ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

娘と過ごす休日

2015-09-14 15:30:32 | 日記
昨日は久しぶりに長女チェリーと二人で街の中心部へ出かけた。

「口と足で表現する世界の芸術家たち」という絵画の展示会を見るためだった。

身体に障害を持つ国内外の芸術家たちの作品が展示されているということで、チェリーにも見せてあげたいと思った。

せっかく街の中心に行くので、先日オープンしたばかりのショッピングビルも見てこよう。

チェリーにそれを話すと、とても喜んで「じゃあ、カフェでお茶もしよう」と言った。

チェリーも21歳。

知的障害がなかったら、今頃は友だちや、もしかしたら彼氏なんかと一緒に街へ遊びに行ったりしていたのかもしれない。

チェリーは妹のピーチが友だちと出かけるのをいつもうらやましそうに見ているので、たまには街へ遊びに連れて行ってあげたかった。

本当は新しくオープンしたショッピングビルには、私は興味なかったが、華やかなお店に行くのもチェリーにしてみたら楽しいかもしれない・・・

というわけで、バスや地下鉄を乗り継いで久しぶりの繁華街に行った。

まずは絵の展示会に行く前に、新しくオープンしたビルへ行くことにした。

店内にはオープンのお祝いの花がたくさん飾られ、そして多くの買い物客でにぎわっていた。

そこはドラッグストアが入っているのだが、うちの近所にあるドラッグストアとは大違いで、おしゃれで都会的に洗練された雰囲気を醸し出している。

特に何を買おうと思っていたわけではなかったが、ぐるぐる見て歩いているうちに、そういえば化粧品が欲しかったことを思い出した。

せっかくだから、ここで買おう。

そう思って商品棚を見て歩いたが数が多すぎて、どれにしたらよいのか迷ってしまう。

あれこれ手にとってみたがなかなかコレと決められず、チェリーに「どっちがいいと思う?」と聞いてみた。

チェリーは「こっちがいいと思うよ」と言ってくれたのだが、チェリーに聞いておきながら「でもお母さんはあっちもいいと思うんだよね」などと言って、私はまだ決めかねていた。

まだ迷っている私に、だんだん待ちくたびれてきたチェリーは「おかあさんっ!あんまり迷っていると時間が無くなるよ。まだ展示会も行っていないでしょ!もういいから、こっちを買いなさい」と、ついにチェリーに怒られてしまった。

「そうでした、すみません。こっちにします」と商品を持ってレジに並びながら、私はチェリーに怒られたことをすこし嬉しく思っていた。

チェリーはいつまでも保護してあげなければいけない娘、同年代の子に比べてできないことが多い娘。いつまで経っても幼いままの娘。

それがチェリーに対して、ずっと持ち続けていた私の思いだった。

もしかしたら・・・

もしかしたら、私のこの思いが、チェリーを親がいなければ何もできない娘にしているのではないのだろうか?

ふと、そんなことが頭に浮かんだ。

確かにチェリーにはできないことも多いが、「チェリーはこういう子だ」と思い込んでいる私の思考こそが問題だったのではないだろうか。

チェリーをまだ幼いと思って接する私の態度が、チェリーが大人になることを阻んでいたとしたら・・・

チェリーはたまに、こちらがハッとするような大人びた事を話すことがあった。

でも、すぐにまた赤ちゃんぽいことを言ったりするので、大人びた、まっとうな意見をたまにチェリーが言ったとしてもあまり気にも留めていなかった。

「チェリーには知的障害がある。仕方がない」
いつもそう思っていた。

そう。

確かに「仕方がない」と潔くあきらめることの大切さは、苦しんだ末に私が辿り着いた答えだった。

世の中には「仕方がない」と潔くあきらめなければならないことがたくさんある。

だから事実は事実として受け止めなければならないと思う。

だが、状況を良くしていくことはできるはず。

チェリーはもう21歳の大人なのだった。

チェりーに対する私の思考を、もう変えなければいけないのではないだろうか。

チェリーに「こっちがいい」と言われた化粧品をお店の人に包んでもらいながら、そんなことを考えていた。

ところで一番の目的だった絵画の展示会「口と足で表現する世界の芸術家たち」は素晴らしかった。

ハンディキャップをもろともせず、口や足に絵筆を持って描いたとは信じられないような素晴らしい作品の数々だった。

人間にはすごい力があるのだなぁと驚いた。

ハンディキャップがあっても、本人の努力と周囲の人々の協力があれば、こんなに素晴らしい作品だって生み出すことができるのだ。

チェリーも興味深そうに絵画を見て歩き、帰りはカフェでチェリーと二人ゆっくりお茶をしてきた。

歩き通しでちょっぴり疲れたが、チェリーと楽しく充実した休日を過ごすことができたかな。

あらたな気づきを得たことも収穫だった。









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