goo blog サービス終了のお知らせ 

井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

表銀座から槍ヶ岳を経由して裏銀座へ・その4

2012-09-06 20:59:34 | 北アルプスの山
 8月21日(火)

   
   三俣蓮華岳に朝日が差しています。
今日も良い天気です。
しかし、午後からは雲が出て雨の予報なのです。

 三俣蓮華岳は、双六岳を経由して槍ヶ岳方面、黒部五郎岳を経由して立山・剱岳方面、さらに、鷲羽岳を経由して白馬岳へと三方向の中心となっています。
そして、黒部川の源流部となる雲の平や高天原などの高層湿原が広がっています。

 5:20分、三ツ俣山荘を出発します。
今日は烏帽子小屋まで歩けたらと思っています。
コースタイムでは10時間を超すコースです。
午後から雨の予報では急がざるを得ません。
   
    三俣山荘です。

 まずは目の前に聳える鷲羽山の山頂を目指します。
鷲羽岳には1時間で登ることが出来ました。
まずは順調な滑り出しです。
   

 目の前には次の目標となる水晶岳が聳えています。
   
 そして遠くには富士山も見えています。
   

 いつも天に突き刺さっているような槍が岳です。
   

 ワリモ岳の山頂はよく分からないうちに通り過ぎてしまいました。
足の方は快調に動いています。
左手に広がる雲の平を見ながら機会があればぜひ足を踏み入れたいと思いました。
何といっても黒部川の源流部です。
とても魅力的な場所だと思います。

 7:40分、水晶小屋に到着です。
標準のコースタイムより早いので一安心です。
   
    小屋の前にあるベンチにザックを置いて水だけ持って水晶岳を往復します。
30分ほど歩いて水晶岳の山頂です。
途中1個所梯子場があります。
山頂部は岩だらけですので、十分に気を付けて登りました。
   
    山頂標識の右に見えるのが黒部五郎岳です。

 この山頂は360度の眺望が欲しいままに見ることができます。
正面に見えるのが赤牛岳です。
   

 左手の奥には立山や剱岳も見えています。
   
 後ろを振り返ると三俣蓮華岳や双六岳、一番奥には笠ヶ岳が見えています。
   

 山頂で休んでいる大学生らしいグループがいました。
   
    こちらを向いている女性がリーダーのようです。
「8時まで休憩するよ」などといってますが、メンバーの男性から「いま、8時10分です」と突っ込まれています。
あわてて「9時まで休憩!」と言い直しています。
とっても、微笑ましく、思わず横で笑ってしまいました。

 水晶岳の山頂で5分ほど休んで慌ただしく水晶小屋へ戻ります。
一度歩いた道は愛着があります。
   
    思わず後ろを振り返り、水晶岳の姿を目に焼き付けます。

   
    チシマギキョウが咲いていました。

 水晶小屋の手前に小さな石仏が安置してありました。
   
    思わず手を合わせて、これから下山までの無事を祈りました。

 8:40分、再度、水晶小屋に戻ってきました。
ここで少し休憩を取ります。
ここまでかなりのペースで歩いてきましたので軽食を取って休みます。
小屋で缶ジュース(3百円)を買います。

 目の前にはこれから歩いていく野口五郎岳らしい山が見えています。
目の前には赤茶けた岩肌の急な尾根がズーッと下まで見えています。
水晶小屋からはこの斜面を降らなければいけません。
そして、降った分だけまた登り返さなければ行けません。

15分ほど休んでこの急な細い尾根を降ります。
   
    登り返してから振り返ると、この赤茶けた斜面の一番上に水晶小屋が見えていました。

 9:25分、東沢乗越に到着です。
ここには若い女性が2人休んでいました。
お湯を沸かしてノンビリしています。
   
    お地蔵さんがいました。
私は挨拶をしただけで先へ進みます。

   
    ここから見た槍ヶ岳です。
    手前にある赤い地肌の山が硫黄岳でしょうか。

 ここから先は岩が累々と折り重なった道でした。
こういう道は大好きです。
ポンポン飛ぶようにして歩きます。
   

 9:55分、ちょっと疲れたので休む場所を探していました。
丁度いい日陰があったので岩陰で休みます。
素路と、「こんにちは!」と声が掛かります。
よく見ると、私が休もうと思った直ぐ横の岩陰で休んでいる男性がいます。
挨拶をしてちょっと話し込んでしまいました。

 私より少し年上の男性です。
烏帽子小屋から歩いてきたようです。
今日は三俣山荘まで歩くといいますので、ちょうど私とは反対のコースを歩くようです。
しかし、鷲羽岳は山頂へ行かずに岩苔乗越から鷲羽岳の山腹をトラバースするコースを使うといいます。
私は、初めてですのでできるだけ山頂部を繋いで歩いてきましたが、そういうルートもあるようです。

 さて、この男性とは10分ほど話して別れました。

 目の前に標柱が見えてきました。
   
    真砂岳分岐の標識でした。10:25分でした。

 ここからは野口五郎岳に向かって緩やかな登山道を歩きます。
   
    ザラザラな道をゆっくり登っていきます。
途中で、野口五郎岳の山頂へ向かう道とそのままトラバースして野口五郎小屋へ向かう分岐があります。
私は迷わず山頂へ向かう道を登ります。

 11:00分、野口五郎岳の山頂に到着です。
   
 ここまで来てホット一息つけました。
天気は今のところ崩れるような様子はありません。
この山頂から野口五郎小屋までは10分ほどでしょう。
すぐ目の下に小屋の青い屋根が見えています。

 今日も暑いので水をかなり消費しています。
野口五郎小屋で水を買おうと思い寄ります。
   
    小屋に向かって降る階段が綺麗に掃除されています。
小屋前の広場も刷毛目が綺麗に付けられています。

 11:10分、小屋を覗くと小屋の人達がちょうど昼食中でした。
水を1リットル買って、さらにコーラを1本もらいます。

 小屋の玄関先に座り込んで行動食を食べながらコーラを飲みます。
疲れてくるとコーラを飲みたくなるのは何故なのか?不思議ですね。

 野口五郎小屋から烏帽子小屋までは2時間30分の行程です。
天気は良いので20分ほど休みました。

 ここからは三ツ岳まで軽い登りがあります。
そこまで50分位で着くことができました。
あとは烏帽子小屋のある尾根に向かって降るだけです。
   

 目の下には高瀬ダム湖の緑色の水が光っています。
   

 立山が少し近くなってきました。
   
 
 ここから一気に尾根を降ります。
途中で団体のツァーが登ってきます。
この場所で会うということは野口五郎小屋泊まりでしょうか?
それにしてはノンビリと歩いています。
雲が出てきたので雨の心配があります。
私は、雨に当たりたくないので烏帽子小屋目指して飛ばします。

 下から走って登ってくる人がいます。
何も持たないで走ってきます。
私はツァー客が忘れ物をして烏帽子小屋に人が追いかけてきたのだと思いました。
(あとで聞いたところ、この人は毎日趣味で走っているといいます。)

 13:25分、やれやれ、烏帽子小屋に到着です。
   
    雨に当たらずこの小屋に来ることができました。
     ホット、一安心です!

 今日はあまり休まずに歩き通しました。
約8時間で三俣山荘から烏帽子小屋まで歩くことができました。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 
   この夜に烏帽子小屋に泊まった人は16人~17人です。
  母親と娘さん、父親と息子さん、70歳を越えたご姉妹、
  舟窪小屋から歩いてきた男性が2人に女性が1人、
  同じテーブルに座っていろいろな話をしました。
  舟窪小屋から歩いてきた男性の一人は、きょう歩いたコースで
  北アルプス全山を縦走したといいます。
   また、70歳を越えた女性の姉は、高校生時代に山小屋でアルバイトを
  したことがあり、この経験が社会に出てからとても役に立ったと話してくれます。
  まったく初対面同士での話ですが、とてもいい時間を過ごすことができました。
  こういった時間を持つことができるのも、山の持っている魅力の一つですね。  

表銀座から槍ヶ岳を経由して裏銀座へ・その3

2012-09-02 20:34:24 | 北アルプスの山
 8月20日(月)

 今日も良い天気のようです。
   
    夜明け前の朝焼けです。

 そして槍ヶ岳の山頂で日の出を迎える人達は、すでにヘッデンを付けて登っています。
   

 私達はゆっくりと小屋の前で日の出を楽しみます。
私は、群青色の空が少しずつ茜色に輝いてくるこの時間が好きです。
沢山の人がカメラを構えて日の出を待っています。

 小屋の朝食は5時からです。
今時期はこの日の出の時間と朝食開始の時間がだぶっています。
私達は朝食を優先します。
   
    食堂に陽が射して播隆上人の像に陽が当たります。

 今日から私達は別行動となります。
みいちゃんはキレットを越えて北穂高岳から涸沢を目指します。
私はここから裏銀座の山々を歩きます。

 5:40分、みいちゃんは槍ヶ岳山荘の前からキャンプサイトの方へ降り大喰岳を目指します。
私は山草の前を右手に回り込み双六岳を目指します。
山荘の前で握手をしてお別れです。
   
   目の前に裏銀座の山々が朝日に輝いています。
この方面は初めてですのでどの山が何という名前かまだハッキリ分かっていません。
まずは急な西鎌尾根を降ります。

 正面の笠ヶ岳に槍ヶ岳が陰となって映っています。
大槍が鋭く尖っているのがよく見えています。
   

 戯れた登山道ですので慎重に降ります。
浮き石に足を取られると大変です。
ジグを切って降るのでドンドン高度が落ちていきます。
所々鎖場もありますが、難易度でいうと東鎌尾根より易しいかも知れません。

 6:15分、千丈乗越に到着です。
ここから新穂高温泉に向かって降るコースがあります。
この辺りで後ろを振り返ると岩ばかりの斜面の先に形を変えた大槍が見えています。
   

 そして、焼岳と乗鞍岳も見えています。
   
    手前の小さく見えるのが焼岳で後ろが乗鞍岳です。

 進行方向に見える裏銀座の山々です。 
   
 
 少し降っては後ろを振り返姿を変え遠くなってゆく槍ヶ岳の姿を楽しみます。
   

 何度かの休憩を挟んで8:20分、樅沢岳に到着です。
   
   すっかり遠くなった槍ヶ岳です。

 そしてまだまだアップダウンが続きます。
   
   この辺りまで来ると登ってくるグループとすれ違います。
中には大きなザックの大学生と思われるグループが幾組も登ってきます。
挨拶も元気な声が帰ってきて気持ちがいいです。

   
 一番奥のピークが笠ヶ岳です。

   
    後立山の山が遙か彼方の見えます。

 下の方に山小屋が見えてきました。
双六小屋です。
   
 ここからの降りがなかなかでした。
細かくジグを切った登山道ですのでなかなか小屋に着かないのです。

 8:40分、やっと双六小屋に到着です。
小屋の前にあるベンチで一休みします。

 小屋の前にはジャージ姿の子供達が沢山います。
   
 話を聞きますと、地元の中学2年生による学校登山の子供達でした。
ベンチに座った男子生徒に「楽しかったですか?」と聞くととても明るい声で「楽しかったです!」と返ってきます。

 まずは女子が出発のようです。
小屋前に整列して小屋の従業員の人達に元気な声で挨拶しています。
その姿がとても可愛かったです。

 引率する先生達は大変だと思いますが、このような学校登山を実施しているのはとてもいいことだと思います。
山小屋で1泊して双六岳に登ったようです。
とてもいい思い出となったことでしょう。

 可愛い子供達の姿を見て私も元気が出ました。
20分ほど休んだので双六岳に向かって出発します。
ここからは双六岳の山腹をトラバースして三俣山荘に向かうコースもあります。
でも、私はショートカットすることなく双六岳を目指します。

 急な登りを辛抱して登ります。
ちょっと岩が重なるような登山道ですが標識マークがしっかり付けられています。
30分ほど頑張ると平らな斜面に出てきました。
その先に人が沢山いるところがあります。
どうやらそこが山頂のようです。

15分ほど頑張ると双六岳の山頂でした。
9:45分、山頂に到着です。
   
   沢山の人が休んでいます。
   
    私も1枚写してもらいました。

 ここから三ツ俣蓮華岳へゆったりとした登山道を降ります。
正面の奥が水晶岳、右に見える山が鷲羽岳でしょうか。
   

 三ツ俣蓮華の手前でピッケルを大きなザックに取り付けたグループが登ってきます。
この場所でピッケルを持っている人達は初めて見ました。
男性3人、女性2人のグループですが、先頭を歩いている女性は真っ赤な顔から汗がしたたり落ちています。
おまけにハア、ハア、と荒い息をしています。
声を掛けるのが憚れるくらいです。

 どうやら剱岳から歩いてきた大学生のグループでしょうか?
そう考えるのは、以前読んだ本の中に大学生の夏の合宿は剱沢をベースに岩訓練をして、最後は上高地を目指してボッカ訓練を行うと書いてあったのを思いだしたからです。

 思わず、「頑張ってください!」と。声を掛けてしまいました。

 10:50分、三俣蓮華岳に到着です。 
   
 ここで、休んでいる男性に声を掛けて山の説明をお願いしました。
鷲羽岳、水晶岳、黒部五郎岳などなど、目の前に見える山の説明を聞く事が出来ました。
お陰で、山の形をしっかり目に焼き付けることができました。

 20分ほど休んでから三俣山荘へ向かって降ります。
ザレ場を降って、トラバースルートと合流します。
そこからは灌木の中を降ります。
   
    前方に赤い屋根が見えてきました。三俣山荘です。

 途中で登ってくる団体さんに遭遇しました。
   
    道を譲って通り過ぎるのを待ちます。
    ほとんどの人が私と同じか年上の人達でした。

   
    雪渓の横がテントサイトのようです。
このロケーションは最高ですね。
雪渓が融けた冷たい水を飲みましたが、暑さで火照った体には最高のご馳走でした。
コップで3杯も飲んでしまいました。

 11:50分、三俣山荘に到着です。
まだ時間が早いのですが、今日はこの小屋に泊まります。
この先にある水晶小屋は混雑しているので宿泊を遠慮して欲しいとの紙が貼られています。

 宿泊の受付をしてしまうと何もすることがありません。
小屋の前にあるベンチで槍ヶ岳を見て過ごします。

   
    夕方の槍ヶ岳です。

 談話スペースで備え付けの本など読んで過ごします。
そこに山賊の話を書いた本がありました。
この山荘の所有者である伊藤さんが書いた本です。
まだまだこの辺りの開発がなされていない時代にこの周辺に山賊といわれる人達がいたというお話です。
とても楽しく読んでしまいました。
山小屋の開設に至る苦労話なども満載です。

 夜、小屋の前で星空を見ました。
天の川が綺麗でした。
白く輝きミルキーウェイという言葉がピッタリです。
一緒に見ていた大阪から来た女性に知っている星座を説明します。
カシオペアに大熊座、夏の第三角、明るく輝く星空を見て、明日も晴天になると思いました。


表銀座から槍ヶ岳を経由して裏銀座へ・その2

2012-08-31 21:12:43 | 北アルプスの山
 8月19日(日) 

 2日目を迎えました。
朝はガスが掛かって窓の外は真っ白です。
5時に朝食を済ませて準備を終えたのが5時20分。

 5:25分、さあ、いよいよ槍ヶ岳に向かって出発です。
今日のコースは、まずヒュッテ西岳までアップダウンの少ない尾根歩きを3時間。
そこから槍ヶ岳東鎌尾根を一旦水俣乗越まで1時間30分掛けて降り、東鎌尾根を3時間かけて登らなければなりません。
なかなかの難コースが待ちかまえています。

 真っ白なガスの中をヒュッテ西岳へ向けてほとんど水平なコースを歩きます。
途中、20分ほど歩いたところでビックリ平に出ます。
ここはガスで眺望がありませんでしたが、晴れていると目の前に槍ヶ岳がドーンと見えるはずです。
しかし、今はこんな感じです。
   

 時間が経つにしたがってドンドン雲が晴れてきます。
   
    槍ヶ岳が間近に見えます。

 後ろの方には立山や剱岳も見えてきました。
   

 今日も良い天気のようです。
これに気をよくした2人は快調に進みます。

 正面左には雲をまとった常念岳が見えています。
   

 槍ヶ岳に掛かったガスも晴れクッキリと見えてきます。
   
 そして、穂高の峰々も綺麗な姿を見せてくれます。
   

 私達の歩いている姿が陰となって見えています。
   

 この辺りはとてもいい気持ちで歩いていました。
私は北鎌尾根をじっくりと見ることができて満足でした。

 天気が良くて空気は涼しく快適な尾根歩きが続きます。

   
    ヒュッテ西岳の赤い屋根が見えてきました。

 このロケーション!
何という場所にヒュッテ西岳は建っているのでしょうか!
穂高連峰から槍ヶ岳までの稜線が一望です。
さらに言うなら常念岳から蝶が岳までの稜線も一望できます。
目の下には槍沢が広がります。
この次はぜひこのヒュッテに泊まってみたいと思いました。

 7:20分、ヒュッテ西岳に到着です。
標準のコースタイムでは3時間という事でしたが、2時間で着いてしまいました。
それほど飛ばして歩いたわけではありません。

 ここから東鎌尾根を歩き昼までには槍ヶ岳山荘に着きたいと思っていた私には思いもかけないボーナスです。
今日の天気予報も昨日同様に午後から雨なのです。
雷が鳴っている東鎌尾根はゴメンです。
何とかして雷が鳴り出す前に槍ヶ岳山荘に着きたいと思っています。

 今の天気ではおそらく大丈夫でしょう。
ここは20分ほどゆっくり休んで目の前に広がる光景を楽しみます。
   
    槍沢の全景です。上高地から来る人達はこの沢を登ってきます。

 7:40分、水俣乗越に向かって降ります。
この降りがなかなかでした。
   
    木の梯子に階段、鉄梯子などがあり岩もザラザラと崩れます。
足元に注意して降ります。
降り終えたと思っても小さなコブがあります。
このコブを3つほど乗り越すとやっと水俣乗越でした。
   
    若い女性が2人休んでいました。
そのうちの一人は槍沢から登ってきたようです。

 私は、天井沢への降りを確認しました。
何故かというと、北鎌尾根に行くために、最近はこの水俣乗越を降るコースがあるからです。
ヒュッテ西岳からここまで1時間ほどで降ってきました。

 さあ、ここから東鎌尾根の核心部に突入です。
   
   私達の頭上に岩尾根が待ちかまえています。
気温も上がってきました。
照りつける太陽を避けることのできない岩尾根です。
給水を十分に取りながら登ります。

 登るだけでなくてこんな梯子も降ります。
   

 地中で2度ほどの休憩を挟んでやっとヒュッテ大槍の真下に来ました。
ヘリが資材をぶら下げて飛んできます。
   
    この岩の上にヒュッテ大槍があるようです。

 6人ほどにグループが私達の前を歩いています。
足取りが重そうで後ろを歩いていると道を譲ってくれます。
それではと、先に歩いてほどなくヒュッテ大槍に着きました。

 10:05分、ヒュッテ大槍に到着です。
ここは外にベンチなどがないので建物の中の土間で休ませてもらいます。
ノドが渇いているのでコーラを買います。
4百円のコーラですが、とても美味しく頂きました。

 30分ほど休んでちょっと疲れ気味のみいちゃんも復活!
ここから先は岩ばかりとなります。
慎重に歩くことにします。
  
   
    休みなく飛んでくるヘリコプターです。
    上空にいる時間はほんの数分です。
    アッという間に荷物を降ろして飛んでいきます。

 何ということでしょうか。
登るにしたがって雲がドンドン濃くなってきます。
   
でも、ここまで来ると槍ヶ岳山荘までそう時間が掛かるはずはありません。

   
    花などを見る余裕がありました。

 下を見ると槍沢を登ってくる登山者が見えます。
   

 一瞬晴れた大槍を見ると沢山の人が登っています。
   

 11:15分、槍ヶ岳山荘に到着です。

 やれやれ、何とか雨に逢わずに小屋へ着くことができました。
一安心です。

 小屋に着いたもののまだお昼です。
時間をもてあましたので2階にある談話室で一息つきます。
私は北鎌尾根のDVDがあったのでそれを見て時間を潰しました。

 そのうち雨が降ってきました。
3時過ぎには止むだろうと思い、雨が止んでから山頂を目指すことにしました。

 ところが雨はシトシトと降っておりなかなか止みません。
今日はフルートのミニコンサートがあるので夕食は4時30分と早めにセットされています。
最悪の場合、夕食後でも雨が止んでまだ明るく山頂へ行く事が出来ます
そんなことで、小屋でゴロゴロして時間を過ごします。

 談話室で槍平小屋から登ってきた2人の女性がいました。
この人達に私が写した写真などを見せて、しばし山談義などをしました。
槍ヶ岳には本当にいろいろな人達が登ってきています。
そんな人達の話を聞いているだけでも楽しかったです。

 夕食を食べる頃に雨は上がっています。
サッサと夕食を食べて山頂へ向かいます。
この時間になるとさすがに登る人が少なくスイスイ登れます。

 途中の下山ルートはご覧の通り混み合っています。
   
    鎖場を降るツァー客が鎖にカラビナやスリングを通してビレイしながら降っています。
これが渋滞の原因です。
   
    鎖場の上には待っている人達がいます。

 私達はこの人達を横目で見ながらスイスイ登ります。
最後のはしごを登ると山頂です。
私にとって2度目の山頂です。
   
 
 辺りはガスが掛かっているのですが、サーッと晴れたりします。
そのうち陽が射してくると、何とブロッケン現象が大天井岳側の雲に現れます。
急いでカメラを出して写しましたが、その時間10秒ほどでした。
   
     うっすらとしか写ってしかいませんでした。
      分かるでしょうか?

 その跡20分ほど待っていましたが、ブロッケンは現れませんでした。
この間、山頂は私とみいちゃんの2人占めでした。


 夜7時過ぎから第22回目となるフルートのみにコンサートが開かれました。
松本市在住の桂姉妹の演奏です。
   
     
 2日前は槍沢ロッジでも同じ様な演奏会を開催したと話してくれます。
息を整えるために2日前にこの山荘へ登ってきて今日の演奏をしてくれているようです。

 この演奏はマイクも使っていない生の音ですのでとても繊細で耳をこらして聞いていなければなりません。
そんな中、演奏中に話し声が後ろから聞こえてきます。
思わず、「話を止めてください!」と注意してしまいました。

うーん!歳を取ってきたかな?
こんな不作法が我慢出来なくなってきています。

この夜は玄関先のテーブルで消灯時間が過ぎたのにお酒を飲んで話し込んでいるグループにも注意してしまいました。
彼らの話し声が私達の寝ている場所にも聞こえてくるのです。
それが耳障りなので我慢出来なくて注意してしまいました。

みなさん、テン場でもそうですが話し声は以外と大きく響きます。
消灯時間を過ぎた懇談はできれば止めましょう!

表銀座から槍ヶ岳を経由して裏銀座へ・その1

2012-08-29 21:10:57 | 北アルプスの山
 本州の山は西穂高から槍ヶ岳、剱岳から立山、大日三山を歩いています。
その後は夏の日高を歩いていたので本州の山はご無沙汰していました。
しかし、昨年のコイカク→ペテガリを歩いて縦走路のある日高の主稜線を歩き終えました。

 そこで、今年は再度北アルプスを歩きたいと考えていました。
トムラウシを一緒に登ったみいちゃんは槍ヶ岳に登ったことがないと言います。
私は、表銀座、裏銀座という名前に興味を持っていました。
お互いのルートを摺り合わせて、今回は表銀座から入山して槍ヶ岳まで登り、そこで、上高地へ降りるみいちゃんと別れ、私は裏銀座へ進むことにしました。
みいちゃんは、キレット越えに挑戦することにしました。

 入山口となる中房温泉までのルートをどうするか考えていました。
結局一番費用のかからないコースを選択しました。
それは、千歳からピーチを使って関空へ入り、大阪若しくは京都から深夜バスで穂高へ入るというものです。

 8月17日に関西へ行くことにしましたが、この週はお盆の週であり航空券が高いのですが、それでも、羽田に行くより関空の方がやすかったのです。
穂高まで行くバスも信州エクスプレスというバスなら東京方面からはいる料金と変わらないのも魅力でした。

 8月17日(金)に千歳から関空へ向かいます。
むせかえるように暑い京都で時間を潰します。
そして、夜の12時頃遅れてきたバスに乗り込みます。
ここでみいちゃんと合流します。

 8月18日(土)

 日の昇っていない薄暗い時間に穂高に着きます。
バスを降りて日高の駅を目指して歩いているとタクシーの運転手が声を掛けてきます。
乗り合いで中房温泉まで行かないかというのです。
バスより百円高いだけだと言います。

 誘われるままにタクシーで行くことにしました。
先客は大阪から来た2人の若い女性です。
北海道の百キロマラソンにも出たなどと話してくれます。
和気藹々の話で盛り上がるうちにタクシーはつづら折りの道をドンドン登ります。

 5:30分頃に中房温泉に到着です。
そこは人で溢れかえっていました。
   
    次から次と人がやってきます。
こんなに人の多い登山口は初めてです。
私達は軽く朝食を食べて、出発の準備をします。

 5:50分、いよいよ燕岳に向かって出発です。
まずは、北アルプス三大急登の一つといわれている合戦尾根を登ります。
この尾根道はとてもよく整備されています。
適当な間隔で休憩用のベンチが作られています。

 20分ほど歩くと第1ベンチに到着です。
しかし、みいちゃんは先へ進むと言います。
それではと第1ベンチでは休まずに第2ベンチを目指します。

 6:40分、第2ベンチへ到着です。
   
    空気がひんやりして快適に歩けます。

 ここまで歩いて、妙に体の調子が上がってきません。
寝不足と疲れのせいでしょうか?
汗をかいている身体が寒いのです。
深夜バスの冷房で身体を冷やしすぎたのでしょうか?

 今一つ意気の上がらない身体を騙し騙し歩きます。
   

 第4ベンチ、富士見台とドンドン登ります。

 8:10分、合戦小屋に到着です。
   
    なかなか素敵な小屋でした。
しかしこの小屋で泊まるわけには行きません。
まだまだ先へ進まなければなりません。
この合戦小屋の名物はスイカです。
   
   8分の1ほどに切ったスイカを売っています。

 このスイカを運ぶのは荷物用のロープウェイです。
   
 
 合戦小屋で20分ほど休んで先へ進みます。

   
    尾根の向こうに小屋が見えてきます。これが燕山荘です。

 斜面にはトリカブトの青紫の花が咲いています。
   

 9:20分、燕山荘に到着です。
   
    燕山荘はホスピタリティー溢れる山小屋で人気の高い小屋です。
この小屋に泊まってみたいと思ったのですが、それでは先へ進めません。
今日の予定は大天井岳の近くにある小屋に泊まる予定なのです。

 みいちゃんは燕岳を登ったことがあるのでパスすると言います。
私は初めてですので空身で往復します。 
   
   ガスが少しずつ晴れてきます。
白い砂礫地の尾根道を歩きます。
この砂礫地にはコマクサが咲いていました。
   
    もう盛りの過ぎた花ですので綺麗なピンクが色あせています。

   
    この岩が有名なイルカ岩です。
確かに、イルカの口先に見えます。

 9:45分、燕岳に到着です。
   
    誰もいない山頂で一息つきます。

 沢を挟んだ反対側は裏銀座のはずです。
   
   でも、ご覧のように雲が掛かっており隠れています。
 
 5分ほど休み引き返します。
   
    少しガスが晴れてきたようです。

 10:10分、燕山荘に戻り休んでいたみいちゃんと再び合流して大天井岳を目指します。
   
 晴れていた空が曇ってきます。
今日の天気予報が午後から雷という予報です。

 11時を回る頃からドンドン雲が歩くなってきます。
そのうち裏銀座方面でゴロゴロと雷の音がしてきます。

12時頃になるとその雷が近くなってきて槍が岳方面から聞こえてきます。
これはまずいです。歩いている場所は隠れるところのない尾根の斜面です。

雨がポツポツしてきたので早めに雨具を着ます。
そうしていると突然近くで雷の音がします。
思わずしゃがんでしまいました。
   
    イワギキョウです。
 この花を写しているとみいちゃんに怒られてしまいました。

 切り通しまで歩いて避難しようと先へ急ぎます。
登山道に4人の女性がうずくまっています。
近くに雷が落ちて動けなくなったようです。
でも、この登山道にいること自体が危ないようです。

私達は先へ進みます。
日本猿が6~7匹逃げるように歩いています。
小猿が母猿のお腹にしがみついています。

 雨が強く降ってきました。
やっと切り通しの窪地へ梯子で下りると6人ほどの人が避難していました。
私達もここで雷をやり過ごすことにします。
ツエルトを被って雨が直接身体に当たらないようにします。

私はシャツ1枚の上に雨具を着ただけですので歩いている時は寒くないのですが、ジッとしていると寒くなってきます。
こんな時にツエルトを被ると保温にも役立ち寒くありません。

 10分ほどして、少し明るくなったのでツエルト巻くって外を見ると避難している人が誰もいません。
先ほどよりは視界が開けてきています。
でも、雷はまだまだゴロゴロ鳴っています。
この状況で大天井岳のトラバースルートを歩くのは危険だと思います。
私達はもう少し避難していることにします。

 ほどなく男女2人が戻ってきました。
歩き出したのですが、雷が怖くて戻ってきたと言います。
ツエルトを持っているようですので被った方がいいですよと言うと緑色のツエルトを出して被りました。

 13:00分、雷の音も遠くなってきたし雨も止んできたので登山再開です。
切り通しには喜作さんのレリーフがありました。
   
    喜作新道といわれる道を切り開いた方です。
   
    大天井岳への道です。
 
 大天井岳に登るかみいちゃんが聞いてきます。
私は登ってないので行くことにします。
ここからの登りが少しきつかったですね。
ダラダラとした登りが続きます。

 13:30分、大天荘に到着です。
   

 ザックを置いて大天井岳へ向かいます。
10分ほどで山頂です。
ここでは槍が岳の大展望が待っていてくれました。
      
    雲も晴れてきています。
北鎌尾根をじっくり見ます。
   
    ここから見る槍ヶ岳は本当に素晴らしかったです。
険しい岩尾根が右から左へ続き、それが大槍となって天を突き刺しているかのようです。
次ぎには何としてもこの北鎌尾根を登りたいと思いました。

 13:50分に大天井荘を出発します。
ここから30分ほどで大天井ヒュッテがあるのです。
今夜はそのヒュッテに泊まる予定です。

 しかし、この大天井ヒュッテまでの降る登山道もかなりの降りです。
   
    ところどころに梯子場があります。
ザレた岩道なので浮き石に足を取られないように神経を使いました。

 14:30分、大天井ヒュッテに到着です。
   
 空はすっかり青空が広がっています。
先ほどの雷雲がウソのように晴れています。

 今日はいろいろなことがありました。
でも、ここまで来れば一安心です。
天気が良くなってきたので私は濡れたツエルトなどを外で干します。
あとは夕食までノンビリと過ごします。

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 夕食の時、切り通しで避難していた人達と一緒でした。
彼らは雷が鳴っている時に歩いて行きましたが、髪の毛が逆立ったとか手に持っているストックがビリビリしたとか話しています。
その話を聞いていてもう少し避難しているればいいのにと思いました。

 あの雷が近くで鳴っている時に隠れるところもない稜線近くを歩くのは無謀というものです。
彼らはこの大天井ヒュッテのもう一つ先にあるヒュッテ西岳まで行こうとしていたようです。
それにしても、先へ進みたいという理由だけで近くで雷が鳴っている時間に歩くのは無謀です。
何事もなかったから怖かったと話していますが、万が一落雷事故にでも遭っていたならどうするのでしょう。
きっと、無謀な行動だったとの批判を受けるでしょう。

 今日の雷で死亡事故が発生していました。
それは、大槍で関西電力の元役員だった方が岩から落ちて転落死したとのことです。
この転落の原因は雷が近くの岩に落ちた事によるもののようです。

 さらに、東鎌尾根でも落雷が原因で重傷者が1名いたようです。

 夏の北アルプスは、午後から発達した積乱雲による雷に気を付けなさいと聞かされていました。
それが、この山に登る人達の常識だと思ったのですが、どうもそうではないようです。



 

蝶が岳から上高地へ・08’9月

2008-09-29 23:12:47 | 北アルプスの山
8月12日、5時に目を覚まし窓の外を見ると、青空が広がっています。
今日もいい天気のようです。

朝食後、6時に横尾山荘を出発します。
蝶が岳の登山口は、横尾山荘の左手、槍沢を少し登ったところにあります。
今日、この道を登る人はほとんどいないようです。

登山道はいきなりの急登が続きます。
つづら折りの登山道をゆっくり登っていきます。
2時間ほど登ったところでやっと槍ヶ岳の穂先が見えてきます。
   

   登っても登っても深い森が続きます。
  その森もやっとハイ松が現れる頃には眺望が一気に開けます。

 9:10分、やっと稜線に着きます。
目の前には穂高連峰から槍ヶ岳までが一望できます。
この光景を目にしたとたん、思わず、ため息が出ました。
  
  前穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から大切戸の写真です。

  そして槍が岳まで続きます。
  
  私達が2日間を費やして歩いた稜線が、今、目の前に広がります。
 何度も、何度も、左から右へと目を動かします。
 その度に苦しかった岩だらけの登りが脳裏に浮かんできます。
 でも、この景色を目の当たりにするとそんな感情も吹っ飛んでしまいます。

 綺麗だ!この言葉しか頭に浮かんでこないのです。
本当にいい山に登らせていただきました。

 穂高から左に目をやると乗鞍岳から、さらに、御岳が見えています。
 
 そして、さらに、左手を見るとうっすらと富士山も見えています。
     

 槍ヶ岳の姿をもう一度目に焼き付けます。
この場所からは東鎌尾根の向こうに北鎌尾根が見えています。
北鎌尾根は、「孤高の人」で有名な加藤文太郎氏がその命を絶った尾根です。
この尾根の姿を目にして、いつか私も登ってみたいと思いました。
   
   それが叶う日は来るでしょうか?

9:40分、蝶が岳ヒュッテで一休みです。

 外のベンチでゆっくりと昼食を取ります。

 ここからは徳沢へ降ります。
この下りが長かった。
降っても降ってもなかなか下に着きません。
もうウンザリするぐらい降って、やっと徳沢に着きました。
13:40分、徳沢園のベンチで一休みです。
  
  なかなか趣のある建物です。
 駐車場に乗用車が停まっています。
 ここまで、車が入れるようです。

 しかし、登山者は遊歩道を歩いていかなければなりません。
ゆっくり休んで、明神へ向かった歩きます。
遊歩道は木陰があり、強い日差しを遮ってくれるので
気持ちよく歩けます。

でも、身体の方がいうことを聞いてくれません。
かなり疲れが溜まってみているようです。

14:45分、明神に着きます。
明神は穂高神社の奥宮のようで立派な柱が立っています。
 

 穂高神社は明神(穂高岳)を祀っているのです。
  
  そのご神体がくっきりとその姿を現しています。
 
15:45分、やっと河童橋に着きます。

バスターミナルに着くと16時発松本行きのバスがあるといいます。
すぐにチケットを買って、あわただしくバスに乗り込みます。

5日前にこのターミナルから西穂高岳を目指して歩き出し、
やっとここまで戻ってくることが出来ました。

最初は本当に登れるか心配だったのです。
でも、無事に帰ってくることが出来ました。

最高の登山でした!
さまざまな苦しみも、この瞬間喜びに変わります。

ありがとう穂高岳!
そして槍ヶ岳!



槍ヶ岳を降りる! ・ 08’9月

2008-09-28 21:13:39 | 北アルプスの山
8月11日、槍ヶ岳を降りる日です。

日の出を見ていると浅間山の左手からゆっくりと昇ってきます。
  
   今日もいい天気です。
  穂高岳山荘から見た日の出は浅間山の右手から昇っていましたが、
  槍ヶ岳山荘から見る日の出は、浅間山の左手から昇ってきます。
  これだけのことですが、昨日一日に歩いた距離が反映されています。

 槍ヶ岳山荘はかなり大きな規模の山小屋です。
5百人は泊まれるかという建物です。
   
   実は宿泊の申し込みをしたときに2人分の番号を割り振って
  いただきましたが、実際に部屋へ行ってみると2人分のスペースは
  身体を横にしたほどのスペースしかない有様です。
  2人分でやっと上を向いて寝れるほどのスペースでしょうか。

  でも、昨晩の宿泊者は百人足らずのようでしたので
 6人分を2人で使う、ゆったりとしたスペースです。

 これからの行程をO氏と昨晩相談しました。
その結果、今日明日も天気がいいようなので、
このまま横尾山荘まで降り、そこで1泊して
あしたは、梓川の対岸にある蝶が岳まで登ることにしました。

蝶が岳からは穂高連峰から槍ヶ岳までを一望できると聞いたからです。
私達が上高地から3日間掛けて歩いた峰々をもう一度見たいと思ったからです。

6:30分、槍ヶ岳山荘から槍沢のカールを降ります。
   
   朝の槍ヶ岳山荘前です。
  
   
   今日も槍ヶ岳の穂先がくっきりと見えています。
  下山しながらついつい後ろを振り返ってしまいます。

   
   ここが播隆上人が修行をしたといわれている岩屋です。
  播隆上人は槍ヶ岳を開山した人です。
  槍ヶ岳山荘の食堂にこの播隆上人を祀った祭壇がありました。
  そうです、槍ヶ岳は山岳宗教にとっても大事な場所なのです。

  さらに降ると天狗原への分岐点があります。
  
  ここまで降ってくると緑がいっぱいです。
 雪解け水が豊富にある証拠でしょうか。
 
8:45分、水俣分岐に到着です。
  
   槍沢の大曲を過ぎましたので、この辺りからは
  穂先を見ることが出来ません。

さらに降るとババ沢のキャンプ場があります。
 
 この辺りまで来ると梓川の水量も豊富ですので
沢音もゴウゴウと賑やかです。

9:45分、槍沢ロッジに着きます。
ここでゆっくり休みます。
槍沢ロッジの広場に望遠鏡が据えられています。
何かと思ってのぞいてみると槍の穂先が見えています。

案内板を読むと「山崩れにより槍の穂先が見えるようになった。」とあります。
  
  こんな感じです。

 槍沢ロッジの電話を借りて松本市内のビジネスホテルの宿泊を
キャンセルします。

 あんまりダラダラしていても仕方がないので横尾山荘まで
行くことにして降ります。

11:30分、横尾山荘に到着です
 宿泊の予約をしようと思いましたが、受付は14時からといわれ
まずは食堂で昼食を取ります。
  
   横尾山荘は昨年から新築工事をして、今年度にやっと完成したようです。
  どおりでピッカピッカな建物です。

 食堂でラーメンを頼みます。
7百円と手頃な値段です。

 食事の後は、付近を散策します。
横尾山荘の隣には、立派なトイレと避難小屋があります。
そして涸沢方面に行くため梓川に架かっているのが横尾大橋です。
  
  この橋の上から見た梓川です。
  
   槍ヶ岳に端を発した梓川が信濃川となって日本海にそそぎます。
  日本一の大河の始まりが梓川だと知ったのはバスの観光案内でした。
  知りませんでした!
  
 14時に宿の人から受付を始めますと声が掛かったので
受付を済ませた部屋へ入ります。
1人づつ区切られた2段ベットです。
お風呂は16時からと案内があります。
ここまで降りてくると豊富な水がありますのでお風呂があります。
4日振りのお風呂です。
お風呂に入って、今晩はゆっくり休めそうです。  

いよいよ槍ヶ岳(3,180m)へ ・ 08’9月

2008-09-27 22:43:10 | 北アルプスの山
南岳小屋でゆっくり休んだのですが、
暑さのため身体が思うように動かなくなってきているようです。
それでも何とか3時間で槍ヶ岳山荘へ着くように頑張ります。

13:20分、南岳の山頂です。
  
  ここは素通りします。

 天狗原への分岐を過ぎて次のピークへ20分ほどで着きます。
ここも素通りして中岳を目指します。
   
   中岳、大喰岳の向こうに槍の穂先が見えます。
  しかし、なかなかこの距離が縮まりません。
  ただひたすら穂先を目標に足を動かします。

左手、飛騨側から雲が湧き上がってきます。
槍の穂先が隠れそうになってきます。
このまま雲が流れてくると、せっかく槍ヶ岳についても
眺望が台無しになってしまいます。
   

14:35分、やっと中岳に到着です。
雲の方は槍の穂先を隠すことなく、上空で消えていきます。
強い日差しが雲に遮られて少し歩きやすくなっています。
しかし、小さな登り返しがあるので一つ越え、
その先の登りを見る度にため息が出てきます。

15:25分、大喰い岳に着きます。
  
  飛騨乗越の向こうに槍ヶ岳山荘が見えています。

 いよいよ、この下りが最後の下りです。
岩場の急な下りです。
慎重に降ります。
   
15:50分、飛騨乗越です。
あと15分ほど頑張れば槍ヶ岳山荘です。

最後の登りですので、給水をして一息いれます。
テントサイトが見えてきます。
その先に山荘の赤い屋根が見えてきます。
16:10分、やっと、槍ヶ岳山荘に到着です。

 目の前には槍の穂先が落ちかけの日差しの中で輝いています。
   
   槍ヶ岳山荘で宿泊の申し込みを済ませると、
  夕食は5時からといわれましたが、山頂に向かうことを告げると
  多少は遅くなっても構わないと言われる。
  ザックを玄関脇において中からサブザックを取り出し、
  水と非常食を入れて山頂を目指します。

  山頂へは、小屋の右手を詰めます。
  いきなり岩場になり鎖と梯子が続きます。

 長い梯子の2本目を慎重に登るとそこが山頂でした。
細長い山頂の北側の奥に小さな祠が見えます。
16:37分、とうとう槍ヶ岳の山頂に来ることが出来ました。
  
  まずは、祠に手を合わせここまで無事に着くことが出来た
 感謝の祈りを捧げます。
 そして、記念写真を撮ります。
 後ろには立山が黒く見えます。

 ウーン、言葉が出てきません。
この1か月ほど、この山頂に立つことを夢見ながら計画を立て、
航空券などの予約をしてきましたが、これほど天気に恵まれた
登山が出来るとは正直思っていませんでした。
そのことを思うと、言葉が出てこないのです。

 初めての本州の山、それもあこがれの穂高連峰から槍ヶ岳!
こんなに素敵な登山をプレゼントしてくれた神に感謝です。
本当に幸運としか言いようがありません。
 
前方には穂高連峰が見えるはずなのですが飛騨側から湧いている
雲に隠されて見ることが出来ません。

左手を見ると大天井岳の山腹に槍の穂先が大きな三角形の
影を落としています。
  
  今いる場所がこの三角形の陰の一番先端にいるのだと思うと
 嬉しくなります。

 山頂は風もなく飛騨側の雲が静かに山腹を湧き上がってきます。
しかし、長野側に流れることなく、天空へ消えていきます。
  

それを、ジーッと見ていると、少しずつ長野側から風が吹き出し
岐阜側の雲を押しのけていきます。
穂高連峰の山頂部が少しずつ顔を出してくれます。

 もう少し、もう少しと願っていると奥穂高岳から北穂高岳などの
姿が見えてきます。
とうとう穂高連峰が顔を出してくれました。
   
   前穂高岳からジャンダルムも見えています。
  雲が晴れて穂高連峰の姿も見ることが出来るという幸運にも
 恵まれたので、満足して山を下ります。

20分ほどで槍ヶ岳山荘へ戻ってきます。
長かった今日一日の登山もこれで終わりです。

 部屋に荷物を移し食堂へ急ぎます。
食堂は閑散としておりほとんどに人が食事を終えています。
入り口近くのテーブルに用意された食事を食べます。

盛岡のおじさんがワインを買ってきて振る舞ってくれます。
3人で登頂記念の乾杯をします。
今日一日の辛さが吹き飛ぶような山頂でした。

話に花が咲き、ついつい話し込んでしまいました。
小屋の人からそろそろ片づけてもいいですかと言われ
テーブルから腰を上げます。

ワインの酔いもあり、とても幸せな気分で一杯です。

大切戸(キレット)越え ・ 08’9月

2008-09-26 20:24:34 | 北アルプスの山
北穂高岳の山頂でゆっくり休んだのでキレットを目指して降ります。
さて、キレットに向かうコースはと思い山頂を見渡します。
どうやら北穂高小屋に向かって降りるようです。

地図の上では北穂高岳の山頂と北穂高小屋は離れているようですが
実際には北穂高岳山頂のすぐ下に北穂高小屋があり、
小屋のテラスを通ってキレットへ降ることになっています。

小屋のテラスが登山道とはちょっと意外なコースでしたが、
ここから遙か彼方の下まで降らなければなりません。
浮き石も多いコースでので慎重に降ります。

日の当たる東側の斜面から一転して暗い西側の斜面に登山道が
伸びています。
どうやらここからが「飛騨泣き」でしょうか?
この浮き石だらけの登山道の横には滝谷の岩がその姿を見せています。

この岩に圧倒されながら降ると長い鎖場があります。
ちょうど登ってくる人が数組いるのでお互いに声をかけながら
どちらが先に鎖場を通るか決めます。
核心部の鎖場を無事に降りるとA沢のコルも間近です。

この辺りまで来ると長谷川ピークを登っている人の姿がハッキリと見えます。
    
    かなりの人数が長谷川ピークを越えてくるようです。

10:15分、北穂から降り終えたA沢のコルに着きました。
7~8人の人達が昼食を取っています。
私達もここで昼食とすることにします。

先に来ている人達に話を聞くと、南岳の小屋から来たと話してくれます。
目の前に見える長谷川ピークは大きな一枚岩のように見えます。
   
   この左端のピークが長谷川ピークです。
  ここからナイフリッジの先端部を飛騨側に身を乗り出して
  越えるところが核心部です。
  
  ちょっと怖いのですが、足場がしっかりしていることと、
  鎖があるので思ったより簡単に越えられます。
  実際に降って来た人が、長谷川ピークってどこですか?
  などと言っている人がいたくらいです。

 昼食でお腹も満たされたところで、私達も長谷川ピークへ向かいます。
最初の一歩は、ちょっとオーバーハング気味の岩の下を越えなければ
ならないのですが、そこは、足場にしっかりとした木製の橋が
出来ているので造作なくクリアします。

そこからはナイフリッジのような岩尾根を鎖に掴まったりしながら
ナイフリッジを右に行ったり左に行ったりしますが、
岩肌は滑らないし、ホールドも沢山ありますので
難なく高度を稼ぎます。

  
  後ろを振り返ると北穂から降ってきた岩場が見えます。
  あらためてみると、よく降りてきたものだと思います。

南岳方面から来る人と交差するときだけお互いに声を掛けて
先に行かせてもらったり待ったりして進みます。
長谷川ピークを越えると目の前には南岳の登りが遠くに見えます。
   
   尾根の先に聳える岩場を越えなければ南岳へ行くことが出来ません。
  まずは、岩場の下を目指して歩きます。

 岩場の下について上を見ると梯子が2つ見えます。
かなりの急斜面ですが、ここまで歩きを考えると
それほど難しいものではありません。

ただただ慎重に登るだけです。
はしごを登り終えると細かな岩くずが堆積している足場の悪い
沢状の所があります。
岩くずが落ちないように丸太で木組みがされています。
ここを登り終えると南岳の小屋の赤い屋根が見えます。
難場を終えてホット一息です。

12:40分、南岳小屋に到着です。
     
     小屋の陰で一休みします。
    暑さのためノドが渇いてきたので水分を十分に補給します。
    北穂からここまではちょっと時間が掛かりすぎたようです。
  
 これから槍ヶ岳山荘までは、岩場ではなく普通の登山道となりますが、
まだまだ先が遠いです。
何とか、4時頃には着きたいと思い疲れた身体に鞭を打って歩きます。
   

北穂高岳(3,106m)に向かって ・ 08’9月

2008-09-24 21:06:49 | 北アルプスの山
穂高岳山荘の前からヘリポートに向かって登ります。
ヘリポート下がテントサイトになっており5~6張りのテントが
張られています。
その横を登っていきますが、涸沢岳への登りは普通の登山道で
難しいところはありません。

   後ろを見ると奥穂高岳が朝日に輝いています。
   
   山頂へ向かって登っている人が小さく見えます。

   奥穂高岳の右手にはジャンダルムも朝日に輝いて
  その岩肌が光り輝いています。
   

  左手を見ると笠ケ岳に穂高連峰の峰々が陰となって写っています。
   
  今日も一日天気が良さそうですので気持ちよく歩けます。

6:10分、涸沢岳の山頂です。
体が温まってきたのでヤッケを脱いで身支度を整えます。
ここから北穂高岳に向かってまずは降らなければなりませんが
下を見るとウンザリするほど降らなければならないようです。
   
   ヘルメットを被って気を引き締めて降ります。

   
   涸沢岳からは今日歩く道が一望できます。
  北穂高岳の向こうにはキレットが見えています。
  そして、その奥には槍ヶ岳がくっきりとした姿を見せてくれています。

   
   この下り道も浮き石が多いので昨日と同様に慎重に降ります。
  時々登山道が分からなくなりますが、そんなときは、
  落ち着いて振り返ると踏み跡が見つかります。

  注意深く降ります。

   
   涸沢岳の山頂を見るのに首が痛くなるほど上を向かなければ
  ならなくなってきたとき、やっとコルに到着です。
  7:10分ですので約1時間下り続けたことになります。

   
   降ればまた登りが目の前にあります。
  今度はひたすら登らなければなりません。

    突然、すぐ近くで人の叫ぶ声が聞こえます。
   はっと思って目を凝らすと滝谷の岩を登っている人がいるようです。
   
   すぐ横の岩場に上に男の人が一人立っています。
  トップの人がセルフビレイして後続にかけた声のようです。

 私は本格的な岩登りはまったく経験がありません。
縦走主体の登山の経験だけですので、このようなロッククライミングを
している人にあこがれを感じています。

   
   右手に広がる涸沢カールを見ながら歩いていくとやっと
  涸沢から登ってくる登山道との分岐につきます。
  
  ここまで来ると北穂高岳の山頂も間近に見えます。
   

8:37分、北穂高岳の山頂に到着です。

ここまで約3時間ほど掛かっています。

ここからは、次の難関大キレット越えです。
山頂からのぞき込むと遙か下の方まで降らなければ行けません。

長い下りに備え、ゆっくりと休憩します。

穂高岳山荘の朝 ・ 08’9月

2008-09-23 21:22:26 | 北アルプスの山
9月10日(水曜日)山には入って2日目の朝を迎えました。
奥穂高山荘は標高3千メートルはありますので、
小屋のテラスから朝日を見ることが出来ます。
5時過ぎになると東の空が明るくなり日の出を迎えます。
   
    浅間山の右手から日が上がるようです。
   浅間山の噴煙が右の方に流れています。

   
    すでに出発の準備をしている人がいます。

 実は朝食が5時15分からですので、朝食を食べながら日の出の
瞬間を待っていました。
外で歓声が上がったので、すぐに駆けつけて写真を撮ります。
    
    今日の朝日に向かって、無事に歩けるように祈ります。

 朝食で感心したことがあります。
実は生卵が食卓に出ていたことです。
この場所にどうやって生卵を運ぶのか?
毎日運ぶとしたらそれだけでも大変なことです。
朝食だけでなく、夕食も野菜が添えられ、なかなか充実した内容です。
これだけの内容を毎日出すのは大変なことです。

 生鮮食品をこの山小屋まで運ぶのは人出によるかヘリコプターを
使うしかありません。
これらのことを考えると1泊2食で9千円の料金は
決して高いとは思いません。

昨晩、この小屋の歴史をまとめたビデオを見せてもらいました。
そこには、小屋を維持していくための苦労が写されていました。
水の確保、電力の確保、トイレの問題などに先駆的に取り組んでいる
様子が紹介されていました。

水は涸沢岳の下にある雪渓を水源として引き込み、4度ほどの水を
温度を上げるために水槽を循環さるなど工夫しています。
このモーターの電力をソーラーパネルによる発電を利用しているようです。
電力は、このほかに風力発電を行っています。

トイレは水洗となっています。
これも驚きでした。
水を浄化する必要もあるからです。

この場所で環境に配慮した小屋の運営を行っている点は
評価しなければなりません。
そのために利用力金が高くなるなら、それは我慢しなければなりません。

 実は、昨日、テラスで涸沢を眺めながらビールを飲んでいるときに
小屋の経営者である今田さんの話を聞くことが出来ました。
その時にも水の話、トイレの話、ソーラー発電の話などを
聞きました。
さらに、この小屋を運営する従業員は25人ほどいるということ。
そのうち5人ほどが交代で1週間ほどの休暇を取っていること。
などいろいろと小屋を経営する上での苦労話を聞くことが出来ました。
それは、私が想像している以上に大変な苦労が伴う話でした。
ここ3千メートルを超える標高であるが故の苦労です。

北海道の山小屋といえば、無人の小屋がほとんどです。
山頂付近にある山小屋で有人で管理している小屋といえば
黒岳石室、羊蹄山の小屋ぐらいでしょうか。
でも、この小屋でも食事を出す小屋はありません。

それに比べると本州の山小屋は食事に布団付きと町の旅館並みの
設備で登山客を迎えてくれます。

それを利用することによって日帰り装備程度の軽装備で
3千メートル級の山を縦走することが出来るのです。
このことに感謝しなければなりません。

5:45分、いよいよ槍ヶ岳に向けて出発します。