久しぶりに近所に住む中国人のワンさんと会って立ち話をした。
中国で麻酔科の医師だったワンさんは、来日して三十年以上になるが、今ではすっかり日本に馴染んで暮らしている。
とはいえ生まれてから大人になるまで住んでいた中国が、当たり前だが祖国だという気持ちがあるのだろう。
日本の知り合いよりも中国にいる知り合いの方が多いので、自然と話は中国の話になる。
最近問題になることが多いインバウンドについて話しをした。
日本で見かける観光客を見ればわかるが、多くの中国人が日本を訪れている。
ワンさんの友人夫婦も毎年のように日本へ旅行に来ているそうだ。
それはなぜか。
日本はどこでもきれいで、食事も美味しいからというのが理由なのだけど、もう一つは旅行費用が安く済むからなのだとか。
中国の国内を旅行をするより、日本に来る方が安いのだと聞いて驚いた。
海外旅行するより国内旅行の方が高いって?
でもよく考えると、中国は広いので、それもある話かもしれない。
ただ最近の日本の物価高の影響などもあって、お土産の爆買いはしなくなり、今は長期で滞在していろいろな所を観光したり、またそこで体験したり、食を楽しんだりという「体験型の観光」に変わったのだという。
そして最近流行っているのが、日本での民泊だそうだ。
毎年日本を訪れているワンさんの友人夫婦も、民泊を利用して日本国内を旅行しているという。
「毎年長期間の旅行しているから、日本では観光するところが無くなったんじゃないの?」とワンさんが言うと、友人夫婦は「日本を気に入っているからいいの」と言って、今年もまた日本観光に来るそうだ。
だからワンさんは友人夫婦に言ったのだという。
「そんなに気に入ったなら日本に住めば良いよ」
それを聞いてちょっと固まってしまった、、、そんなに簡単にいうワンさんの感覚に少し驚いた。
先ほど中国人は爆買いはしなくなったと書いたが、同じ爆買いでも高価な不動産は買う。
今は日本人ではなかなか手が出ないような高級マンションも買うとワンさんは言った。
そういうことはSNSで問題になっていて知っていたが、一般人はほとんど知らないのではないかと思う。
最近、自宅の周辺に中国人が増えてきたなぁくらいは思っているかもしれないが、、、
ところで話は変わるが、今夫はベトナムへ行っている。
向こうで知り合いに会ったり、あとは主に観光だが、それをワンさんに教えたら「ベトナムは気をつけて」と言われた。
海外でも日本国内でもある程度の危険はあるのでは無いかと思ったが、ワンさん曰く「人身売買をする人たちが、中国からベトナムに入ってるよ」とのことで一気に心配になった。
臓器目的で主にベトナムの貧しい方々を狙って拉致するそうだが、中には身代金目的で観光客を狙うことがあり、少し前にも有名な中国人が拉致されたが、中国政府が解決したのだという。
その話を聞いてすぐにベトナムにいる夫にメールしたのは言うまでも無い。
すると夫から返信が来た。
「こんなに使い古したポンコツの臓器は狙わないだろう」
そう言われるとそうかもしれないが、世界では今も人身売買やら戦争やら悲惨なことが起きているのだ、、、
世界は、危険な地域が多いのだねとワンさんに言うと、「そうだよ。ここに居たら平和でわからないけど、世界では危険な場所が多くて、悲惨なことがたくさん起きてる」と言った。
日本は平和でまだまだ安全な国なのだ。
まだギリギリ平和な日本を、子どもや孫たちのために守りたいと、心から思ったワンさんとの立ち話だった。