箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

体験を自分の生活に活かしてこそ

2017年04月30日 07時30分44秒 | 教育・子育てあれこれ


ゴールデンウィーク中には、旅行をする人も多いと聞きます。

旅行とは、買い物をするだけではないでしょう。

旅行とは、行程を漫然と行くものではないでしょう。

旅行とは、平素と違う非日常を楽しむものではないでしょう。

旅行とは、観光や体験をするだけではないでしょう。

旅行とは、それらのものを、みずからの生活や仕事にどう活かしていくかがという意義もあるのではないかと思います。

人生を旅にたとえる人がいます。見たことや体験したことを、その場でおしまいにしてしまうなら、人生はそのままです。

なぜ、こういうのかといえば、中学生がする体験学習も、体験しっぱなしでは何も自分の身につかないからです。

職場体験、福祉体験、高校体験、修学旅行での民泊体験など、体験学習がどの中学校でも行います。

しかし、体験学習て学んだことを、自分の生活に還元し、活かしてこそ、その子の人生が豊かになるのです。

関心は他者に向けるもの

2017年04月27日 20時37分29秒 | 教育・子育てあれこれ

他者から自分がどう思われているかは、誰でも気になります。

できるならば、よく思われたい。ちょっとは立派な人だと思われていたい。

でも、だからといって、自分の評判ばかりを気にするのは、いいことではないと思います。

だって、人は誤った評価を受けるのがふつうだからです。

自分が望むとおり評価されることは、まずないといっていいでしょう。

だから、自分の評判や評価は、あまり気にしないほうがいいのだと思います。

関心が自分がどう思われているかに向いていると、ほんとうはいいように思われていないのに、社長や校長と呼ばれることに快感をもつような人になってしまうのです。

いまという時代、自分のことに関心が向きやすい傾向があります。

私のことを気にかけてほしい。わかってほしい。こう欲する人が多いようです。

この傾向をプライバタイゼーションと研究者は呼びます。

関心というものは、基本的に、他者に向けるものだと思います。



アカデミックな三中校区

2017年04月27日 06時43分18秒 | 教育・子育てあれこれ





とどろぶち公園4月23日、春の子どもカーニバルが開かれました。

三中からは、オープニングとして、吹奏楽部が演奏させてもらいました。

三中の生徒もたくさん遊びにきていました。

毎年、この祭には、大阪大学のさまざまな学生サークルが出演してくれます。

今回は、西アフリカのドラムス&ダンス(大阪大学Talibe)とベリーダンス(大阪大学Halaawaat)が、出演しました。

三中は阪大が近いので、学生さんがボランティアで、学習サポートに来てくれたりして、アカデミックな地域性があると感じています。

成熟が人を彩(いろど)る

2017年04月24日 19時24分26秒 | 教育・子育てあれこれ


幼い頃、わたしは煮た大根が苦手でした。

あの独特の苦味が、子どもには耐えがたかったのです。

保育所の給食に出たときは、なかなか食べることができませんでした。

先生は残したらダメと言ったので、無理やり飲み込みました。

「ウエッ!」とえづき、涙が出たのを、懐かしく思い出します。


しかし、いまは何の抵抗もなく食すことができます。

逆に、その味わいや苦味に惹かれ、美味しいと感じます。

このように、昔はつまらない、自分には合わないと思っていたものを再度試してみますと、その良さや素晴らしさ、本質的な価値を見いだすことができることがあります。

齢(よわい)を重ねるからこそ、わかることがあるのです。

感じるものがあるのです。

見えるものがあるのです。

その蓄積が、人の生き方に彩りを添えるようになります。

「成熟」とは、このようなものであると考えます。



中学生の時期は「成長」の時期です。

わたしは、中学生に、成熟した重みで、大事なことを伝えられたらいいなと思います。

見据えるとは、捨てること

2017年04月22日 21時26分37秒 | 教育・子育てあれこれ

人の平均寿命は伸びています。2015年には、女性が87.05歳、男性が80.79歳になったそうです。

こう考えれば、人生は長いといえるでしょう。

しかし、人は明日の命もわからないという側面があることも、また事実です。

ですから、私たちが何かをするチャンスは、この瞬間しかないと思うことも、必要なのでしょう。

ところが、今という時代は選択肢が多すぎます。何を買うかだけでも、商品が多すぎます。

限定された時間軸のなかで何かをするのだから、何かをいさぎよく捨てなければなりません。

ただし、何を捨てるかで、本来は思案する必要はないのかもしれません。

だって、人は一生懸命にものごとに取り組んでいるときは、必要ないものは自然と離れていきます。

中学生でも、懸命に努力している子ほど、はっきりしています。

「わたしには、これはいりません。わたしはこうするつもりだからです」と意思表示が明確です。

現在のような、選ぶことが多すぎて迷う時代だからこそ、私たちは身軽になり、茶色くなった葉を落とす木のように、めざす目標を見据えて、近づいていきたいのです。

新入生を歓迎!

2017年04月19日 18時02分57秒 | 教育・子育てあれこれ



新入生が入学して、10日ほどがたちました。

明後日には、部活が本入部になります。

今日は、新入生を歓迎する吹奏楽部のSpring コンサートが中庭で、昼食後に開かれました。

演奏が始まるとともに、教室のベランダからは多くの生徒がギャラリーとなり、応援してくれました。

手拍子が起こり、演奏を盛り上げました。



本日配布の2年学年通信の一部を2枚目の写真に載せています。

後輩に対して、先輩がこんなふうに振る舞ってほしいという文面になっています。

このように、歓迎されて1年生はゆっくりと「三中生」になっていくのです。

一文字に託す願い

2017年04月18日 16時30分44秒 | 教育・子育てあれこれ




3年生は、この1年間の自分の目標を漢字一文字で表しています。

そして、班の仲間からの応援メッセージを書いてもらいます。

それぞれの生徒が、1年間を展望して、自分の意思や願いを、一文字に凝縮して表しています。

たかだか、一文字。でも、考えて書いた文字は、それぞれ個性を発しています。

わたしも、応援したくなります。

真剣 テストに臨む姿勢

2017年04月18日 11時37分15秒 | 教育・子育てあれこれ




今日は、全国学力学習状況調査で3年生が受験しています。

毎回、思いますが、三中の子は、外部テストに対しても、取り組む態度は真剣そのものです。

あきらめない態度が、無回答率の低さを生み出しています。

無回答率は、学習意欲の高さを測る一定の基準となります。

一方、無回答率の高さは、大阪府の生徒の課題です。

「学校の成績に関係がないなら、一生懸命やらんでいいやん」

私見ですが、損得感情がはたらく、大阪の子の特徴と言えるのかもしれません。

でも、このテストは、国語・数学にかんして、自己の「知識」、「活用」の学力を客観的にみることができます。

①社会で必要とされる基礎基本の学力および思考力や判断力、表現力がどの程度身についているかを知るために

②また、学力と密接な関係にある生活の状況を明らかにするために、

ていねいに取り組んでほしいと、願っています。


真剣な態度→あきらめない→少しでも解答しよう→点数が上がる

結果的に、学校の平均正答率が上がる、となります。


春に響く吹奏楽

2017年04月16日 17時57分34秒 | 教育・子育てあれこれ



今日は第21回箕面市ブラスフェスでした。

このブラスフェスティバルは、市内の中学校吹奏楽部と高校吹奏楽部、一般の吹奏楽団、他市の吹奏楽部が一堂に会して、演奏して、多くの人々に吹奏楽を知ってもらうために開催します。

三中は「エグモント」序曲とCOSMOSの二曲を演奏しましたが、COSMOSはコーラスを交えての演奏でした。

各団体が演奏した後、最後は全員で「翼をください」を演奏・合唱しました。

自分がつくる歴史

2017年04月13日 19時54分40秒 | 教育・子育てあれこれ

「歴史」と言えば、学校で習った地理・歴史・公民の歴史を、思いつく人が多いでしょう。

日々、私たちは「歴史」を自分とは関係のない、先人がつくった、遠く離れた事実として捉えています。

でも、私たち一人ひとりにも確かな歴史があります。それは日々の歴史です。

今日一日に自分が行っていること、何をどう行うかが、日々の歴史の1ページになります。

ためらって何もせず、一日を終わるのか、惰性に任せ終わるのか、失敗をおそれずチャレンジするのか。前回より工夫して、またやってみるのか。

その態度の一つひとつが、自分の日々の歴史を刻んでいきます。

真摯に自分と向き合い、意味ある日々を送っていきたいのです。

三中の生徒も、日々の歴史を刻んでいるのです。

給食はじまる

2017年04月12日 19時53分33秒 | 教育・子育てあれこれ


新年度になり、今日から給食が始まりました。

三年生は慣れたもので、教室を出ていい合図の音楽が流れるころには、多くの生徒が食べ終わっていました。

一方、1年生は、その頃はまだクラスとして、食べ始めていないという状態でした。

生徒も慣れるのにたいへんですが、じつは、教職員の中にも、も初めて給食指導をする学級担任がいます。

その点では、副担任がサポートしています。

生徒も教職員も、少々時間がかかるかもしれませんが、慣れてきます。

離れても同じ空を見ている

2017年04月11日 19時56分39秒 | 教育・子育てあれこれ




本日、離任式を行いました。

退職した人が1名、ほかの学校に転勤になった人が5名です。

6名の教員が、全校生徒にお別れのあいさつをしました。

生徒たちは顔を上げ、あいさつの言葉に聴き入っていました。

一つひとつの言葉に、三中生に託す思いが込められていました。

今日出席できなかった1名を加え、7名の教職員が三中を離れることになります。

しかし、「離ればなれになっても、みんな同じ空を見ている」という言葉を、私から生徒たちに贈っておきました。

生徒たちがつくる花道を、「ひらり」のBGMと共に、6人が去っていかれました。

離任式のあとは、引き続き、生徒会役員の引き継ぎ式、そして1年生と2・3年生の対面式を行いました。

1年生の代表生徒が「よろしくお願いします」のあいさつ。

それを受けて、生徒会長が「いっしょに三中をつくっていきましょう」と応えました。

これで三中生は一つになりました。

新しい年度、新しいクラス

2017年04月10日 17時55分18秒 | 教育・子育てあれこれ




本日9:00から第46期生を迎える入学式、11:00から2・3年生のクラス発表、全校生の揃った体育館で始業式を挙行しました。
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H29(2017).4.10 1学期始業式 校長講話

新入生のみなさん、新2年生のみなさん、新3年生のみなさん、入学・進学を心から祝福します。

みなさんが、今日この体育館の、この席に座るまで12年、または13年、14年の歳月が必要でした。

3年生のみなさんは、私の着任といっしょに三中に入学してきました。小学生のようだったみなさんが「本当に大きくなったなあ」と、私はしみじみと思います。

そうです。成長には時間がかかるのです。ある一定の期間が経たないと次のステージには行けません。次のステージに行ったとき、はじめて自分は成長したということに気がつきます。

親せきのおっちゃん・おばちゃんと久しぶりに会ったとき、必ずこういわれます。「しばらく見ないうちに大きくなったね」って。おっちゃん・おばちゃんは、成長の結果を見ているので、よくわかるのです。

でも、成長期間のまっただ中にいる本人は、「いま自分は成長している」と実感することはありません。君たちの前にあるのは、新しいクラスです。「どんなクラスやろう。友だちできるかな。学習は難しくなるのかな。」そんな現実だけです。

この前、小学校を卒業したばかりの1年生も、楽しく遊び、宿題をして、ほめられたり、怒られたり・・・。無邪気の繰り返しだったはずです。小学生のときはそれでよかったのです。

しかし、中学生になったみなさんの成長は、小学生のときとは違います。何が違うのか。無邪気では済まないのです。中学生は、自分を見つめなければなりません。他人が自分を見ているように、自分で自分自身のことを見つめるようになること。それが中学生の価値です。

自分をこうやって見つめて、「先生、なにもみえません!」 ちがいます!こういうことです。
部活で言うならば、外周を走るのがあんなにたいへんでしんどかったのに、今は余裕どころか、黙々と走れるようになったなあ。なかなか楽器の音が出なかったのに、いまはソロで堂々と演奏できるようになった。親から勉強しなさいといわれないとしなかったけど、今は言われなくてもするようになった。

2年生、3年生のみなさんはそのように言われて、自分の成長に、「そう言われれば」と気がつくのでないでしょうか。これをほかの人から言われなくても、自分で気がつくようになるのが望ましいのです。そのために自分を見つめるのです。

自分を見つめるには、孤独になるのもいいですよ。「ぼっち」をおそれない。孤立はよくないかもしれないが、孤独は必要です。教室でじっと読書をするのは孤立ではないのです。その人は孤独になっているのであって、自分を見つめて内面を耕しているのです。

それが中学生です。友だちと群れているだけでは、自分の成長は感じることができません。
自分でできることは自分でやる。でも人の助けがいるときは他者から助けを求めることができる。そんな人間関係をひろげる。これを自立といいます。卒業のときには、みなさん、自立に向かってください。

最後に、結びの言葉を言います。1年間の願いを込めて、私からみなさんに伝えます。「孤立するよりも孤独になれ。孤立するよりも自立しろ。」
この1年間、三中生のみなさんの豊かな成長を、私は強く願っています。
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なお、今日の入学式の式辞は三中HPの「校長室からのメッセージ」(校長ブログ)に、アップしています。

微笑って大切

2017年04月08日 10時44分13秒 | 教育・子育てあれこれ

私は、日々中学生がたくさん集まる環境に身を置き、感じることがあります。

それは、一歩学校を離れて、巷に出ると、いわゆる「団塊の世代」にあたる、現職から引退したが、まだまだまだ体力的に元気そうな初老の人をたくさん見かけます。

そんな人たちのなかには、(あえて男性・女性という性に分けていうならば、)男性の人の表情に険しいことが多いと感じます。

中学生の柔らかな表情とのギャップが大きすぎて、とまどいます。

一様に眉間にしわを寄せ、道を堂々と歩かれています。スーパーの通路を、わが道を行くがごとくゆっくりと歩かれています。

誰かとすれ違うときには、「あんたが道をあけなさい」というオーラを感じます。

一方、若い人ほど、自分から道をあけてくれる場合が多いようです。

なんでそんなに「偉そうに」するの?

思わず言いたくなります。

おそらく、「わたしは、戦後の日本高度成長期を支えたてきたのだ!」という自負があるのかも。

若い頃、モーレツ社員として働いて部長にまでのぼりつめたのだ。

そんな人ほど、人の肩書きを重んじるようです。

すべての人がそうだとはいいませんが、そんな思いや自負があるのかもしれません。

そして、彼らはつぶやきます。

「最近の若い奴は・・・」

でも他人の非難はやめて、もっとほほえんでください。

冗談を言い、にこやかにしたほうが、人生の先人から学びたいという人が集まってきやすいと思うのは、私だけでしょうか。