2020年度に、各都道府県が実施した公立学校の教員採用試験(2021年度任用)の採用倍率が低下しています。
2019年度が4.2倍で、2020年度は3.9倍と下がっています。
受験者数でいうと、2020年度が138042人で、これは前年度から10423人も減っています。
各都道府県の教育委員会は、試験方法や会場の便宜を図り、教職の魅力のPRに力を入れているのですが、受験者数が下がり続けています。
とういことは、教職を希望する大学生が減っているということを意味しています。
数年前から教員の長時間労働の実態が報道されました。その火付け役になったのは、OECD国のなかでも、日本の教員の長時間勤務が突出しているという報道でした。
「学校がブラック」というイメージが定着してしまったからかもしれません。
なかには、教育実習を体験して、多忙な学校、疲弊している教職員を見て教職を躊躇してしまう学生がいるのかもしれません。
また、長時間労働、個人の生活を犠牲にする側面を見て、自分の時間を大切にしたいという学生の要望にそわない仕事と思われるのかもしれません。
わたしは、自分の出身中学で教育実習を受けましたが、感動の体験で、「なんとしてでも教師になる」という意志を固くしました。
だからといって、その自分の体験を持ち出して、教職の魅力ややりがいを前面に出しても、いまの学生さんの胸には届かないでしょう。
教員をとりまく労働環境や労働条件を改善する必要があります。
また、いきいきと楽しく働く教員を自分の目で確かめ、教育への魅力、子どもの成長にかかわる楽しさを知ってもらうためにも、教育実習生を受け入れる学校の果たす役割は大きいと思います。
採用する側は、ともすれば「即戦力」を期待しますが、教員としての資質と「伸びしろ」をみて、この人は現場で自身を伸ばしていけるというポテンシャルをみて、採用するべきでしょう。
じっさい、校長を務めた経験でいうと、初任者は失敗することもありますが、大きく成長した教員に、わたしは何人も出会ってきました。