RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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富士山の浮世絵

2014-01-21 21:30:00 | 美術
見てきました

太田記念美術館

会期は2014年1月3日から2014年1月26日。

2013年6月、世界文化遺産に登録された富士山。
登山客が殺到し人気の高い富士山ですが、江戸時代も人気で多くの絵師によって描かれてきました。
今回は、広重を中心に、北斎や国貞、英泉、清親などの浮世絵師たちが描いた富士山が展示されています。

《Ⅰ-1 富士山の見える場所 ~江戸市中》
空気が綺麗で高い建物が少なかった江戸時代。
富士山は今より見えるものでした。
そして江戸の景色にかかせないものでもありました。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 東都浅草本願寺」
青が綺麗で印象的な作品。
東本願寺の屋根越しの富士山です。
その構図も面白い。
凧が上がっていますが、その高さにも驚きです。

歌川広重「江戸名所 日本橋」
橋を渡る人々が橋の上から遠く富士山を眺めています。
富士山の手前には江戸城もあります。
振り売りなどもいて橋上は賑やか。
空は上部が赤く、下に行くにつれ青に。
清々しいです。

歌川広重「東都名所 日本橋雪中之景」
辺り一面雪に覆われ真っ白。
富士山は白抜きで表現されています。
色彩も少なくシンプル。

歌川広重「冨士三十六景 東都両ごく」
川に架かる橋。
手前にいる女性はこれから舟に乗ろうかというところ。
涼をとるのかな。。
橋の向こうには富士山が描かれています。
舟から富士山を眺めて過ごすなんて、贅沢。
柳のそよぐ様子も爽やかです。

《Ⅰ-2 富士山の見える場所 ~東海道》
江戸市中以外にも富士山が見えるところ。
東海道。
道中に富士山を見ることは旅の醍醐味でした。

歌川広重「東海道五拾三次之内 原 朝之冨士」
早朝の富士山です。
女性2人が宿を発ったところでしょうか。
富士山を眺めています。
朝日に染まりほんのり赤い富士山。
江戸市中よりずっと大きく富士山が描かれています。
枠からはみ出るほどです。

歌川広重「冨士三十六景 東海道左り不二」
大きな松の木がある道を富士山を眺めながら歩く旅人。
奥には田植えをする地元の人も。
ここでは富士山は旅人の左側に描かれています。
江戸から京へ向かうとき、富士山は常に右側。
ですが、吉原あたりで道が大きく曲がるため、左側に来るときがあります。
それが"左富士"
東海道の名所の一つです。

《Ⅰ-3 富士山の見える場所 ~日本各地》
江戸市中、東海道以外にも富士山の見える場所はありました。
東は千葉、西は三重、北は長野。。
それらは実際のサイズより大きく描かれていることも。
日本の景色に富士山が浸透していたことが伺えます。

歌川広重「冨士三十六景 伊勢二見か浦」
二見ヶ浦の夫婦岩が手間に描かれ、そのはるか向こうに富士山が。
今回展示されている作品の中で一番遠いところにある富士山だそう。
実際にそこから富士山を見ることは可能だそうですが、実物より大きく描かれているとのこと。
それってかなり小さいぞ。。。

歌川広重「冨士三十六景 駿河三保之松原」
三保の松原は富士山とともに世界遺産に登録された場所。
天女の羽衣伝説の残る場所です。
手前に松林の砂浜があり、奥には大きな富士山。
空は薄い黄色。
三保の松原は先ほどの夫婦岩と違って富士山に近いので、大きく描かれていても何ら問題はありません。笑
雄大です。

《Ⅱ 富士山を描いた絵師たち 7人の絵師》
富士山は様々な絵師によって描かれてきましたが、ここでは7人の絵師の描いた富士山を取り上げています。
なんだか"七人の侍"みたいでかっこいいな。笑
刀を絵筆に代え、戦っているのです。(←何と!??)

葛飾北斎「東海道五十三次 金谷」
「東海道五十三次」といえば広重のシリーズ物が有名ですが、実は北斎は広重より30年近く早くにこの画材に取り組んでいました。
7種のシリーズを刊行していることから人気があったことが伺えます。
ただ、広重が景色を描いたことに対し、北斎は旅人をメインに描いたもの。
ピンクの雲に黄緑の草などなかなか色鮮やか。
この図では富士山が大きく、旅人は小さい。。
富士山の雄大さが伝わるようになっています。

渓斎英泉「江戸八景 芝浦の帰帆」
手前には大きな帆をはる舟。
その奥に富士山。
構図がおもしろいです。
何気ない日常にも富士山が景色としてあるんですね。
爽やかな印象。

歌川広重「冨士三十六景 駿河薩夕之海上」
葛飾北斎が亡くなった後、広重が初めて手がけた富士の連作。
波の合間から見える富士山という構図は「神奈川沖浪裏」に似ています。
手前の波は激しいけど奥には舟も見えるので穏やかな日なのかな。。
広重は”北斎の富士山は構図の面白さに偏り過ぎているが、自分の富士山は見たままの情景を描いている"と述べたことも。
これは亡くなった北斎への挑戦状か、追悼の意か。。
なかなかおもしろい作品です。

歌川国芳「東海道五拾三駅 三宿名所 原・吉原・蒲原」
国芳の風景画とは珍しい。
東海道の風景を題材としたシリーズもの。
原、吉原、蒲原の3つの宿を一枚の絵の中で俯瞰的に眺めています。
うーん、ちょっと無理があるような。笑
原と吉原は比較的近いけどなぁ。。
手前に旅人、富士山は中央奥に、そこに向かうかのように伸びる道。
おもしろい作品ではあります。

歌川国貞(三代歌川豊国)・歌川広景「東都冨士三十六景 永代橋」
5人目として紹介されていたのが歌川国貞。
ここで2人の連作だと、7人の絵師じゃなくて8人の絵師じゃん!!となってしまいますが。。。
歌川国貞だけが描いた作品だとなんとなくひっかからなくて。。
これは国貞が歌舞伎役者、広景が景色を描いたもの。
国貞、、富士山描いてない・・・。笑
艶やかな着物を着た男女が大きく手前に描かれ、遠くに富士山。
富士山は輪郭線なく描かれ、遠くにかすんでいる様子が伺えます。

小林清親「江戸橋夕暮冨士」
大好き、清親!!
って清親作品のときに必ず書いている気が。。
江戸橋のたもとから富士山を望んだ光景。
日が落ち始め辺りは薄暗くなっています。
富士山はシルエットで確認できます。
手前の人物もシルエット。
ガス灯の灯りが近くの松の木を明るく照らし、光と影が美しい作品です。
夜の迫る微妙な明かりを絶妙な感覚で表現。
やはり清親は素晴らしいと惚れ惚れする作品です。

尾形月耕「富士見西行」
この人の作品、多分、初めて見ました。
生涯、師に付かず、谷文晃や菊池容斎などに私淑。
作画期は明治から大正。
この作品は道に座り込む西行。
向かいには富士山、、ってほとんど見えません。
少しだけ輪郭が描かれているだけ。
富士山の大きさを感じます。

尾形月耕「松に猿」
松の木で遊ぶ猿たち。
背景に大きく白い富士。
胡粉でも塗り重ねてあるのかな、、富士山は膨らんで立体的になっています。
とても日本画的。
これらの作品は明治36(1903)年ごろの作品だそう。
少ない色彩で描かれていますが、とても的確で美しい作品です。
ちょっと興味持ちました。
今後、この作家に注目したい。

以上です。
展示数は少なめでしたが、大好きな清親も見れたし、何より新しく興味ある作家を発見できたことが嬉しい。
今後の展示も楽しみです。



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