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井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

修行の山、久山岳(北日高)!

2013-10-23 20:37:37 | 日高山系の山
 10月11日(金)

 昨夜はきれいな星空でしたが、朝からどんより曇っています。
今日の天気予報は曇りから雨の予報です。
今年は、なぜか夜のいい天気が朝になると曇り空が多いのです。
そんなことでできるだけ早めに登山を終えるため、いつもように朝は4時に起きて準備をします。

 久山岳の登山口は昨日のうちに確かめておきました。
ちょっと迷いながらでしたが、なんとか登山口を確認できたので安心して行動できます。
いつものことですが、初めて登る山は登山口にたどり着くのが意外と難しいのです。
初めて走る林道は、分岐点があるたびに地図を確認しないと迷ってしまいます。

  
   ここが林道の行き止まり地点です。
ここに来るまでの間、両側は綺麗に植林されていました。

 6:05分、いよいよ出発です。

林道の先に丸木橋があります。
  
  この橋がもっと立派な橋であればこの先まで来るまで入れるのですが・・・

 橋を渡って少し歩くとT字の交差点があり立派な林道に突き当たりました。
この林道を左に曲がり10分ほど歩くと登山ポストがあるではないですか。
  
  昨日はこの林道を探していたのですが、上手く探せなかったのです。
ここまで25分ほどかかりました。

 登山道は笹原がきれいに借り払われた快適な道です。
  
   小さな沢を渡ります。
ここからこの沢の左岸を登ります。

 登山道の所々に立派な標識があります。
  

 そして、7:00分、標高700m地点に到着です。
  
  立木にある標識には「日輪釈迦如来」と書かれています。
この標識からも、この久山岳が修行の山であることがわかります。
この後も宗教的な標識と付近の情景を反映したと思われる標識が続きます。

 この700m地点から両側の刈払いも狭くなり、やっと登山道らしくなってきます。
登山道はどんどん傾斜を増してきます。
そして笹が登山道に覆い被さるようになってきます。

  
   木石見返坂

  
   安山岩父の胎内

  
   高王山神の重石
 
  
   石松安山岩

  
   カエル岩

  
   高王山釈迦涅槃座石

  
   熊のとおり道

  
 8:40分、急な尾根道もやっと終わり、山頂まで10分の標識に力づけられて歩きます。

 ここからは岩の隙間に根を張った松と苔に癒されながら歩きます。
しかし、稜線に出たため時折吹き上がりの強い風が吹いてきます。
  

 朽ち果てた丸木で作られた階段を何所ほど登ると山頂でした。
8:50分、山頂に到着です。
  

 山頂からは昨日登った芽室岳がすぐ隣に見えています。
  
 
  
 山頂部は風が強いので少し下った山影で休みます。

  
   赤い実が苔の緑色に映えます。

 寒さのためあまり休みを取らないで歩いてきましたので軽く食べ物を口に入れます。
しかし、汗をかいた体がすぐに冷えてきます。
ガスが吹き上がってきているので天気の方も心配です。
10分ほど休んですぐに出発します。

 急な尾根道を下りかけた時にポツポツと雨が降ってきます。
空模様から雨具の上だけ着て歩きます。
そのうち本降りとなってきます。
登山道は林の中なのでそのまま歩き続けます。

 結局、休みなしで駐車していた車のところまで歩きました。
1時間40分ほどで下り終えたことになります。
ここからは、いつもの新嵐山荘へ向かいます。

 新嵐山荘のお風呂に入って冷え切った体を温めます。
この時間が一番気持ちがいいですね。

 ✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★✩★

 ここで、剣山の登山口にある小屋を紹介しておきます。
登山口には立派な神社があります。
  
   剣山神社です。
この社の右手に小屋があります。
  
  小屋はブロック作りの平屋ですが、中は広く中央に薪ストーブが有ります。
トイレは小屋の左手に別棟であります。

 水は小屋の前の手水の水が使えます。
  

  
  小屋の中はこんな具合です。

 この小屋は冬も使えるのです。
私達もこの冬の日高登山の折に使わせてもらいました。



  

芽室岳(北日高)に登る

2013-10-16 09:40:41 | 日高山系の山
 めっきりと秋が深まってきた北海道です。
この時期、ちょっと寒くなると山は雪が降ります。
晩秋の北海道は山選びが難しくなってきます。

 そんなことを考えながら10月10日から11日に掛けて北日高にある芽室岳へ行って来ました。
せっかく日高へ出かけるのですからもう一つくらいと思い芽室岳の隣にある久山岳をセットで登ることにしました。

 芽室岳は、日高主稜線の北の端となる山です。
この山からピパイロ岳までの主稜線を歩き残しているのでその偵察もかねての登山です。
今回もSz氏と2人での山となります。

 札幌を6時にスタートして高速を使い十勝清水で降ります。
道東道の高速が繋がったお陰で日高は本当に近くなりました。

 8:20分、登山口に到着。
ここには立派な山小屋があります。
   
   キャンプをするにも適当な広場があります。

 8:45分、さあいよいよ出発です。
   
 まずはこの丸木橋を渡ります。
今日のルートは尾根歩きとなります。
天気は上々、登山道の両側も笹係払われており快適です。
昨夜の気温が高かったため笹や下草が濡れていません。

 こんな快適な登山道はしばらく振りです。
しかし、登山道はなかなかの急登です。焦らずじっくり登ります。

   
    ハイ松が出てくるようになると視界が開けてきます。
西峰が見えてくると傾斜が少し緩くなります。
白樺の木が多くなると西峰への分岐が近くなります。

   
    西峰が間近に見えてきました。

 ほどなく分岐点です。
   
    西峰との分岐点に来ると芽室岳の山頂が間近に見えてきます。
    一番奥のコブが山頂です。

 11:45分、ちょうど3時間で山頂に着くことができました。
   
    山頂標識です。
   

 今日は天気がいいのでずいぶん遠くの山も見えています。
西の方には羊蹄山や芦別岳、北には十勝岳から大切の山並みが見えています。
そして東の遠くには雌阿寒岳も見えていました。

   
もちろん北日高の山並みもバッチリ見えています。

 すぐ横には伏見岳からピパイロ岳の稜線が見えます。
そして、芽室岳からピパイロ岳の稜線もクッキリ見えています。

   
   この稜線をじっくり見ましたが、ピパイロまで遠いこととピパイロの稜線までの最後の登りは相当急な尾根であることがよく分かりました。

 ここからピパイロまでは夏道が無いので残雪期に歩くことを考えていますが、取り付きまで林道が長いこととこの稜線は1日では歩けないので、相当の覚悟が必要です。

 すっかり温かい山頂でのんびりしていましたが、西峰へ行くSz氏と分岐点で会うこととして、私はコケモモの実を取ることにしました。

 コケモモは赤い実をつけた高山植物です。
その実はちょっと酸っぱいのですが、祖のみを取って果実酒を造ろうと思っています。
実は昨年もこの実を集めようと思い石狩岳へ行きましたが、ほとんど目にすることがなかったのです。

 ここ、芽室岳にはコケモモやガンコウランの実がなっていたので集めることにしました。
30分ほど頑張って両手に乗るくらいの量が集まりました。

 こんな楽しみがあるのが、秋山の良いところですね。

 下山後は、剣山の登山口にある小屋へ向かいます。
明日は、この芽室岳と峰伝いにある久山岳に登ります。

   
   十勝平野も一望できました。

十勝岳(南日高)に沢登り!

2013-10-06 22:04:44 | 日高山系の山
 9月20日の昼から札幌を出発、一路浦河を目指します。
今回は、南日高にある十勝岳に登り、できれば楽古岳までの稜線を歩くためです。
Sz氏と二人での挑戦となりました。

 20日は、登山口となるコイボクシュメナシュンベツ川にある楽古山荘に前泊します。
   
   途中の林道が工事中で少し待たされましたが、日暮れ前に小屋に到着です。
この小屋は、水が小屋の目まで沢水が引いてありトイレも完備された立派な小屋です。
電気も灯くようなのですが、発電機の動かし方が分かりません。

 小屋のストーブを燃やして夕食の鍋を食べます。
今夜は妙に温かく、ストーブを炊くと小屋の室温が上がりすぎ暑いくらいです。
こんなことで温かい小屋でぐっすり寝ることができました。


 9月21日(土)

 4時に目を覚ましますが、この季節になるとまだまだ真っ暗です。
チャッチャと朝食を済ませる頃には薄明るくなってきました。
窓から外を見ると空はドンヨリ曇っています。
時折、強い風が吹いています。
コンディションとしては、あまり良くありません。

 5:15分、外へ出ると今朝も妙に気温が高いのです。
空は低い雲が立ちこめています。
   
   駐車場の入口にある鐘を鳴らす紐が大きく揺れています。

 ここからは林道跡を上流に向かって歩きます。
この道は昨年も歩いています。
ほとんど1年振りの林道です。

 15分ほど歩くと昨年入渓した最初の渡渉点です。
   
 しかし、良く見ると対岸に踏分道があるようです。
今回は十勝岳から楽古岳まで歩くつもりですので、先を急がなければなりません。
そんなことで、使える捲き道を最大限に使って歩きます。

   
    520m二股です。
ここまで約1時間、まずまずの進み具合です。
昨年は、ここで左股へ行かなければならないところを右股へ入ってしまい楽古岳の山頂下まで登ったのです。

 今回は間違わずに左股へ入ります。
二股からそれほど難しいところもなく順調に登って行きます。
1時間ほど歩き標高700mほどで沢全体に覆い被さるように岩が積み重なっています。
   
    ガラガラのカラ沢は不安定な岩が積み重なっています。
浮き石に足を取られないように慎重に登ります。

 再度水音が聞こえるようになると目の前に急な沢が滝となって上の方へ続いています。
   
 この辺りから辺りがガスに包まれ視界が無くなってきます。
風は相変わらず強く吹き上がってきます。
唯一、気温が高いのが救いでしょうか。

 こんな状況ですので十勝岳から楽古岳の稜線はあきらめました。
ガスで視界がなくさらに強い風の吹く稜線を歩くのは辛いだけです。

 沢自体が傾斜が強いので滝の連続といった感じが続きます。
そのためドンドン標高を稼ぐことができます。
   

   

 前を歩くSz氏の姿が霞むほどガスが濃くなってきます。
このあたりで、私はすっかり戦意消失です。
こんな天気で十勝岳の山頂へ立っても何も見えないでしょう。
そんなところに登ってもつまらないと思います。

 再度、沢水が消えます。
ガラガラの岩を登りますが、この辺りで右に見えた小さな沢にはいるのが正解のようでした。
しかし、私は左股の方が沢型がはっきりしているの、こちらを選択してしまいました。
ほどなく沢水が復活、それもすぐに消えてしまいます。

 すでに源流部の様子となった沢型を登ります。
傾斜がドンドン増してきます。
両側の笹を掴みながら登るのですが、その笹も低くなってきます。
ハイ松が見えてきます。
かなり稜線に近づいているとは思うのですが、辺り一面ガスに包まれ視界は15mほどでしょうか。
  
 高度計を見ると1250mを示しています。
ここでSz氏に下山しないかを相談します。
このまま稜線に出て山頂を目指してもガスの中の山頂には何の楽しみもないからです。

 Sz氏の了解をもらったので直ちに下山します。

昨年に引き続き、十勝岳も楽古岳も山頂目前で引き返すことになってしまいました。

 楽古山荘に戻ってくると車が3台ほど止まっていました。
彼らは楽古岳に夏道から登っているのでしょうか?

 結局、中途半端な山行を繰り返し野塚岳から楽古岳の稜線は残したままとなってしまいました。
同行のSz氏には悪いことをしましたが、妙に気持ちの盛り上がらない山行でした。




ペテガリ岳に登る・2日目

2013-09-03 14:02:27 | 日高山系の山
 朝4時に目を覚まします。
8月になるとドンドン陽の明ける時間が遅くなっています。
まだ、外は真っ暗です。

 朝食の準備をして荷物をまとめます。
小屋泊まりだとこの辺が凄く楽です。
何せ、スペースが十分にあるので適当に荷物の仕分けができるのです。

 朝食はいつものお茶漬けです。
サラサラと食べてコーヒーやお茶など好きな飲物で水分も補給します。
このあたりになると空が明るくなりヘッ電はいらなくなります。

 朝5時、いよいよ出発です。
空を見るとドンヨリ曇っています。
昨夜見た満天の星空は何だったのでしょうか?

 登山道は沢沿いにあります。
砂防ダムを越えると小さな沢の中を歩きます。
やがて、稜線に続く斜面をジグを切って登ります。
この辺りから一面の笹藪になります。
この笹藪がくせ者でダニが虎視眈々と登山者を狙っているのです。

 この笹藪の急斜面と1時間ほど格闘するとやっと稜線が見えてきます。
   

 以前は、この稜線に出ると猛烈な笹が登山道を覆い隠していました。
しかし、今回はちょっと様子が違います。
どうやら笹刈りが行われたようで登山道が見えるのです。

 しかし、この稜線は数え切れないくらいの登り返しがありますので油断ができません。
我慢して黙々と歩きます。

   
    右手には中の岳が見えています。

 そして、左手に見えるのが1839m峰です。
   

 途中なんかの休憩を取りますが、天気は回復せず、心なしか悪い方へ行っているような気がします。
気温も低くなってきました。

 今日の天気予報では、低温と強風が予想されているのです。
そのためにカウンナイからトムラウシをあきらめたのですから、この天候悪化は予定どおりとも言えます。

   
    やっと山頂を見ることができました。

 ここからも登り返しが続きます。
このペテガリ岳は、登る時間と降る時間がそれほど変わらないといわれるくらいです。
辛抱の登り返しを続けていると山頂が雲に覆われるようになってきました。
   

 山頂下最後のコルに到着したときには辺りはすっかりガスの中です。
おまけに風も強くなってきており汗で濡れた身体を冷やさないように雨具の上着を着ます。

 ここからの笹がひどかった!
急斜面の登山道すっかり覆っているのです。
登るに従って周囲の灌木が低くなっていきます。
ハイ松が出てくると冷たい風が身体に当たるようになります。

 身体がドンドン冷えていきます。
辺りはガスでよく見えません。
何度か山頂かと思わせるようなコブを越え、やっと山頂の標識が見えたときは、正直ホッとしました。

 10時、山頂に到着です。
   
 風が冷たく強いので、この写真1枚を写すとすぐに風下にあるテントサイトで休みます。
ここは風がまったく当たらないの落ち着いて休憩できます。
持ってきたポットのコーヒーなどを飲んで身体を温めます。

 こんな場所には長居は無用です。
15分ほど休んで直ちに下山します。
今まであえぐようにして登ってきた急斜面を走るようにして降ります。

 途中で、私達の後に出発した3人組とすれ違いました。
お互いに挨拶して分かれます。

 コルまで35分ほどで降るとここからは林の中です。
風が当たらなくなりますので雨具を脱いで歩きます。

 疲れた身体に登り返しは堪えますが、このメンバーですとそれでもドンドン進んでしまいます。
途中2度ほどの休憩を挟んで14時にはペテガリ山荘へ戻ってきてしまいました。

 さて、最初の予定ではもう1泊しても良いのです。
しかし、明日の天気も今ひとつですのでこのまま下山することにしました。
ザックのパッキングをやり直して30分後に出発します。

 時々陽が射し暖かくなってきた林道を歩きます。
3時間後、無事に登山口に戻れました。

 駆け足で登ったペテガリ岳でしたが、小屋泊まりのため気持ちに余裕のある山行でした。
特にOn氏は30センチ超のニジマスを釣り上げ、満足いったようでした。

ペテガリ岳に登る・1日目

2013-08-31 16:38:57 | 日高山系の山
 8月28日から30日までクワウンナイ川を遡上してトムラウシ山に登る計画を立てていました。
しかし、天気の具合がどうも思わしくないのです。
天気予報によると29日は、天候は曇り、高度千9百メートルで気温4度、風速20mの風が吹くとのことです。
この日の予定は沢を源頭部まで遡上しますので風の影響は少ないかもしれませんが、沢水で濡れた身体は確実に低温の影響は受けるはずです。

 まだ8月なのにこの低温は数年前に起きたトムラウシ山での低体温症による大量遭難事故を懸念させるものがあります。
下山予定の30日は、雨の予報であり、幾分気温が上昇するものの風速10mほどの風が残ります。
ご承知のようにクワウンナイ川は逃げ場のない川ですので雨が降る予報では入ることができません。
こんな天気予報では潔く中止の判断をするしかありません。

 さて、替わりの山を捜さねばなりません。
今回のメンバーOn氏が、ペテガリに行かなければならない事情があるということですので、ペテガリ岳に変更することにしました。
ペテガリ岳は、コイカクからの縦走以来、2年振りとなります。

 8月28日(水)

 朝6時に札幌を発ちます。
今回のメンバーは、いつものSz氏、On氏に私の3人です。

 10時に登山口となるニシュオマナイ川の駐車場に着きます。
神威山荘手前にあった崖崩れは補修されて通れるようになっていました。
   
 ここで登山準備をしてると大きなポカをしていることに気が付きました。
何と夏靴を忘れて沢靴を持ってきているのです。
この原因は、靴袋に靴を入れて仕舞うときに入れ間違いをしていました。
そのことに気が付かず、夏靴を入れたと思って袋を持ってきていたのでした。
仕方がないので今回は沢靴で登ります。

 駐車場からまずはニシュウオマナイ川を渡ります。
    
 沢水は綺麗に透き通っています。
水量も多くありません。
   
   飛び石伝いに慎重に渡渉します。

 このルートでは、まず、ニシュオマナイ川から776mのコブ山の東側を乗り越してペッピリガイ川に出てペテガリ山荘まで歩きます。
この間、約3時間の行程となります。

   
 細い沢に沿って登りますが、踏分路がしっかりしており水量も多くないので夏靴で充分歩くことができるのです。
枝沢があるところにはピンクのテープが付けられており正規のルートを見失うことはありません。
 1時間ほど歩いたところにある滝が危険なポイントですが右岸に捲き道があります。

   
 沢の両岸が狭くなり水が無くなってくると乗越地点が間近になった証拠です。

 やがて、土の急な斜面となりここに切られたステップを登ると乗越点に到着です。
ここから右手に20mほど笹の中を歩き、今度は狭く急な沢を降ります。
20分ほど降ると植林された斜面が目の前に広がります。

 ピンクテープに導かれ降っていくとペッピリガイ沢に沿った林道に出ます。
   
この林道をドンドン降っていくとペテガリ山荘へ着きます。

 途中、右手から流れてくる沢に橋が架かっています。
この沢はペテガリ沢です。
この橋を越えると15分ほどでペテガリ山荘に着くことができます。

 ペテガリ山荘に13時到着です。
小屋には誰もいません。
   

 ここで、ペテガリ山荘を紹介しておきます。
この小屋は2階建てです。
管理は静内山岳会が行っています。
小屋の両側にトイレと流しが完備しています。
  

 外には炊事場も完備しています。
  

 小屋の中にドーンと鎮座しているストーブが好きです。
  

 さて、ザックを置くと飛び出すようにOn氏は釣り竿を持ってペテガリ沢へ向かいます。

私は小屋の中でのんびり昼寝を楽しみます。

 小1時間も経ったでしょうか。
釣りに行っていたOn氏とSz氏が帰ってきました。
何という釣果でしょうか。
30センチを超える大物が1匹、20センチを超えるものが3匹となかなかのものです。

 On氏の話では入れ食いの状態だったとか。
今日の食卓にニジマスの塩焼きが加わりました。
   

 私達の後に中高年の男女3人組が到着します。
今夜はこの人達を加えた6人で小屋を使います。

 On氏が釣れたニジマスの中型の物を2匹このグループへお裾分けします。
替わりに頂いたジンギスカンも加わり、今夜はニジマスありジンギスカンありの豪勢な夕食となりました。

 山小屋で一緒になった人達との山談義は楽しいものです。
ストーブを挟んでそれぞれの食事を取りながら話が続きます。
思わないところから共通の知人がいることが分かり、さらに話が盛り上がります。
楽しい時間が過ぎていきますが、明日も早いので適当なところで切り上げます。

 寝る前に外へ出て空を見ました。
満天の星空です。
銀河が文字とおり白い川となって見えます。
明日の天気はきっと晴れでしょう。


  

やっと踏めた山頂!エサオマントツタベツ岳・その2

2013-08-16 21:56:52 | 日高山系の山
 昨夜は星空が見えたので今日は天気がいいと思っていましたが、山頂は雲に隠れています。

 朝4時に起きて朝食、その後直ちに出発準備を済ませます。
今回は、稜線へのルートを外すわけにはいきません。
前回もきちんとしたリートを歩けなかったので慎重にルートを見極めます。
 

 5:20分、目指すルンゼに向かって登ります。
がればの岩に気をつけながら登ると雪渓があります。
この雪渓は軽アイゼンを付けて登ります。
雪渓を登り終えたところから登山道とはいえないような浮き石だらけでガラガラのルンゼを登ります。
落石を起こさないように注意して登りますが、ドンドン傾斜がましてきます。

やがて、登山道は灌木の中に溝となってさらに傾斜がましていきます。
天気の方も具合が良くありません。
山頂部にかかっていた雲が厚みを増し小雨を降らせてきます。
小1時間で稜線直下まで登りました。
ここで、雨具を付けます。

 稜線は日高側から強い風を伴い雨が降っています。
稜線に出る強い風で身体が傾くほどです。
この風雨の中で山頂まで行くのが良いのか?
これ以上雨が強くなったら引き返さなければと思いながら登ります。

 ジャンクションピークを過ぎても天気の具合はあまり変わりません。
時々雨が小止みになってきたような気がします。
コルを過ぎ、山頂へ向かっての登りが続きます。
登るに従って辺りの景色が少し見えてきました。

 約2時間ほど掛かって山頂に到着することができました。
遙か遠くにカムエクの姿を望むことができます。
風が強いので十勝側に身体を隠して休憩を取ります。
残念ながら北側の眺望はあまりありません。

 五勝手屋のヨウカンを食べて一息つきます。
天気が悪いので山頂での休憩もそこそこに北東カールへ向かって降ります。

 途中でカールの中にポツンと残してきたテントが見えます。
ジャンクションピークを過ぎ、いよいよ稜線からの急なルンゼを降ります。
左右の灌木の枝を掴みながら慎重に降ります。

 雪渓を降り、テントサイトに着いたときは、正直ホッとしました。
ここで、さらにナメ滝を降らなければならないのでお茶を飲んで気持ちと身体を落ち着かせます。

10:00分、いよいよナメ滝の降りに挑戦です。
ここは慎重かつ大胆に降らなければいけません。
主に左岸にある捲き道を利用して降ります。
1時間ほどナメ滝と格闘の末、無事に降ることができました。

今日一番の難所を越えてホッとしましたが、何と次の難所が待ち構えていたのです。
それは、ナメ滝下にあった大きな雪渓が崩落してるのです。
   
    昨日渡ってきた雪渓が崩落しています。

 これにはビックリです。
昨日落ちなくて良かった、というのが正直な感想です。

 ここは左岸に残されている雪渓沿いを慎重に降ります。
あとは、それほどの難所は無いのですが、疲れてきているので慎重に降ります。
Tkさんが遅れ気味になるので捲き道を外さないように神経を集中します。

 しばらく降ると登ってくる人影が見えました。
若い男女に中高年の男性の3人組です。
北東カールのテントサイト、ナメ滝下の雪渓の崩落などの情報を話します。

 標高900mにある雪崩のデブリを越えてからは、また濁った沢水の中を歩きます。
ここからが長かったです。
時間ばかり掛かり、なかなか進まないのです。

 曇天の中、日暮れの時間が気に掛かります。
小1時間ごとに休憩を挟み降り続けます。
捲き道も捜しているのですが、はっきりしない場所もあります。

 右岸にはっきりしたピンクのテープを見つけます。
このテープから先はずいぶん歩きやすくなっています。
Tkさんが林道の跡みたいだといいます。

私はTkさんに言われるまで林道跡に来ていること気が付いていませんでした。
なるほど、左手を見ると沢の様子が林道を歩いて登ってきたときと同じなのです。
どうも、左岸にある捲き道を捜せずに林道まで沢を降ってしまったようです。

 今歩いているところが林道跡だと分かってからは、やっと気持ちが落ち着きました。
林道歩きを小1時間、日が落ちる間際に駐車場に着きました。

 すぐにずぶ濡れの衣服を着替えて八千代のユースへ向かいます。

 これで、やっと、5回目にして山頂を踏むことができたエサオマントツタベツ岳でした。

日高の山に初挑戦、Tkさん、お疲れさまでした!! 

 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  そうそう、レンズに沢水が入ってしまったカメラですが、
 自宅で乾かしていると何とか使えそうなくらいレンズの中に
 あった水滴が消えました。
 水跡が少し残っているので多少解像度が落ちますが、
 このまま使おうと思っています。 

やっと踏めた山頂!エサオマントツタベツ岳・ その1

2013-08-11 13:41:11 | 日高山系の山
 なぜかエサオマントツタベツ岳の山頂を踏むことができません。

最初は、一人でエサオマントツタベツを目指し北東カールで1泊、翌日山頂を目指しましたが稜線への登山路を誤り稜線手前10~20mで敗退。

2回目は、Sz氏とカムエクまでの縦走を目指したが、悪天のためエサオマンの山頂を省略して縦走を続けたがこれまた敗退。

3回目は、4人でカムエクまでの縦走で入山したが、やはり縦走を主体に考えたため山頂を省略して縦走を完結。

4回目は、今年の2月神威岳からエサオマンを目指しましたが雪庇の根元に入っていた亀裂のため思ったように歩けず山頂に続く尾根で敗退。

 考えてみると、これまで4回も山頂が踏めない「遙かなる山」となってしまったエサオマントツタベツ岳です。
しかし、私にはこの山に悪い印象はありません。

 今回は、昨年トムラウシ山で知り合ったTkさんを案内して5回目となるエサオマントツタベツ岳に挑戦です。

 Tkさんは、昨年一人で富良野岳から大雪山への縦走を単独でやり遂げた女性です。
沢登りの始めており日高に興味を持ってくれた人です。
今年も北海道の山へ来るということでした。
そこで、日高へ誘ったわけです。

 8月7日に帯広市八千代にあるユースホステルで合流しました。
山行についての打ち合わせや装備の点検を済ませます。
 
このユースは日高に登るには最高に便利な場所にあります。
トツタベツ林道に入るにも札内川に回りカムエクに登るにも登山口へのアクセスが便利なのです。
日高に登るための前泊を考える人にはお勧めします。


 8月8日(金)

 朝4時に起床、簡単な朝食を済ませて直ちに出発です。
30分ほどでトツタベツ林道の登山口となる6号堰堤に到着。
沢装備に身を固め5:20分、いよいよ出発です。

 15分ほど歩くとトツタベツ林道と分かれて左手にあるエサオマン林道へ入ります。
しかし、このエサオマン林道は廃道となっており、前回入った以上に笹などが生い茂り林道の体を全くなしていません。

小1時間で最初の渡渉点に着きます。
  
   沢の状態を確認します。

 沢水の量は普通のようです。
この量なら渡渉も楽でしょう。
しかし、沢水が以上に汚れているのです。
前回来たときはいつも綺麗な水で底の岩が透き通って見えていました。
今回は茶色い水が流れており沢底が見えないのです。

 それでも、沢水の量が普通ですので北東カールを目指して遡上します。

   

   

 初めて本格的な沢に入るTkさんですが、落ち着いた足取りで歩いてきます。
この沢は、ゴルジュなどの難所がカール直下のナメ滝以外には無く、初心者でも十分に歩けると思い選択しました。
しかし、汚れた沢水のため沢底が見えないのが行程全体に影響します。
時間はタップリありますので慎重に歩いて行きます。

 ここで事件が発生です。
沢の深さが分からず足を入れたところが思ったより深いため腰まで水に浸かってしまいました。
このため持ってきたカメラを水没させてしまいました。
すぐにケースから出して水を拭き取ったのですがレンズの鏡胴の中に水が入ってしまいレンズに水滴が残ってしまいました。
幸いなことに駆動系に以上は無いようです。

 標高900mほどで異常な光景を目にします。
目の前に大量の倒木に覆われた残雪があるのです。
   
   (レンズに着いた水滴でピントが合っていません。)

 辺りは異常に暑くなって水蒸気が立ちこめています。
この雪渓が沢水を汚している原因のようです。
左岸から雪渓に取り付きますが倒木に行く手を阻まれ、ルートをどう取るか慎重に判断します。
泥が20~30cmほど積もってヌルヌルして足が滑る雪渓の上です。
かろうじて残っている鹿の足跡を参考に雪渓の上を歩きます。

   

   
   デブリは50mはあるでしょうか?
慎重に歩いて上流側に着いたときはホッとしました。

   

   
   上流側から見たデブリですが、左岸近くは、まだ10mほどの高さまで
  残雪があります。

 どうやらこの大きな雪崩は稜線の雪庇にあった亀裂が関係していると思われます。
今年2月に十勝地方に震度6ほどの大きな地震がありました。
この地震影響で稜線にある雪庇のほとんどに、根元に大きな亀裂が入っているのは確認しています。
その亀裂が春先の雪庇に影響して大きな全層雪崩を引き起こしたのに相違ありません。
それでなければ、このように大規模な雪崩が起きようはずはないと思います。

 この雪崩れ跡から上はいつもの綺麗な沢水となります。
しかし、この先にも残雪が出てきます。
特に大きな残雪がナメ滝下に残っていました。
   
   この雪渓を渡るのは、崩落するかもしれない恐怖との戦いです。
この雪渓の上を慎重に歩いて左岸のナメ滝下に着きました。

 ナメ滝の水量も多いようです。
冷たい水が勢い強く落ちてきます。
この滝を越えなければ北東カールに行くことはできません。

 Tkさんに慎重に登るように声を掛けて取り付きます。
   
   (すっかり、ボケボケの写真で済みません。)

 途中で1カ所ザイルを出しましたが、何とかナメ滝を登ることができました。
北東カールも全面に大きな雪渓が残っています。

 Tkさんに少し休んでもらってテントサイトを捜します。
幸いに左岸の少し上に何とかテントが張れそうな場所を見つけました。

 そこにザックを運び、Tkさんには自分のテントを張ってもらい、私は水を汲みに行きます。

 自分のテントを張って、濡れた服を全部着替えてしまいます。
濡れた服はテント横の草むらに広げて乾かします。

 熱いお湯を沸かし、ミルクティーを飲んで冷たくなった体を温めます。
 久しぶりの北東カールです。
明日登る稜線への登山路を見ますが、下の方3分の1ほどは雪渓が残ってきます。
軽アイゼンを用意して良かったと思いました。
天気はガスが掛かっていますが、気温が高く風がないので過ごしやすいです。

 テントの中で一眠り!
私の好きな時間です。
 





盛夏の日高幌尻岳に登る・その3

2013-07-28 14:20:11 | 日高山系の山
 昨夜、目を覚ましてテントの外を見ると多少雲が出ていたものの星空が綺麗に見えていました。
北斗七星のヒシャクが手を伸ばせば届きそうなくらい近く見えました。
 
 七つ沼カールに泊まったのは二度目です。
前回は40数年前のことです。
北見市内にある高校の山岳部が、夏山合宿に戸蔦別川を上り戸蔦別岳のAカールを越えて七つ沼カールから日高幌尻岳を目指すという計画を立てました。
この山岳部のサポートとして同行したのです。

 それ以来、四年前の日高幌尻岳は北戸蔦別岳からピストンしたので七つ沼カールには降りませんでした。
ですから、今回の七つ沼カールはとても楽しみにしていたのです。

   
    今日もいい天気です!

 七つ沼カールは風もなく穏やかな朝を迎えました。

 すでに出発したパーティーが雪渓を登っています。
私達も後を追うようにして、6:10分、七つ沼カールを出発します。

   

   

 みいちゃん達の雪渓歩きも慣れてきたのか、今日はアイゼンなしで登ります。

   
   急な登りも2回目となると少し落ち着いて登ることができました。
30分ほどで分岐点に到着。
ここから戸蔦別岳に向かって登るのですが、山頂は覆い被さるような斜面の上です。
あまり上を見ないようにして登ります。

 山頂について一息!
快晴の中、日高幌尻岳の姿を目に焼き付けます。
そして、七つ沼の姿も目に焼き付けます。
   
    この次はあるのでしょうか?

   
    七つ沼カールの向こうにはエサオマントツタベツ岳、一番奥のスカイラインにはカムエクの姿も見えます。

 反対側に目を転じると北戸蔦別岳への稜線が見えています。
   

 ここで、またもや事件です。
夜行虫さんが2日前からチクチクと痛かったお腹を見ると、何と、ダニがしっかり食い付いていました。
   
    頭が皮膚の中に食い込んでいます。

 まずはダニを捕るのが先決かと思いピンセットで取ることにします。
マキュロンでお腹とピンセットを消毒してからできるだけ深く皮膚の中にピンセットを差し込み一気にダニを引き抜きます。
どうやら上手くとれたようです。
もう一度、患部を消毒しておきます。
やれ、やれ、もっと早く気が付いていれば簡単に取れたと思いますが・・・


 一度歩いた稜線ですが、少し疲れもあり休憩を取りながらゆっくり歩きます。

   

   
 
 高山植物の花は疲れた心を癒してくれます。

 北戸蔦別岳を越えぬかびら岳まで来ると、この先では日高幌尻岳を見ることはできません。
休憩を取ってよく見ていきます。

 ここからはトッタの泉目指して降るのですが急な坂道が続きます。
まだまだ気を抜くわけには行きません。

   

   
   特にこの雪渓は降らなければならないので注意するように言いました。

 トッタの泉には数人の方が休んでいました。
40代の屈強という形容詞が似合うガイド風の方が70歳に近いご婦人と登っていきます。
彼のザックは本当に重そうでした。

  
  尾根の取り付きまで降ってきました。
ここからは沢を降ります。
まだまだ気を抜くわけには行きません。

 沢の巻き路も降りの方が見つけやすく順調に降ります。
二の沢の二股について、これでほぼ今回の山場を越えたことになります。

 取水ダムで一休み、ここから花が林道歩きが残っています。
でも、4人で話をしながら歩くと思いの外進むのです。
ところが、後30分ほどで駐車場に着くかというところで雨が降ってきました。

 今日の天気予報も午後からは夕立が降るかもしてないという予報です。
とりあえず、雨具の上だけを着ます。
すると、すぐに大粒の雨が降ってきます。
私は大きな蕗の葉を捜し、傘代わりにして歩きました。

 駐車場についても雨が降り止みません。
とりあえずザックをトランクに入れると一目散に日高町へ降ります。

 最後はバタバタとしましたが、今回の日高幌尻岳は天気に恵まれ最高の山でした!!
  

盛夏の日高幌尻岳に登る・その2

2013-07-24 21:36:02 | 日高山系の山
 前日は早めに寝ることができましたので身体の疲れはすっかりとれています。
まだ暗い中、外を歩いている足音が聞こえました。
2人の足音が耳元に響いてきました。
こんなに早くから?と思いながら寝ていました。

 4時に起きてテントの外へ出ると目の前には朝日に輝く穂高幌尻岳がドーンと大きな姿を見せてくれます。
   
 そして目を左の方へ転じると戸蔦別岳も輝いています。
   

 今日もいい天気のようです。
俄然、やる気が出てきました。

 朝食は前日造った残りのアルファー米をみそ汁のぶっかけご飯にしてサラサラと食べます。
朝食は汁物と一緒に流し込むのが私のやり方です。

 テントの中のものを全部外へ出してパッキングをします。
テントはクロさんに任せてパッキングをしているときに事件は起きました。

 後ろで、「アーッ!」という叫び声が聞こえます。
後ろを振り向くと私とクロさんが寝ていたテントが風に飛ばされハイ松の上を谷に向かって吹き飛ばされるとこでした。
クロさんが追いかけたのですがハイ松の枝に邪魔されて手が届きません。
テントはコロコロとハイ松の上を谷底に向かって転がっていきます。

 「ア~ア!どうしょう!」、みいちゃん達はすでにあきらめ顔です。
私は、ハイ松の上から転がるテントを見ていました。
テントは70~80mほど下で一旦止まりました。
これなら回収できるかも?と思いハイ松の中に飛び込みます。

 ハイ松は順目ですが、枝が複雑に絡み合っているのでなかなか進みません。
テントが風に吹かれて2度3度と転がります。
「止まってくれ!」と念じながらハイ松を降ります。

 もう少し吹き飛ばされたら見えなくなるという辺りで幸いにテントは止まっています。
どのくらい時間が経ったか分かりませんが、やっとテントに手が届き無事に回収することができました。
テントは、幸運にも張り綱がハイ松の枝に絡まって止まっていました。

 テントのポールを抜いて折り畳み、脱いだウインドブレーカーの中に仕舞い込んで肩掛けして落ちないようにします。
テント本体は腰にしっかり縛り付けてハイ松を登ります。

 ここからの登りが辛かった!
ハイ松は逆目となっており枝が下向きになっており私の行く手を遮ります。
そのハイ松の枝を一枝ごとに左右に分けてその隙間に身体を入れて登ります。
できればテントを張っていた方へ行きたいのですが横方向への移動はまさに枝渡り状態となるのでできません。
辛抱しながらハイ松の枝を分けて真っ直ぐ上に向かって登ります。

 やっと、テントを張っていた場所が見えるところまで登ってきました。
約40分ほどのアルバイトでしたが、無事にテントを回収できました。
よかった!!

 6時を少し回りましたが、気を取り直して北戸蔦別岳へ向かいます。
   

 一山越えたところにもう一つテントが張れる場所がありました。
そこには先客のテントが張られていました。
   

   
 高山植物の花々に癒されながらの一登りで北戸蔦別岳の山頂に到着です。

   
    ここから戸蔦別岳のBカール、Cカールが見えます。

   
    山頂にはテントを畳んでいる単独の人がいましたのでシャッターを押してもらいました。

 ここから戸蔦別岳に向かって一旦降ります。
快適な尾根歩きとなります。
   
    途中で見たムシトリスミレです。
    黄色い葉にネバネバした液があり、ここで虫などを捕らえます。

   
    まさにイワヒゲです。

 2時間ほどで戸蔦別岳に到着です。
ここで今晩テント泊する七つ沼カーの姿が目の下に見えます。
   
   ずいぶんと大きな雪渓が残っています。

   
    この写真は4年前の8月に写した七つ沼カールの写真です。

 両方の写真を比較すると写した時期の違いはありますが雪渓の残り具合が全然違いますね。

 さて、七つ沼の下降点に来ると数人の人たちが休んでいます。
置いてあるザックもあります。

 私達は七つ沼カールにテントを張ってから日高幌尻岳へ登ることにしてますのでカール目指して降ります。
この下降路がなかなか大変な路でした。
上部はガラガラの浮き石だらけのガラ場です。
そこをダブルストックを使いながら慎重に降ります。

そして雪渓に到着。
この雪渓も短いのですがなかなかの傾斜があります。
持ってきた軽アイゼンをつけてもらって慎重に降ります。

 何とか七つ沼カールに到着。
さっそくテントを張る場所を探します。
砂地でテント2張りが十分に張れる場所を見つけたのでここにテントを張ります。
    
 テントを張ってしまうと、何かやり遂げた感がメンバーに漂います。
それを払拭して目標の日高幌尻岳へ向かいます。

   
    この雪渓を目の前にして多少戦意喪失気味のメンバーを引っ張ります。

 やっと登ったカール壁の上の稜線、目の前にドーンと聳えるコブ山、適当に休憩を入れて歩きます。
25分ほど歩くと日高幌尻側に下降点に到着です。

 ここから急な登りが続きます。
それをやっと登り終えてもまだまだいくつかのコブを越えなければ山頂には着きません。
我慢の重ねながらやっと日高幌尻岳の山頂に到着。

    
     満足な顔です。

 ここで意外な発言がありました。
クロさんがこの山頂で百名山に王手だというのです。
残るは利尻岳だというのです。
私達が日高幌尻岳に行くというのを聞いて急遽参加を決めたのはこれが理由だったようです。

 山頂で30分ほど休みます。
その間にも沢山の方達が登ってきます。
新冠側から登ってきた人たちもいます。
やはり百名山人気は凄いものがありますね。

 さあ、何時までも山頂にいるわけには行かないので七つ沼に戻ることにします。
登ってきた道を帰るだけですのでドンドン進みます。
   

 さて、堀尻岳側から七つ沼への下降点にきて考えました。
上部は草津期の斜面にきっちりとしたジグが切られています。
下部には大きな雪渓が残っていますが、それほど難しいとは思えません。

 みんなに相談してここを降ることにしました。
草付きは順調に降りました。
その下に10mの小さな雪渓があります。
ここはアイゼンをつけて降ります。

 雪渓の雪が堅いので注意しながら降ります。
私は先に降って雪渓の下で、万が一滑落した場合に止めようと準備して待ってました。
そこへ、あと5mほどという場所でみいちゃんが足を滑らせて落ちてきます。
私のすぐ横へ落ちてきたので身体ごとぶつけるようにして止めました。

 幸いに滑った距離も少ないためスピードが遅かったので何とか止めることができました。
みいちゃんに怪我もなく止められたのは幸いでした。

 しかし、まだまだ難所は続きます。
雪渓下にあるガラ場はアイゼンを付けたままで降ります。
そして大きな雪渓に出ます。
最初の傾斜が急ですのでトラバース気味にして高度を落とします。
   

   
   この雪渓の中ほどまで降るとあとは傾斜の緩んだ斜面ですので、ホッと一息つけました。

 後は雪渓下まで降りアイゼンを外して一休みします。
ここからは藪の中の踏み分け路を見つけてテントサイトへ戻ります。

 テントサイトには私達以外のテントが4張りあり10人ほどの人たちがいました。

   
   夕暮れ時に鹿が草をハミに出てきました。
 雄鹿が姿を見せるのは珍しいことです。
おまけにこの雄鹿の角は皮膚に覆われて赤く見えます。

 風もなく穏やかな七つ沼でのんびりした時間を楽しみます。

 もう日が暮れるという6時30分頃に七つ沼に向かって降ってくるグループがいます。
4人グループのようですが雪渓の上部をウロウロしています。
みいちゃんの話では、このグループは私達が降ってきた幌尻側の下降路を降ってきたが雪渓が降れずに登り返したグループでないかといいます。

 アイゼンを持っているか声を掛けると持っていないといいます。
そこから動かないように声を掛けてから私はメンバーのアイゼンを持って雪渓を登ります。

 東京から来た4人のグループでした。
すでに日が落ちて暗くなる寸前でしたので私が持ってきたアイゼンを付けさせて降ります。
中にはアイゼンの付け方が分からない人もいます。
最初の急な雪渓をゆっくり歩かせて何とか全員を降ろすことができました。

すでに暗くなってきたのでヘッ電を付けさせて水路となっている藪を降ります。
下の雪渓は傾斜が緩いのでそのままテントサイトへ誘導します。
リーダーらしい人が上の雪渓で下降路が発見できずに困っていたといいます。
こんなに雪渓が残っていると思わなかったのでアイゼンは持ってこなかったともいいます。

 完全な準備不足です。
しかも、こんなに遅い時間まで行動するのは異常です。
最初の計画からして甘いものだとしかいえません。

 北海道の山は標識がほとんどありません。
まして、日高は大雪山や十勝岳とは違いあるとすればピンクテープがちょこっと付いているくらいのものです。
地図をしっかり読んで登山道の周辺にも十分に目配りをしていないと登れないところなのです。

 日高幌尻岳は本州の登山道が整備された百名山とは違います。
そのことを十分に理解した上で登って欲しいものです。
 

 


盛夏の日高幌尻岳に登る・その1

2013-07-23 20:31:04 | 日高山系の山
 昨年は神戸の女性達(みいちゃんと夜行虫さん)をトムラウシ山に案内しました。
今年は日高幌尻岳に行ってみたいということで案内してきました。

 日高幌尻岳は百名山に名前を連ねているのですが、そこは日高、なかなかの何コースが待ちかまえています。
一般的なルートは額平川を沢登りして幌尻山荘に1泊、翌日、尾根を登り山頂に到達します。
しかし、このルートは幌尻山荘の宿泊は事前に予約が必要なこと、そして、その予約がなかなか取れないのが難点です。
さらに、数年前からは途中の林道もシャトルバスに乗らなければいけなくなっています。
こうでもしないとオーバーユースになってしまうのでこのような制限も致し方のないことだと思っています。

 このルート以外では、今回歩いた日高町から入るぬかびら岳ルート、新冠川からのルート、戸蔦別川からのルートがあります。
ぬかびら岳からのルートは沢登りの部分がそれほど長くなく、しかも、夏靴でも大丈夫という点が特徴となっています。

 そんなことで、7月の三連休(13日~15日)を使って案内することになりました。


 7月12日(金曜日)

 この日は仕事を終えてから千歳空港入りするというハードスケジュールです。
みいちゃんと夜行虫さんは、8:50分到着予定の神戸便が少し遅れて千歳に無事到着、さらに、今回、緊急参加したクロさんも羽田から15分ほど経ったところで無事に到着。

 早速、日高町に向かいます。
今回は、前泊を日高町として北海道山岳連盟が所有している登山研修所を借りることにしました。
1泊1人当たり8百円、場所は日高町千栄にあります。
廃校した中学校を利用して研修所を開設しています。

 中学校の校舎そのものと隣接する教員住宅の1戸を利用したロッジがあります。
今回は、4人と少人数ですのでロッジの方を借りました。

 途中のコンビニで翌日の朝食を買い込みロッジに着いたのは11:30分過ぎです。
さっそく、布団を借りてお休みなさい!

 翌日は、4時起きの予定を睡眠時間を確保するため5時起きとします。


 7月13日(土曜日)

 予定どおり5時に起きて出発の準備をします。
外は快晴で暑くなりそうです。

   
    この建物がロッジです。

 林道を走り、ぬかびら岳の登山口に着くと、そこには、10台以上の車が止まっています。
一番隅に1台駐車できそうなので割り込みます。
   
   出発準備も終え、いざゆかん!

 日射しが強く暑くなりそうな1日ですが、まだ日陰となって涼しい林道を取水ダム目指して歩きます。
1時間ほど歩くと左手に取水ダムが見えてきます。
   

 ここからはいよいよ登山道に入ります。
まずは左岸の巻き道をドンドン歩きます。
途中で熊の糞を発見、暗緑色の糞であることから若い草や蕗などを食べているのしょう。

   

   
   遙か上の方に稜線が見えてきます。

 二股からも左岸を歩きます。
やがて沢が細くなり最初の渡渉点となります。
   
   ここからは、巻き道を歩きながら沢を渡っていきます。

   

   

   

 ドンドン歩いていくと沢音が大きくなってきます。
目の前に滝が現れてくると沢から尾根への取り付き点です。
   
   ここからは急斜面に切られたジグザグのつづら折りの登山道を登ります。

 もういい加減にしてくれと思った当たりでトッタの泉に到着です。
   
   細い流れですが冷たくて美味しい水です。
ここで水を詰め込みます。
みいちゃんと夜行虫さんはそれぞれ2リットル、私は5リットル、クロさんは4リットル、これだけあれば充分でしょう。

 今日は暑いので途中でのどが渇いたら遠慮無く水を飲むようにいいます。
今日のような天気で一番気をつけなければいけないことは熱中症です。
担ぎ上げる水の量を気にして飲まなければ脱水症状を起こし熱中症になってしまいます。
この点には十分に気をつけて登ります。

 急斜面が続きます。
ザックの重さに耐えて一歩一歩をしっかり歩きます。
一度だけ雪渓が出てきます。
ここは慎重に歩くようにいいます。
本州の人たちは雪渓の上を歩くのが慣れていないので注意が必要です。

   
   疲れた心を癒してくれるのが花です。

 短いハシゴを2段登るとやっと稜線に到着です。
ここまで来ると目の前には大きな日高堀尻岳がドーンと大きな姿を見せてくれます。
   

 ここで一休みます。
ここまで来れば今日のテントサイトとなる北戸蔦別岳はすぐそこです。
   
    北戸蔦別岳の山頂が見えています。

   
    ぬかびら岳を象徴するかんらん岩です。

   

   

   

 この辺りにはいろいろな高山植物が咲いており目を楽しませてくれます。

   

   

 山頂から降ってくる単独の人がいます。
山頂にテントが張られているか聞くと2張り張っているといいます。
それでは、山頂のテントサイトは一杯なので途中に張れる場所がないか探しながら登ります。

 最初にいい場所がありましたが、そこは先客がすでにテントを張っています。
北戸蔦別岳の山頂にもう一登りという場所にテントが張れそうな草地を見つけたのでここにテントを張ることにします。

 13:30分、テントサイトを決めたのでお茶を飲んでのんびりして過ごします。
さすがに4か月振りに担いだ重いザック、身体に負担がきておりヘロヘロでした。

   
   日暮れ時、雪渓が赤く輝きました。

   
   雲が風に乗って幻想的な光景を見せてくれます。

  今夜はのメニューは麻婆ナス、沢山食べて十分に休養を取ります。
食事を取り、珍しくお酒を飲んで今日の疲れを取ります。

 真夜中に目を覚ましテントから外を見ると銀河がクッキリと白くなって見えます。
久しぶりに星空を間近に見ました。 

 明日もきっといい天気でしょう!