箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

大学入試 共通テストにどう対応するか

2022年09月30日 09時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ

大学入試は、センター試験から共通テストにかわり、3年目になります。

センター試験と比較すると、問題文が長文になり出題の傾向も変わってきています。


それに伴い、受験生が取り組む対策にも変化が起きてきているというのが現状です。


共通テストの特徴は・・・

・教科をまたいでの出題されるクロスオーバー的な問題がある。

・教科をまたいでの出題以外に、教科内の分野と分野を組み合わせた、たとえば生物、科学、物理、地学の複数の分野を組み合わせた出題があります。


・実際の生活を再現し、登場人物2人の会話で話が進展していき、「こうなったらどうだろう」など複数の考え方が示され、どの方法をとるかは受験生に委ねられる問題もある。

・受験生が「初見だ」と思うようなグラフや図や表がのっていて、それを読みとることが必要になります。

・英語のリーディング本文は3800語近い語数になり、読むのにも長い時間がかかるボリュームです。

・また、リスニングは単純な二人だけの対話を聞きとるのではなく、4人の会話を聞きとり理解する内容になっています。

こういう点をみていると、たんに知識を問うだけの問題は影を潜め実際の生活の中で知識をはたらかせ、思考力を駆使する問題がほとんどであり、受験生にとっては「難しい」と感じる問題になっています。

この出題意図は、定着した知識をもとに思考力・判断力・表現力をはたらかせ、生活の中で実際に起こっている課題を解決していくといういまの学力観に基づくものです。



小手先だけの受験テクニックだけでは通用しないでしょう。

対策としては、高校の授業も今年度から新学習指導要領がはじまり、「主体的で対話的で深い学びの学習」が授業の中で実践されています。

したがって、日々の授業を大切にすることが、まず必要です。

さらには、長い文章を「飛ばし読みして大意を把握する」では対応できません。

最初は時間とは関係なく、問題文の一文一文をていねいに読み理解する。

それができるようになってから所定の時間を計って過去問を解き、時間内に終えられるように移行していくのがいいでしょう。

日々の学習では、まず教科書に書いてあることを理解できるようにする習慣づくりが平素から大切です。共通テストの問題文は教科書をもとに出題されているからです。


この点からも、小中学校と同様に、高校の授業も引き続き、今の学力観に基づく授業に改善していく必要があります。



学校の専門職を大切に

2022年09月29日 05時25分00秒 | 教育・子育てあれこれ

学校には教職員以外の専門職の配置があります。その職種の一つにスクールカウンセラー(SC)があります。

SCは児童生徒の相談や保護者の抱える心の問題に向き合い、カウンセリングによって支える臨床心理士等の資格をもつ専門職です。

自治体によりますが、学校に常駐するのは予算の関係で無理なので、非常勤で1週間に1日だけ学校に配置されていることが多いようです。

SCによっては、一人で1校から3校を担当するのがふつうです。

そのSCを対象に行った東京の調査では、「職場にストレスとなる要因がある」と回答した人が、87%、「ない」とした人は12%でした。

その要因とは、
時間外の無償労働 66%
雇用の不安定 61%
社会保障がない 56%
教職員・管理職との関係 50%
(いずれも複数回答)
/でした。

時間外労働をしているSCの実態は87%でした。

雇用の不安定は1年ごとの任用更新にあるようです。来年度の雇用は年度末にならないとわからないということから不安を感じるSCが多いようです。

時給は低くはないのですが、雇用の不安定さは年度末になり顕在化します。

たとえば複数校担当していた人が、「4月からは1校の担当になります」と行政から告げられると、年収は突然大幅に下がるのです。

生活設計ができにくいという声は当然あがります。


学校で行う「教育相談」とは、おもに個人に焦点を当てサポートすることで、内面の成長を促す教育活動のことです。

教育相談に専門性を持たせるために、いまや専門職のSCの配置はどうしても必要です。

その考えに立ち「学校教育法施行規則」にもSCの職務に関する規定があります。

一方で、仕事のやりがいを聞いたところ、「とても感じる」が約5割、「やや感じる」が4割で9割近くの人が程度の差はあれ、やりがいを感じているということです。

もし、その「やりがい」につけこみ、労働条件の改善をはかろうとしない自治体があるのなら、それは問題です。

スクールカウンセラーの待遇改善が求められています。

 子どもも知っておくべき 薬害被害

2022年09月28日 05時23分00秒 | 教育・子育てあれこれ

1980年代に血液製剤による薬害エイズ事件が大きく取り上げられました。

製薬会社は危険性を認識しながら販売を続けていたことで、厳しく責任が追及されたのでした。

それ以降、全国薬害被害者団体連絡協議会と文科省は「薬害を学ぼう」という副読本をつくり、その普及や学校での活用に努めてきました。

2011年からは全国の中学校に対して、中3の保健体育の授業での活用を意図して配布してきました

ところが、現場感覚では内容が難しい等の理由で十分に活用されてきませんでした。

その経過があるなかで、今年度から実施されている高校の学習指導用量では、新しい「公共」という科目が新設されたのでした。

新学習指導要領の解説にも薬害が盛り込まれたことを受け、今回、中学に加えてすべての高校で副読本が配られています。

薬害被害はたんなる薬の副作用という域を越えて、国や企業がきちんと対応していれば防ぐことができたし、できるものとして、生徒たちは学びを深めてほしいと思います。

彼岸に考えたこと

2022年09月27日 07時18分00秒 | 教育・子育てあれこれ

秋のお彼岸には、台風ですぐれない天候でも、たくさんの人がお墓参りをしたことが報道されていました。


親がいて子どもがいる。

またその子どもから、親にとっての孫がいる。

このように、世代が引き継がれていきます。

私の家系では、明治時代に分家をした先祖から引き継がれ二代目、三代目と続き、私の亡き父が四代目となり、私が五代目です。

私の娘が六代目で、孫が現在七代目となります。

このように考えると、幸いにも絶えることなく、いのちと心が受け継がれてきたのです。

その継承のなかで、いま自分は生きている。

このように考えると、すべての人がかけがえのない存在であることを自覚します。

私たちは、過去と未来をつなぐという自分の使命に気づき、生きる意味や生きる目的を見いだすのです。

つながりの中で暮らす

2022年09月26日 08時01分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは、個人的には、「絆」という言葉より、「つながり」という言葉の方が好きです。

「絆」は、昔は「ほだし」と呼ばれ、もとは牛や馬が逃げないようにつなぎとめておく縄をさしました。

ですから必然的に「絆」には、人を縛りつけるという意味があります。

今の時代、キツすぎる人間関係は苦手という人が多いと思います。

先日、テレビ番組が、田舎暮らしを始めた人に、近所の人が突然家に入ってきて、収穫した食べ物を差し出してくれたのに驚いたいう話題を提供していました。

「それは、ちよっと・・・」と言う人もい、りのではないでしょうか。

だからわたしは、中学生たちに絆という言葉のかわりに、つながりという言葉で話をします。

それぞれが自立しながらも、必要なときに関係しあう。

地域でなら、いつもいっしょではないけれど、この活動をするときはあの人もいっしょで、助けあう。

それを「ゆるやかな人間関係」となづけ、「つながり」を学校で生み出そうとしてきました。

つながりといえば、みなさんは何を思いますか。

ある人は、家族を思うでしょう。たとえ離れて暮らしていても、家族の間には特別なつながりを感じる人は、今の時代でも多いでしょう。

かつて、悩み多い自分を導いてくれた恩師につながりを見つける人もいるかもしれません。

また、ある人はSNSで人とのつながりをつかむ人もいるでしょう。

何しろ、今はマッチングアプリで男女が知り合い、つきあう時代です。

いずれにしてもつながりは、私たちが生きていく上で、心の支えになるものだと思います。

つながりを大切にしたいと思います。


大地の恵みと家族の恵みに身を置いて

2022年09月25日 10時07分00秒 | 教育・子育てあれこれ



相次ぐ自然災害、収束しない感染症、かなりの物価高、新興宗教の問題、子どもの熱中死などが頻発し、人びとは不安や怒りが高まります。

私が生きてきた年数のなかでも、今の時代はかなり生きづらい厳しい時代であると思います。


お金はあればあるに越したことはないでしょうが、今の時代、何が起こるかわからない不確実な時代です。

そのとき、お金がぜったいあてになるかといえば、そうでもないでしょう。



この歳になると、人生は自分の思い通りにはいかないものと、達観するようになります。

そう思うと、心にはゆとりが生まれてきます。

でも、頼れるものもないのに、一歩距離を置いてゆとりがうまれるのはなぜでしょうか。

それは、わたしが生まれてこのかたずっと自然豊かな環境の中で生きているからかもしれません。

畑で野菜を育てていると、たとえば大地に根をおろした苗が、たくましくいくつもの茄子を付けて大きく育ちます。

その自然の恵みに接すると、感謝の気持ちが湧き起こってきます。

スーパーで売っているような形の整った茄子ではなくても、それぞれが不揃いで、一つずつが個性を発揮しているのです。

それをぬか漬けにして、漬物にして食べると、口一杯に広がる懐かしい味。

それはまぎれもなく、子どもの頃母に漬けてもらった茄子の味が蘇るのです。

そこで、おばあちゃんが言っていた言葉を思い出すのです。

「漬物とご飯があれば、ほかには何もいらんわ」。

育ててもらった恩をあらためて感じて、わたしの心にはゆとりが生まれるのです。



もどってきた対面授業

2022年09月24日 10時29分00秒 | 教育・子育てあれこれ

「大学の学校生活は充実している」と考える大学生は84%を越えます。「充実している」と考えない大学生は約16%で、昨年より30%近く改善しました。

これは今年の7月の調査結果(全国大学生教連)です。

「充実している」と答えるのは、キャンパスへ出向く機会が増えたことが関係しているようです。

1週間の登校日数は5日間が約50%で、昨年から約29%増えました。

このことから、オンライン授業は今年になり減って、対面授業が増えていることがわかります。

ただし、大学はどこも感染防止策に注力しています。

私が関係している大学は、検温と消毒を確実に実施していました。

また、アルバイト先も増えており、「アルバイトの収入がゼロ」の学生は昨年より6パーセントほど減り、約31%になりました。

オンライン授業を否定するわけではありません。それ相当のよさがあります。

でも、対面授業には、対面授業のよさがあると実感します。

学生と近距離の対面で向き合い、コミュニケーションを交わすと、相手の表情から伺い知ることができる微妙な感情や心の動きがわかります。


メディアの役割とは

2022年09月22日 07時06分00秒 | 教育・子育てあれこれ

ロシアがウクライナを侵攻してから、半年以上がたちました。

この侵攻については、大々的にとりあげるメディアをはじめとして、企業や自治体や個人でもさまざまな方法で声をあげています。

学校でも、心を痛めた子どもが、平和を願うメッセージを出したり、生徒会が反対の活動をしたりしています。

これらのこと自体はとても尊い,大切な活動や動きであると思います。そして、私も速やかに侵攻をやめ、紛争が終結することを望みます。

ただ、すこしモヤモヤ感を覚えることもあります。

民衆が苦しみを感じているこのような地域はウクライナだけではないと思うのです。

世界を見渡せば、ミャンマーに対して、日本国内のメディアや人びとが大きな動きをしたでしょうか。シリアに対してははたしてどうだったのか。

メデイアの力が人びとに与える影響はやはり大きいです。

侵攻される国の人びとにとっては、どんな攻められ方をしても,生活が破壊され、幸せな日常生活が送れないのは同じです。

そのことに軽重はないのです。

しかし、メディアは「選んで」ニュースにしています。意図的か自覚的に選んでいます。

そのメディアから選ばれた情報に「おどらされる」私たちです。

あらためて、メディアの役割は大きいと思います。公平で公正な記事の扱いを求めたいと思います。

SDGs週間が始まっています

2022年09月21日 19時55分00秒 | 教育・子育てあれこれ

9月16日から25日は、SDGsの取り組みを進める「SDGs週間」です。

異常気象が世界で頻発し、ウクライナ侵攻は影響し、いま世界の「食」が危うくなりつつあります。

気候変動について、「暑さが尋常でなくなってきた」という実感や大雨による大規模な自然災害の頻発など、今の時代は、それらが目に見えて変化が感じられるようになり、人びとの受け止め方が変わってきています。

気候変動は農業や食料の生産に悪影響を及ぼします。

SDGsの17の目標のうち、1が「貧困をなくそう」、2が「飢餓をゼロに」です。


1993年のことです。その年は冷夏の年でした。

国産米はたいへん不出来で、日本国内ではお米が足りなくなりました。

日本の国産米はジャポニカ米という品種ですが、東南アジア付近ではインディカ米が使われることが多く、わりと細長い米でパサパサとしているのが特徴です。

1993年には、国産米が足りなくなり、インディカ米を混ぜたブランド米で、米不足をしのいでいきました。

コンビニやスーパーで売っているおにぎりは、一時期ブレンド米ばかりになった期間がありました。

国産米のありがたさを知った1年でした。



現在、日本の食糧の自給率は40%で、とても低い数字です。6割は輸入にたよっているという現状です。

そこで、食品ロスを減らすと食料輸入を減らすことができます。

日本で食料の消費を減らせば、海外で食に困っている人が助かるのですが、そのためには余っているところから足りていないところへちゃんとまわるしくみが必要です。

それ以外にもSDGsの課題はあります。
私の家では畑でサツマイモや大根を育てます。じつはサツマイモのツルは炒めたり、煮たりするとおいしく食べることができます。

大根の葉は炒めたり、漬物にするとおいしく食べれます。

これをロスにするのはもったいないとも思うのですが、ツルをつけたままのサツマイモ、葉のついたままの大根では輸送コストがかかり、もうけが出ません。

農家としては、廃棄することで利益が出ているという現状があります。

このように考えれば考えるほど、現場が抱える課題もみえてきます。

じつはSDGsのとりくみは、「こちらを立てればあちらが立たず、あちらを立てればこちらが立たず」となることが結構あります。

かなりきめ細やかな政策が手立てが必要になってくるのです。

解釈の仕方を変えること

2022年09月21日 06時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私たちが生きていき、生活を送るうえで、落ち込んだ気分になったり、マイナス感情になることは、だれにでもあることです。

でも、マイナスの感情を持つこと自体はよくないことではないと思います。

というのは、マイナス感情は考えようによっては、改善したり、成長できるエネルギーになるからです。

その際のポイントは、事実をどうとらえるかです。 起こったことは事実です。過去の事実は変えることができません。

でも、過去の事実をどう見るか、どう解釈するかという見方を変えることはできます。

「あのときの失敗は辛かったけど、今思うとあのことがあったから今の自分があるのだ」。

このように、人は考えることができるものです。

男女比の偏りは多様性から離れていく

2022年09月20日 07時52分00秒 | 教育・子育てあれこれ


「ジェンダーバランス」という言葉は、最近になってよく使われるようになりました。

組織や団体を構成する男女の比率、いわゆる男女比のことです。

この問題性について、つねに児童生徒も教職員も男女が同数程度いる公立学校の場合、「男女共生教育」とか「男女平等教育」という実践を重ねてきました。

その実践から、男女別であった児童生徒名簿が男女混合名簿にかわってきた、学級の委員は男女同数にするとかの改善が進んできて久しくなります。

しかし、社会全般に目を向けると、依然として圧倒的な男性の優位性が見受けられます。

たとえば、高い地位は男性が多くを占めています。

大学の教授などの指導的立場につく人は男性が9割程度になります。

また、数年前には女子受験生より男子受験生を合格しやすく操作していた大学の医学部の問題が明らかになりました。

それだけではありません。最近になって注目されだしたのは、演劇界、美術界、映画界、音楽界、写真界といった表現活動の芸術的分野でのジェンダーバランスの不均衡が注目され出しました。
ハラスメントの告発も明らかになっています。

「いや、表現する現場は実力本位でしょう」という考え方もあるでしょう。

しかし、じっさいは男性が指導的地位を独占し、作品の評価に偏りが生まれているという現状がわかってきました。

男性が指導的地位の多くを占めているからといって、公平/公正でないとは言えないという考えもあります。

でも、男性ばかりが指導的な立場になっている組織では、無意識のきめつけや偏見が生まれやすいのは事実です。

その結果、女性や性的少数者が活動しにくくなり,多様性の尊重からは遠くなるのです。

きめつけや思い込みは刃になる

2022年09月19日 06時53分00秒 | 教育・子育てあれこれ

日本で何か人に危害を加えるような大きな事件、人の命にかかわるような殺傷事件が起きたとします。

そうすると、人びとはその動揺をおさえようとして、なにか理由を探します。

勝手に探してとりあえず自分の気持ちを安心に保ちたくなります。

今の時代では、SNSに無責任な憶測が飛びかいます。

今年7月の安倍晋三もと首相が、奈良県大和西大寺駅前で銃撃されたときも、最初にはいろいろな憶測が飛びかいました。

このような状況の時、自分たちにいつ攻撃の刃が向けられるかト不安に怯える人たちがいます。

それは、日本でマイノリティに位置づく在日コリアンの人たちです。

1923年の関東大震災から来年で、100年になりますが、この大惨事の時、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが広がりました。

それから100年たっても、最近のヘイトスピーチのように、悪意のあるデモに恐れおののく在日コリアンたちがいるのです。

勝手なきめつけや思い込みは、ときとして人を深く傷つけることを,私たちは自覚していたいと思います。

中学生の指導

2022年09月18日 08時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ
学校教育において、中学生への指導と小学生への指導は若干違います。

小学生について、荒っぽい言い方をすれば、「こうしなさい」と大人が方向づける指導です。

中学生は、自分に考えさせて、どうするかを自分自身が方向づけます。

中学生の場合、

①「どうしたん?」とか「どうしたの?」と問いかけ、自分の状況を言葉で表すようにします。

言葉にすることで、本人は自分の気持ちをはっきりと自覚できます。

次に②「では、これからどうしたいの?」と尋ねます。

それにより、自分で考えるよう働きかけ、自分の気持ちに整理をつけさせます。

同時に、対応の方向性を自分で見つけるようになります。

最後に、③「わたし(先生・おとな)に、何かできることはあるかな?」とききます。

これは、あくまで思春期の中学生なので、全部を自分で実行するのは無理なこともあるので、おとなの手助けがいります。

おとなは、助けるつもりでいるので、どんな助けをしてほしいかを確かめるのです。

ただし、そのようなやりとりができるのは、子どもとおとなの間に信頼関係がある場合です。

子どもは、相手が信頼できる人がサポートしてくれようとしているのだから、安心感をもち頼ろうとします。

このように、対話を重ねていき、子どもが自分で決めて、問題に対応していくよう考えを深めていけるように支えるのです。

わたしは自由

2022年09月17日 08時25分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私の家では、35年ほど前までは米づくりをしていました。

田植えの時などは、手植えをしていましたので、近所の人も来て手伝ってくれ、家族総出で苗の植え付けをしました。

植え付けられたのは稲の苗だけではありませんでした。

そのような協同作業をする中で中で、まわりの人との協調するという価値観も植え付けられたのでした。

思えば、日本は今まで農耕社会として発展してきました。周りとの協調や調和を重視する文化が今でも残っています。

その点では、私たちは多かれ少なかれ他人の目を気にしながら暮らしているのです。

しかし、それはほどほどにしないと、気にしすぎることになり、しんどくなったり,つらくなったり、苦痛になったりします。

くわえて、いまは他者から評価されることが多い社会です。

他者からの評価を気にしすぎると、高い評価をもらうと喜び、低い評価をもらうと動揺したり落ち込んだりしがちです。

でも、他者の評価は私が知る限りいいかげんな点もあります。評価に振り回されにようにしたいものです。

自分がほんとうに大切にしたいものや望んでいるものが見えなくなってしまいます。

自分はどういうことを大切にしたいのか、どういうことを望んでいるのか、どうなりたいのかを常に問い続けることが必要です。

他者の目など気にせず、自分自身の中にある基準をたよりにしていけばいいのです。

「自分はこれでいい」という確信や自信をもつと、人はいろいろなしがらみから解放され、自由になることができます。

子ども自身が虐待を相談するには

2022年09月16日 07時10分00秒 | 教育・子育てあれこれ

児童虐待への対応する機関の一つに児童相談所(子ども家庭センター)があります。

1990年度から統計を取っていますが、毎年増加しています。2021年度の対応件数は、20万件を超えました。

ただし、最近でいえば、新型コロナウイルスの感染が拡大して、外出の自粛や臨時休校が影響して,虐待が表に出ず潜在していることも考えられます。

20万件の約6割は「心理的虐待」が占めます。これは、子どもへの暴言や子どもの前で配偶者に暴力を振るう、いわゆる「面前DV」などが該当します。次に「身体的虐待」が続きます。

児童相談所への相談でいちばん多いのは、警察からで約半数を占めます。それ以外には学校からの「通告」や近隣の人からの「通告」となります。

では、子ども本人からの相談は全体の1%ほどしかありません。

子どもといっても.乳幼児本人が児童相談所に相談はできないのは当然ですが、小学校中学年以上の子どもなら、直接相談を持ち込むことは無理ではない年齢です。

しかしながら、見知らぬ機関に相談するのはハードルが高いですし、相談の内容が保護者に知られたり、学校に知られたりすることが困るということで、まわりの人に虐待を受けているという事実を伝えられないという難しさがあります。

しかし、子どもが意思表明できることは、子どもの権利条約にも定められていることです。

それをサポートする取り組みは、自治体が先取りをしています。子どもの人権を守るために第三者機関を設置し、社会福祉士や心理士が福祉の分野から相談にあたるようにしている場合があります。

また、虐待で苦しむ子どもの声を受けとめて代弁者になる人を「アドボカシー」といいますが、その人を確保している自治体もあります。

しかしそもそも、子どもからの相談はたいへんセンシティブなものが多く、それを聞き適切に関係機関と連携して解決につなげていくのは難しく、高いスキルが必要になります。