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井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

南日高・神威岳からペテガリ岳を歩く・その1

2015-06-04 20:19:24 | 日高山系の山
 私達が取り組んでいる日高主稜線縦走もいよいよ佳境に入ってきました。
3月には十勝岳から楽古岳を歩きました。
この時点で残された部分が今回歩こうとしている神威岳からペテガリ岳、エサオマントツタベツ岳の山頂を挟んで1kmほどなのです。

 今回は、この残されている部分の神威岳からペテガリ岳を歩いてきました。
この区間は南日高でも最奥部に位置しているためアプローチが長いのです。
ベースとなる神威山荘まで林道歩きが13Kmほどあり、歩いて4時間はかかります。
そのためこの林道歩きを入れるとどうしても1泊~2泊余分に考えなければいけないのです。
さらに、神威岳からペテガリ岳東尾根までは登山道がありません。
そんな理由から、このルートを縦走するには5月の残雪期が適期といわれています。

 私達はメンバーの都合からこの適期であるGWに歩くことが出来ません。
そんなことから昨年と同じこの時期にこのルートに挑戦することになりました。
根拠のない自信ですが、昨年はこの時期に神威岳からソエマツ岳を歩いた実績があります。
まあ、何とかなるでしょう!?ということで計画しました。
幸いなことにこの時期に天気はとても安定しています。
今回も約1週間ほど雨マークの見あたらない週間天気予報に勇気付けられています。


 5月23日(土曜日)

 朝8時に集合して浦河町にある登山口を目指します。
登山口に突いたのは12時頃です。
さっそく登山準備をして林道を歩きます。
林道歩きをしていて気の付いたのが何と倒木が多いのです。

15センチほどの木の幹が途中で折れて道路を塞いでいるのです。
こんな場所が所々に現れます。
昨年はこんな倒木はなかったのです。
倒木だけでなく道路にも沢水が流れて作られた深い溝があるのです。
昨年秋に南日高を襲った豪雨の影響だと思われます。

 3時間ほど歩くとやっと神威山荘が見えてきました。
   
   今日はこの小屋で1泊します。
それにしてもニシュオマナイ山は格好いい山です。


 5月24日(日曜日)

 昨夜は暖かい夜だったのでゆっくり寝ることが出来ました。
4時起床、5時には登山準備が出来たので出発です。
   
 今日の目標はニシュオマナイ山まで行くことです。
ここかあ神威岳までは昨年も歩いた路ですのでドンドン歩きます。
15分ほどで渡渉点に来ましたが、飛び石で渡れた沢の様子が昨年とは違っています。
沢の中央部にあった大きな石が下流に動いています。
そのため飛び石伝いで沢を渡ることが出来なくなっています。

 今回は沢を歩くことも想定して沢靴を用意してきました。
ですから私は沢をザブザブ渡りました。
渡り終えて廃道となった林道を進みます。
熊の足跡がありますので時々笛を吹きながら進みます。

 5:35分、下二股に到着です。
   
 沢の様子を見ましたが、特に変わった感じはしません。

 直ぐに笹原へ進みますが、この笹原に付けられた踏分路が途中で消えています。
右手の沢へ向かえばいいだけなので強引に進みます。
初めての方には十分注意のいる場所だと思います。

 さて、左股の沢は昨年と比較しても変わったようすが感じられません。
淡々と沢を登ります。

 6:30分、大塚さんのレリーフに到着です。
   
    今回の登山の無事をお願いして手を合わせます。

 この辺りから少し登ると日陰の斜面に雪が残っているのです。
その雪の量がドンドン多くなってきます。
   

 上二股の辺りでは沢が完全に雪で埋まっています。
   

 この状態では沢水を汲むことが出来ません。
どこかいい場所がないか探していると山の斜面から水が流れ込んでいるではありませんか。
   
   細い流れですが、十分な量の流れでした。
ここで今夜の飲料水として3リットルの水を担ぎあげます。
残雪があればそれを融かして飲料水を作る予定ですが、稜線の様子が分からないのでとりあえず担ぎ上げることにしました。
これでザックの重さが一気に増したような気がします。

   
 さて、上二股から直ぐ上に尾根取付点があり、沢の中央部にある大きな岩に矢印が書かれています。
しかし、残雪のためその岩は雪の下です。
右岸の斜面を注意深く見るのですが探せません。
やむなく、ザックを置いて懸命に探しました。
すると、やっと登山路を発見することが出来ました。
登山路の手前に倒木があり、そのため路が隠されていたのです。
7:15分、これで先へ進むことが出来ます。

 安心したのも束の間、ここからは急坂が延々と続きます。
ザックの重さはそれぞれ20kを超えています。
肩に食い込むザックの重さに耐えて急坂を一歩一歩登ります。
今日一番の苦しい登りです。

   
   ニシュオマナイ山が見えてきました。
この様子では残雪で水を作れそうです。
それが分かれば担ぎ上げた水を少し捨てても良いようです。
飲めるだけ飲んで、行動用の水以外に1リットルだけ残して捨てました。
捨てた水は1.5リットルほどですが、これだけでザックが少し軽く感じます。

 9:50分、やっと、稜線への分岐点まで登ってきました。
細くなった稜線に強い風が吹き付けてきます。
   
   
ここからニシュオマナイ山へ向かいます。
   
   ニシュオマナイ山までの稜線が一望できます。
しかし、この景色を見ると何と遠いことか、気が滅入ってしまいます。

 風陰で休憩しましたが、強い風が吹いているため直ぐに身体が冷えてしまいます。
風に追われるように稜線を降ります。
しかし、この稜線は急なのです。
足下が見えない位急な斜面でしかも、細いのです。
おまけに谷から吹き上がってくる風が身体を揺らします。

 ハイ松の枝を必死に掴んでバランスを取りながら降ります。
アドレナリンが農を駆け巡ります。
左側はスパッと切れ落ちています。
こちらに落ちると命を落としそうな感じがします。
真剣にならざるを得ません。
それでも風にバランスを崩されあわててハイ松に覆い被さり耐風姿勢を取ることが数回ありました。

   
   ハイ松の深いところもありますが、この方が安心して歩けます。

 真剣に歩いているといつの間にか神威岳の姿が遠くなっています。
   

 十勝側に残雪があるのが分かっていました。
距離にして300mはありそうでした。
その残雪に辿りついてホッと一息つけました。
   
   この残雪は本当に助かりました。
雪の上を歩くのは照り返しで暑いのですが、それよりもさくさく進むのが気持ちいいものです。

   
    ニシュオマナイ山も大分近くなってきました。

 この残雪を歩きながらニシュオマナイ山攻略のルートを話し合います。

 残雪を繋ぎながら登りますが、数カ所ハイ松を越えなければなりません。
   

 最後は笹原に残っている鹿道を使いながらニシュオマナイ山に到着です。

 13:40分、山頂の東側にあるテントサイトに着きました。
   

 このテントサイトは最高です。
草原を少し均してテントを張ります。
後は、今日歩いてきた稜線を見ながらゆっくりお酒を楽しみます。
   
   昨年歩いた神威岳からソエマツ岳、一番奥にはピリカヌプリが見えています。
 至福の時間を楽しみます!!
 

日高主稜線縦走、十勝岳から楽古岳を往復する!

2015-04-06 19:34:49 | 日高山系の山
 今年初めてとなる日高主稜線縦走は、南日高にある十勝岳から楽古岳間を歩いてきました。

 3月25日から1泊2日での挑戦となりました。


 3月25日(水曜日)

 朝6時に札幌を発ちます。
今回は、いつものメンバーに例年この時期だけ参加しているmocoさんを加えて4人での山行となります。
9時半頃に天馬街道にある翆明橋に到着。
ここで登山準備をして10:00分に出発します。

 ここにちょうど車を駐車するスペースがありました。
    
    裏山から山に取り付きます。

 しかし、いつも思いますが、日高は楽をさせてくれません。
いきなりから急坂が続きます。
5分もすれば汗が噴き出てきます。
すぐに薄着に変更しますが、それでも急登のお陰で汗ばんできます。

 やっと尾根まで登りましたが、その尾根自体が急なのです。
    
    林の中で視界があまりありません。

 1時間ごとに休憩を挟んで我慢の登りが続きます。
上二股の沢を挟んだ向かいの山がオムシャヌプリです。
そのオムシャヌプリの山頂を見ながら自分たちの高度を測ります。
2時間ほど歩いたところでやっと尾根の傾斜が落ち着いてきました。
   

 今回はスノーシューで足元を固めています。
所々に数日前に降った新雪が吹き溜まっています。
その雪が膝ほどの深さになる場所もあります。
   

   
   オムシャヌプリの山頂が真っ白に輝いています。

   
   標高千mを超える辺りでやっと十勝岳の山頂部が見通せるようになってきました。

   
   山頂がやたら遠く見えます。

 今日は十勝岳の山頂部に出来るだけ近づいた尾根上にテントサイトを作るつもりです。
頑張ること1時間半、標高1,300mやっとテントサイトに着きました。
ここまで約4時間半ほど、よく頑張りました!

 さっそくテントサイトを作ります。
まずは雪面を平らに均します。
大きさをテントで確認してから周りに防風用のブロックを積みます。
   
   ブロックは鋸を使って切り出します。
そのため均一な大きさのブロックが簡単に切り出せます。
私がブロックを切り出し、Sz氏が手際よく積んでくれます。
   
   30分ほどでブロックも完成!

 今夜の寝床が完成です。
On氏がテントの外で雪を融かして水を作ってくれます。
外の景色がすばらしいと歓声を上げています。
私達にも見た方がいいと誘います。

 テントの入り口から顔を出すと、そこには神秘的な光景が目に飛び込んできます。
   
   夕日が作り出したサンピラーです。
尾根の一部が赤く輝いています。
まさに「天孫光臨」といった光景です。
後ろを振り返ると十勝岳が赤く輝いています。
   
   ほろ酔い加減で見ていましたが、厳かにして幻想的な光景に心奪われるものがありました。
こんな光景を目にすることが出来るのもこの山にいるからこそです。
明日は、天気になるだろう!
そんな思いを抱いた景色でした。


 3月26日(木曜日)

 未明から強い風が吹いています。
テントがバタバタとはためくのです。
その度にテントの内張に着いた霜がパラパラと顔に落ちてきます。
まだ暗いので寝袋の中に顔も埋めて寝ます。

 出発時間を少し遅らせて6:30分テントを出ます。
    
    テントを出ると絶景が目の前に広がっていました。
手前からオムシャヌプリ、野塚岳、トヨニ岳、ピリカヌプリ、神威岳、延々と続く日高の主稜線です。
このほとんどを歩いたと思うと、よくやったと思います。
しかし、今日はまだ未踏となっている十勝岳から楽古岳を歩くのです。

   
   風が強くなった場合にテントを飛ばされないように支柱を抜いて雪のブロックを重しにしておきます。

 あまりの好天に、今日は楽勝と勝手に決めて記念写真を写しました。
   

 目の前には十勝岳
   

   
   楽古岳が遠くに見えます。

 6:35分、十勝岳に向かって登ります。
   

   

 25分ほどで十勝岳の山頂に到着です。
   
   山頂から見た北側の山々です。
右側の白く輝く稜線を去年野塚岳から歩いてきました。
上から見ると、よくこんな稜線を登ってきたと思いました。

   
   これから歩く楽古岳の稜線が見えています。

 十勝岳の山頂は、風もそれほど吹いていなかったのですが、楽古岳に向かう辺りから右手にあるコイボクシュメナシュンベツ沢から吹き上がる風が強くなってきます。

 その風に負けないように時々耐風姿勢を取りながらドンドン降ります。
約1時間で最低コルまで降ります。
ここで休憩を取ります。

 風がドンドン強くなってきます。
   
   その風が顔に当たると鼻の右側が痺れてきます。
ジャケットのフードを深く被り風が顔に当たらないようにします。
  
   
   辛抱の登りが続きます。

 楽古岳の最後の登りが目の前に広がります。
斜面の一部が氷化しているのかキラキラと光っています。
ここでストックからピッケルに持ち替えて登ります。
氷化した場所ではピッケルを雪面に刺しますが深く刺さらないのです。
そんな時はブレードを拳で叩いて刺します。

 9:50分、予定通りに楽古岳山頂に到達しました。
    
  
    
    山頂滞在時間3分、風が強いので直ちに下山します。

 ここから約2時間、風が強いので休むことが出来ずに歩き続けます。
    
    雲が千切れて飛んでいきます。

    
    風にあおられながら歩くOn氏です。
 
 十勝岳への登りが辛かったです。
疲れが溜まった身体に容赦なく風が吹き付けるのです。
その風は十勝岳の山頂を過ぎれば弱まると思い我慢して登ります。

 14:00分、テントサイトへ帰ってきたときは、正直ホッとしました。
さあ、後は登って来た尾根を降るだけです。
荷物の重さも気になりません。
ヨレヨレの身体に活を入れて降ります。

心は、浦河町にある「あえる」の温泉に飛んでいます。


 十勝岳から楽古岳間の往復は、予定どおり6時間を要しました。
風がなければ気持ちよく歩けたのですが、ここは日高、決して楽はさせてくれません。
次は、エサオマントツタベツ岳に登らなければなりません。
この区間は、三者三様に残している部分があるのです。
私は、エサオマンの山頂から北に約1キロの部分、Sz氏はエサオマンの山頂南のコルから山頂北に約1キロの部分、On氏はエサオマンの山頂から南にあるジャンクションピークまでが未踏となっています。
この部分を4月に歩いてきます。
これが上手く歩けると最後は南日高の神威岳からペテガリ岳への挑戦となります。

 だんだん大詰めになってきた日高主稜線縦走です。



藪漕ぎに耐えて繋いだ神威岳からソエマツ岳・その3

2014-06-09 20:28:11 | 日高山系の山
 昨夜は残雪の上でのテント泊でした。
このテン場は、南側の風はハイ松が受けるためテントには何の影響もありません。
風の音を聞きながら快く寝ていることが出来ました。

 しかし、明け方の2時頃、寒気がして目を覚ましました。
いくら気温が高い日が続いているとはいっても雪の上です。
明け方は冷気がテントの中まで侵入してきました。

 起床予定時間は4時です。
あと2時間ほどで起きなければなりません。
寒さを我慢して寝続けましたが、突然身体が震えるなど寒さは確実に身体を痛めつけてきたのです。
(このことが発端となって札幌へ帰ってきてから咳が止まらなくなり病院へ行く有様でした。)


 5月30日(金曜日)

 やっと明るきなってきたので起床。
いつものように朝食をサ、サ、サと済ませ、出発の準備をします。
今日もいい天気なのですが、目の前に聳える神威岳の登りが今日一番の難所です。

 5:50分、いよいよ靴幅山に向かってまずは尾根を降ります。
この降りは、一度登っているので多少藪の薄いところをついて歩くことが出来ます。
また、上から見ると藪の薄いところが幾分見えやすいのでそこを狙って降ります。

 コルからの登り返しは、ハイ松の左手を狙って鹿道を利用しながら急斜面をドンドン登ります。
さすがに一度経験した道は歩きやすく感じます。

 7:10分、靴幅山の山頂に到着です。
この山頂部にキバナシャクナゲが咲いており、その向こうにドーンと構える神威岳が素晴らしいので写真を1枚写しました。
   

 ここからは、2度目となる靴幅リッジを慎重に歩き、藪を少し漕ぐと2日前のテン場です。
さらに下降を続けます。
コルに近くなると鹿道が沢の方から尾根に向かって延びてきます。
鹿道を使いながらコルまで降ると、さあ、ここからは神威岳の山頂まで標高差にして300mの急騰が続きます。

 この急登は鹿道がなく、降ってきたときもハイ松の中を強引に漕いで降りてきました。
このときは根元が神威岳側にある順目でしたから何とかなりましたが、今日は逆目のハイ松との格闘です。
斜面が急な上、複雑に絡み合う枝先を分けながら登るのは本当にきつい仕事です。

 このきつい仕事も前へ、前へ、と自分に言い聞かせて耐えます。
約3分の2ほど登った所から、やっと、踏み分け道が出てきて、ここからは何とか藪漕ぎも楽になりました。

 7:10分、靴幅山から3時間ほどで神威岳の山頂に戻ることが出来ました。
ここで少し長目の休憩を取り、デポしていた水とガソリンを回収します。
そして、沢まで降るのに必要な水を1人当たり500ccづつ持ってあとの水は投げて荷物を軽くします。

 神居岳の山頂からは登山道を降るのですからドンドン降ることが出来ます。
「藪漕ぎに比べると1級国道だね!」などと軽口をたたきながら降ります。
しかし、重いザックで降る急勾配の道は体力を奪います。
ヘロヘロ気味になりながら降っていくと左手の下の方から沢水の音が聞こえてきます。

 11:50分、尾根取り付きに到着です。
ここで、デポしておいた沢靴に履き替え沢水を思い切り飲みます。
雪を融かして造った水は、冷たいうちは気にならないのですが、温くなってくるといろんな味がして美味しくないのです。
それに比べると、沢水は最高です。

   
   尾根取り付き点にあった雪渓がすっかり無くなっていました。
わずか2日でも雪はドンドン融けています。

 今回使った残雪のテン場もいつまで残っているのでしょうか?
そんなことを考えると、今回の山行は、ギリギリのタイミングだったかもしれません。

 沢靴に履き替えて降ります。
疲れのためか集中力が途切れて、ときどきルートを外しそうになります。
それを修正しながらドンドン降ります。

 下二股の笹原は、笹丈が背丈ほどあるためルートを見失ってしまいました。
しかし、すぐ側に沢が見えているのでルートを探すより沢に出て降った方が早いので直進します。
下二股を渡渉してしまうと残りは30分ほど廃道となった林道歩きです。

 直射日光が照りつける中の林道歩きは疲れた身体には毒です。

 14:40分、神威山荘に帰ってきました。

 今日はここで1泊します。

 On氏は、この時間ならば林道を歩いて車まで戻れると思っていたようです。
私も、この時間なら無理すれば日も長いので明るいうちに車まで歩けると思ってました。
でも、思った以上に疲れていること、さらに、そんな無理を重ねて今日中に帰る必要のないことから口には出しませんでした。

 日の高いうちに小屋まで戻れたのですから、ここでゆっくりして疲れを取らなければと思いました。

 
 5月31日(土曜日)

 級も朝から天気が良く、暑くなりそうです。
昨夜はゆっくり出来たので多少は身体の疲れも回復しています。
朝の涼しいうちに林道を歩いてしまおうということで6:00分に小屋を立ちます。

 林道に陽が当たっていない場所は本当に涼しく、また、木々の緑が目に優しいのです。
そんな林道歩きをしていても3時間を過ぎるとさすがに疲れてきます。
来るときに3時間ほどで歩いた林道が、3時間を過ぎても着かないのです。

 結局、3時間30分ほど掛かってやっと林道ゲートまで戻ってきました。

 今回、この縦走が成功したのは、何より天気に恵まれたのが第1の理由です。
次に、神威岳の山頂に1泊する予定を早く登れたので先へ歩いてテン場を探したことです。
この点については、神威岳の山頂からソエマツ岳までの稜線を見通すことが出来たので、残雪の状況などを見て3人で話し合った結果、先へ先へテン場を移動して行ったのも良かったと思います。
この臨機応変がすんなり決まるのが私達のパーティの良いところだと思っています。

 さあ、これで残す大所が神威岳からペテガリ岳となりました。
これは来年の課題となります。

 そして、そのまえに小さなところで十勝岳から楽古岳間、エサオマントツタベツ岳の山頂部を挟んだ1kほどを夏の間に登ることにしました。
これを今年の夏中に歩き終え、来年のゴルデンウィーク明けに日高主稜線縦走の完結を目指して神威岳→ペテガリ岳を歩く予定です。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  この時期の山にはダニが飛んでいるほどです。
 私は今回の山行で5~6カ所ほど刺されていました。
 幸いなことにすべて抜き取ることが出来ました。
 お腹の右側1カ所はちょっと深く食い込まれていました。
 これは用意していた毛抜きで慎重に抜き取りました。

  ダニが恐ろしいのは、ライム病などのウィルスを持っていることです。
 このウィルスが体内にはいると最悪の場合は死に至ります。
 帰ってから調べてみると刺されてから24時間以内に抜き取りことが出来れば
 この危険を回避できるようです。

  ダニを抜き取った後、傷口の周りが大きく赤く腫れてくるようでしたら
 すぐに病院へ行った方がいいと思います。
 この場合にはすでに感染している恐れがあります。

  これからの季節、山菜取りなどで山には入る機会は多いものです。
 消毒薬に毛抜きは必携ですね。

藪漕ぎに耐えて繋いだ神威岳からソエマツ岳・その2

2014-06-05 20:35:53 | 日高山系の山
 昨夜は風が強かったのですが、このテン場は風の影響を受けず最高でした。
遠くでゴーッと風が唸りをあげているのですが、その唸りが近くへ来ると消えていくのです。
気温も高いので寒くはありません。
そんなことで最高の睡眠が得られるはずなのですが・・・
最近、山に来てもなぜが熟睡できないのです。
まあ、寝不足かもしれませんが、身体は横になっているだけで疲れが取れるといいます。
夜の8時には横になっているので朝4時起きでも8時間は寝ていることになります。

   
    朝日は、靴幅山の右手から上がりました。

5月29日(木曜日)

 5:30分、いよいよソエマツ岳に向かって出発します。
まずは、靴幅山へ向かいます。
靴幅山というのは、地図上でいうと1,468mのコブ山を指します。
なぜ靴幅山などいう名前が付いているかというと靴幅しかないナイフリッジがあることから付けられたようです。
そのナイフリッジに向かって進みます。

 20分ほど進むとそのナイフリッジが目の前に見えてきました。
なるほど、右側がスパッと切れ落ちた岩肌です。
左側には白樺などが生えているとはいえこちらも切れ落ちた急斜面なのです。
リッジの上は幅が約1mほどありますが、そのリッジにはハイ松が生えており、その枝に掴まりながら歩きます。
   
   このリッジを残雪期に歩くのはどんな気分でしょうか?

 冷や汗をかきながらリッジをわたり終えると一息で靴幅山の山頂でした。
6:00分、テントサイトから30分で靴幅山に到着です。
この山頂部には2人用テントなら1張り張れるくらいの広さがありました。

   
   ソエマツ岳が一層近くなってきました。
   写真右側の横に伸びた残雪をテン場にしました。

 ここからは急な降りとなります。
幸いなことにハイ松の横は草原となっており鹿道があります。
その鹿道を利用してドンドン降ります。

 そしてコルからは残雪のある稜線目指して登ります。
この登りも鹿道があるところはそれを利用して登ります。
しかし、鹿道が尾根の天頂部を外れるようなら藪漕ぎをしてでも天頂部を外さないようにします。
そうしてがんばり続け、1,380mの残雪のある稜線に着きました。
 
 7:15分、テン場に到着です。
   
   この残雪は雪庇が残ったものです。
横幅も十分にあります。
ここをテン場として、テントに寝袋など必要のない荷物をデポします。
しかし、万が一のため食料やガスコンロにツェルトトなどを持ってビバークに備えます。

 幾分軽くなったザックを背負って1,550mの肩を目指して登ります。
この登りがきつかったです。
藪を漕ぎ、1歩、1歩、笹を掴み、ハイ松を漕いで登ります。

 9:20分、やっと肩に到着です。
   
   この肩にはいいテン場がありました。
ここまで来て、やっと、ソエマツ岳の本峰を目にすることが出来ました。
写真の左が本峰です。

 今日は気温が高いためシャツ1枚になって登っています。
おまけに強い日差しを受けているので汗だくです。
水の消費も進みます。

 ここからは、西峰に向かってハイ松の中を歩かなければなりません。
   
   ハイ松の丈も幾分低くなってきたので強引に歩きます。

 やっと西峰にたどり着くと、また降らなければなりません。
しかし、その先にはソエマツ岳の本峰が間近に見えています。
見たところ1時間は掛かるかなと思いましたが、距離にすると300mあるかないかです。
すでに、Sz氏が降っているので後を追いかけます。

 10:25分、ソエマツ岳の本峰に到着です。
西峰から20分と思ったほど時間は掛かりませんでした。

 さて、これで今回の目標だった神威岳からソエマツ岳の稜線歩きを達成したことになります。
これで、南日高は十勝岳から神威岳までの稜線を繋いだことになります。
遙か彼方にはピリカヌプリが見えています。
昨年、この目の下の稜線からピリカヌプリまで歩きましたが、その時はガスに覆われ見ることが出来ませんでした。
その稜線を今日ははっきりと見ることが出来ます。
   
   この稜線を歩き、ピリカヌプリの山頂の少し右側から沢を降りました。

 ここで30分ほど休憩を取ります。
私はハイ松の陰に入って身体を冷やします。
今日の気温だと熱中症の恐れがあるからです。
10分ほど目を瞑って寝ていると息が落ち着いてきます。

 11:00分、さあ、テン場に向かって帰ることにします。
   

     
   西峰に向かって降ります。

 ハイ松の稜線下りですが、断然、登りよりは楽です。

13:25分、テン場に戻ってきました。
   
   今日の宿も無事に決まって、ホッと一息です。

藪漕ぎに耐えて繋いだ神威岳からソエマツ岳・その1

2014-06-02 09:04:13 | 日高山系の山
 今シーズンの日高主稜線歩きは、野塚岳から十勝岳、芽室岳からピパイロ岳の肩までと順調に歩いてきました。
今回は、一番距離の残っている南日高にあるソエマツ岳からペテガリ岳間のうち、中間の山となる神威岳から南にあるソエマツ岳間を歩いてきました。

 この区間には登山道がありません。
そんなことで、本来ですとゴールデンウィークなど残雪期に登られる山なのですが、一緒に登っているメンバーのOn氏の都合でこの期間は使えないのです。
さらに、GW明けも使えず、やむなく稜線の雪はないかもしれませんが水作り用の雪ぐらい残っているだろうということで、5月27日から挑戦することになりました。

 メンバーはいつもの3人、Sz氏にOn氏、それに私です。
幸いなことに天気予報に雨マークがないという安定した期間が、唯一、救いの期間です。


 5月27日(火曜日)

 今日の予定は、神威山荘までと気楽な行程です。
札幌を朝9時に立ち、まずは浦河町の登山口を目指します。
林道は、神威山荘の手前13kmほどの所にあるゲートが閉じられています。
この先の林道は、地盤が固まっていない、道路上の落石や倒木の処理が終わっていない、などの理由からゲートは閉ざされているのです。

 まずはこの林道歩きが、登山の初まりとなります。

 12:20分、いよいよ林道歩きが始まります。
   
   今まさに新緑の季節!

 まずは日陰でしっとりとした空気の中を歩きます。
今回は沢靴も持っているのでザックの重量は結構なものですが、快調な足取りで歩きます。
途中から日差しが強くなってきたものの疲れのない身体ですのでグングン歩けます。

 正面の山肌が綺麗に借り払われてくると神威山荘は間近です。
15:25分、神威山荘に到着です。
   
   正面に見える山は通称名ニシュオマナイ山です。

 今日はこの小屋で1泊します。


 5月28日(水曜日)

 朝4時に目を覚まし登山準備をします。
朝食のお茶漬けをサラサラと胃の中に流し込み、辺り一面に散らばっている荷物をザックに詰め込みます。

 5:15分、神威山荘を後にします。
両側が植林された明かるい林の中を歩きます。
ほどなく渡渉地点に来ます。
   
   雪融け水で増水していると思ったのですが、そうでもありません。

 沢靴ですので濡れるのは問題はありません。
ズボズボ入っても臑ぐらいの深さでしょうか?
飛び石を使ってくるぶしほどの水に浸かりながら渡渉は終了です。
この先は、しばらく林道歩きが続きます。

 下二股で2度目の渡渉、笹原を歩いてようやくここから沢歩きが始まります。
しかし、沢水の量は普通です。
この沢は、巻き道が整備されているのでそれを使ってドンドン進みます。
それぞれが、この沢の経験がありますのでドンドン歩けるのです。
   

 途中に咲いている花には癒されます。
   

 6:20分、約1時間ほど歩いたので休憩を取ります。
On氏が、この辺りに遭難者の慰霊のために設置したレリーフがあるはずだといいます。
それは右岸の岩壁に埋められていました。
   
   大塚武さんの追悼レリーフです。
このレリーフに両手を合わせ登山の無事を祈ります。

   
   順調な歩きが続きます。 
久しぶりに歩く沢靴の感触と水の冷たさが気持ちいいです。

 正面に山肌が近づいてくると上二股です。
   
   右股に入ったとたん目にしたのは沢が雪でビッシリと埋まっている様子です。
沢靴で雪の上を歩くと滑りますので岩の上を歩いて登ります。
ほどなく、沢の真ん中にある大きな岩に赤いペンキで書かれた矢印を見つけます。

 7:15分、約2時間でここまで来ました。
この地点が尾根取り付きとなります。

 さあ、ここで沢靴を履き替えます。
沢靴は袋に入れて木に縛り付けデポします。
1人当たり3~4リットルの水を持っていよいよ尾根歩きとなります。

 ここからは急な登山道が続きます。
適当に休みを入れますが、それにしても早く進みすぎです。
今日は神威岳の山頂でテント泊の予定なのでゆっくり進めばいいのです。

 急な尾根を登り切ると大きな雪渓が残っています。
   
   目の先には神威岳の山頂が見えています。

 この雪渓にはテント泊の跡がありました。
きっとGWに登った人達のものだと思われます。

 10:40分、神威岳の山頂に到着です。
   

 ここで、やっと、ソエマツ岳までの稜線を見ることが出来ました。
   
   稜線上にはほとんど雪がありません。

 しかし、水を造る程度の雪渓が稜線近くに残っているようです。
正直なところ、この稜線を見た瞬間に藪漕ぎを覚悟しました。
でも、水が作れれば何とかなると思いました。

 ここで3人で相談しました。
いかんせん、この時間では神威山頂での1泊はもったいなさ過ぎです。
この先どんな状況になるか分からない状態では、少しでも先へ進みたいものです。

 3人で相談した結果、神威岳から降って少し登った稜線まで歩くことにしました。
この稜線の過ぐ近くに雪渓もあります。

 神威岳から降りだすと、最初のうちは踏み分け道があります。
といっても、普通の登山道に比べると道とはいえないものです。
その踏み分け道を利用してドンドン降ると、そのうち藪に突入です。

ハイ松が行く手を阻みますが、幸いなことに枝の張り方が順目なのです。
枝先が上から下へ伸びているのでその隙間に身体をねじ込むと歩きやすいのです。

 しかし、登りになるとそういうわけにはいきません。
歩いている正面に枝先があるのでその枝を両側に分けて歩かなければなりません。
この作業を急斜面で行うのは大変なのです。
おまけにねじ曲がった幹の白樺も行く手を遮ります。
少しだけ良かったのは、小灌木は芽吹きの時期を迎えたばかりなので枝を簡単に分けられるのです。

 13:10分、やっと目指した稜線に到着です。
今年始めての藪漕ぎが終了したのでホッとしました。

 ここには最高のテン場がありました。 
   
   綺麗に整地された地面です。

 おまけに神威岳からは見えなかったソエマツ岳側の陰に雪渓もありました。
   
   整地された地面に水作り用の雪、おまけに最高のロケーションです。

  
  後ろには神威岳も端正な姿を見せてくれます。

 よく見ると辺り一面に行者ニンニクも生えています。

 夕方までたっぷりある時間を使って、早速、酒盛りが始まります。
幸せな時間が過ぎていきます。

 ここで、ソエマツ岳への稜線を見ながら行った作戦会議の結果、靴幅山から降り登り返した稜線にある大きな雪渓に明日泊まることとして、そこから、一気にソエマツ岳を日帰りで往復することにします。

 すぐ横に見える靴幅山の存在は忘れお酒が進みます。 

 今回テン場とした場所の地図を貼り付けますので参考にしてください。
    


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

  大塚武さんについて
 
   大塚さんは、東京商大(現・一橋大)山岳部キャプテンとして山を駆け巡っていた。
  1964年(昭和39年)7月に日銀北海道支店長に転勤、道内外の山を登られていた。
  1970年(昭和45年 11月、請われて北洋相互銀行社長に就任。
  1975年(昭和50年)4月の日本山岳会北海道支部総会において、伊藤秀五郎さんの後を
   受けて第5代支部長に就任。
  1983年(昭和58年)8月6日、神威岳に登ったが、疲労のため途中下山した。
  8月27日、大塚さんは体調を整え、単独で神威岳に再挑戦した。
   ところが28日の下山予定時間を過ぎても下山せず、
  29日 北大山岳部が捜索したが手掛かりなし。
  そのため、30日、道警に捜索願が出され、日本山岳会北海道支部をはじめ関係する
  山岳会や遭対協などが捜索を行った。
  その後、知事の要請で自衛隊も捜索に加わり、数百人規模の大掛かりな捜索が行われた。
  しかし、行方不明 から7日目の9月4日、十勝側の中ノ川上流で遺体となって発見された。
  享年66歳でした。

  遭難の翌年、本人の遺徳を偲び、このレリーフがニシュオマナイ川右岸の岩に埋められたものです。   

芽室岳→伏美岳縦走・その3

2014-04-16 19:12:17 | 日高山系の山
 昨夜は、この日高主稜線歩きを始めてから、残雪期では初テントでの宿泊でした。
時折、ゴーッと風の呻る音が聞こえていましたが、テントに当たる風は少なく気温が高いせいもあって思ったより快適に寝ることが出来ました。


 3月28日(金曜日)

 いよいよ今日が最終日となります。
朝からいい天気なので気分は最高です。
4時に目を覚まし、いつものように準備をして6時には出発です。
   
    朝日が眩しく輝いています。

   
   テント撤収、この辺の作業も手慣れたものです。

   
   朝日に輝くピパイロ岳を見ながら準備は進みます。

   
    ピパイロ岳の右手には昨日歩いてきた稜線がうっすらと朱色に輝いています。

   
    戸蔦別岳と日高幌尻岳です。

 コブを一つ越えるとピパイロ岳と伏美岳の最低コルに向かって降ります。
コルからは、いよいよ伏美岳の山頂まで急な登りが続きます。
しかし、この登りで後は降りかと思うと、なぜか気持ちが軽く感じるから不思議です。

   
    右手には、昨年歩いた戸蔦別岳までの稜線がクッキリと見えています。
その斜面を見ながら、昨年クレバスに落ちたことなど思い出話をしながら登ります。
   

 斜面の傾斜がドンドンきつくなってきます。
雪庇にも気を付けなければいけません。
   
   ところどころ、雪庇が堅く、おまけに階段状になっているところもあり、一生懸命歩いて割にはすすみが悪いのです。
急なところでは休みながらの登りが続きます。

   
    あと一息の所まで登ってきました。
    伏美岳の山頂は目の前です。

 8:50分、約3時間かかりましたが、伏美岳の山頂に着きました。
   
    全員での記念写真です。
    バックには、日高の盟主である幌尻岳も見えています。

 ここからは降るだけです。
その降りも最初は急な斜面が続くので気が抜けません。
(気が抜けない場面なのに、大きな間違いをしていました。)

 クラストした急斜面をドンドン降ります。
風が強いので、少し降ったところで休むつもりでしたが、適当な場所がありません。
この辺は勢いに任せて20分で標高差300mほどを一気に降りました。

 中腹まで降ってくると雪の表面が太陽の光で融けています。
その融けた雪がスノーシューに下駄のように着くのです。
その雪を蹴飛ばすと固まりとなって転がっていきます。
転がった雪が斜面の雪を巻き込んで見る見る間に1mほどのタイヤ状の固まりとなって木の枝などにぶつかって砕けます。

 それが次々に出来る様は面白いのですが、気を抜くと転んでしまうのでバランスを取りながらドンドン走るように降ります。
   
    こんな雪の固まりが斜面の下に向かって幾つも転がっていきます。

 細い尾根状になったところで休憩を入れます。

 林の中の雪は、ところどころ膝が埋まるくらい沈みます。
この落とし穴のような雪には本当に苦しめられました。

 いよいよ尾根を降り終えたのですが、林道が見あたりません。
予定では伏美小屋からの林道を少しショートカットしたところに出るはずでしたが・・・・
mocoさんがGPSで確認したところ降る尾根を1本間違っていたようです。
そのため、伏美小屋より上流に降ってしまったようです。

 間違いの原因は、私が山頂から降るときに東に向かわなければいけなかったのを北向きに降ってしまったからです。
この最初から尾根を1本間違って降ったのに気が付いていなかったのです。

 作業用の林道らしい道を見つけたのでそれを歩いていくと300mほどで伏美岳の登山口となる駐車場に着きました。
11:00分、駐車場に到着です。
   
   さあ、ここから車を止めている場所まで7キロの林道歩きが始まります。

   
    伏美小屋です。

 この林道歩きが辛かった!!

 林道にはスキーのトレースとスノーモービルのトレースがあるのですが、その上を歩いても足が沈んでしまうのです。
ところどころ堅いところがあるのですが、堅いと思って歩いているといきなり膝まで埋まってしまいます。
これが精神的に堪えます。
どこが堅いのか探しながらの林道歩きです。
日陰になっている林道の端が堅いのでそれを探しながら歩きます。

 我慢しての林道歩きもようやく先が見えてきました。
14:30分、やっと、車を駐車していた場所に到着です。
   
   これで、3泊4日を要して歩いた芽室岳から伏美岳の縦走が終了しました。


 この後は、新嵐山荘のお風呂へ直行です。
お風呂の中で4日分の汗を流します。
幸せな瞬間です!!

 遅い食事をレストランで済ませ、芽室岳の登山口に止めておいた車を回収しに行きます。
そこで、驚愕の事実が判明しました。
なんと、私達が止めていた除雪終了点の先が綺麗に除雪されているではありませんか。
駐車していた車が、道路の1車線を塞ぐような形となっています。

 気になったのでどこまで除雪されているか確かめにいってみました。
その結果、最後まで確認はしませんでしたが、舗装道路の先まで除雪されているので、この様子では芽室小屋まで除雪されているに違いありません。

一同、軽いショックを味あわせられましたが、そこは前向きに考えて、「もう、終わったことだから!」と考えることにしました。

 それにしても、今回ほど天気に恵まれた山行は滅多にあるものではないと思います。
今回の成功の最大の要因は天気でしょう。


 これで、残る最大の区間はソエマツ岳→ペテガリ岳です。
この区間は5月のGW過ぎに挑戦の予定です。
もう一度、身体と精神を整えて挑戦するつもりです。





芽室岳から伏美岳(北日高)縦走・その2

2014-04-13 19:38:58 | 日高山系の山
 昨夜も暖かいので雪洞の中のテントは快適でした。
 4時に目を覚まして寝袋をまとめます。
そして、いつものように雑炊の朝食を食べます。
自分の荷物をまとめながら動いていると身体と心が戦闘モードに切り替わってきます。


 3月27日(木曜日)

 雪洞を出ると朝日がまぶしく輝いています。
   
   今日もいい天気のようです。

 5:50分、ルベシベ山の分岐を目指して出発します。
分岐はすぐ目の前ですので20分ほどで到着です。
そこで目にしたのが、これから歩く稜線とその奥にドーンと構えるピパイロ岳です。
   

 あまりの光景にみんなで記念写真を写します。
   
   記念になる1枚が写せました。

 さあ、ここからの稜線歩きですが、コブ山を幾つも越えなければなりません。
着実に歩いていきますが、気温が高いので雪庇の状態には細心の注意を払います。
   
    稜線は強い日差しを受けた雪庇が眩しく輝いています。

 ふと後ろを見ると剣山がうっすらとした雲の中に浮かんでいました。
この様子はまるで墨絵のようでした。
   

 8:00分、順調に歩き、1,712mのコブ山に到着しました。
この先には岩稜となっている部分もあり、何より下降する尾根が狭い上に急なのでスノーシューからアイゼンに履き替えます。
 最初の下降を終えると傾斜は緩やかになるのですが、ところどころにある岩峰が問題です。
この岩峰をどう越えるか思案していると時間がドンドン経っていきます。
   
    この縦走中、最大の核心部に突入です。

   
   
   

   
 
   
   こんな所を歩いていましたが、最大のポイントに来ました。

 そこは、両側がスパッと切れておりナイフリッジになっています。
この部分を果敢にOn氏が先頭を切って進みます。
   
   この部分を歩き終えると尾根が広くなるのでホッと一息付けました。

 目の前にはピパイロ岳の肩に向かって延びている標高差300mの尾根が間近となっています。
   

 10:00分、危険な部分を歩き終えました。
ホッとした気持ちで記念写真を1枚写してしまいました。
   

 快調に尾根を歩いて、いよいよ肩までの急な尾根の登りです。
急斜面の表面は堅く凍っています。
アイゼンの歯をしっかりと雪面に食い込ませて1歩1歩を確実に登ります。
   

 10:40分、やっと肩まで登ることが出来ました。
これで芽室岳からの主稜線が繋がりました。
エサオマントツタベツ岳山頂部の1部が残っているもののペテガリ岳までが、ほぼ繋がったことになります。

 ピパイロ岳の肩からは目の前に戸蔦別岳、その奥に日高幌尻岳が見えています。
   
   中央の山が戸蔦別岳です。山頂右手がBカールです。

 昨年の戸蔦別岳は視界のない中での山頂でした。
昨年苦労して登った戸蔦別岳の稜線もはっきり見えています。

 あとは時間の許す限り伏美岳に向かって歩くだけと思っていましたが、この考えは甘かったのです。
というのは、肩からピパイロ岳の山頂までは岩稜帯となっています。
この岩稜に雪が付いているのでルート取りがなかなか難しいのです。

 1箇所、今日2度目の核心部という場所が現れました。
岩稜の左は越えられるものではない傾斜となっています。
右は雪がしっかりと付いた急斜面です。
この急斜面に夏道があると思われるのですが、それもはっきりしません。

 この斜面にSz氏が取り付きサイドステップで足場を造っていきます。
その後を、私達も慎重に越えていきます。
   
   Mocoさん、On氏が挑みます。

   
    最後が私です。

 この斜面を越えるとピパイロ岳の山頂はすぐ先でした。 
   

 14:00分、やっとピパイロ岳の山頂に到着です。
   

 ここで少し休んで、それからコルに向かって降ります。
   
   降りはスノーシューでドンドン歩きます。
30分ほど降った所にある大きな雪庇を使って雪洞を掘ることにしました。
しかし、この雪庇が思った以上に堅くスコップで掘り抜くには相当の時間がかかりそうです。
そこで、この夜はテントだけで寝ることにします。
    
 
 今日は本当に疲れました。
しかし、主稜線歩きが計画通り繋がったのですから満足な結果を得た1日でした。
さあ、明日はいよいよ下山です。

芽室岳から伏美岳(北日高)縦走・その1

2014-04-12 20:13:56 | 日高山系の山
 2月に歩いた野塚岳から十勝岳(南日高)に引き続いて3月は北日高にある芽室岳から伏美岳を歩いてきました。
私達が目標としている「日高の主稜線歩き」の北にある起点が芽室岳です。
ですから、ぜひともこの縦走を成功させて北の主稜線歩きを繋げておきたいのです。

 今回のメンバーは、昨年3月の戸蔦別岳と同じSz氏、On氏、mocoさんに私の4人です。


 3月24日(月曜日)

 この日は車の回送などの準備のため札幌を午後3時に発ちます。
高速道路を十勝清水まで使い、まずは剣小屋に向かいSz氏とmocoさんを降ろして私とOn氏で下山口となる伏美岳の林道まで車を回送します。

 私達は、車の回送を終えて6時過ぎに剣小屋へ戻りました。
小屋にはストーブが焚かれ暖かくなっています。
まだ寝るには早いのでしばし歓談の時間を過ごします。


 ストーブの中で燃える木が爆ぜる音が私は好きです。
その音を聞きながら少しアルコールを身体に入れると眠くなってきます。
明日は早いので9時過ぎには就寝です。


 3月25日(火曜日)

 4時に目を覚まし、残り火に薪をくべて小屋を暖めます。
それぞれ用意したお弁当を食べて出発の準備をします。
この辺は皆さん手慣れたもので瞬く間に準備が整います。
   

 On氏の車に乗って登山口へ向かいます。
登山口となる最終除雪地点は、芽室小屋から6キロほど手前にあります。
道路の右手に大きな浄水施設があります。
   
   芽室岳は遙か彼方に見えています。

 5:30分、いよいよ、芽室岳に向かってスタートを切ります。
今回はスノーシューを使って縦走する計画となっています。
除雪最終地点に盛り上げられた雪を越えると、しばらくは舗装道路が出ています。
その舗装道路が出ていたのも400~500mほどで、その後は柔らかい雪が行く手を遮ります。

 今回の縦走で一番危惧していたのが、お彼岸に降った雪のことです。
春先のお彼岸に天気が荒れるのは、北海道ではよくあることです。
今年もお彼岸には爆弾低気圧が北海道の南岸を通り抜け、オホーツク海で発達したため道東を中心に大荒れとなっていました。
この影響でどのくらい山に雪が降ったかが心配だったのです。

 林道の様子を見ると柔らかい雪が歩くと臑ぐらいの深さになります。
スノーシューで歩くには深い雪です。
この深い雪を我慢して歩き続けます。
途中で休憩を入れますが、思ったように歩けていません。

 8:25分、約3時間かかって、やっと芽室小屋につきました。
   
   芽室小屋は深い雪の中です。

 私の予定では、2時間くらいでこの小屋まで歩けると思っていましたが、それより1時間も多くかかってしまいました。
ここで、ゆっくり休憩を取ります。
小屋の裏手には沢が顔を出していますので、ここで最後の給水をします。
   

 さあ、気持ちを入れ替えて芽室岳を目指しますが、雪の深さが膝ほどあります。
この時期だと雪面の表面がクラストしているのでそれほど沈まないと思っていたのですが、お彼岸に降った雪が思った以上に深いようです。
この降り積もった新しい雪が私達の行動を妨げます。

 交互にトップを変わりながら登りますが、思うように進めません。
今日の予定は、芽室岳を越えるはずなのですが、とてもそんなには進めないようです。
我慢の登高が続きます。

   
    クマゲラが掘った穴でしょうか?
    こんなものが気持ちを和らげてくれます。

   
    やっと雪庇のある稜線に出ましたが、まだまだ雪が深いのです。
 芽室岳の山頂は、まだまだ先の方にあるます。
この光景を見て、一気に気持ちが沈んできました。
時計を見ると12:40分になっています。

 この先の地形を見ると西峰の分岐に向かって延びる尾根の先に大きな雪庇がありません。
雪洞を掘るならこの辺りしか適地がないようです。
高度計の標高は1,400mを指しています。
芽室岳の標高は、1,753mですので、まだまだ350mもあります。
ちょっと時間は早いのですが、雪洞を掘ることにします。

   
    いつものように雪の深さを測ります。

 後はいつもの手順に従って1mほど離れたところに2カ所同時に横穴を掘り進めます。
この辺の手順は慣れているので、暗黙のうちにどんどん掘り進めます。
約2時間で雪洞が完成します。

 雪洞の中に張ったテントの中で休みます。
On氏はテントの外で水作りを一人でやってくれます。
私は、背中が疲れのため痛いので少し横になって身体を休めます。
めいめいが、お酒を飲んだりして身体を休めます。

 夕食を済ませると、まだ早いのですが7時過ぎには寝てしまいます。
3人用のテントに4人で寝るのですからかなり窮屈なのですが、お互いの身体が密着しているとその分暖かいので寒さは凌げます。

 今回の私は、夕食も食が進まずいつもの半分も食べられませんでした。
そんなこともあって、夜もウトウトしているだけで、熟睡感がないままに朝を迎えてしまう有様です。

 
 3月26日(水曜日)

 朝4時に起きます。
朝食を済ませて6時には歩き出します。
   
    昨夜一晩お世話になった雪洞です。

   
    まずは、芽室岳西峰への分岐を目指して登ります。
芽室岳の山頂は、一番左手にあります。
350mの標高差を目指して歩きます。

 昨夜の眠れない状態を考えると横になっていた時間が長いので疲れはそこそこ取れておるようです。
思ったより身体が動きます。
とはいっても、尾根の傾斜がどんどん増してきます。
   
   しかし、雪面の状態が堅くなってきたので思ったより歩く易くなってきました。
西峰への分岐を回り込むとやっと芽室岳山頂手前にあるコルに到着です。
  
   
    ここからはグングン歩き易くなってきました。

 7:45分、芽室岳の山頂に到着です。
   
   一気に視界が開けます。
これから歩くピパイロ岳から伏美岳まで全部見えています。
   
    それにしても、1967m峰がかっこよく見えています。
いつも思うことですが、なぜこの山に名前が付かなかったのか不思議に思っています。
こんなに姿がいい山なのに?と思うのです。

 風は強いのですが、何より天気がいいのが心強いです。
芽室岳の山頂まで来て、今まで気になっていた心配事が一気に晴れました。
4人の気持ちが、「行ける!」に変わりました。

 山頂での記念写真を終えるとつぎの目標であるピパイロ岳を目指して芽室岳からの稜線を一気に降ります。
   
   30分ほど一気に降ってしまうと芽室岳は遠くになってしまいます。

 しかし、前を見るとピパイロ岳は少しも近づいていないのです。
   
   ここからは、雪庇にも注意しながら歩かねばなりません。

 いくつものコブ山を越えます。
ところどころ雪庇の根元に亀裂が入っています。
昨年ほど大きなものではありませんが、やはり注意しなければなりません。
今日も気温が高いので雪庇の崩落も頭の隅に置いて歩かなければなりません。

 雪の表面は、堅いところもあればサラサラの所もあり、どこを歩くか十分に吟味して歩かなければなりません。
途中で、クラストした雪を踏み抜いてしまい腰くらいまで落ちてしまいました。
注意していてもこれですから、やはり雪の上は危険が一杯です。

   
   それにしても、今日は遠くまでよく見えています。
この景色を見るために冬の山に登っているようなものです。
神々しさを感じさせてくれる光景です。

   
   単調な尾根歩きは疲れますが、コブを一つ越えるごとに新しい景色を見せてくれます。

 走行して歩いていると芽室岳も遙か彼方に小さく見えるようになっていました。
   
   一番右に見えるコブが芽室岳です。

   
   大きな雪庇が張り出しています。
もうすぐルベシベ山の分岐近くという場所です。
この雪庇の大きさには緊張しました。
慎重に歩きますが、シュカブラで堅くなっており50cm以上の段差があるなど歩きづらいのです。

 時計を見ると午後1時を回っています。
ルベシベ山の分岐まで300~400mというところまで歩いてきました。
この先に雪庇は無くなるのでメンバーで相談した結果、出来るだけ雪庇の先へ向かって歩き、そこで1泊しようということになりました。

 13:40分、この辺で雪洞を掘ることにします。

 昨日と同じように約2時間で雪洞が完成です。
On氏がいうには、昨日の水作りに思った以上燃料を消費したので、今日は少な目に造るとのことです。
私達は雪から水を造るためにガソリンを燃料とするMSRのストーブを使っています。
今回は気温も高いので1人当たりの行動用の水は2リットルで計算して水を造っています。
そのため、燃料の消費も馬鹿にならないのです。

 ここは、燃料の消費も最小限にとどめ、これから先に備えます。

 今日は、よく歩いた1日でした。
この調子で歩けば、予定より1日多くかかるけれど何とか目鼻が付いてきました。
少し気持ちに余裕が出来てきました。

 今回の縦走中の天気予報は最高です。
気温が高く、晴れが続くという予報なのです。
そんなこともあって、今日一日かなり頑張って歩いたので明日はピパイロ岳は越えられそうです。

 この縦走中、携帯の電波は繋がっていました。
私は、電源を落としていましたが、On氏は携帯で奥さんから天気予報などの情報をもらっていました。
日高の山だけでなく、道内の主要な山でも山頂や尾根にいると携帯の繋がるエリアは広くなっています。
緊急連絡に携帯が使えるというのは心強いことです。

 さあ、明日はピパイロ岳を目指します。
ピパイロ岳の肩まで行けば主稜線歩きが繋がるのです。
頑張らなければ行けません!! 

野塚岳から十勝岳を歩く!

2014-03-02 14:31:33 | 日高山系の山
 2月27日に今年初めてとなる日高の主稜線を歩いてきました。
歩いた区間は、南日高の野塚岳(1,352m)からオムシャヌプリ経由して十勝岳(1,456m)までの稜線です。
メンバーは、いつものSz氏にOn氏の3人です。

 この区間のスタートは、日高の浦河町から十勝の広尾町に抜ける通称「天馬街道」の真ん中にある野塚トンネルの駐車場となります。
しかし、このスタート地点まで遠く、札幌から車で3時間半はかかります。
そんなことで26日の夕方に札幌を発ち現地で前泊をします。
前泊は、野塚トンネルの日高側にある除雪センターの駐車場です。


 2月27日(木曜日)

 朝4時に起きます。
辺りは真っ暗なのですが、軽く朝食を済ませて早速行動開始です。
銘々で用意したお弁当などを食べますが、私は冷やし中華を用意しました。

 今日の天気は、予報によれば晴れで気温がプラス7~8度とこの時期としては異常に高い予報が出ています。
気温が高いので雪崩などには十分に注意しなければなりません。

 5時を回ったところでスタート地点となる野塚トンネルの駐車場に到着です。
辺りを見渡して雪が少ないのが目に付きます。
今年の南日高は例年に比べても異常に雪が少ないようです。

   
   この駐車場付近を見ても全く雪がないような状態です。

 5:25分、準備ができたので出発です。
スノーシューを履いて暗い斜面を1,147mのコブをを目指して登ります。
表面が軽くクラストしていますが中はザクザクの雪です。
50分ほどでコブに達すると右手には朝日に輝くトヨニ岳が見えてきます。
   

 ここからは、稜線歩きとなります。
左手には今日の目標十勝岳やその先にある楽古岳などが霞んで見えています。
   

 さて、稜線に出ると雪庇がありますが規模が小さく、昨年のように根元に亀裂が入っていません。
この状態であれば安心して歩けます。
   

 登るに従って右手にあるトヨニ岳が存在感を増してきます。
   
    この山には、一昨年登っています。
    中央に刻まれた深い谷の右にある尾根を登りました。

 懐かしい眺めなのですが、先を急がなければなりません。
1,223mのコブに達すると目の前に野塚岳の山頂部が見えてきました。
   
   急な斜面に雪庇が出来ています。

 いったんコルまで降り、再度、登り返します。
稜線は西風が強く吹き、時々足下を掬われそうになります。
しかし、天気がいいので快調に歩くことが出来ます。

 8:35分、約3時間ほどで野塚岳に到着です。
   
   何年振りかの山頂ですのでSz氏と記念写真を写しました。

 さあ、ここからの稜線は私にとって初めて歩く区間となります。
   
   目の前にはこれから歩く山々が見えています。
   二つ並んでいる山がオムシャヌプリです。

 山々が霞んで見えますが、今日はPM2.5が中国から日本までかなりの量が飛散しているとのことです。
北海道も飛散量が多いとの予報が出ていますのでその影響で霞んでいるのかもしれません。

 オムシャヌプリに向かって降ります。
今日はこの登り返しを何度も繰り返さなければなりません。

   
   オムシャヌプリの西峰に向かって最後の登りは、雪面の表面がクラストして凍っておりテカテカと輝いています。
この薄く凍った氷が板状にパリパリと割れます。

 10:45分、オムシャヌプリ西峰に到着です。
この山頂からは、今日のゴールとなる十勝岳や目の下には上二股の沢などが見えています。
しかし、十勝岳まではずいぶん距離があるように見えて気持ちが萎えそうになります。
風が強いので山頂部では休めません。

 コルまで降ってから休むことにします。
   
   オムシャヌプリ東峰です。

 ここまでほぼ予定通りに進んでいます。
十勝岳まで14時を目標に歩いてますが、何とか到着できそうです。

 それにしても、目の前に見える十勝岳の山容はなんと堂々としているのでしょうか。
   
   山頂から右手の上二股の沢へ野斜面は急峻です。
下山路を探しましたが、どの稜線を下るか判断に困るくらいです。

 谷から吹きあがってくる風がいっそう強くなってきました。
ところどころ尾根が狭くなっているので注意して歩きます。
   
   最後の稜線が迫力を増して近づいてきます。

   
   この辺りはスノーシューで歩きました。

 後ろを振り返ると、今日歩いてきた稜線とさらに北側に延びる日高の主稜線が見えています。

 13:55分、ほぼ予定通りの時間で十勝岳の山頂に到着することが出来ました。 
   
   On氏とSz氏です。

   
   歩いてきた稜線です。

 そして、目を転じると楽古岳が間近に見えています。
   
   この稜線は未踏の区間です。

 十勝岳の山頂部は風を防ぐ場所がないので少し降ります。
そして、風陰で休憩します。

 そこから下山路に選んだ西の尾根は広い尾根となっています。
この尾根を快調に降ります。
   
   アッという間に十勝岳の山頂が遠くなります。

 目の前にコブ山が見えています。
この山から上二股の沢に向かって下降します。
   
   急な尾根であることがわかります。
   見かけの角度が45度はありそうです。

 しかし、この尾根がくせ者でした。
狭い上に急なのです。
しかも、雪がサラサラで足下から崩れてしまいます。

 私は、ツボ足で降りましたが、所々で腰まで埋まってしまいます。
何度か転んでしまいましたが、何とか下降することが出来ました。

 後は林道を歩いて天馬街道を目指します。
この林道歩きが辛かった!!

 日暮れが近づいてきていることもあり沢の中は急速に気温が低くなってきました。
16:40分、何とか国道まで帰ってくることが出来ました。
やあ、やあ、長い1日でした。

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  今回は、ここから野塚トンネルの駐車場に駐車した車を取りに行くのをヒッチハイクで
 行くことにしていました。
 そのため、日が暮れるまでになんとしても天馬街道まで戻らなければと思って歩いていました。

 しかし、ヒッチハイクしようにも浦河方面から広尾方面に走ってくる車が少ないのです。
 十勝側からはそれなりの数が走ってきます。
 10分以上1台も車が走ってこないのです。
 日暮れが近づいてきます。
 気が焦りますが、こればかりはどうにもなりません。

 ようやく走ってきた車は大きなトラックで硝酸運搬車とあります。
 この次の車に何とか拾って貰わねばと思い道路の両側で待ちました。

  1台のワンボックス車が浦河方面から走ってきます。
 この車に向かって道路の反対側から私が手を振ります。
 車のスピードが弛んだような気がしました。

 さかさず、反対側にいたSz氏が合図すると車が止まってくれました。
 運転している人にSz氏が話をしているようです。
 どうやらOKの返事がいただけたようです。

 On氏がワンボックスに乗り込んで車の回収に向かいます。
 正直、これで帰れると、ホッとしました!!

 品川ナンバーを運転していた人、本当にありがとうございました!!
   
 

 

初めてのペケレベツ岳!

2014-02-08 13:37:44 | 日高山系の山
 今シーズンは、今まで行ったことのない山にも挑戦したいと思っていました。
そこで選んだのが日勝峠付近にあるペケレベツ岳(1,532m)です。

 「ペケレベツ」とは、アイヌ語で「明るい川」とか「水の清い川」というような意味のようです。
このアイヌ語が清水町と名付けられた由来となっているようです。
ネットの情報では、この山の東尾根が緩みのない斜面が続き最高のパウダーが楽しめるとありました。
これは行ってみないとわかりませんが、ワクワクさせられる情報です。


 そんなことで、2月5日(水曜日)に行ってきました。

 この日は、この冬一番の寒気団がスッポリト北海道を包んでいます。
札幌でもマイナス10度を超えるなど痛いくらいの寒さなのです。
高速道路でトマムを通った時にはマイナス18度を指していました。

 札幌から高速を飛ばして2時間ちょいで日勝峠の十勝川3合目に到着です。
ここには、駐車スペースがあり、しっかり除雪されていました。
   
   10台は駐車できるほどの広さがあります。

 天気は上々ですが、半端ない寒さで指がかじかんできます。
歩くたびにギュ!ギュ!と足音が鳴ります。

 8:50分、準備ができたので出発です。
   
 まずは、林道の跡を歩きます。
歩き出すとすぐに橋があり、その橋を渡ったところから右手に進み、正面に見えるペケレベツ岳を目指します。

 辺りは雪が少なく笹が顔を出しています。
でも、スキーで歩くには支障がありません。
林を抜けると一気に眺望が開けます。
   
    これから登るペケレベツ岳が目の前で待っています。

 正面に見える山頂から2本の沢に挟まれているのが東尾根です。
上部から半分は快適な斜面のようです。

 この笹原をどんどん上部に向かって歩きます。
左手に深い沢が見えてきます。
どうやら二股に到着したようです。
ここまで40分、順調に進んでいます。

 この沢を渡らなけでばなりません。
できるだけ上の方で渡ろうと考え沢を見ながら登ります。
ちょうどいい場所を見つけたのでスノーブリッジを渡り東尾根に取り付きます。

 さあ、ここからはドンドン登るだけです。
Sz氏が途中でラッセルを交代してドンドン登っていきます。
私のスピードでは追いつくことができません。

 松林の中を登っていくと岳樺が顔を出してきます。
この辺りから斜面の傾斜が一層きつくなります。
右隣の尾根が真っ白になってきます。
高度が上がっている証拠です。

 やっと、Sz氏に追いつきました。
ここから最後の部分を私がラッセルします。
山頂直下の尾根は傾斜が急なので右手に進路を取ります。
この辺りはクラストした雪の上にうっすらと積もった新雪がありエッジを利かせなければスキーが横に滑ってしまいます。
だましだましの登行が続きます。

 いったん、小さな尾根を回り込んでからジグを切るとやっと稜線に到着です。
一気に視界が開けます。
すぐ横には沙流岳が真っ白な三角形の山頂を見せてくれます。
トマムのスキー場も見えています。

 後続の2人を待ち、スキーをデポして山頂へ向かいます。

10:50分、登りだしてちょうど3時間で山頂に到着です。
   
    左がOn氏、右がSz氏です。

   
    南側に続く日高の主稜線です。
    遠くに芽室岳が見えています。

   
    左手の真っ白い山が沙流岳です。

   
    日勝ピークや熊見山の向こうにトマムスキー場が見えています。

   
    そして登ってきた東尾根の向こうは十勝平野が広がっています。

 さあ、スキーをデポした場所に戻って滑降の準備をします。

 ここからは、楽しい時間のはずでしたが、1本目を慎重に滑り終えたところで呼吸が苦しくなりました。
まるで、酸欠になった金魚みたいに呼吸が苦しいのです。
山に来ていてこんなことは初めてです。
どうやら軽い貧血のようです。

 寒さのため血管が収縮しているところで滑降したため筋肉に血液を取られ脳に回る血液が少なくなったのでしょうか?
腰をかがめて深呼吸をしていると少し楽になりました。

 幸いなことにこんな状態ですが、何とか滑り終えることができました。
    

 駐車場へ戻って時計を見るとちょうど4時間が経過していました。
登り3時間、下り1時間で最高のスキーが楽しめました。

 ペケレベツ岳の東尾根、緩むことのない傾斜が続くいい斜面を持った山でした。
ぜひ、一度行ってみてください。