箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

美しさは内面から発するもの

2021年03月22日 07時59分00秒 | 教育・子育てあれこれ


東京オリンピックの開閉会式の企画演出の総合統括を務めるクリエーティブディレクターが、1年前に女性タレントの容姿を侮辱する内容を提案していたことが明らかになりました。

これをメディアが、いま大々的にとりあげています。


しかし、日本人がふだん何気なく使う言葉にも問題性が隠れていたと、わたしは考えます。

テレビ番組やSNSの書き込みには、「美女」、「国民的美少女」、「顔面偏差値が高い」、「きれいどころ」、「イケメン」など、人の容姿をとりあげ、身体的特徴で人を評価する表現がいっぱい使われています。

テレビでは、MCやコメンテーターが日常的にあまり違和感なくそのような言葉を使うのはよくあることで、受け取る側も同じように使います。

ですから、このように人の容姿をもとにした侮辱行為は、今までそれを許していた社会にも責任があるとわたしは思います。

もちろん、個人がある人物について「かわいい」「かっこいい」「きれいだ」と心の中で思うのは勝手です。

でも、それに優劣を付けて、あたかもこの社会における標準的な美しさであるかのように扱うことには、問題性があります。

今回のオリンピックでの件は、その社会の問題の延長上にあるととらえるべきです。


では、本当の人の美しさとはなんでしょうか。

ある病院で感じたことがあります。

一人の看護師に、わたしは美しさを感じたことがあります。

その人は、薄化粧で、瞳は輝き、歯は真っ白、透き通るような肌でしたが、そのキラキラと光る美しさは、外見ではなく、内面から醸し出しているものでした。

自分の容姿は後まわしにしても、病気やケガの人を救うため、一生懸命に生きている人なんだと、私は感じました。

人の心を動かす美しさとは、けっして外見ではありません。内面から放たれる光が、人の心を動かすのであると、わたしはあらためて思います。

今、コロナ禍で自分のことは後回しにしてでも、身を削って、私たちのために使命を果たそうとしている看護師がいます。

その本当の美しさを、心に刻みたいと思います。