RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

スズキユウリ "Playing with Sound"

2014-09-14 21:30:00 | 美術
見てきました

POLA MUSEUM ANNEX

会期は2014年8月22日から2014年9月23日。

今回は音と人の関係性のデザインを探求しているサウンドアーティスト/デザイナーのスズキユウリによる個展です。
音と人の関係性のデザインを探求ってまったくわからなかったので。。。
とりあえず行ってきました。





テーマは「音と遊ぶ」
これらの作品に触れると誰もが作曲家であり演奏家になるのです。
声を吹きかけたり、物が動くと音がなったり。
音の体験ワールドなのです。
面白そうだけど……
1人だと楽しめません。。。

1人で行くより誰かと一緒に行った方が確実に楽しい展示です。。



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絵画の時間 -24のエピソード

2014-09-12 21:30:00 | 美術
見てきました

ブリヂストン美術館

会期は2014年8月2日から2014年9月23日。

今回は絵画の時間。
絵画作品に見える時間に注目し、24のエピソードを紹介するという展示です。
ブリジストン美術家のコレクション展ですので、何度も見たことあるものばかりなのですが……
数点、さらっと取り上げます。

レンブラント・ファン・レイン「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」などいつものように光と影の強い作品。
オノレ・ドーミエ「山中のドン・キホーテ」
馬の表情までなんとなく暗く見えてきます。
空はほのかに明るい。
ドン・キホーテはドーミエが晩年熱心に描いたテーマでした。
ジョージ・スミス「婦人像」
本を読む女性を描いた作品。
衣服の絹の艶やかさまで伝わってきます。

カミーユ・コロー「ヴィル・ダヴレー」
言わずもがな。
私の大好きな作品です。

ウジェーヌ・ブーダン「トルーヴィル近郊の浜」
ブーダンはいったいどのくらいこういった浜辺を描いた作品を残したのでしょうか。
ここ最近見ることが多くて……
こちらも水平線が構図のポイント。
浜辺にはおしゃれをした男女がいっぱいです。

エドゥアール・マネ「自画像」
左足に重点を置き立っている自画像。
今回の展示"絵画の時間"ですので。。
時間に重点をおいて見てみると、この作品が書かれたのはマネが46-47歳ごろ。
この作品はジャケットのボタンの向きなどから鏡に映った姿を描いたものとされています。
最大のポイントは足。
マネは左足が壊疽にかかり、晩年切断をします。
この時期はその痛みが始まったころ。
左足に重点をおいて立つことなどできないのです。
マネは51歳でなくなりました。

アルフレッド・シスレー「レディーズ・コーヴ、ウェールズ」
厚いマティエールで岩に砕ける波が描かれています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」
ブリヂストン美術館の看板娘。
何度も見てるし、「絵画の時間」とどう関係あるのか、、、と思いつつも書く。笑
椅子に座ってこちらを見るかわいらしい少女。
当時、経済的に困窮していたルノワール。
彼を援助していたのが少女の父で実業家のジョルジュ・シャルパンティエ。
ルノワールはジョルジュ家の肖像を7点描いていますが、これがさきがけとなります。
一連の肖像画の受注により、ルノワールの生活はだいぶ楽になったのだとか。
さて、描かれている少女ですが、最初の結婚は16歳のとき。
(最初ってことは何度かしているんですね。。。)
その際に両親からこの作品をプレゼントされ、亡くなるまで手元に置き続けました。

クロード・モネ「黄昏、ヴェネツィア」
描かれているのはサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂。
水面には黄昏時の燃えるような空と建物のシルエットが反射しています。
滞在していたホテル・ブリタニアのテラスからの景色。
モネがヴェネツィアを訪れたのは67歳のとき。
健康状態と視力の減退に悩まされていたため、当初の目的は静養でしたが、水の都の光に魅せられ制作に没頭しました。
そこで「甘美な時間」を過ごしたとの言葉を残したモネ。
再訪を誓ったモネですが、その望みは叶いませんでした。

アルベール・マルケ「道行く人、ラ・フレット」
青灰色のセーヌに霞がかった対岸の木々。
水面には木々の陰が映りこんでいます。
堤防には歩く小さな人物。
タイトルからは人物がメインのように感じられますが、景色のほうが大きく目がいってしまいます。
そこから逆にこの人物はどんな人なんだろう、なぜ一人で歩いているのか、など気になってしまいました。

ラウル・デュフィ「オーケストラ」
デュフィらしい線の踊る作品。
この作品には"ピエール・ニコロへ"と書かれています。
ピエール・ニコロはデュフィの多発性関節炎の治療にあたったドクター。
そして友人兼パトロンとしてもデュフィを支えた人物でした。

小出楢重「帽子をかぶった自画像」
帽子をかぶりスーツを着、手には絵筆を持った自画像。
室内も洋風のもので飾られています。
このとき37歳。
全身を描いた唯一の自画像です。

安井曾太郎「安倍能成君像」
安倍能成は、哲学者・教育者、また夏目漱石の弟子としても知られる人物。
描かれた当時は学習院院長でした。
モデルの安倍のほうが5歳年長でしたが、住まいが近かったこともあり気心の知れたお気に入りのモデルだったようです。
これはそんな安倍を描いた3作品目。
安倍の「古稀」のお祝いとして、教え子である第一高等学校の有志より贈られたもの。
満69歳を迎えた安倍が、夏休みを利用して湯河原の安井のアトリエを訪れ、約1週間モデルを務めました。
その後、モデルなしで加筆修正が加えられ、翌年の春頃完成。
安倍の手元に届いた頃は初夏でした。
そしてこの作品は完成作としては安井が描いた最後の肖像画となりました。

以上になります。
なんども見ている作品だらけ。
でもいいものは何度見てもいいんだなぁ。
まるこ



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せいのもとで lifescape

2014-09-11 21:30:00 | 美術
見てきました

資生堂ギャラリー

会期は2014年9月5日から2014年10月12日。

資生堂、言わずと知れた企業ですが、その始まりは1872年。
日本で初めての洋風調剤薬局として創業しました。
社名の"資生"は中国の『易経』の一節「至哉坤元 万物資生」から。
"すべてのものは大地の恵みから生まれる"という意味があります。
資生堂といったら出てくるシンボルマークの"花椿"や、主要なデザインモチーフである"唐草文様"」は、この「万物資生」の意味を視覚化し、季節が巡るごとに新しい命を芽吹く植物の生命力を表現するアイコンでもあるのだそう。

今回の展示はこの"万物資生"の世界観を表現する試み。
企業ギャラリーでは企業の理念をテーマにした展覧会が開催されることがありますが、資生堂としてもそういった展示をできないか、という考えをきっかけにこの展示の企画が始まったのだそう。
とても素敵な展示となっていました。
キュレーターは繊細な木彫りの彫刻で知られる須田悦弘氏。
出展作家は草木染の人間国宝志村ふくみ氏と洋子氏の母娘、銀閣寺慈照寺の花方珠寶氏、現代アートの世界から宮島達男氏、クリスティアーネ・レーア氏。

ここはいつも仕掛けがありますから。
階段を下りるところから要注意。
上を見上げるとクリスティアーネ・レーア氏の作品が。

受付には須田悦弘氏の椿の花が2輪出迎えてくれます。

映像作品が一つ。
銀閣慈照寺研修道場の花方教授の珠寶氏が花を活ける様子を捉えたもの。
静かな様子と凛とした佇まいが美しく、息をひそめて見入ってしまいます。
花を生けるという行為がこんなにも美しいとは。

そしてクリスティアーネ・レーア氏の作品は乾燥させた植物を素材にした小さな彫刻。
綿毛などを使って積み上げられた小さな作品は影まで美しいという繊細な作品です。
植物の命の結晶といった感じです。

私が一番好きだったのは志村ふくみ氏・洋子氏親子のインスタレーション。
染められた糸を織り上げた着物に仕立てているのではなく、糸そのものを展示しています。
大きな織り機のような枠にかけられ、淡いグラデーションが暗い背景にも映え、幻想的。

1人まったく違った作品だったのが、宮島達男氏。
LEDを用いたデジタルカウンター作品。
10から1へとカウントダウンし、0になると数字が消えていきます。
"すべてのものは大地の恵みから生まれる"という意味より、すべてのものはやがて消えゆく、といった感じでしょうか。

須田悦弘氏の作品、4点出展されているのですが、私は受付にある2点以外を見つけられませんでした。
1点は隣のザ・ギンザにあるそうなのですが、このヒントがあっても見つけられませんでした。。。。
ザ・ギンザの店内をうろうろまわったのに~。(不審者。。)
誰か、誰か教えてください………
また休日に行ってこようと思います。。。



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宇宙博2014 NASA・JAXAの挑戦

2014-09-10 21:30:00 | 美術
見てきました

幕張メッセ国際展示場

会期は2014年7月19日から2014年9月23日。

宇宙。
それは古くから人類に様々な興味を抱かせてきました。
これまでに数々の人が宇宙を夢見てきています。
そんな宇宙に挑み続ける人類の限りない夢と情熱の記録が幕張メッセにやってきます。

私も小さいころは天体望遠鏡が欲しかったものです。
土星の環を見て見たかったの。笑
今は、、置く場所ないからいらない。笑
夢のない大人になってしまいました。。。

さて、ソ連とアメリカによる宇宙開発競争、人類初の有人飛行、アポロ計画……
様々な研究が今までになされてきています。
一方の日本では近年、「はやぶさ」「きぼう」「イプシロンロケット」など目覚ましい成果を上げています。
今回はオランダ、スペイン、トルコなどを巡回したアメリカ航空宇宙局(NASA)公認の「NASA展」とJAXAをはじめとする日本の宇宙開発の取り組みを同時に展示した国内最大級の宇宙イベントです。

この夏は東京都現代美術館で「ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」という宇宙系の展示がありました。
こちらはアート色の強いものでしたが、今回の「宇宙博2014」はもっとこれまでの挑戦の記録、という形です。

行くの、迷っていました。
まず、遠いということ。
幕張メッセってディズニーランド(舞浜駅)より向こうなのね。。
まぁ、家からディズニーまでは約1時間。
電車に乗っている時間は40分程度だからすごく遠いわけではないんでしょうけど。。。
あんまり行かないところだからすごく遠く感じて……
そして、混んでいるのではないか、という気持ちも行くことに迷いを生んでいました。
混んでいるところで見るのいや……
そして、1人の人がいないのでは、ということも。
いつも美術館は1人で行くから平気だけど、こうゆう展示は家族連れが多いのかな~と思って。

とにかく迷ったけど。。。
こんな機会もそうそうないから!!と自分を奮い立たせて行ってきました。

一部撮影可能でしたのでたくさん撮ってきました。
写真と一緒に簡単にご紹介します。

会場内は大きく5つのエリアに分かれてます。

《NASA展示エリア》
《JAXA・日本の宇宙開発展示エリア》
《火星探査展示エリア》
《未来の宇宙開発展示エリア》
《8Kスーパーハイビジョンシアター》

《8Kスーパーハイビジョンシアター》以外をご紹介します。


ここを通って会場へ。
上に書いてあるLC-39Aというのはケネディ宇宙センターの発射台の番号。
アポロはここから打ち上げられました。


宇宙飛行士はこの道(ガントリーアーム)を通って宇宙船に乗り込むのだそう。
テンションあがる~。

と、なったところで大混雑……
なかなか前に進まないほど。

《NASA展示エリア》
1961年。
"今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる"
というケネディ大統領の演説により、月に人類を送り込むという壮大な挑戦が始まりました。
世界を熱狂させたアポロ11号の月面着陸など人々の情熱と技術開発の歴史を中心に、スペースシャトルに至るまでのNASAの活動を約300点の貴重な実物資料、実物大モデルなどで紹介しています。

大混雑の中に展示されていたのは米ソの宇宙開発競争について。
友人宇宙開発の歴史をたどるようになっています。
ふと上を見上げると。


ソ連が人類で初めて打ち上げた人工衛星"スプートニク1号"のレプリカです。


LIFEの表紙。
その熱狂振りがうかがえます。


歴代の宇宙服も並んでいましたが一番最初にあったのがこれ。
えっ!?大丈夫!?と思いましたが、アメリカ空軍の高高度用与圧服。
宇宙開発は空軍からなんですね。。


アポロ計画で使用された宇宙服のカットモデル。
中の材質まで見えます。
アポロ計画の宇宙服は背中に背負った生命維持装置もあわせると地球上では82KGにもなったのだそう。


月面探査機、後ろから。


この写真のやつです。
なんだか感動。


アポロ17号の司令船。
この中で月までの往復、10日から13日間を過ごしました。
とにかく狭い。
宇宙飛行士って大変です。
そして見上げると。


パラシュート。
これはアポロ17号が帰還した際に実際に使われたもの!!
汚れもそのときのままだとか。
すごいです。


2011年7月のミッションを最後に退役したスペースシャトル。
ここでは"アトランティス"の前部胴体とキャビン(実物大モデル)がありました。
コックピットまでリアルに再現され間近で見れるそうですが、行列がすごくて断念。

《JAXA・日本の宇宙開発展示エリア》
1955年、長さ23cmのペンシルロケット実験から日本の宇宙開発の歴史が始まりました。
その後1970年に旧ソ連、アメリカ、フランスに続き世界で4番目となる人工衛星の打ち上げに成功。
近年では、小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡の帰還、若田光一さんのアジア初となるISS船長就任など、目覚ましい成果を上げています。
JAXAをはじめ、国立天文台、国立極地研究所の活動を紹介しています。


小惑星探査機"はやぶさ"
宇宙で迷子になっても帰ってきた優秀な子です。


"ペンシルロケット"
ここから日本の宇宙開発が始まりました。
鉛筆よりちょっと大きい程度のサイズです。


ISSの"きぼう"日本実験棟。
こちらも入ることができますが、行列のため断念。


上にはISSがありました。

《火星探査展示エリア》
生命存在の可能性を持つ星といわれ、月に次いで身近な天体、火星。
1976年「バイキング1号」の軟着陸以降、私たちに様々な興味を抱かせる星。
現在に至るまでの研究が紹介されています。



現在火星表面で活動する探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(キュリオシティ)」
NASA製作実物大モデル機です。
米国外での展示は初めてだそう。

《未来の宇宙開発展示エリア》
ますます私たちの身近になる宇宙。
ここでは、国際宇宙ステーションへの人員・物資の輸送を担う新しい宇宙船の開発状況や一般の企業による開発などが紹介されています。


シエラ・ネバダ社の"ドリームチェイサー"
ISSへの新たな民間飛行手段として注目を集めている宇宙船。
シュッとしたフォルムがかっこいい。
これは1/3のモデル。


この赤い牛。。。
そう、"翼を授ける"でおなじみ(!?)レッドブル。
とうとう民間のスポンサーなども付く時代となったのか、、、
と思いきや。
"レッドブル・ストラトス"というプロジェクトで使われたスーツ。
このプロジェクト、なんと成層圏からのフリーフォールという、とてつもないもの。
上空39,000メートルの成層圏までヘリウム気球で上昇したカプセルからジャンプ。
最高高度での有人気球飛行、最高高度からのフリーフォール、動力補助不使用での音速を超える人類初のフリーフォールなど数々の記録を樹立。
それ、、誰もやらないから。。。
でも、これ、お遊びではなく、最高度での安全性の確保に向け、貴重な情報を収集するという目的を達成したとのこと。


こちらがそのカプセル。
こういったことが未来へつながっていくんですね。

以上になります。
いつか私自身も宇宙へ行けるのだろうか。。。
小さいころは100年先かな~と思っていたことが、今は20年先かもって思えてくる。
その開発速度の速さに驚かされました。

本当はまだまだこの10倍以上の写真があります。
えぇ、1人でも全力で楽しめました。笑
そしてすべてが紹介できたわけではないので……
気になる方はぜひご自身の目で確認していただけたら、と思います。


この「宇宙博」のキャラクター。
キュリオくん。
宇宙のことが好きすぎて、頭がまるで宇宙空間みたいにふくらんじゃったのだそう。。。
好きな食べ物はナポリタンだそうです。

グッズ売り場は大混雑でした。。
チョコボールはキョロちゃん宇宙Ver.のパッケージとなっていてかわいかった~。
買うか迷ったけど、レジ待ちの混雑を見て、そんな気持ちは捨てました。


さて、こちらは宇宙食。
グッズを買わなかった私ですが、宇宙食はあるのです。
両親が今年の2月にアメリカへ行ってきたのですが、そのときのお土産。笑
ケネディ宇宙センターへ行ったそうなので。
これでも食べて、宇宙への思いを募らせます。



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能面と能装束 -みる・しる・くらべる-

2014-09-09 21:30:00 | 美術
見てきました

三井記念美術館

会期は2014年7月24日から2014年9月21日。

三井記念美術館、夏の恒例企画"美術の遊びとこころ"シリーズ。
今回は第7回目。
扱うテーマは能。
日本の伝統芸能である能。
難解なイメージがあり、また仮面劇ということも不思議な印象を与えます。
今回は能で重要な面と装束をかたちや文様など様々な角度から見ていく展示となっています。

まずは面から。
能面は能で使われる仮面。
能の世界では"面(おもて)"と呼ばれ大切に伝えられてきました。
"能面のような表情"という言葉がありますが、実は能面は細かく分けると200以上の種類があるのだそう。
まずは能面を下記の5つに大きく分けて展示してありました。

翁(おきな)面
→「翁」という特別な演目専用
尉(じょう)面
→老人男性の能面。老人や神など。
鬼神面
→神や精霊など超越的な力を持つもの。
男面
→原則として現実の男性の役は能面を使用しない。この面は公家や武将の霊、美少年、盲人の役など。
女面
→年齢、正確によって多数あり。

詳細はそれぞれの作品のところで書いていきますが、ざっとこんな感じで使われています。

能面はヒノキなどの針葉樹彫って作っていますが、裏は漆が塗られています。
これは耐久性や美的効果の観点から。
今回、面の裏側が見えるように展示されているのでそちらも注目です。

1-1伝日光「翁(白色尉)」
"翁面"です。
"翁"とは特別なときに上演するもの。
"能にして能にあらず"とも言われます。
というのも、明確なストーリーがないから。
天下大平と五穀豊穣を祈願する儀式的なものだそう。
長いひげに白い綿のような眉毛。
この眉はボウボウ眉というのだそう。
にっこりと笑った優しい表情。

1-3「父尉」
こちらも"翁面"
こちらもボウボウ眉。
そして下あご部を紐で結ぶ切りあごという形です。
1-1と似ていますが目は小さく釣り目です。
この面は別名式三番とも呼ばれる「翁」
当初は、父尉、翁、三番叟の3番の曲でしたが、室町初期には父尉を省いて舞うのが普通に。
この面室町時代制作のものですので、その後ほとんど使われていなかったと思われます。
古い能面の原型をとどめる貴重なもの。

1-4伝三光坊「舞尉」
"尉面"です。
尉は翁よりも人間に近い存在。
これはその名の通り、舞い踊る尉用の面です。
優雅で品のあるように見えてきます。

1-6洞白満喬「癋見悪尉」
洞白満喬は江戸時代の名工。
こちらも尉ですが、目が金色。
どちらかというと鬼神よりです。
天狗の役などに使われるのだそう。
目は金銅製の板を使っているそうです。
つるりとしています。

1-7伝福来「中将(鼻まがり)」
きれいな二重に眉を顰め、薄い口髭にお歯黒をした男性の面。
どことなく憂いを帯びたような表情で品のある顔。
在原業平の顔を表しているとも言われています。
業平の亡霊のほかに、平家の公達の亡霊などに使われるのだそう。
この面、裏には"本"の字が入っています。
これは"本面"といって各流派が規範とする面。
面打ちはこれを写して制作することが基本です。
鼻まがり、は微妙に鼻筋が曲がっていることから。

1-8出目満照「景清」
出目満照は桃山の名工。
この面は"景清"で使われるもの。
景清とは平景清。
"悪七兵衛"の異名を持つほど勇猛でありました。
その勇猛なイメージとは一転、おでこには深いしわ。
目は細くほとんど閉じられた状態。
景清は捕えられ盲人となったのです。
なんだか泣いているようにも見えます。

1-9伝龍右衛門「小面(花の小面)」
ふっくらと若々しい女性の面。
"花の小面"となっていますが、これは豊臣秀吉が愛した"雪・月・花"の3つの面のうちの"花"なのです。
花は三井記念美術館所蔵。
月は江戸城の火災で焼失。
雪は京都金剛宗家の所蔵となっています。

1-10伝日氷「痩女」
頬はこけ、目はうつろ、生気のない女性の顔。
髪だけが黒々としていて異様な雰囲気です。
これは恨みを抱く女性の幽霊役。

1-11「不動」
青い肌の不動明王。
金色の目に大きな口、キバ。
曾我兄弟の仇討を描く"調伏曾我"の後シテ不動明王の専用面です。
この面の異名が"肉付き面"
うしろを見てみると漆が塗られておらず、素地のまま。
そして黒い斑点がぽつりぽつりとついています。
この面を掛けたら顔から取れなくなり、無理やりはがしたら肉がついたままになってしまった、という伝説から"肉付き面"というのだそう。
黒い斑点が血のように見えてきますが、実際には木のヤニと考えられているそうです。

1-12伝赤鶴「黒髭」
横から見るとよく分かりますが顎が大きく突き出されています。
ぎょろりとした目、大きな口、くっきりとした鼻。
雨水の神、龍神を表しています。

1-13伝赤鶴「獅子口」
見開いた目、むき出しの歯、鼻も大きく、おでこには深いしわ。
"石橋"専用の面で文殊菩薩に仕える獅子。
力強い作品です。

2-1伝孫次郎「孫次郎(オモカゲ)」
ややほっそりとして上品で優しい顔立ちの女性の面。
女性の面なのに男性の名前がついているのは面打ちの名にちなんでいるから。
この作品に"オモカゲ"とついているのは、若くして亡くなった妻の面影を映したから。。
素敵な面です。

展示室4は能装束です。
室町時代は日常着を流用したため質素なものでしたが、桃山時代になり染織、刺繍の技術が向上し優れた装束が作られるようになります。
複雑な文様も生まれますが、それらは演目と関連付けられます。
基本的には上着・着付(下着)・袴の3種になります。

4-1「蜀江錦翁狩衣」
"蜀江文"とは"翁"で着用する狩衣のみに使用。
八角形と四角形が連続する幾何学的な文様です。
その中に唐草文が配されています。

4-2「白繻子地鱗模様摺箔」
白地に金色の三角形が連なる文様。
鱗のように見えます。
これは女性の恨みの象徴。
蛇や龍の化身を演じるときに使います。

4-3「黒繻子地油煙形縫箔」
黒に六弁の花が美しい装束。
六弁の花の中には稲妻文、亀甲文など様々な文様が。
色とりどりでとても美しい装束。

4-5「緋綸子地立涌寿文字散模様半切」
半切りとは袴のようなもの。
赤い地に青と白の曲線が上るかのように施されています。
曲線の間には金色で"寿"と。
めでたい感じのする装束です。

4-7「納戸地龍雲模様側次」
側次とは袖のない表着。
武士の簡略的な甲冑姿や中国人、鬼神役に着用します。
全面的に刺繍が施され、宝珠をもつ龍がいます。
色も華やか。

4-8「紅白萌黄段亀甲石畳雲板蝶火焔雲笹模様厚板唐織」
落ち着いた色彩に蝶の刺繍が目立ちます。
蝶は不老不死の象徴ということから武士に好まれたそう。
武士の霊の役に使います。
蝶が、、ちょっとモスラとかそういったもののようにも見えます。

4-9「刺繍七賢人模様厚板唐織」
人物や動物などがいっぱい刺繍されたにぎやかな衣装。
年を取った人物は近くに竹があるため竹林の七賢人と思われます。
また唐子や鶴、象など吉祥の動物のほか、ハリネズミのような生き物まで。
大変珍しいものだそう。

4-12「茶納戸島取地秋草模様唐織」
なでしこに女郎花、桔梗、菊など秋の植物が斜めの縞地に配されています。
色も落ち着き秋らしい衣装。
素敵です。

4-14「金地ちぎれ雲毘沙門亀甲雲板模様法被」
法被は幅広の表着。
雲板文が金地に華やかです。
"鞍馬天狗"などに使うそう。

4-15「紅白萌黄段扇面秋草観世水模様唐織」
観世水とは渦を巻くような水の流れをデザイン化した文様。
桔梗や菊が施され、優美な色彩です。

次の展示室5はまたまた面。
ここでは一見同じように見える様々な能面を比べてみるという面白い展示となっていました。

5-1伝春日「翁(白色尉)」5-2伝春日「三番叟(黒色尉)」
どちらも"翁"に使われる面。
白はそれ自体が神体だそう。
確かに格調高く見えてきます。
黒は健康的で五穀豊穣
にっこりと人懐っこそうな表情です

5-3伝赤鶴「大飛出」5-4伝赤鶴「小飛出」
びっくりしたかのように目と口をあけた面。
目の大きさの違いで神威の程度が表現されているのだそう。
大は雷神などで小は動物の亡霊や精霊などだそう。

5-9伝夜叉「喝食」5-10伝春若「大喝食」
寺に使える少年。
あらゆる芸事に秀でる美少年だそう。
前髪はいちょう形とおかっぱとありますが、展示品はいちょう形。
この前髪の大きさで「大」がつくのだそう。

5-11金剛頼勝「中将」5-12伝夜叉「平太」
どちらも若い男性を表現するときに使います。
11は在原業平モデル
公達や平家の亡霊を演じるときに使います。
顔は白いです。
12は素朴な顔立ちで色黒。
源氏の亡霊などに使います。
こういった違いで演じ分けるのですね。

5-13伝龍右衛門「般若」5-14「蛇」
どちらも怖い顔をしていますが女性の面です。
般若はまだ人間っぽく目元に優しさが見えます。
蛇は大きくしゃくれた顎、大きな角、ぎらぎらとした印象です。
なお、「蛇」は"道明寺"専用です。

展示室7には三越伊勢丹が所蔵する歌舞伎の衣装が展示されています。
かつて三越は1907(明治40)年に衣裳部を設置。
歌舞伎公演の貸衣裳業を営んでいました。
そのため昭和初期の歌舞伎衣裳役350点を保存しています。
歌舞伎役者が実際に着用した衣装13点が展示されていて豪華です。

以上になります。
三井家ではその昔、自宅にあった能舞台で実際に能を舞っていたのだそう。
そんなお家もあるんですね。。
静かで優美な展示でした。



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ジョージ・ネルソン展 - 建築家、ライター、デザイナー、教育者

2014-09-06 21:30:00 | 美術
見てきました

目黒区美術館

会期は2014年7月15日から2014年9月18日。

今回はジョージ・ネルソン(1908-1986)に焦点を当てた展示です。
ジョージ・ネルソンは20世紀後半のアメリカのデザインを定義づけたデザイナーのひとり。
アメリカ、コネチカット州ハートフォードで1908年に生まれたネルソン。
1931年にイェール大学で建築の学位をとり、ローマのアメリカン・アカデミーで学んだ後、ニューヨークで建築事務所を設立。
1946年からは、ハーマン・ミラー社で25年にわたりデザイン部長を務め、当時まだ無名だったチャールズ&レイ・イームズ夫妻の才能を見出し、同社のデザイナーとして起用しました。
他にも、イサム・ノグチ、アレキサンダー・ジラードらをハーマンミラー社に招き、同社を一躍世界的な家具メーカーへと成長させます。
また、建築雑誌の編集長を務めたほか、デザインの本質を語る多くの著書も刊行しています。

今回の展示はドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム企画による国際巡回展「ジョージ・ネルソン展―建築家、ライター、デザイナー、教育者」のアジア巡回の一環。
オーストラリア、香港に続き、国内では唯一、目黒区美術館だけの開催。
ヴィトラ・デザイン・ミュージアム所蔵のジョージ・ネルソン関連コレクションを中心に、家具やプロダクト、模型や映像、資料など約300点の展示です。

会場にはいると家具がずらり。
ショーケースのように並べられています。
ジョージ・ネルソンの名前は知らなくても見たことある作品があるのではないでしょうか。
なかなか文章にするのが難しいので感じたことをさらりと書いておきます。

家具では、バブル・ランプなんかは今でもお洒落だしとても素敵。
ボール・クロックもインテリアとして馴染むし。
マシュマロ・ソファのそのカラフルで丸っこいところはかわいいの一言。
今だと、マカロン・ソファとか言われるのかな……

また冷戦下の1959年にモスクワで開かれた"アメリカ博覧会"の展示模型もおもしろい。
展覧会デザイナーとしても活躍されていたんですね。

工業デザイナーとしてだけではなく、編集者としてデザインについてのエッセイ、またデザインに対する講演会を行うなど様々な方向で活躍しました。
デザインに対し、考え、それを形にしていたネルソン。
その業績は家具や講演会の資料などでは計り知れないほど。
また、今では当たり前のコーポレート・アイデンティティ戦略。
デザインでイメージアップを図るなど時代を見据えた功績は素晴らしいの一言。
お洒落で洗練されていて、機能的で。
見ていて楽しい気分になる展示です。



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MT × G8

2014-09-05 21:30:00 | 美術
見てきました

クリエイションギャラリーG8

会期は2014年8月22日から2014年9月11日。

今回はG8とマスキングテープで人気のmtとのコレボレーション企画です。

mtとは、カモ井加工紙株式会社さんの商品。
もともと工業用マスキングテープを作っていた会社だそうで、このようにかわいらしいものをつくったらじわじわと人気が、、とのこと。
日本のみならず世界中でkawaiiとなっています。
貼って剥がしてもきれいなんだよね。
こうゆうところに技術が入っているのです。

アルバム製作に大活躍のマスキングテープ。
かわいくって思わず欲しくなってしまう。。
そんな方が多いようですが、私も集めています。
このブログでもたびたび話をしているし、昨日も強烈な商品をご紹介したばかり。笑

私のコレクションもだいぶ増え、sabonのギフトボックスに入れていましたが、足りなくなってきました。
誰か、sabon下さい。笑

今回のコラボレーション企画では会期中2つのイベントが。
まず第1弾は8月22日から8月24日まで。
キッズ・ワークショップが開催されました。
カラフルなマスキングテープを使って「夏休みの思い出」をテーマに「海」「山」「空」など、みんなで大きな一つの絵を完成させるワークショップ。

第2弾は8月27日から9月11日。
mt期間限定G8ショップとなっています。
私はこっちに行ってきました。
キッズじゃないもんで……笑

ここではG8セレクションのクリエイターたちと作ったオリジナルテープが販売されているのです。

mt × 安西水丸 2種
mt × エド・エンバリー 3種
mt × フィリップ・ワイズベッカー 3種
mt × ポール・コックス 2種
mt × ミントデザインズ 4種
mt × 横尾忠則 3種

上記6名、17種類です。
販売価格は各360円~540円。
それ以外に普段のラインナップも発売されています。



棚にはぎっしり。


横尾忠則、、強烈です。。。
某アジアの国から抗議がきそうですな。

私が購入したのはこちら。


限定品。


通常品。
みずたマニアなもんで……

赤に白は持っているかと思ったのですが、家で確認したらありませんでした。
白に赤は2つもあったけど……
(行く前に確認しない…)
あと黄色に黒だ!!と思ったものは黄色に茶色でちょっと残念。
でも、水玉だから。。。

まだ使う予定ないのでパッケージを開けたくなくて。。
チラシから購入した限定品を。


ミントデザインズは4種。
私は黒い人型と青いげじげじラインのものを購入。


上が安西水丸、下2種はエド・キンバリー。
この3つ購入。
エド・キンバリーはここにないもう1種も購入しました。


真ん中の目とか口の描かれているテープ。
横尾忠則のもの。
これも購入。
ただ、どのような写真のときに使えばいいのか、検討がつきません。

かわいくって(一部除く。笑)迷っちゃいました。

期間限定ですので、興味のある方ぜひ行ってみてください。



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いま、台湾 -台湾美術院の作家たち-

2014-09-03 21:30:00 | 美術
見てきました

渋谷区立松濤美術館

会期は2014年8月9日から2014年9月21日。

台湾の美術というと現在、東京国立博物館で開催中の「台北 國立故宮博物院 - 神品至宝」へ話題は集中してしまいますが。
松濤美術館で開催中の本展は今、繰り広げられている台湾の美術が観れる展示です。

台湾の美術は、中国美術の伝統を継承していましたが、日本統治時代に日本式美術教育が導入西洋・日本の近代美術がもたらされたことにより大きく変貌しました。
戦後は日本・欧米への留学生が多数輩出。
抽象表現主義などの欧米の現代絵画の潮流をもたらし、台湾固有の民族芸術・中国美術などを融合し、多元的な展開をしていきます。
さらに、1970年代からは国際的・政治的に困難な状況下で台湾のアイデンティティを求め、新たな進展を示しています。
台湾美術の振興と発展、国際交流を図ることを目的に2010年元旦に設立されたのは台湾美術院。
メンバーたちはそれぞれが独自の作風を確立し、美術理論・国画・油彩画・版画・賿彩画・版画・書法・デザインなどの各分野で今日の台湾美術の先頭にたっています。
そして、台湾を代表する芸術家として国際的にも高い評価を受けています。
今回は台湾美術院院士20人の作品47点と特別出展としてジュディ・オングさんの版画3点が展示されています。

人名や作品名でお使いの環境によっては、一部、文字化けしてしまうかもしれません。
その場合、、ごめんなさい。。。

何懐碩「月の河」
墨で描かれた作品。
画面上には川が流れ、左下には灯りの灯る家。
川は光があたり輝いています。
静けさが漂い、一番最初から素敵な作品です。

林章湖「躍魚図」
細い筆致で水しぶきが描かれています。
飛び魚が水を楽しむかのように跳ねていて、涼しさを感じる作品。

曽長生「霊光06」
カラフルな室内。
人の気配はありませんが壁には大きなトカゲのような爬虫類が。
無機質な空間でその色だけが目立ちます。

黄光男「一縷相思南山行」
抽象画です。
白に赤と緑、その上から黒い線。
すごく不思議で、でも温かみのある作品。

呉三「東アフリカの女」
こちらも抽象画。
黄色と茶色がベースとなっています。
いやはや、抽象画って表現するのが難しい。。。
今回の展示、作家の経歴を顔写真とともに紹介するパネルが作品の横にあります。
この作家さん、、、誰かに似ているとずっとひっかかっていたのですが。。。
モト冬樹さんに似ています。

陳銀輝「門神」
力強い筆跡で描かれた作品。
寺の門をえがいたもの。
左右には像があり、門の向こうに人々の姿が見えます。

江明賢「カレル橋」
渓谷の谷間の川を描いた東洋の山水図もありましたが、これはその技法を活かしつつ西洋を描いています。
空には鳥が、ピンク色に染まった川には船、橋にはたくさんの人。
街並みが続き、賑わう様子が伺えます。
なんとも不思議で温かい作品。

郭博州「心を太玄に遊ばす」
灰色の地に黒い線と丸。
抽象画です。。
いやはや、抽象画って表現するのが(以下略)

鐘有輝「気韻動能」
赤から緑へとグラデーションする背景に白い風が吹いています。
つたの植物が画面を覆い、不思議で優しい作品。

游明龍「漢字系列:春雨」
タイポグラフィの作品。
黒に白字、青にオレンジの字ととても目立つ組み合わせ。
時代もかわいらしくっておしゃれです。

廖修平「無語(一)」
暗い背景にしたから黄色く細い手が6本生えてきています。
その作品の下には木の台からブロンズの手が伸びてきています。
そのひょろりとした様子はちょっと不気味。

林磐聳「漂泊する台湾」
こちらはデザインの作品。
世界地図の上に白と黒の台湾のシルエットが漂っています。
これは台湾の状況を示しているのかな。
色彩はさわやかで、分かりやすい作品。

林俊良「地球温暖化」
あ、知ってる、と思わず。
以前にアド・ミュージアムで見た作品。
(記事はこちら→「第89回ニューヨークADC賞入賞作品展」)
そのときは作家などの詳細をメモしていなかったのですが、間違いないです。
海面が上昇し、一部しか海上に出ていない島。
その島は人間が上を向いている横顔。
分かりやすくておしゃれで。
こういったアイディアを出せる人を尊敬します。

顧重光「赤い柳の籠の中のザクロ」
カゴに入ったザクロが描かれていますが、カゴは画面下部に少し見えるのみ。
ザクロがとっても大きく取り上げられています。
なんだか違うものに見えてくる。。

薛保瑕「時延の域」
青に黒、厚いマチエール。
いやはや、抽象画って表現するのが(以下略)
ポロック的、かな。

謝里法「進化論四篇」
牛が描かれた4枚の作品。
左から穏やか、血?、暗い、派手、という印象。
なんというか、、私のメモがこれしか書いてありませんでした。。。
これじゃあ、後で分からないよー。
(自分が悪いのですが。)

蘇憲法「蓮」
混沌とした緑の中に、ピンク色の蓮の花。
これは素敵です。
幻想の中みたい。

Chang Chien-yu「玉山の柏-豊盛」
根元から分かれている松の大木。
上の方がぐにゃりとしていて不思議な木となっています。
黄色い背景に松の緑が鮮やか。

Chang Chien-yu「玉山の柏-枯寂」
こちらは枯れ行く木。
夜の森の中。
ぐにゃりとした木はうなだれているかのよう。

王秀雄「書籍いろいろ」
王秀雄氏は評論家。
これまでに出版された本が展示されていました。
台湾のみならず、西洋や日本の作品についてまで。
日本統治時代の美術についても。
日本美術史の本は北斎や岸田劉生の麗子が表紙となっています。
日本に留学の経験もあるのだそう。

ジュディ・オング「紅棲依緑」
この展示室に入った時に、真っ先に目に入った作品でした。
なんて鮮やかなんだろう、と。
そしてジュディ・オングさんの作品と知ってさらにびっくり。
1950年に生まれ53年に来日。
1975年から棟方志功門下の版画家・井上勝江に師事。
1983年には日展に入選し、数々の賞を受賞。
1995年には白日会正会員となっています。
パリやハンブルグなどでも個展を開催。
2003年には宇治の平等院鳳凰堂を100号の作品に仕上げた「鳳凰迎祥」が8回目の日展に入選。
2005年3月には同作品が平等院に奉納されているのです。
すごいな……。
描かれているのは建物の玄関。
建物の壁は赤で、庭の木々の緑がとても映えます。
日本的にも台湾的にも見える作品。

ジュディ・オング「銀閣瑞雪」
こちらは雪降る銀閣寺。
すごくすごく沁みます。
なんて静かで厳格で美しい景色。
この作品の前からしばらく離れられませんでした。

ジュディ・オング「萬壽亭」
こちらは台湾の景色。
門の手前には風になびく柳の枝。
門の向こうには湖か池か、、水が見え陽光浴びて眩しいくらい。
この場所に行ってみたい。

傅申「核電爆」
書です。
象形文字のようですが動きがあります。
書は難しいね。。。
日本の作家さんの作品も難しいのにましてや言語が違うと……。

台湾美術についてほぼ知らない状態でしたが、とても楽しめる展示でした。
私は個人的に台湾にはとてもいい印象を抱いているので。。
今後もこういった作品を紹介される機会が増え、交流が深まったらいいな、と思います。



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水の音 -広重から千住博まで-

2014-09-02 21:30:00 | 美術
見てきました

山種美術館

会期は2014年7月19日から2014年9月15日。

今回は水の音。
川、海、滝、雨、雪、霧……
明確なかたちを持たない水ですが、古くから様々な姿で表現されてきました。
この展示は画面から感じられる"水の音"に焦点をあて、近世から現代までの画家たちの作品約60点で構成されています。

《第1章 波のイメージ》
【川-流れゆく波】

山元春挙「清流」
崖の下を流れる渓流。
水底の砂が見えるほどの透明度。
筆でさっと描かれたような水の流れが勢いを感じさせます。
崖の上には赤い小さな花。
流れの上には小さな鳥が1羽飛んでいて、爽やかさを増しています。

山本岡人「流転之詩」
暗い暗い背景にまばらに生える竹。
その向こうに白く泡を立てて流れる渓流。
軽井沢の谷間の渓流だそうで、構図は能の背景からイメージしているのだそう。
竹の縦への線と流れの横への線とがはっきりしていてリズムのある構図。
不思議な静けさがあり、とても好き。

宮廻正明「水花火(漯)」
網を投げようとし、広がった瞬間を上からの視点でとらえた作品。
白群青と藍の点で表した海の水に白い網が花火のように広がりとても美しい。
その構図も、これを題材とした視点もとても素敵。

千住博「水 渓谷」
板に彩色したもの。
樹木の断面で、木目を利用し、明るい部分を水などの流れに見立て、暗いところは陸地として草が描かれています。
木目の節は中洲かな、こちらも草が描かれてます。
白い鳥が1羽、流れの中からこちらを見ています。
斬新でセンスを感じる作品。

【海-躍動する波】

奥村土牛「鳴門」
今回の展示で一番最初に展示されている作品。
土牛が鳴門の渦潮を描いたもの。
昭和34年、この渦潮を船の上からスケッチした土牛。
そのスケッチをもとに下絵をつくらず制作しました。
群青、白緑、胡粉を塗り重ねて渦の深さが表現されています。
色はさわやかですがとても迫力あります。
その音が聞こえてきそう。
壮大です。

横山大観「龍」
画面左から顔覗かせる龍。
金泥を使い、神々しい雰囲気を出しています、、と思いきや顔はユーモラス。
下には水しぶきをあげる波。
ザッパーン、と音が聞こえてきそうです。

小堀鞆音「那須宗隆射扇図」
那須与一の有名なシーン。
海上の扇の的を射るところです。
波は日本画的な様式で描かれています。
与一がのっている馬も水につかっているので、的だけではなく自分自身も不安定だったはず。
そこを射るとはさすが名手です。

川鈴彦「潮騒」
岩にあたり砕け散る波。
画面左下には魚。
これは平家納経の見返しにいる魚だそう。
平家納経の"提婆品(だいばぼん)"にある"荒海の怒れる魚(いほ)"のことかと。
なお、"荒海の怒れる魚"は源氏物語の第2帖、帚木に出てきます。
雨夜の品定め、の場面。
で、作品ですが、波はぐねぐねと、岩に打ち付けられています。
この作品、311がきっかけなんだそう。
昔は岩に打ち付ける波を見て"私の袖は涙であの岩のように乾く暇もありません"などと言ったものですが、今は波を見ると大津波を連想させます。
3月11日を忘れぬように、とのことです。
そうやって見ると、画面上部に描かれた松などは北陸の海岸を思わせます。

橋本関雪「生々流転」
6曲2双という大きなもの。
22年ぶりに全てを公開するという意味でも今回の目玉でしょう。
昭和15年に完成した建仁寺方丈の襖絵と同一主題です。
荒れ狂う海原を一羽の鳥が飛んでいきます。
壮大です。

加山又造「波濤」
波が岩に当たり砕ける瞬間を描いたもの。
少ない色彩で迫力あるものとなっています。
その音だけが聞こえてきそう。
かっこいいのです。

奥田元宋「奥入瀬(秋)」
いつ見ても壮大で美しい。
真っ赤な紅葉の中を縫うように流れる水。
その色彩は鮮やか。
こんな景色を実際に目の前で見てみたい。

川端龍子「鳴門」
6曲1双の屏風。
目の覚めるような青に白い波が出ています。
水の動きが感じられる作品。

《第2章 滝のダイナミズム》
岩橋英遠「懸泉」
描かれているのは天然記念物で静岡の名勝、白糸の滝。
実物より大きく描き、その壮大さを伝えています。
虹もかかり、美しい世界です。

奥村土牛「那智」
セザンヌ的岩肌に白い筋で描かれた滝。
真っ白で、その勢いや力強さを感じます。

横山操「滝」
滝壷へ勢いよく落ちる水。
岩肌には金箔が貼られ、陽光があたっている様子をあらわしています。
上部には少しだけ青空がのぞいています。
水の落ちる音が聞こえてきそう。

牛尾武「晨響(銀河と流星の滝)」
岩肌の合間を流れる滝。
自然の中でといったかんじですが、その色とかがとても不思議な感じ。

杉山寧「潤」
何層もの岸壁に分岐しては合わさり合う滝。
神秘的です。

千住博「フォーリングカラーズ」
黒い背景に赤、緑、オレンジ、黄色、紫の滝がそれぞれ描かれています。
光っているかのよう。
滝に赤を使ったのは親友のオランダ人画家のアドバイスとのこと。
滝とは思えない色彩とその不思議な輝きに、一瞬、ここが山種美術館ということを忘れかけました。

千住博「ウォーターフォール」
黒い背景に白い滝。
滝のようで滝じゃないようにも見えてきます。
上から降り注ぐ星、とか。
宇宙を連想しました。
すごく素敵な作品です。

千住博「松風荘襖絵習作」
こちらも黒い背景に白い滝。
下から上へ湧き上がっているようにも見えます。
松風荘は戦後、日米関係の再構築を願い日本から寄贈された日本建築。
ニューヨーク近代美術館敷地内に建設ののち、フィラデルフィアへ。
当初は東山魁夷の障壁画が内部を飾っていたそうですが、全て損傷。
平成19年に新たに襖絵20面を制作となりました。
その習作です。

《第3章 きらめく水面》
川鈴彦「蓮池波紋」
唐招提寺金堂裏手の蓮池を描いたもの。
広がる波紋に揺らぐ蓮の葉の影。
金箔が使われ陽光を感じさせます。

千住博「光」
4曲1隻の屏風。
金地に青で描かれた木々と蓮の池。
この色彩の強さが明るく強い光を感じさせます。

《第4章 雨の情景》
歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
この作品について何度も書いている記憶があるけれど……
やっぱり雨を扱った浮世絵、といったらこれになるのかな。
斜めの線で表現した雨。
橋の上には身をかがめ、急ぐ人々。
ゴッホが模写したことでも有名です。

川合玉堂「水声雨声」
縦長の画面に水車小屋と2人の農婦が描かれています。
雨に濡れる木々がとても雰囲気あります。
風情のある雨の降り方。

夏らしく爽やかな展示です。
まだまだ暑い日が続くようなので涼みに行ってはいかがでしょう。



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新宿クリエイターズ・フェスタ2014

2014-08-31 21:30:00 | 美術
見てきました。

会期は2014年8月22日から2014年9月7日。

新宿の街がアートに染まるときがやってきました。
今年も行ってきました!!
そして写真撮ってきました。


まずは北川フラム氏監修「都市のユーモア展」
様々なアーティストの作品が展示されています。

【新宿野村ビル】
渡辺元佳「ショウジョウタチノコカゲ」


人型のオブジェ。
夜には光るそう。


【新宿モノリス】
大石雪野「彼らは形を手放していく」


鉄でつくられた動物たち。


ゆがんでいるのにリアル。


しっぽはふさふさ。


【エステック情報ビル広場】
内山翔二郎「ある惑星の住人」


蚊ですよ、蚊。
巨大な。




ふんころがし。
こんなにかっこいいふんころがしは初めて見ました。笑


【新宿三井ビル】
大川友希「江戸城」


カラフル~。


【新宿センタービル】新宿アイランド
中井川由季「あいまいな接合 新宿に」




なんだろ、これ。。


【新宿アイランド】
高梨裕理「深い水Ⅲ」


蜂の巣のような、、なんでしょう。。。


【新宿住友ビル広場】
石坂祐子「ZOO」


頭のでっかい動物たち。


かばさんもこんにちわ。


さて、以下は特別展です。

【住友不動産新宿グランドタワー】
《椿昇特別展示》
椿昇「Daisy Bell」


どうしても上にあるものが目玉焼きに見えてしまうのです……


【住友不動産新宿オークタワー】
《螺旋の深海宇宙へ》
河口洋一郎「Shecco」


Shell(貝)とCosmos(宇宙)から名づけられました。
なんと5億年未来の宇宙を旅する貝なのです。


ハデでかわいい!!


【新宿NSビル】
《草間彌生特別展示》
草間彌生「真夜中に咲く花」

今回展示されるのは新作のバルーンだそう。


新作……
あ、でも私が以前に見た「真夜中に咲く花」はバルーンじゃなかったし。
というか見にくい……


上の階から見下ろしてみた。
目玉があるよー!!


展示の全体像はこんな感じ。
なかなかシュール。
でも、素敵。
すごく素敵。
大好き

以上になります。
無料で楽しめる展示たち。
まだまだありますので、気軽にふらっと見てみたらいかがでしょう。



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