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箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

本人にどう告知するか

2025年07月06日 08時14分00秒 | 教育・子育てあれこれ


30年以上前の医療現場では、当時、がんの患者さんに医師が病名を告げるのは医師の裁量にまかされていました。


また、がんの診断の確実性が高まっても、不治の病とされていたころには、本人が診断名を知り、ショックを受け治療意欲をなくしたりするのを恐れて真実を隠すことも多かったのです。


さらに、本人が真実を知りたいと希望する場合でも、実際には家族が強くがん告知に反対して、本人には病名を告げないこともありました。


その後1990年代前半は、本人への告知が大きな議論になり、最高裁はついに2002年、「告知を検討することは医師の義務」という新しい判断をくだしました。



たしかに、真実を伝えないことは、本人がパニックになるリスクを減らすかもしれません。


しかし一方では、何か隠されているかもしれないと本人が思い、勘ぐったり、不安を抱く場合もあるます。臆測がひとり歩きするとたいへんになります。



病名を告知する義務が生まれた後、「つらい病名をどのように伝えるか」というテーマで医師たちは研究しています。


今では診断を受けた方々も冷静に自分の病気を受けとめ闘っている人が多くなりました。


一時的には気持ちが落ち込むかもしれませんが、患者さん本人が立ち直り、前を向きに毎日を過ごすようになるケースが多かなっています。


思春期を支える中学校の教師

2025年07月05日 13時11分00秒 | 教育・子育てあれこれ


中学生期は思春期のまっただ中にあります。


自分自身を一つの対象として客観的に見つめるようになります。


「自分はどういう性格か」

「自分にはどんな能力や可能性があるか」

「自分と友達はどこが違うか」

「自分は他人からどう見られているか」

などを強く意識するようになります。


自分自身を客観的に見つめるようになると、かえって自分自身がわからなくなることもあります。


力のなさを感じて必要以上に落ち込んだり、理想の自分と現実の自分の隔たりに悩んだりして、心は揺れます。


逆に、自分が大人に近づいていることや、自分の長所や得意なこと、可能性を実感することもあります。


こうした経験を積み重ねていく中で、しだいに自分らしい,あるいは自分ならではの考え方や行動の方法がつくられていくのです。


こうしておとなに近づいていくのですが、中学校の教師は、この揺れる心の子どもに寄り添い、子どもが自身が自分の考え方や行動の仕方を確立するのを支えていくのです。




志をもつといつまでも青春

2025年07月04日 06時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ

急な勾配で険しいものであっても、曲がりくねっていて遠回りになっても、足場がよくなくて足踏みをしても、一歩一歩積み重ねた自分だけの道のりがあります

その道がふりかえっても、足もとをみても、今日も確かに続いています。

青春とは、感動するやわらかな心

青春とは若い人の特権のように思われるかもしれません。そして、若い頃が終わるとともに、青春も終わるように思われています。

しかし、青春とは人生の中での、若い頃の一時期にあるのではなく、気持ちや心のもち方にあるのではないでしょうか。

かりに60歳を過ぎても、その人が夢とか希望や生きがいを持ち続けていれば、人生の最後の日まで自分らしく生きることができます。

それが青春でしょう。

つまり自分らしく、充実して生きていれば、それは青春です。人生100年時代と言われるようになり、10年近くになりますが、それはたんなる長寿のスローガンではないのです。

その人が志を高くもっている限り、100年の青春を謳歌できるのです。そのような未来を志向するキャッチフレーズです。

そして、希望や志は、硬直化した心でなく感動する柔軟さから生まれます。光に対して心が震えることが、一歩を踏み出す原動力になります。

その光を追いかける情熱があれば、それはまた別のだれかの人生を照らします。


不登校 子ども支援と親支援

2025年07月03日 06時21分00秒 | 教育・子育てあれこれ
学校での不登校の児童生徒は、ずっと増え続けています。

不登校にいたる要因は複雑で、簡単にはわからないことが多いものです。


不登校の原因・要因を把握し対策を講じることは重要ですが、多様な子どもたちの興味関心にふたをしないよう、対応する教員のハートと対応スキルを高めることが必要になります。


また、忘れてはならないのが、子どもにとっての教師の存在がどうなっているかという問題です。


学校に行きづらい、休みたいと思ったきっかけを尋ねたところ、「先生のこと」と答える場合がけっこうあります。


先生が怖かった。

先生との人間関係に不安に思う。


その意味で、教師は生徒への接し方や話し方を考え、安心できるような専門的な所作が求められるのです。





さらに、子どもが不登校や学校への行きしぶりは、保護者の仕事に影響することがあります。


子どもが学校へ行かないので、離職する保護者は2割程度になります。


保護者は遅れて出勤、早退したり欠勤が増えたりします。雇用形態を変更する人を含めるとおよそ7割が仕事に何らかの影響を受けます。

収入も減ります。


保護者のなかには、体調不良になったり、学校は行かない子どもを愛せないという悩みをもつ人がいます。


経済的にも精神的にも苦しむ状況が伺えます。


不登校の子をもつ親の会や専門家に相談できる支援につなげていく工夫が大切です。




虐待対応の最前線でいま・・・

2025年07月02日 06時21分00秒 | 教育・子育てあれこれ

減らない児童虐待に対応するのが児童相談所や民間の入所施設です。その職員が支援の専門性をより高めるために、このたび「こども家庭ソーシャルワーカー(こども家庭SW)」の資格認定が新しく設けられ、全国で700人ほどが資格を取得しました。

 

児童相談所をはじめとした障害児の通所施設の職員やスクールソーシャルワーカー(SSW)などが、研修を受け子ども家庭SWになりました。

 

虐待対応にあたる最前線にいるのが児童福祉士ですが、その人たちを指導するこども家庭SWには、法的な対応などで専門的な知識が求められます。

 

こども家庭SWの資格は、児童相談所、児童養護施設、保育所などの施設で子どもの相談援助業務を経験した社会福祉士、精神保健福祉士、保育士などだけが取得できるものです。

 

この資格認定は国のこども家庭庁が行います。

 

児童相談所への虐待相談件数は増え続けています。この間その対応のため児童福祉士を増員したため、勤務年数が3年未満の若手が多くなり、適切さに欠ける対応の増加が問題点となっています

 

虐待対応は、センシティブで複雑な対応が求められる案件であり、高度な法的な知識、豊かな経験などが不可欠になるからです

 

また、研修を受講して子ども家庭SWになった人たちの中には、新しいネットワークができ、横のつながりが生まれ、官民の多様な組織間で価値観などを共有した専門職とつながりが可能になります。

そこから多様なソーシャルアクションが生まれていくことも期待できそうです。