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箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

地域に根づく大学を志向して

2025年08月27日 05時20分00秒 | 教育・子育てあれこれ

少子化のため、募集定員を埋めることのできない大学が増えています。


すでに募集停止した大学もあります。


泉女学園大(東京都多摩市)と神戸海星女子学院大(神戸市)が2024年度からの募集停止、高岡法科大(富山県高岡市)、ルーテル学院大(東京都三鷹市)が2025年度からの募集停止となります。



今後もとくに地方の小規模大学のいくつかが、募集停止を余儀なくされていくことが予想できます。


地域に大学がなくなると.どう言う影響が出てくるでしょうか。


地方から学がなくなり、大都市圏の大学に入学するということになれば、下宿を余儀なくされる学生が出てきます。


地方創生の観点を踏まえると、大学がなくなることの影響は人口の流出です。


加えて、地域の教育機会の格差を広げてしまう可能性があるのです。



大学の地域における経済的な影響も大きいのです。特に学生向けのアパートは突然入居者がいなくなり、経営者にとって死活問題となります。


大学では学生生活上の指導を通じて、若者が抱える問題に関わることができます。

地域にとっても若者がいることは、活気に関わってきます。


さらに、市民が大学の図書館を訪れて学習することもあります。


したがって、地域から大学がなくなるということは、その地域の社会環境が大きく変わるのです。


地域に大学がなくなれば、経済的に余裕のない世帯の学生は進学を諦めさるを得ないし、余裕のある世代の学生は都市部に行くしかなくなり、戻っては来ない。


地域に必要な人材をどのように育てるかという視点に立ては、人材育成機能としての高等教育機関は残さなければならないのです。


残るための方法として「コミュニティーカレッジ」が考えられます。


高等教育機関が地域に根づき、社会人のリカレント学習や若い人たちが専門知識を身につけるなど幅広い学びを提供する学校として大学が君臨する方策を打ち出していくべきでしょう。





みんな苦しいのです

2025年08月26日 06時05分00秒 | 教育・子育てあれこれ
人はなかなか、いつもきれいな心ではいられません。


自分の身をかばうためウソをつくことがあります。また、他人を羨んだりもします。


こころ清らかであろうとしても、いつの間にか忘れてしまったりして、あとで自らを責め苦しむのです。


「一切替苦」(いっさいかいく)という言葉があります。つまり「生まれたときから死ぬときまで、苦しみばかりだ」ということです。


ほんとうに、その通りかもしれません。苦しいのは自分だけではないのです。幸せそうに見える人も、本当はみんな苦しいのです。


だからこそ、できるだけ邪心のないこころを持ち、やさしい気持ちで人に接することが大切になります。


これから先や未来がどうなるかなんて、だれにもわかりません。まして、いまの時代は予想もできなかったことがおこります。


だから今を大事に生きるしかないのです。目に見えない階段を、一歩ずつ上がっていきます。


よろめいたり、失敗したりすることもあります。それでもしがみついて昇っていくことで、いろいろなことを乗り越えられる人になります。


気に入らないことがあればすぐに腹を立てて、だれかを憎んだりネット上に誹謗中傷を書き込んだり攻撃していては、私たちの世界はますます住みづらくなります。


相談できる職場

2025年08月25日 06時28分00秒 | 教育・子育てあれこれ
法律が制定されることは、大きな意味をもちます。
法律があることで、基準が変わります。基準が変わると、行動が変わります。行動が変わると感覚が変わります。

法の制定により、日本の職場環境は、2015年を境に激変しました。


かつての職場では会社が

正当に評価してくれない

給料が低い

残業が多い

ハラスメントは当たり前・・・・・・など雇用される側に多くの不満がありました。


それが、若者雇用促進法を皮切りに、働き方改革関連法、パワハラ防止法が制定され、労働環境は大きく改善されてきました。

やはり、法の制定の意味は大きいのです。


このように法により職場は一見すると健全になったように見えますが、実は新たな問題が生じています。


労働環境や社会情勢の変化によって、違う様相を見せるようになりました。この10年間で、不満が減った代わりに、不安が拡大しました。


どんな不安でしょうか。


育児休暇や介護休暇に加え、会社独自の休暇や福利厚生が増え、業や兼業が認められるなど、働き方が多様化しました。


年齢や職歴、業種や職種は同じでも、自分よりいい条件で働いている人が多いように思えて「不合理だ」と感じやすいのです。


「自分は置いていかれているのでは」と不安になってしまうのです。今の時代のキーワードは、将来の不安なのです。


かつては目の前の仕事に打ち込んでいれば、「一人前」になれました。

長時間労働で職場に閉じられていたので、自分や他人の状況について考える暇はなかったのですが、今は周りが見えやすく、他者と自分を比べてしまうのです。


また、SNSも影響しています。自分のキャリアや生活状況をリアルタイムで発信することができます。それをキャッチしやすくするツールが急激に一般化しました。投稿されるのはうまくいったという「キラキラ話」だけです。


こういった事情が、とくに若い人の不安を増大させるのです。


企業の若手育成力は低下し、地道にやっているだけでは一人前になれない可能性が実際に高いのです。若手社員は、そのような焦りを抱えているのが現状です。


不安を過剰に抱えてしまわないためには、誰かに相談できることが大切です。


自立した社会人とは、一人で歯を食いしばってがんばることではありません。相談し、助けを求められることです。それは決して恥ずかしいことではありません。


相談できる人間関係は、まず自己開示から始めていくといいです。一方的に相手の思いを聞こうとするではなく、まず自分の不安や現状を吐き出します。


そうすればおたがい話しやすくなり、コミュニケーションがはずみます。


職場が仕事だけの場になってしまい、一日の大半を過ごす職場で、相談以前に雑談もできないのであれば、つらくなるのは当然です。働く意欲は対話から生まれるかですら。






この子を残して

2025年08月24日 06時28分00秒 | 教育・子育てあれこれ

1945年8月9日、ナガサキに落とされた原爆で永井隆医師は被爆しました。

原爆で妻を亡くし、自分も被爆しながらも精力的に救護活動に奔走しました。

原爆前からレントゲンによる放射線に被爆し、白血病にかかっていました。

 

原爆によって奪われたかけがえのない多くの命の尊さを訴え続けました。生き延びたが悲惨な姿となった人たちと変わり果てた街の惨禍を訴え続けました。

彼は浦上の人びとを励まし続けました。

自分の子どもを残して病魔で死んでいく悔しさを著したのが『この子を残して』でした。

 

わたしは長崎を訪問した時、如に行き、永井先生の生きざまとその願いに触れ、その思いに共感し、しばらく動けずじっとしていました。



いま求められるリーダーとは

2025年08月23日 05時34分00秒 | 教育・子育てあれこれ

日本の学校教育では、伝統的に集団の和や規律を重んじます。


それにはいい面もありますが、弊害もあります。幼い子どもの頃から、自分だけが突出しないように、集団から外れないようにという集団力学が働きがちです。


個人が自己主張をすると「わがまま」と見なされ、同調圧力がはたらく傾向があります


こうした学校教育の弊害として、子どもが自分がどういう人間か、何をしたいのかを考え、自分の軸を確立していくことを難しくします。


その結果として、日本の経営者や組織のリーダーは管理者としての傾向が強く、たとえば日本の社会の未来をどう考えるのかというようなビジョンを語れる人が少ないのです。


人の管理は一定程度できますが、成長の可能性のある新しい分野へ、業務を移行させることには苦手な人が多いのです。


では、今どのようなリーダーが求められるのでしょうか。


それは、その人が組織にいることで、「化学反応」が起き、メンバー同士の前向きな議論が行われ、目標に向かっての協力を促進できる人です。


その人がいることで、メンバーをエンパワーするのです。


つまり、カリスマ的なリーダーではなく、積極的な調整役のリーダーと言っていいかもしれません。


上からトップダウンするでもなく、下から支えたりするのではなく、真ん中にいて、メンバーの可能性を開花させ、組織の共通目標に向かわせる人です。


そのためには、まず、双方向のコミュニケーションが重要です。


上からの一方通行の指示方伝達をするのではく、部下を尊重し、物が言える組織にすることが大切です。


また、チーム全体で結果が作り出せる状態を整えるには、リーダーが結果への強いこだわりを言葉と行動で示すことです。