックを背をっている単独の人に会いました。
   
   彼も、針の木を目指すようです。

 七倉岳から七倉乗越しめがけて約2百メートルほど降ります。
この降りもなかなかの急斜面です。
やっと降り終えたと思うと目の前には急斜面が待ち構えています。
ここから次のピーク北葛岳には2百20メートルほど登ります。

 時折雨が降ってきます。
ガスも濃くなってきます。
我慢の登りが続きます。
8:50分、北葛岳のピークまできました。
   
   雨の中では休む気もしないので、今度は北葛乗越し目指してまた降ります。
この降りも痺れるほど急でした。

 途中で単独の男性2人にすれ違いました。

   
   ガスが薄くなって来たときに針ノ木小屋が見えました。
   針木岳と蓮華岳のコルに赤い屋根が見えました。

   
   歩いてきた七倉岳方面です。

   
   針木岳と蓮華岳に掛かっている雲が薄くなって来ました。

 天気が回復するかと思いどんどん降ります。
   
   前方にボンヤリと見える巨大な岩に驚きました。
近づくにつれてその岩の大きさにさらにビックリです。
   
   この岩のどこにルートがあるか目を凝らして見ましたがよく分かりません。
近くへ行けば何とかなると思いさらに降ります。

 9:25分、北葛乗越しに着きました。
目の前にはロッククライミングの岩が聳えています。
これが、蓮華の大崩でしょうか?
とりあえず雨を避けるために木の幹の横で休憩します。
ここは目の前の難敵に備えて軽く口に物を入れ水も飲んで気を落ち着けます。

 10分ほど休んで岩場に進みます。
よく見るとロープや鎖が取り付けられています。
雨に濡れている岩は滑るので慎重に登ります。
すると上から降ってくる人がいます。
先に降ってもらうように声をかけて、私は落石があっても大丈夫なように岩陰に避難します。

 大きなザックを背負った単独の男性が降りてきます。
彼が落石の直撃を受けない場所まで降ったことを確認してから私も登ります。
15分ほど登ると難所が過ぎたようで傾斜が緩くなってきます。
登るに従って左手の沢から吹き上がる風が強くなってきます。

 やがて、登山道は砂礫地にジグを切って上へ延びるようになります。
風が左腕に当たり寒くなってきます。
船窪小屋を出るときに気温が高いので半袖で来たのです。
それがアダとなったようです。
しかし、風が強くなってきたので雨具を脱いで着替える気がしません。
とりあえず風の当たらない場所を目指して登ります。

   
   この砂礫地はコマクサの群生地でした。
すでに盛りは過ぎていますが、可憐な花があちらこちらに咲いています。

 10:55分、蓮華岳に着きました。
   

   
   山頂標識のすぐ横にはお宮があります。
   ここで、今回の縦走を無事に歩き通すことができるようにお祈りします。

 ここからは降りになります。
寒いので少しスピードを上げて降ります。

 11:35分、針ノ木小屋に着きました。
   
   小屋の屋根が見えたときにはホッとしました。

 玄関先で雨具を脱いで中へ入ります。
受付をしようとすると、乾燥室があるのでそこで雨具などを脱いでから受付してくださいと言われました。
乾燥室には石油ストーブが燃やされています。
その暖かさが心に染みます。

 とりあえず雨具やザックカバーなどを乾燥させて受付を済ませます。
部屋に入ってから濡れた衣類を全部脱いで乾燥室で乾かすことにします。
ついでに軽く食事を取ることにします。
アルミカップに水を入れて石油ストーブの上に置きます。
できたお湯に粉末のコーヒーを入れて飲み物にします。
冷えた身体を温かいコーヒーがお腹たまります。

体が温まったところで部屋へ戻りウトウト軽く寝ます。

   
   午後にはガスが晴れて七倉岳や北葛岳が見えるようになってきました。

   
   昨日、苦労して歩いた不動岳から先は雲の中です。

   
 8月22日(土)

 朝の天気は昨日と同じようにガスで一面覆われています。
時折、強い風も吹き雨もパラパラと落ちてきます。
今日の行程は、種池山荘までコースタイム7時間40分ほどです。
朝食を済ませてから天気の様子を見ます。
今日の予報も昨日と同じ信濃大町は曇りなのです。
後半は回復するようですが、それも山ではどうなるか分かりません。

 あまり代わり映えしない天気ですがこれ以上悪くはならないと踏んで出発することにします。

6:40分、針ノ木小屋を出発です。
   

 今日は5つのピークを越えなければなりません。
まずは針木岳を目指します。
軽く岩々した登山道をゆっくり歩きます。
身体の調子はいいようです。
足がスムーズに出ています。

 7:20分、針木岳を通過します。
   
あたりは一面のガスです。眺望もないのでどんどん先を目指します。
不意に後ろから抜かれます。
ビックリして抜いた人を見ると、なんと上は雨具を来ていますが下は短パン姿です。
背負っているザックも小さなものです。
どうやらトレランの人のようです。
この人の後にも数人に抜かれました。

 7:50分、スバリ岳を通過します。
   

 トレランの人も後ろの人は装備もしっかりしてきます。
上下の雨具をしっかり着ている人が多くなります。
天気は相変わらずです。
風が吹いたり、雨がパラついたりと目まぐるしく変わります。

 9:00分、赤沢岳に到着します。
   
   ここで、風陰を探して休憩します。

 9:40分、鳴沢岳を通過します。
鳴沢岳から降ると新越山荘が見えてきました。

 10:05分、新越山荘に到着です。
   
   玄関を探すと地下にあるようでした。

 外に椅子とテーブルがありましたが、風が吹き抜け寒いのです。
玄関先で休ませてもらおうと思い中へ入ると上がり框に段ボール紙が置かれています。
小屋の方が、「雨具のままで休んでいいですよ」と言ってくれます。

 ご厚意に甘えて濡れた雨具のままで上がり框に腰掛けます。
ご厚意に甘えっぱなしでは気が引けるので、ホットミルクを注文しました。
甘く熱いホットミルクを飲みながら軽食を食べます。
そうするとまた元気が湧いてきます。

 35分ほどゆっくり休んで出発します。
ここから種池山荘までの道は緩やかで気持ちよく歩けました。

 11:15分、岩小屋沢岳を通過します。
   
何組かのツァー客とすれ違います。
天気も空は明るさを増し、時折、太陽の姿も見えるようになってきました。
と思ったら、パラパラと雨が落ちてきます。

 快適な土の道を気持ちよう歩いていると目の前にテントが見えてきます。
   
   種池山荘のテン場でした。

 12:20分、種池山荘に到着しました。
   
   小屋の前のベンチに人が溢れています。

 部屋に案内されて窓の外を見ていると、雨が上がり青空が覗いてきます。
   
   明日登る爺が岳が見えてきました。

 そして正面に蓮華岳と針木岳も姿を見せてくれました。
   
   
   
   中央に白く見えるのが針ノ木雪渓です。
   雪渓の左が蓮華岳、右が針木岳ですが山頂は雲の中です。

   
   今、歩いてきた岩小屋沢岳方面も雲が晴れてきました。

 明日の天気は期待できそうです。

 さて、トレランの人達ですが、どういうルートを走っていたかというと、扇沢から目の前に見える針ノ木雪渓を登り、私が歩いたルートを同じように走り、この種池山荘から柏原新道を降り扇沢へ向かうという1週ルートを走り抜けたようです。     

北アルプス・烏帽子岳から朝日岳へ縦走! その1

2015-09-05 08:47:39 | 北アルプスの山
 今年も北アルプスへ出かけてきました。
本州の山はこれで4回目となりますが、以前の3回も北アルプスを歩いています。
1回目は2008年9月に西穂高岳から槍ヶ岳の縦走、2回目は2009年9月に剱岳を早月尾根から登り立山と大日三山を縦走、3回目は2012年8月に表銀座の燕岳から裏銀座の烏帽子岳を縦走しました。

 今回は、前回の烏帽子岳から北へ向かって後立山連峰を縦走して朝日岳まで歩こうという計画です。
これを歩き切ると西穂高岳から朝日岳まで飛騨山脈の背骨を歩いたことになります。

 
 8月19日(木) 

 札幌を夕方に出発して千歳からジェットスター機で成田へ飛びました。
成田から新宿へ出て、ここから「さわやか信州号」の深夜バスに乗り信濃大町へ向かいます。
新宿を23:00分に立ち、信濃大町に着いたのが翌朝4:30分です。

8月20日(金)

 さて、ここからどうしようか?と思っていると、目の前にあるタクシー会社の方から声がかかります。
「どちらまで?」といわれたので「高瀬ダムまでいきたいのですが」と答えます。
さっそく、タクシーに乗せられ高瀬ダムへ向かいます。
乗客は私1人です。

 高瀬ダムは、七倉(ななくら)で時間制限がかかっており、5:30分にならなければ七倉から先へは進めません。
この時間を利用して登山届けを書いて出します。
七倉には宿がありここに泊まった登山者もいるようです。
私の車の他にタクシーが2台、ジャンボタクシーが1台待機しています。

 よく見ると料金表が張ってあります。
信濃大町から七倉まで6,200円、七倉から高瀬ダムまで2,200円とあります。
しかし、タクシーの運転手さんは1人なので8千円でいいといってくれます。

 5:30分、タクシーが動きます。
15分ほどで高瀬ダムに到着です。
   

 5:50分、登山準備をして突堤の上を歩きます。
突き当たりのトンネルを抜けると吊り橋があります。
   

 左手に曲がり川原に出ます。
   
   正面に滝が落ちています。

 左手の山がブナ立尾根です。
6:10分、ブナ立尾根下の登山口に到着です。
   
 
 さあ、ここから北アルプス3大急登といわれるブナ立尾根です。
空気はヒンヤリしており寝不足ですが身体は動きます。
ゆっくり、ゆっくり、と言い聞かせながら登ります。
階段が次々に現れてきます。
それを一つ一つ丁寧に登ります。

 汗が噴き出し、全身がずぶ濡れの状態です。
時折、ポツリポツリと雨が落ちてきます。
雨具を着るほどでもないので、そのまま歩きます。

 8:10分、三角点に到着です。
   
   沢の奥に見えるのは不動岳でしょうか。

 尾根の傾斜が緩んできます。
尾根が大分近くなってきました。
最後の一登を越えると左手に青い屋根が見えています。

 9:15分、烏帽子小屋に到着です。
   

 小屋の前には花壇のような花が咲いています。
   
 
 さて、今夜はこの烏帽子小屋に泊まるつもりでした。
調べていたコースタイムでは、高瀬ダムからここまで6時間ほどかかるとありました。
しかし、まだ、9時を少し回ったところなのです。

 空をみてみると高曇りですが視界はあります。
ここから先へ進むと次は船窪小屋まで宿はありません。
その船窪小屋へは、やはり6時間ほどかかるのです。

 午後4時までには着くと踏んで先へ進むことにしました。
   
   昨年歩いた三ツ岳方面です。

   
   北海道では見かけない花です。

   
   烏帽子小屋から15分ほど歩くと烏帽子岳の山頂が見えてきました。

 9:40分、烏帽子岳山頂への分岐に着ました。
   
   ここから山頂を往復すると30分はかかります。

 先へ進まねばなりませんので山頂はカットします。

   
   イワギキョウですね。
   
   こんな岩の隙間にもしっかり咲いていました。

 左手の対岸には立山が見えています。
   
   そうです、左手の谷は黒部川なのです。
 
 右手には朝から登ってきた高瀬ダムが見えています。
   

   

   
   名前も知らない花に癒されます。

 やがて、右手が大きく崩落している尾根に出ます。
      高瀬ダムに流れ込む沢ですが、大きく崩落しています。
   
   ここは慎重に下ります。

      高瀬ダムの向こうには燕岳や餓鬼岳が見えています。

   
   ダム湖の右手に見える尖った山は槍ヶ岳です。

 上の方から降ってくる人達がいます。
7~8人のグループでしょうか。
話をすると船窪から烏帽子小屋に向かって歩いているとのことです。
朝6時に船窪小屋を出発しているということですから、私も頑張って歩かねばなりません。

 11:40分、不動岳に到着です。
   

   
 
 不動岳からさらに降ります。
今日は、この後も登っては降るのを繰り返さなければなりません。

 13:30分、船窪第2ピークに到着です。
   

   
 
 さて、やっと登ったと思っても次の下りが待っています。
      何ともはや急な下りです。

 ロープにワイヤーなどが設置されています。
しかし、鋼鉄製のワイヤーには気を付けなければいけません。
所々ワイヤーの一部がほつれて飛び出しているのです。
これをまともに握ったりすると手の平を傷つけてしまいます。

      高瀬ダムの奥が見えてきました。

   
   降りきった先にはハシゴが待っています。

 大きく降り登返して、14:20分、やっと船窪岳の山頂です。
   

 ここからまた大きく降ります。
そして着いたのが、船窪乗越です。
14:35分、乗越に到着です。
      ここから左手に降ると黒部ダム湖に行けます。
   そこには平らの渡しがあり、対岸へ船で行くことができます。

 さて、ここから七倉岳へ向かって最後の登が待っています。
この登がきつかった!!
30分歩いては休憩をとります。
何とか登り切ったところにキャンプサイトがありました。
   

15:20分、キャンプサイトまで来ると船窪小屋まで20分ほどです。
ここでゆっくり休みます。

 お茶会の時に聞いた話ですが、このテントサイトに船窪小屋が建てられていたとのことです。
しかし、山頂部からの残雪が小屋を押して傾くなど危険な場所であったことから現在の場所に建て替えたとのことです。
このテントサイトは、歩いて5分の所に水場があります。
この水が利用できることからこの場所に小屋を建てたようです。

 さあ、ここから目の前に見える階段を登らねばなりません。
それを登りきるとあとは七倉岳をトラバース気味に歩いていくだけです。
15分ほど歩くと船窪小屋が見えてきました。
   

15:45分、船窪小屋に着きました。

 やれやれ、長い1日でしたが、雨にもそれほど降られず、まずまずの天気だったのは良かったです。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★      

  船窪小屋は夕食が評判の小屋です。
  この日の夕食も山菜の天ぷらなど意匠を凝らした物が沢山出ました。
  お米も古代米を使っており紫色をしていました。

  さらに、夕食後にお茶の時間があり、今夜は泊まり客が6名と少ないので自己紹介など
  も行い、和気藹々とした時間を楽しむことができました。

  こんな家庭的な雰囲気が人気を呼ぶのでしょう。
  泊まり客の中に1人いた女性は、連泊して船窪小屋での生活を楽しむようでした。

剱岳から立山、大日三山を回る・その3

2012-12-31 07:47:55 | 北アルプスの山
 9月10日

 身支度を整えて食堂へ行くと窓の外は真っ白です。
玄関を出入りしている人達が口々に「寒い!寒い!」といってます。
確かに玄関から吹き込んでくる風は冷たい風です。

 朝食を済ませて出発の準備をします。
今日は立山を越えて室堂までですので時間はタップリあります。
受付にいる小屋番の男性にお礼を言って玄関をでようとすると「これ、記念に!」といってキーホルダーをくれます。
今回、Akさんのザックを受け取ったことで随分便宜を図ってもらいました。

 さて、玄関を一歩でると冷たい風がワーッと身体に当たります。
小屋の温もりを身体から一吹きで奪うような風です。
私の出で立ちは、ウインドブレーカー代わりに着ている雨具のジャケットの他はいつもの服装です。
下はズボンだけです。
でも、この服装で我慢できないことはありません。
なんせ、真冬でもズボン下は素肌という生活を何十年もしているのです。
真冬の北海道に較べれば寒いといっても我慢できないはずはありません。

 6:30分、剱御前小屋から砂礫地の急な登りをゆっくり登ります。
少しずつ身体が暖かくなってきます。
視界は20~30mほどでしょうか。
天気が良ければ左手には目の下の剱沢から剱岳が見えるはずなのです。

 モクモクと歩きます。
登山道の横にあるハイ松を見ると白いものが枝先についています。
よく見るとエビのシッポでした。
   
 これにはビックリしました。
寒いと思っていましたが、まさか9月の中旬で本州の山でエビのシッポを見るとは思いもしませんでした。
本州といえども三千メートルの山は侮れないですね。

 傾斜が緩くなってきたと思ったら前方に何か黒い影が見えてきました。
   
   どうやら別山山頂のようです。

 6:55分、別山山頂に到着です。
   
    社はしっかりとした石積にガードされています。
この社の奥に剱岳が見えるはずなのですが・・・
寒いので手を合わせるだけにして先へ向かいます。

 いくつかのアップダウンを繰り返しますが、それほど大きなものはありません。

 7:35分、真砂岳への分岐で一休みします。
風が強いのでハイ松の陰に隠れます。
ここで、真砂岳へ行くか考えましたが、この天気ですので山頂に着いても何も見えないはずです。
何も見えない山頂は興味がないのでパスすることにしました。

 8:05分、富士の折立に到着です。
   
    後ろのボーッとした黒い岩山が富士の折立山頂です。

 ここも休まずに先へ向かいます。
10分ほどで大汝山休憩所に着きました。
   
    ここで一休みします。
 この大汝山休憩所には管理人の方が1人いました。
今日は天気が悪いので休憩料はいらないといいます。
この休憩所は非難小屋も兼ねているので悪天時には登山者の非難小屋として使うためだと教えてくれます。
 
 管理人話では、昨夜の寒波で外にある水のタンクからの配管のとこかが凍ってしまったようで水が使えないといいます。
ストーブの上のヤカンに私の持ってきた水を入れて湧かします。
そのお湯でコーヒーを入れてくれたので、ストーブに当たりながらいろいろな話をしました。

 興味を引いたのは、この周辺には遙拝所が数多くあるようだとのことです。
大学の先生がそれらの研究に来ているようです。
また、ここから見える剱岳は素晴らしくいろいろな天候の中で写した写真なども見せてくれます。
話に花が咲いて、何と3時間近くもこの小屋で時間を潰してしまいました。

 11:00分、小屋の直ぐ脇にある大汝山に登り、雄山へ向かいます。
   

 20分ほどで雄山に到着です。
時折雲が薄くなって上空が明るくなってきました。
   
    社殿の前からうっすらと山頂が見えます。
   
    社殿の全景です。

 山頂へ向かうと関所のような柵で囲まれています。
   
   この柵の奥にはいるにはお金がいるようです。
看板には、この先の土地は立山神社の所有地とあります。
何と入山料を取るというのです。
ちょっと商業的な胡散臭さを感じてしまいました。
山頂からの景色がそれほどいいわけでもないので柵の外から写真を写してお別れです。
   
 
 雄山から一の越へ向かって降ります。
途中で雲は切れてきます。
   
    室堂が見えてきました。
   

 一の越までの登山道は大小の岩がゴロゴロしており足元に浮き石も多いです。
注意しながら降っているとこの寒さの中手袋もしないで登ってくるお年寄りがいます。
手が冷たそうなので私の手袋を譲って上げます。

 12:00分、一の越山荘に到着です。
   
    なかなか立派な小屋でした。

 ここから室堂までは綺麗に整備された石畳の道を降ります。
   
   この石畳の道は綺麗なのですが登山靴で歩くのはゴツゴツしてとても歩きにくいです。
かかとが痛くなってきます。

   
    途中にあった祓堂です。

 13:00分、室堂に到着です。
早速、室堂ターミナルの中にある売店でAKさんのザックを荷造りして宅配便で送ります。
段ボールやガムテープは剱御前小屋で貰ってきましたので作業は簡単です。
Akさんにザックを送ったとの連絡も入れておきます。

 ターミナルの中は人で一杯です。
今日は天気が悪いので散策する人も少ないようです。
   
    ターミナルをでるとパーッと雲が晴れて立山が見えてきました。

 ここから今日の宿となる雷鳥沢ヒュッテへ向かいます。

   
    みくりが池です。

 そして地獄谷を通ります。
   
    亜硫酸ガスが吹き出ています。
    このガスを吸い込むと咳き込んでしまいます。
   
    ガス警報装置がありました。

地獄谷を少し登ると雷鳥沢ロッジが見えました。
   

 13:30分、今日の宿へ着きました。

 このロッジには温泉があります。
早速、3日間の汗を流しに温泉へ向かいます。

 昨夜泊まった剱御前小屋は、水源が無く雨水しか使えないため水は貴重品でした。
しかし、剱御前小屋から真っ直ぐ降るならわずか2時間ほどの距離にあるこの室堂は
水は豊富なばかりか温泉まであるのです。

 今日は汗を流し綺麗な身体になったのでグッスリ寝ることができます。
   
 

   

剱岳から立山、大日三山を回る・その2

2012-12-27 20:16:10 | 北アルプスの山
 9月9日
 
朝食を取らずに出発した2人組がいないので朝食を食べるお客は私を含めて3人だけです。
小屋の人に「2千8百メートルから上は気を付けて!」といわれて小屋をあとにします。

 5:50分、6時出発の予定でしたが少し早めに出発することができました。
天気は上々です。
いきなりジグを切る急登ですがゆっくり登っていきます。
一息ついたところで後ろを振り返ると早月小屋がもう目の下です。
   
 
 上に目を転じると剱岳の本峰が覆い被さるように見えます。
   

 途中で斜面に陽が差してきます。
そこに、先に出発した2人組がガスでお湯を沸かし朝食の準備をしています。
「お先に!」といって先へ進みます。

 左側の尾根がいよいよ間近に見えてきます。
   
 急峻な岩場が続く尾根です。
岩登りをしたことがない私にとっては登りたくても足を入れることのできない尾根です。

 途中で1回休憩を入れます。
登山道が岩イワしてくると所々に鎖場などが現れます。
まあ、慎重に登れば何ということはありません。

 この登山道を歩いている人は私を含め3人だけです。
回りに人影もないので自分のペースで歩けるのが嬉しいです。

 小さな岩陰を回り込むと2千8百の標石がありました。
   
 7:35分、ここで一息つきます。

 ここでザックからヘルメットを出して被ります。
上を見ると山頂部が手の届きそうなくらい近くに見えます。
   
 
 気合いを入れて山頂へ向かいます。
岩場を一つ一つ慎重に登ります。
ホールドやスタンスの岩もしっかりしているので怖がる必要はありません。
浮き石に足を乗せないようにして登っていくと山頂に続く痩せた岩尾根にでます。
そこから5分ほどで山頂でした。

 8:20分、剱岳の山頂に到着です。
   
 思ったより時間も掛からずに登れました。
山頂には7~8人が休んでいます。

 目の前には立山が見えています。
   
 なかなか雄大な姿です。

 そして雲海を挟んだ向こうには鹿島槍ヶ岳や白馬岳が見えています。
   
   
 私は、この周辺の山はほとんど初めて目にします。
隣にいた人に山座同定をお願いすると快く教えてくれました。

   
   岩いわした尾根が目の下に続きます。
そして目に下の谷にはテントが一張り見えます。
   
 岩の殿堂剱岳といわれる山です。
ここにテントを張って岩登りをしているのでしょう。
私には羨ましい世界を堪能している人達です。

 山頂にはおよそ1時間ほどいたでしょうか?
天気が良いので周りの山を見ていても飽きないのです。
しかし、そろそろ下山しなければ行けません。

 9:40分、下山します。
下山途中でAkさんがどこで間違って早月尾根へ降りてきたのか見ていると、なるほど小さな標識があるだけです。
これでは、別山ルートと早月ルートの分岐は注意していないと見逃してしまいます。

 所々に書いてあるペンキも薄くなっているところがあります。
私もかにのヨコバイのところでタテバエへ間違ってはいるところでした。
登ってきたガイドさんに言われて気がつきました。
横を見ると小さな鋼板にカニのヨコバイと書かれていました。
   
 カニのヨコバイを下から見たところです。
この左右の岩溝に足を入れて鎖を掴みながらトラバースします。
そこから梯子場や鎖場が続きます。
   
 
 目を左に転じると早月尾根の最上部が見えています。
   

 ここから少し降るとカニのタテバイがよく見える場所に来ました。
   
   まあ、豆粒みたいに見える人達が岩に張り付いて登っています。
 このルートが一般ルートというのは、かなり難易度が高いと思います。

 カニのタテバイを見ていると10名ほどのツァー客が登ってきます。
私の入る場所は横幅1m50はあるちょっと広くなった場所なのですが、
この場所を山肌にへばり付く様に登っている人がいます。
思わず、この人達が、あのカニのタテバイを登れるのか?と首を傾げてしまいました。

 人のことはさておいて、快調に岩場を降ります。
やがて、10:05分、前剱に到着です。
   
 ここまで降って来ると剣の山頂も遠くなります。

 10:35分、前剱下のコルで休憩を取ります。
目の下には剣山荘や剱澤小屋が見えています。
    

 この辺りからの登山道は岩くずがガラガラとしており浮き石に足を取られそうになります。
最後の最後まで気を引き締めて降ります。

 11:20分、剣山荘に到着です。
ここでホット一息、建物の横に腰掛けて軽く食事を取ります。
目の前に聳える剱岳の姿を楽しみながらの食事はとても美味しく感じました。
一仕事終えたという満足感で一杯です。

 さあ、ここから剱御前の小屋を目指して登ります。
この途中から見た剱岳もなかなかいい姿をしています。
    

 ゆったりした傾斜の登山道を登ります。
時折降ってくる人と声を交わすのも楽しいですね。

 11:50分、剱御前小屋に到着です。
目の前、一気に室堂方面の景色が飛び込んできます。
   
 煙を噴いているのは地獄谷のようです。
   

 剱御前小屋で受付をする時にAkさんの荷物を受け取ります。
その時に随分感謝されて缶ビールを1缶もらってしまいました。

 今日は順調に剱岳を越えられました。
あとはこの小屋でゆっくり過ごします。
2回の休憩室は、目の前に剱岳が見えます。
時折、谷から湧き上がる雲に隠れますが、その刻々と姿を変える様子を見ているのも楽しいものです。
 3時頃になると寒くなってきました。
休憩室のストーブに火を入れてくれたので暖かく、ウトウトと昼寝をしてしまいました。
幸せな時間でした。

 夕方、外へ出てみるとものすごく寒いのですが、目の下に富山の街の灯りが見えています。
      
 明日の天気はどうなるのでしょうか?

剱岳から立山、大日三山を回る・その1

2012-11-18 21:56:59 | 北アルプスの山
 2009年9月に剱岳を早月尾根から登り、立山を巡りさらに大日三山を歩き称名滝へ降りました。

 この記録は、なかなかアップする気にならずとうとう数年が経ってしまいました。
理由はいろいろありますが、このブログはgooサイトを使っていますが、何故は写真のアップがうまくいかず、記事のアップも時間がかかり嫌気が差していたのです。
よっぽど他のサイトへ移動しようかと考えたほどです。

 でも思い直してgooサイトを使い続けています。
カテゴリーを作ってはいたものの、更新そのものも滞っていたブログですのあまり気にもしないで思いつくままに新しい記事を重ねてアップしていました。

 それが、今年3度目となる北アルプスへ行ったことから記念の剱岳の事を書いて残しておかなければならないという気持ちが湧いてきました。
そんなことで思い出しながら剱岳から立山、大日三山を巡った記録を書きたいと思います。


 前年に初めて本州の山に登りました。
それは西穂高岳から奥穂高岳、さらに槍ヶ岳までを歩き、おまけの蝶が岳まで足を伸ばすことが出来ました。
この時は、Oc氏と一緒に歩きました。
Oc氏に「来年はどこの山へ来ればいいのでしょうか?」と聞いたところ、「穂高の次は剱でしょう」ということから、剱岳を計画していました。

 さて、2009年は「剱岳点の記」の映画が大ヒットしてしまいました。
これは大変なことになると危惧していたとおり剱岳を目指す登山客が大幅に増加したというニュースが駆けめぐりました。

 私は、人で混乱した山は嫌いです。
出来るだけ静かに登りたいと思っています。
そうすると山に自分が深く向き合うことが出来ると思っています。

 残念なことにOc氏は剱へいけないことになり私一人での山行となります。
そこで、剱岳に向き合うために早月尾根から登ることにしました。
早月尾根の登山口となる馬場島の標高は7百メートルほどです。
一方、一般的な登山口となる室堂は標高2千メートルはあるでしょうか。

 北の馬場島から剱岳に登り立山を巡り、さらに大日三山を歩く計画を立てました。
登山時期は、穂高で天気に恵まれた9月初旬としました。
この時期になると夏休みも終わり登山客が減少するとの読みもありました。


 9月8日

 前日、札幌から富山に入り1泊。
今日は朝早くに富山を発ち、富山電鉄に乗り上市を目指します。
電車を見渡しますが、登山客は私一人のようです。
上市駅に到着して出札口を抜けると、いきなり中年の女性から「剱に登るのですね?」と声を掛けられ、「それならこちらへどうぞ。」と手を引かれるようにタクシー乗り場へ案内されます。

そこで、黒塗りのタクシーに乗せられ、一路登山口の馬場島へ向かいます。
以前は上市から馬場島までバスが走っていたのですが、今はそのバスも廃止されたようです。
馬場島まで行くにはタクシーを利用するしかありません。
こんな豪勢な登山は初めてです。
いこごちの悪いタクシーの中で体を小さくしていました。

 タクシーの運転手さんの話を聞きながら最終人家を過ぎると前方から朝日が差し込んできます。
剱岳に掛かっていた雲が晴れてきているようです。
馬場島につくと天気が良くなっています。
タクシー料金7,400円を払い入山届けをするために家族の森中央管理センタに向かいます。
   
    ここで入山届けを出します。

 そこから山へ向かいます。
   
    剱岳の方から朝日が差しています。

   
    神社の社と大きな石碑があります。
   
    石碑には「試練と憧れ」の文字が大きく書かれています。

 神社で今回の登山が無事に終えられるようにお祈りをします。
さらに、石仏があるので重ねてお参りします。
   
 
 7:10分、さあいよいよ剱岳に向かって登ります。
まずは急な尾根に取り付きます。
いきなりの急登をジグザグに登っていきます。
この登りは心を引き締めるのに十分でした。

 ゆっくりゆっくりと心に言い聞かせ登っていきます。
急登を一気に登ると少し傾斜が緩くなります。
標高千メートル辺りから急な登山道となります。
それを登るのですが、あたりは杉の巨木のなる樹林帯です。
   
    こんな巨木があります。
   
    これらの杉の巨木が立山杉といわれる樹木なのでしょうか?
枝の上部は折れています。
この辺りは日本海からまともに風の吹き付ける豪雪地帯です。
風や雪の重みに枝が耐えられず折れて太い幹だけが残っているようです。

 登山道は千メートルごとに立派な石で造られた標識があります。
この標識を目標にドンドン登ります。
やがて下山する人達に出会います。
挨拶を交わして登りますが、この人達は早月小屋からの下山者達のようです。

 1時間ごとに休憩を取って登ります。
2度目の休憩後に歩き出すと池が見えてきました。
急登続きの早月尾根で見る池は意外な存在でした。
      

 結局、早月小屋(標高2,200m)には10:50分に着きました。
思いの外早く着きましたが、今日はこの小屋で1泊します。
   
    立派な小屋ですが、水には苦労しています。
ここでは、2リットルのペットボトルが8百円でした。
そして、缶ビールの5百ミリリットルの値段と同じです。

 時間をもてあましたので付近を散策します。
   
    小屋前の広場から見た剱岳です。

 そして左手には剱に突き上げる尾根が見えています。
   

 山頂の反対側は大日三山方面です。
   
   

 この日、早月小屋に泊まったのは2人組が1組、単独者が2名、それに私の5名でした。
その単独者1名は、室堂から登り、剱御前小屋に泊まっていた方でした。
剱御前から剱岳へ登り剱御前小屋へ戻るはずが、別山尾根と早月尾根の分岐を間違えて早月尾根へ降ってきてしまったようです。

 途中で出会った人に剣山荘へどのくらいで着くか聞いて道を間違ったことに気づいたようです。
しかし、その時点では日暮れも間近なので早月小屋まで降って泊まることを勧められたといいます。
小屋では、早速剱御前小屋へ連絡を取り登山客を無事に保護しているとの連絡を入れました。

 ガッカリしている人を励まします。
その人は東京から来た初老のAkさんです。
登山系はそれほど無いのですが、「点の記」を観て剱岳のすばらしさに惹かれ登ったといいます。
小屋の人は、年に数人は早月尾根を登った人が別山へ間違って降る人がいるといいます。
でも、反対に別山から登って早月へ降る人は稀だといいます。

 私は、間違って降ってしまったけれど怪我もなく早月小屋まで来ることが出来たのだから登り返して剱御前小屋へ戻ればいいといいました。
しかし、AKさんは、体力的に無理なのでこのまま上市へ降るといいます。

 そこで、私は明日剱御前小屋へ泊まるのでAKさんが小屋に残してきた荷物を受け取り、室堂から自宅へ送ることにしました。

 こんな事件があった一日でした。      



表銀座から槍ヶ岳を経由して裏銀座へ・その5

2012-09-19 20:54:16 | 北アルプスの山
 8月22日(水)
 今日も良い天気です。
小屋の正面には昨日下ってきた三ッ岳方面の山が朝日に輝いています。
   
 今日はいよいよ高瀬ダムへ向かって降ります。
このコースはブナ立尾根と行って表銀座の合戦尾根と同じ北アルプス三大急登の一つなのです。

 5時少し前に朝食が出来たとの案内があります。
まずは朝食を食べて、それから私は烏帽子岳へ登らなければなりません。
今日はほとんどの人が高瀬ダムへ下るようです。

 私の頭の中には高瀬ダムから大町までの交通費が頭を離れません。
といいますのは、高瀬ダムから大町までタクシーで8千円ほどかかるのです。
これを相乗りすると幾分安くあがります。
そのためには、高瀬ダムに着いた時に相乗りしている人がいなければなりません。

 こんな事情で私は、烏帽子岳へ急いで登り、ブナ立尾根を下り、先に降っている人達に追いつかなければなりません。

 5:15分、朝食もそこそこに烏帽子岳へ向かいます。
小屋の人に聞くと往復1時間半ほどだといいます。
緩やかな坂を登り白い砂のような砂礫地を歩きます。
両側には高山植物を保護するために緑色のロープが張られています。

 ニセ烏帽子といわれているピークに着きます。
   
    ここから烏帽子岳の尖った山頂岩場が見えます。
この岩の上が山頂です。

 そしてその奥には、立山と剣岳が朝日に輝いています。
   
    今日は剱岳も見えています。

 途中に咲いていた花々です。
   

 烏帽子岳の山頂部は完全な岩場です。
鎖やボルトが打ってあります。
慎重に登ります。
5:50分、山頂に到着!

 山頂は狭く写真を写す場所もありません。
慎重に降って小屋へ戻ります。
1時間20分ほどで小屋へ戻ることが出来ました。

 さあ、ここから先に降った人達を追いかけます。
私の計算では3時間掛かるといわれている高瀬ダムまで2時間で降れる計算です。
急な登山道であればあるほど早く降れます。

 それは、日高のコイカクを下った時の時間が頭にあるからです。
この時は標高百メートルを約10分で下りました。
ですから千メートル下るとして1時間40分あれば降れる計算です。

 小屋の左手を少し登ってからいよいよ急な降りとなります。
最初からつづら折りの急坂が続きます。
つまずかないように慎重かつ素早く下ります。

 快調に下ります。
1時間ほど下りますがここで休むわけには行きません。
もう少しと思って頑張っていると人の話し声が聞こえてきます。
男性2人が下っています。
この人達をおいぬいてさらに下ります。
3分の2ほど下ったと思われる辺りで下から登ってくる人がポツポツ現れます。
それらの人に挨拶をして下っていると70歳過ぎのご姉妹に追いつきます。

 「お先に!」と行って下ると階段が見えてきます。
   
どうやらもう少しで川原にでるようです。

 1時間30分ほどで下ることが出来ました。
   
川原の向こうに高瀬ダムの緑色の水が見えています。

 ここから上流を見ると滝が見えています。
   
    なかなか立派な滝です。

 仮造りの橋を渡ります。
   

 そして、吊り橋を渡りトンネルを潜ります。
   
   



 トンネルを抜けたところが高瀬ダムの上でした。
ダムの上を歩いて右岸側に行くとタクシーが数台待っています。
運転手さんが、「乗りますか?」と聞くので、「あとから来る人と一緒に乗るので待ってください」とお願いします。

 10分ほど待っているとご姉妹が降りてきます。
そこで相乗りをお願いして大町まで行けることになりました。
一人当たり3千円弱で済みます。

 バタバタとタクシーに乗って大町へ向かいます。
これで私の縦走が終わりました。
初日の雷以外、天気に恵まれた表銀座から裏銀座への縦走でした。

 さあ、大町へ行ったらさっそく風呂に入って汗を流すぞ~!

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  最後はバタバタしましたが4泊5日で表銀座から裏銀座へ抜けることが出来ました。
 ここまで歩いてくるとこの烏帽子岳からさらに北へ向かって歩きたくなってきました。
 ここから後ろ立山を歩き日本海まで歩くと北アルプスの全山を縦走出来ます。
 北アルプスの1回目は西穂高岳から槍ヶ岳でした。
 今回は槍ヶ岳から烏帽子岳までを歩きました。
 さらに北へ向かって歩くのが当然かなと思います。
 目指すは日本海・親不知の海岸です。