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極右躍進に起ち上がるフランスの知識人たち

2017-03-16 07:15:00 | 報道/ニュース

2月23日 国際報道2017


フランスの知識人たちが参加して行われた公開討論会。
社会学者らが人権や平等などフランスが守るべき理念について意見を交わした。
「ユートピアはすぐに実現できませんが
 その道筋を示すことに意味があるのです。」
ところが聴衆から厳しい意見がぶつけられた。
「あなたたちはここで丸一日どうでもいいことを話している。
 社会にはびこるイスラム教徒などの問題から目をそらすつもりなのか。」
知識人と一般市民の考えがかけ離れつつあるあることを示す一幕だった。
歴代の大統領と政策などを議論してきた哲学者のマルセル・ゴシェさん。
現在の知識人に求められるのは将来の展望を語ることではなく
人々が抱える今の不安に応えることだと指摘する。
(哲学者 マルセル・ゴシェさん)
「社会で今何が起きているのかをわかりやすく伝えるのが知識人の役割です。
 人々には行動する前にしっかりと考えて
 正しい決断をしてほしいです。」
こうした思いを共有する知識人や文化人たちは今
安易に極右政党の主張に流されないよう
さまざまな形で訴えかけている。
ある社会学者が出版した小説。
タイトルは
「激震~ルペン大統領誕生~」。
ルペン氏が大統領になったあとのフランスを描いている。
大統領はフランス国民を優先する公約を次々と実行。
イスラム教徒に対する暴力も頻発するようになる。
さらにフランスは国際的に孤立していく。
この本の著者 ミシェル・ビビオルカさん。
有権者には選挙後の国の姿をしっかりと想像したうえで投票してほしいという。
(著者 社会学者 ミシェル・ビビオルカさん)
「仮にルペン党首が勝利した場合
 フランスは大変な状況になるでしょう。
 アメリカではトランプ大統領誕生後に大勢の人が抗議デモを行いました。
 そんなことしても手遅れです。
 後悔するよりも事前に選択する段階でしっかり考えてほしいのです。
大統領選挙を前に法律の専門家たちも動き出している。
1月に起ち上げたウェブサイト。
候補者の公約が実現可能なのか検証している。
ルペン氏をはじめ
各候補者の公約の問題点をわかりやすく解説している。
例えばルペン氏は
「外国人を雇用する企業には税金を課す」
という公約を掲げている。 
ただこの公約を実現するには
外国人の差別を禁じた憲法改正などが必要で
事実上実現不可能だと結論付けている。
(サイトを運営する法学者 バンサン・クロンヌさん)
「法律的におかしな公約が多いことに疑問を感じて
 このサイトを起ち上げました。
 実現不可能な公約は
 結果的に人々を失望させるだけです。」
さらに2月
新たな映画も公開された。
タイトルは「我々の国」。
「国民戦線」の支持者たちの間でスローガンとして使われている言葉である。
極右政党の台頭に警鐘を鳴らすために作られた。
主人公は看護師の女性である。
暮らしに不満を募らせるうちに極右政党の主張に共感し
地方選挙に立候補。
しかしその結果
家族や友人が離れ
徐々に孤立を深めていく。
(観客)
「考えさせられる映画でした。
 選挙前だけに面白かったわ。」
「今フランスで起きている政治状況を反映していました。
 まさに『今』についての映画ですね。」
(リュカ・ベルボー監督)
「ポピュリストは人々の不安や恐怖に訴えかけます。
 フィクション映画でも同様に人々の感情に訴えることができます。
 私は映画で人々の感情
 さらには理性に訴えようとしています。」
極右政党の躍進に歯止めをかけたい。
知識人や文化人たちは
自らの存在意義をかけて人々に訴えかけている。




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68年続く伝統行事 机・腰掛け洗い

2017-03-15 07:15:00 | 報道/ニュース

2月23日 おはよう日本


卒業を控えた愛知県犬山中学校の3年生。
目指すは800メートル先を流れる木曽川。
川岸に到着すると裾をあげて川の中へ。
用意したスポンジやたわしで一生懸命汚れを洗い落とす。
卒業生や保護者らも大勢詰めかけ
すっかり2月恒例となったこの行事。
“机・腰掛け洗い”。
犬山中学校が昭和24年から続けている。
川岸にたたずむ男性は
この“机・腰掛け洗い”を始めた一人 佐藤登喜雄さん(83)。
後輩たちの様子を見に来た。
佐藤さんが中学生の当時は戦争が終わってまだ3年余。
物が全く無い時代だった。
そんなとき真新しい机といすが支給されて皆大喜び。
生徒会長だった佐藤さんは
“汚したまま後輩に渡したくない”という仲間の声を受けて
みんなで洗うことを決めたという。
(佐藤登喜雄さん)
「ピカピカの机といすを最初に使わせてもらった。
 汚い状態で次の人たちに残していくのは申し訳ない。
 水道も蛇口が4つか5つしかなかった。
 どうしようかということになって
 “じゃあ川で洗うしかないな”という話につながっていった。」
その後この行事は後輩たちに脈々と受け継がれていった。
去年まで生徒会長を務めた伊藤颯(そよか)さん。
颯さんは春から名古屋市の高校へ進学が決まっている。
父親も祖父も犬山中学出身。
3代続けての参加になる。
それだけにこの日を楽しみにしていた。
3年間の生活を思い出しながら汚れをていねいに洗い落としていく。
そして洗い終わった後はみんなで温かい足湯。
(生徒)
「みんなと寒いけど最高の思い出ができたところが楽しかった。」
「後輩たち
 寒いけど絶対頑張ってくれ!
 絶対楽しい思い出がつくれるぞ おー!」
作業のあと佐藤さんは颯さんにねぎらいの言葉をかけた。
(佐藤登喜雄さん)
「きょうは冷たかったでしょう。」
(伊藤颯さん)
「はい。
 最初は机を持ってくるのも大変だった。
 川に入ってからも大変だった。
 終わったあとは机もきれいになって達成感もある。
 みんなと
 もうすぐ卒業だけど最後に思い出がまたできて良かった。」
(佐藤登喜雄さん)
「自分たちだけでおしまいだと思っていた。
 こんなに長く続くとは夢にも思っていなかった。
 とにかく『ありがとうございました』と言って洗ってもらえればうれしい。」
物を大切にして感謝の気持ちを伝えたい。
68年前の佐藤さんたちの思いは
今年も確かに引き継がれた。


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オランダ議会選 台頭する極右政党

2017-03-14 07:15:00 | 報道/ニュース

2月22日 キャッチ!
 

3月15日に行われるオランダの議会下院の選挙。
2月19日の世論調査でリードしているのは極右政党の自由党で17%である。
これに対して
現在政権を担っている中道右派の与党自由民主党は16%にとどまっており
自由党の方が第1党となる勢いである。
極右自由党のウィルダース投手は
「反イスラム移民・反EU」を掲げて支持を伸ばしているが
オランダ市民の受け止め方はさまざまなようである。

極右政党PVV(自由党)の党首ヘルト・ウィルダー氏(53)。
投票日まで1か月を切った2月18日
オランダのロッテルダム近郊で選挙キャンペーンを起ち上げた。
(ウィルダー氏)
「自由でテロもなく犯罪行為も無い国がいい。
 再び移民とイスラム化をたたくべきだ。」
ウィルダー氏は13年前
中道右派の与党VVD(自由民主党)から離脱し
党を結成して以来
一貫してイスラム教徒の移民の排斥を掲げている。
一昨年以降
中東やアフリカから大勢の難民や移民がヨーロッパに渡るようになってからは
EUの難民受け入れ策を痛烈に批判し
オランダ国内でかつてない支持を集めている。
(自由党支持者)
「移民の入国禁止や過激な移民の取締りが必要だ。」
「難民は働かずに福祉を受けるが
 払うのは我々だ。」
「米国ではトランプが勝った。
 オランダではウィルダースが勝つでしょう。」
ウィルダース氏の出身地に近いオランダ南部の主要都市マーストリヒト。
自由党の支持率が高い地域である。
町でカフェを営むマウリス・レクシスさん(46)。
ウィルダース率いる自由党を支持している。
ギリシャの財政危機以降
EUの厳しい財政規律のもとでオランダ政府は緊縮策を導入した。
その結果
社会保障費が切り詰められ
しわ寄せを受けているのは市民だと言う。
(マウリス・レクシスさん)
「オランダの政府は庶民からかけ離れている。
 これを変えるべきだ。」
レクシスさんはウィルダース氏が掲げる反移民の政策に賛同している。
オランダでは
モロッコなどからの移民の犯罪率が増えているうえ
近隣のフランスやベルギーでテロが相次いだことから治安の悪化を懸念しているのである。
(レクシスさん)
「オランダも“人種のるつぼ”だけど
 不法移民により安全でなくなっている。」
レクシスさんが住むマーストリヒトは
これまでEUの統合をけん引してきたオランダ、ベルギー、ドイツの国境地帯にあり
統合を象徴する場所として知られてきた。
1992年にはEUの創設を定めたマーストリヒト条約も調印されている。
そのマーストリヒトでも反EUを掲げる自由党が支持を伸ばしていることは
今のEUの危機的な状況を反映しているともとらえられている。
条約の調印から今年で25年。
マーストリヒトでは2月7日に
“EUの統合を進める意味合いをもう一度考えよう”という若者によるイベントが開かれた。
討論会では各国の選挙に合わせ
反EUや反移民などを掲げる
いわゆるポピュリズムが台頭していることに最大の関心が集まった。
今後各国で排他的な気運が高まれば
EUからの離脱の動きが加速しかねないと懸念が示されている。
(参加者)
「ポピュリズムの台頭は人々の欲求不満のせいです。」
オランダの大学3年生 リゼット・ホティンクさん(22)。
これまでヨーロッパ各地の学生との交流などEUの恩恵を受けた世代である。
ウィルダース氏の反EUの考え方に強い不満を感じている。
ホティンクさんは若い世代にEUの重要性を訴えて
ポピュリズムの広がりを抑えたいと考えている。
この日訪れたのはデルフトにある専門学校。
(ホティンクさん)
「難民問題をどう思いますか?」
(学生)
「難民をすべて受け入れるべきではない。」
「受け入れはEUだけでなくアラブ諸国もやるべきでは?」
ホティンクさんは
“移民の流入を阻止すれば治安は改善し社会保障費の先細りを防ぐことができる”
とするウィルダース氏の主張がここでも受け入れられていると感じた。
(学生)
「ウィルダース氏はよいことも言っている。」
(ホティンクさん)
「彼の主張は実現不可能なものが多いと思う。
 EU離脱とかね。」
“オランダの将来を担う若者たちに公平な判断を促す正確な知識を十分に伝えていきたい”
とホティンクさんは考えている。
(大学生 リゼット・ホティンクさん)
「私はEUの中で育ち
 ユーロや移動の自由を享受しています。
 私たち若い世代はEUの原則や利益のために闘うべきです。」




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タクシー業界あげて アプリで配車

2017-03-13 07:15:00 | 報道/ニュース

2月22日 おはよう日本


京都市内のタクシー会社の配車センター。
ひっきりなしに依頼が来る。
依頼を受けたタクシーが画面に赤い色で表示されるが
ほとんどが赤い色で
客を待たせることも多くなっていると言う。
(タクシー会社 兼元秀和社長)
「電話が鳴りっぱなしという状態です。」
背景にはドライバーの不足も大きく影響している。
車庫には止まったままの車。
ドライバーが十分に確保できず営業できない車両である。
この会社のドライバーは現在186人。
高齢化などから年々減る傾向にあるという。
(タクシー会社 兼元秀和社長)
「慢性的な乗務員不足です。
 募集してもなかなか乗務員のなり手がいなくて。
 稼働している台数が少ないので配車がままならないというか
 お客様に待たせてしまうとか
 利用者の方々にも迷惑をかけている状態。」
ドライバーの不足は業界全体の課題である。
京都市やその周辺で営業する法人タクシーのドライバーは約9,000人。
この5年で2割近く減った。
平均年齢が60歳を超え
今後辞めていく人が増えることも懸念されている。
こうしたなか
企業を超えた横のつながりで客の需要に応えていこうという取り組みも進められている。
この日集まったのはタクシー会社18社のドライバー約20人。
手にしているのはスマートフォンである。
目指すのは
会社の垣根を超えた効率的な配車である。
スマートフォンの専用アプリを使って
会社に関係なく
空車を客にマッチングしようというのである。
客の専用アプリを使って場所を指定すると
近くを走る空車が迎えに来る仕組みである。
アプリを使った配車はすでに一部の会社が個別に導入しているが
これほどの規模での取り組みは京都では初めてである。
(京都府タクシー協会 松田有司副会長)
「経営の全く違うタクシー会社が一元的に呼べるようになる。
 これがすごい画期的なことだと思う。
 配車の効率が非常にすばらしい話しになる。」
新しい取り組みを前に戸惑うドライバーたちも。
(タクシードライバー)
「慣れたら大丈夫だと思います。」
翌日アプリを使った実験が始まった。
スマートフォンを操作してタクシーを呼ぶ。
すると実験に参加しているタクシーのうち近くを走る空車のドライバーに依頼が届く。
表示されたのは客の位置情報。
地図を参考に迎えに行く。
一方 客側の画面にはタクシーが近づいてくる様子が表示される。
5分ほどでタクシーが到着。
今後 画面の見やすさなどを解明したうえで
運用開始に向けた準備を加速させることにしている。
(京都府タクシー協会 松田有司副会長)
「人材不足
 高齢化
 これは直面していますので
 これはクリアしていくために1社でできることは限界があるので
 オール京都で取り組んで効率化を図っていければいいと思う。」
人手不足が深刻なタクシー業界。
会社の垣根を超えた取り組みで課題を克服しようという挑戦が始まっている。



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日韓関係悪化の中で韓国人青年の思い 映画に

2017-03-12 08:30:00 | 報道/ニュース

2月21日 国際報道2017


去年12月 
韓国釜山の日本総領事館の前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像。
日本政府は対抗措置として
韓国駐在の大使や釜山の総領事を一時帰国させ
問題は長期化する様相を見せている。
その釜山に住むイ・ソンテさんと妻のシン・ユンチャンさん。
16年前に東京の新大久保駅で
ホームから転落した男性を助けようとして亡くなったイ・スヒョンさんの両親である。
(スヒョンさんの母 シン・ユンチャンさん)
「息子はやりたかったことが何もできませんでした。
 それがつらいです。」
事故の後
スヒョンさんの勇敢な行為に胸を打たれた大勢の人たちが
日本からも墓参りに訪れたと言う。
(スヒョンさんの父 イ・ソンデさん)
「私の息子だけど尊敬しています。
 私たちにたくさんのことを教えてくれました。」
今月から公開が始まった
スヒョンさんの人生をテーマにした映画「かけはし」。
東京や大阪などで公開されている。
日本語を学ぶために留学したスヒョンさん。
映画では
日本人の公衆道徳に感銘を受け
率先してゴミ拾いを行うようになったエピソードなど
日本での様子が紹介されている。
スヒョンンさんはいつしか
「大好きな日本と韓国の懸け橋になりたい」と周囲に話すようになった。
映画を製作したプロデューサーの中村里美さん。
冷え込む日韓関係に危機感を覚え
スヒョンさんが残してくれたものは何だったのかとあらためて自らに問いかけ
制作を始めたと言う。
(映画プロデューサー 中村里美さん)
「日韓の深刻な問題が多いが
 心の通訳の大切さ
 ことばの通訳も大切だがそれ以上に心の通訳
 “かけはし”となる存在の大切さを感じていた。」 
映画ではスヒョンさんの足跡をたどろうと22人の釜山の大学生が日本を旅をする。
韓国の若者たちは日本の人たちと時間を共にする中で
隣国への理解を深めていく。
今も対立の原因ともなる歴史問題について率直に意見を交わす場面もあった。
(韓国の大学生)
「謝罪はしたと思います。
 したんですけれどもその思いが伝わっていないということ。」
(日本の大学生)
「それをどうお互い理解し合って前に進んでいくか。」
中村さんは
若者たちがお互いに本音でぶつかり合うことで友好を深めてほしいと考えている。
(映画プロデューサー 中村里美さん)
「これからの未来を作っていくのは若者たち。
 両国の懸け橋となっていく存在を応援したり
 生み出していくことの大切さを感じている。」
1月26日 
スヒョンさんが亡くなった新大久保駅で追悼式が行われた。
スヒョンさんの両親のほか
一時帰国している森本康敬総領事の姿もあった。
イ・ソンデさんは
日本と韓国の懸け橋となることを夢見た息子の思いを知ってもらうためにも
両国の若者に映画「かけはし」を観てもらいたいと願っている。
(イ・ソンデさん)
「日本と韓国は一番近い国同士なのに歴史問題のせいでいつもうまくいきません。
 映画が交流を深める良いきっかけになってほしいです。」

オ・スヒョンさんが亡くなった後
お見舞金をもとに
日本で学ぶ留学生を支援する奨学金制度が設けられた。
これまでに790人が支援を受けたということだが
寄付金の額は年々減少していて
事故直後の半分以下にまで落ち込んでしまっている。
プロデューサーの中村さんはこの映画「かけはし」を
東京大阪に次いで全国で上映していきたいを話している。


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「お届け物です」のあの笑顔

2017-03-11 07:15:00 | 編集手帳

3月8日 編集手帳

 

 開拓農民の一家が町の雑貨屋へ買い物に行く。
店で通信販売のカタログを開き、
衣服の写真を眺めた。
西部劇『シェーン』(1953年、米国)の一場面である。
希望の品が馬車で届くまで、
客はどのくらい待ったのだろう。

いまや指先ひとつ、
インターネット通販の時代である。
消費の行動半径が西部の荒野並みに広がる一方、
商品が届くまでの時間は主演俳優アラン・ラッドの早撃ちを連想させぬでもない。

早くて安くて便利の“ありがたずくめ”には、
どこかで無理も生じる。
配送の現場は疲労し、
ダウン寸前であるらしい。

ヤマト運輸が宅配便事業を見直すという。
人手不足で運転手を十分に確保できず、
急増したネット通販の取扱量をこなしきれない。
「お届け物です」と告げるあの笑顔の向こうには、
疲れた吐息が隠れているのだろう。
人の力なしに物は届かぬ、
という当たり前の事実を思い知る。

商品を買う側も届ける側も、
いまよりはのんびりしていた昔よ「カムバック!」とつぶやいてみても、
孤高のガンマン同様、
情報化の流れは逆戻りしてくれない。
便利で、
ときに手に余る現代の荒野である。



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本当は怖い?!シカのおじぎ

2017-03-10 08:00:00 | 報道/ニュース

2月20日 おはよう日本

古都奈良の観光で人気なのが奈良公園のシカ。
そのシカに好物のシカせんべいをあげるとおじぎを見せてくれる。
このしぐさが“かわいい”とか“礼儀正しい”と観光客に好評だが
そこには思いがけない危険も潜んでいる。

奈良公園のシカにせんべいを与えると見られるおじぎを見たさに来る人もいるほど
奈良観光の定番になりつつある。
(観光客)
「かわいい♡
 おじぎは『くれてありがとう』の意味?」
「感謝の気持ちを込めてやってるんだと思います。」
シカはなぜおじぎをするのか。
奈良女子大学で動物の生態を研究している大学院生の西山若菜さんは
奈良公園で
人に向かっておじぎをするシカのべ2,676頭を調査した。
その結果
子どもの鹿はせんべいを持っている人と持っていない人をあまり区別せずおじぎをしていた。
それが大人になると
せんべいを持っている人にだけおじぎをするシカの割合が増えることが分かった。
成長するにつれて
おじぎをすればせんべいがもらえると学習しているのではないかと
西山さんは見ている。
(奈良女子大学大学院 西山若菜さん)
「えさを持っている人に対して積極的にやっていくので
 えさをもらうための行動。
 人で言うところの催促とかアピールとか。」
西山さんを指導する奈良女子大学の遊佐陽一教授は
おじぎには別の意味もあると考えている。
(奈良女子大学理学部 遊佐陽一教授)
「おじぎの起源としては
 オス同士の威嚇・けん制というような意味があるんじゃないか。」
発情期の秋になるとオスたちはメスをめぐって争い
頭突きをしあったり
角と角を激しく突き合せたりする。
おじぎのもとになっているのは
こうした攻撃の前に頭を低くするけん制行動の可能性があるという指摘である。
おとなしいと思われがちなシカ。
攻撃的な一面もあり
トラブルになってしまうケースも増えている。 
奈良県などが設けた相談窓口には
外国人観光客の急増を背景に
シカから被害を受けたという報告が相次いでいる。
シカのおじぎをじっくり見たり
写真を撮ったりするため
せんべいをなかなか与えず怒らせた結果
かみつかれたり
なかには突き飛ばされたりして骨折した人もいる。
では攻撃してくるシカにはどんな特徴があるのか。
奈良女子大学の西山さんの実験から見えてきた。
せんべいを与えず見せたままにしたところ
あきらめるシカと攻撃するシカに分かれた。
あきらめるシカは長くゆっくりとお辞儀をする。
一方小刻みなおじぎを繰り返すシカは
せんべいをもらえないとすぐさま攻撃してくる傾向がみられた。
シカのなかにも
気の短いものやのんびり屋といった
それぞれ個性がうかがえる結果となった。
(奈良女子大学大学院 西山若菜さん)
「攻撃するかどうかは個体個体の気性の荒さによりきかな。」
(奈良女子大学理学部 遊佐陽一教授)
「シカと人みたいに
 違う種の動物たちがコミュニケーションするということはあまりわかていない。
 何しろ野生動物ですから
 人の側も注意をしつつ
 シカせんべいをあげて
 シカとのコミュニケーションを楽しむという形がいいのではないか。」
かわいいしぐさに潜む危険
シカの習性をよく知っていないと思わぬトラブルに合うかもしれない。



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外国人に大人気!沖縄に何が・・・

2017-03-09 07:15:00 | 報道/ニュース

2月18日 おはよう日本

那覇空港近くのレンタカー店。
2年前にオープンしてから外国人観光客の割合が増え続け
いまは客の6割を占めると言う。
この店が外国人をひきつける理由は
(韓国からの旅行客)
「韓国では多くの車好きがこの車種に興味を持っています。
 この車に乗りたかったというだけの理由です。」
車に乗ることが旅の目的なのである。
この店は
スポーツカーを中心に
レンタカーには珍しいマニュアル車にも乗ることができる。
外装や内装がカラフルな軽自動車はそのキュートなデザインが人気である。
見た目や走りにこだわった車に乗るため
いま外国人が続々と押し寄せている。
韓国から来た男性は
今回初めて軽自動車に乗ったが力強い走りに驚いたと話す。
(韓国からの旅行客)
「韓国にはこの車のブランドがない。
 この車のエンジンは660ccです。
 しかしとてもパワフルでした。
 女友達ができたら再び利用するつもりです。」
沖縄滞在中に2台の車を乗り換えてドライブを楽しんだ夫婦。
こうした利用の仕方は外国人観光客特有だという。
(レンタカー会社 取締役 大城友和さん)
「3日間で毎日車を乗り換える方もいるし
 グループで違う車を何台も借りる方もいる。
 通常レンタカーは最後に予約するが
 車の空き状況を最初に確認して
 飛行機とホテルを手配するという方が多い。」
こうした外国人観光客の情報源はブログやSNSなどの口コミである。
韓国の車好きが書いたブログ。 
レンタルしたお気に入りの車で沖縄をドライブしたことが書かれている。
いま韓国ではこうした個人のブログや感想がガイドブック代わりとされている。
1月でも暖かく
オープンカーでのドライブは忘れられない思い出になった。
さらに台湾のブログにはこんな親切なものまで。
この店を始めて利用する人向けに
どんな手続きで車を借りられるか
中国語で詳しく解説されている。
(香港からの観光客)
「インターネットで香港の人たちが話題にしていました。」
こうした口コミ発の小さな賑わいは街角の小さなオフィスにも及んでいる。
絵本専門店。
誰もが知っている名作から最近のものまで500冊の絵本が並んでいる。
日によっては客の半分ほどが外国人観光客である。
お店の場所やどんな絵本があるかを書いたブログを見て
日本の絵本を買いたいという観光客が来るようになった。
日本の絵本は
ストーリーが現代的できれいな絵と独特の仕掛けも魅力的だという。
(韓国からの旅行客)
「韓国の絵本は時を見ないと意味が分からない。
 日本の絵本は絵で想像できておもしろい。」
(台湾からの観光客)
「絵が可愛くてサイズも大きくない。
 台湾に持って帰りやすい。」
4年ほど前にお店を始めた店長も
外国人観光客が来ることは全く想定していなかった。
(絵本専門店 店長 石田夢子さん)
「外国人観光客への対応は身ぶり手ぶりと
 片言の英語でなんとか。
 言葉がわからなくても“かわいい”という感覚で買うのではないか。」



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サウジアラビアに「コミコン」がやってきた!

2017-03-08 07:15:00 | 報道/ニュース

2月17日 国際報道2017


コミコン
コミックコンベンションの略称で
日本のお家芸ともいえるアニメなどポップカルチャーの世界的なイベントだが
厳格なイスラム教の国サウジアラビアで初めて開催された。

2月16~18日にサウジアラビアで初開催されたコミコンinサウジアラビア。
会場は盛況だった。
アニメやマンガのグッズ販売をはじめ
アーティストが自らの作品を展示・販売することもできる。
サウジアラビアでも日本のマンガやアニメが大人気。
(来場者)
「日本大好き!
 はい!」
「私はオタク。
 日本のアニメ好き。
 それは自信ある。」
「とても楽しんでいます。
 同じ思いを持つ人たちが集まれるなんて最高!」
イスラム教の戒律に基づく統治を行っているサウジアラビアでは
若い男女が交流するイベントはなかなか開催できなかった。
しかし政府が経済政策として娯楽産業に力を入れることになったことを背景に
初めてコミコンが開催されることになったのである。
コミコンと言えばコスプレ。
しかしよく見るとコスプレをしているのは男性しか見当たらない。
女性は専用の場所が設けられその中でコスプレを楽しんでいる。
イスラム教の戒律で
女性は男性の前で肌をさらすことができないため
男子禁制でコスプレを楽しむ。
今回の初開催に特別な思いを抱く女性がいる。
イラストレーターのアミーラ・シェイクさん(24)。
これまで作品を発表する場はインターネットのSNS などに限られていたが
今回初めて母国で作品を発表できることに大きな喜びを感じている。
(イラストレーター アミーラ・シェイクさん)
「コミコンが母国で行われていることがまだ信じられない。
 本当にすごい!」
さらにうれしいことがあった。
SNSを見てアミーラさんのファンになったという女性が訪ねて来たのである。
(アミーラさんのファン)
「アミーラさんの作品はかわいくて色使いもきれいで最高!
 彼女は才能にあふれている!」
(イラストレーター アミーラ・シェイクさん)
「この国では多くの女性が旅行に行けない。
 好きなアーティストに会える機会はこれしかない。
 継続して
 規模も拡大していってほしい。」





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シンガポール ITでシニア就労の拡大を

2017-03-07 07:15:00 | 報道/ニュース

3月15日 キャッチ!


出生率が日本よりも低く
2050年には高齢者の割合が人口の3割に達すると予測されているシンガポール。
今年7月には65歳だった定年が67歳に引き上げられ
撤廃も検討されている。
そうしたなかシンガポール政府は
高齢者の就労の機会を増やそうと
シニア向けのIT教育の強化を支援している。

去年11月にシンガポールで開かれたシニア世代を対象とした政府主催のITフェア。
前の年から規模を大幅に拡大して開かれたこのイベントは
60代以上を中心に3日間で約4,000人が訪れた。
海上ではさまざまなIT機器の展示とともに
スマートフォンのSNSの使い方について講習が行われた。
高齢者にITに触れてもらい少しでも生活や仕事に役立ててもらおうという試みである。
(参加者(76))
「パソコンのEメールは使えますがスマホでSNSはできません。
 今後 ITの教室に通って習いたいと思っています。」
シンガポールでは65~69歳で働いている人の割合は40%にのぼる。
日本のような世代間で支え合う公的な年金制度がないため
老後の資金は自らの給与と雇用主の支払いによる強制的な「積立制度」から賄う。
働くことが求められる高齢者だが
働き口の多くは皿洗いや清掃といった低賃金の単純労働に限られているのが現状である。
(作業員(74))
「他の仕事ができないのでここで働いています。
 高齢者はみな同じ状況です。」
高齢化が進むなかシニアの就労機会を拡大しようと
政府がいま力を入れているのがシニア層のためのIT教育である。
パソコンのワードやエクセルなど基本的な操作方法を教える教室。
去年から始まった補助金制度で授業料はほぼ無料。
民間やNGOなどが運営する教室は年々増え続け
年間で1万人程度が受講できると言う。
(受講者(63))
「雇用主は若者だけでなくシニアも採用すべきです。
 私たちはITのノウハウだけでなく仕事の経験があるのですから。」
(政府プログラム担当者)
「シニアの人たちが再就職するにはITスキルが非常に大切になります。
 ITスキルが重要なカギとなるでしょう。」
企業のなかには積極的にシニアを採用するところがあらわれている。
法人向けにネット広告の戦略についてアドバイスを行っている会社。
当初 若者中心に雇っていたが中高齢者の採用に踏み切った。
現在では10人の社員のうち3人が50代以上である。
(ベンチャー企業社長)
「見つけるのが難しいのはIT熟練者より仕事を理解する人材で
 シニアの方が適任者がいます。」
2年前からこの企業に勤めているリア・チャングさん(56)。
フレックスタイム制度を会社から認められ
1日6時間の業務を在宅で行っている。
打ち合わせは全てスカイプを使った電話会議である。
「キャッシュフロー予測には去年の平均か今年1月のデータのどちらを使いますか?」
「あなたの考えは?」
「多くのデータから見た方がいいので去年の12か月の平均を使うべきです。」
リアさんは会社の会計や労務を担当する。
金融機関などで30年近く勤めた後5年前に家庭の事情により退職。
50代半ばで再就職できたのは
経験に加えてエクセルなど基本的なITが身に付いていたことが大きかったという。
入社後クラウドを使った最新の会計ソフトの導入の手がけた。
いまリアさんが力を入れているのがネット広告に関するソフトの習得である。
60代になっても働き続けるために
今後は会計や労務だけでなく
IT技術を使って本業の広告事業にも関わりたいと考えている。
(リア・チャングさん(56))
「若い人ほど早く作業はできませんが
 時間をもらえばまだやれると思います。
 できる限り働き続けたいです。」



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大雪で相次ぐ「立往生」 データ分析で兆候つかめ!

2017-03-06 07:15:00 | 報道/ニュース

12月15日 おはよう日本


11日 各地で相次いだ車の立往生。
「雪が降るとわかっていたけど
 こんなに車が止まるとは思わなかった。」
車が向かう先で起きている異常事態の兆候をとらえることができないか。
研究者が注目したのが「カーナビ」などの走行データである。
立往生を防ぐための取り組みが始まっている。
(研究者)
「予測も含めて
 情報提供を考える必要がある。」
3年前に車の立往生が起きたのが山梨県。
甲府市では1メートルを超す積雪を観測。
周辺からのほぼ全ての道路が通れなくなり
県全体が孤立状態になる異常事態になった。
この時に立ち往生した車のデータを専門家が分析したところ
その兆候が事前にあらわれていたことが分かった。
トラック運転手の鎌田光男さん(54)。
山梨県甲斐市の国道20号線で立往生に巻き込まれた。
再び動けるようになるまでの10時間
菓子パンで空腹をしのいだ。
(トラック運転手 鎌田光男さん)
「全く車が動かない。
 寝てちょっと仮眠を取って起きたら
 まだ動いていなかった。」
平成26年の2月14日から15日にかけて
山梨県では甲府市などで114センチなどと観測史上最も多い積雪を観測した。
各地の国道では確認できただけでも約1,000代の車が立往生した。
鎌田さんは当時
携帯電話で会社や同僚に連絡して道路や雪の情報を集めたが
ここまでの立往生は予想外だったと言う。
(トラック運転手 鎌田光男さん)
「群馬とか長野の方が大雪が降るイメージがあるから
 まだまだ山梨は大したことないだろうと。」
大雪による立往生を防げないか。
交通工学が専門の山梨大学の佐々木邦明教授は
平成26年の立往生の際の車のデータに注目した。
山梨県身延町の国道20号線。
通常なら時速40~60キロでは知れる区間である。
平成26年2月14日の午後5時ごろの同じ場所。
立往生はこの日の午後から深刻になり
何台もの車が動けなくなっていた。
この区間のカーナビのデータを分析したところ
7時間前の午後10時
まだ積雪が多くない段階で
通常の半分以下の速度でしか車が流れていなかったことがわかった。
データでは速度が10~20kmを示す黄緑やオレンジになっていた。
立往生が深刻になる何時間も前に異常事態の兆候が表れていたのである。
(交通工学が専門 山梨大学 佐々木邦明教授)
「14日午前の段階で
 立往生が始まりそうだとわかっている状況と推測。
 トラックの大型車が入っても立ち往生して身動きが取れなくなることが予測できたので
 予測も含めて情報提供を考える必要がある。」
さらに
2月14日に山梨県内を通ったトラック約100台分のデータを提供してもらい
その1部を地図上に示した。
トラックの位置を示す1つ1つの点が
積雪が少ない長野から積雪が多い山梨へと向かう様子がわかる。
午後6時で甲府市でこれまでの観測史上最多の積雪49センチを超える。
それでもトラックは向かい続ける。
すでに除雪は追い付かない状況になっていた。
そして午後10時過ぎ
3台のトラックがこうし方面に向かう途中
完全に止まり立往生した。
(山梨大学 佐々木邦明教授)
「通常 長野県の諏訪の方が積雪が多いので
 甲府はほとんど積雪はないと考えたのでは。
 目的地が今どうなっているかという情報を出すことは技術的に可能だから
 いろいろな手段で伝えていくことが大切。」
積雪などのデータをドライバーなどにいち早く提供しようという取り組みも始まった。
国の研究機関がコンビニ最大手のセブンイレブンと連携。
甲府市内の店舗の屋上に
積雪と雪の重さを計測するセンサーを設置した。
計測センサーは山梨と新潟に合わせて4か所設置され
数を増やすとともに
観測した情報はドライバーだけでなく国や自治体にも提供する予定である。
(防災科学技術研究所 積氷防災研究センター 上石勲センター長
「たくさんの観測点があればどこで雪が降っているかがわかるので
 車で出るのを控えてもらうとか
 渋滞の回避にも役立つと思っている。」
データを分析した山梨大学の佐々木教授は
トラックの場合は荷主の判断が優先される場合が多いため
ドライバーに情報提供するだけでなく
運送会社への情報提供を通じて荷主に運行への協力を求めることも重要だと話している。
 




















 

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米 フェイクニュース対策 最前線

2017-03-05 07:15:00 | 報道/ニュース

2月14日 キャッチ!


アメリカの独立調査機関によると
アメリカ人の成人の44%がSNS最大手のフェイスブックでニュースを読むと答えている。
ユーチューブやツイッターなど他のSNSに比べて
利用頻度は抜きんでている。
フェイスブックに嘘のニュースが紛れ込んだ場合
完全に排除することは難しく
また利用者の多くがフェイスブックに依存している点が問題視されている。

雪のニューヨーク。
荒れた天気でもスマートフォンを手放せない人たち。
「ニュースはスマホから。」
「ニュースは全部スマホ。
 効率的だし。」
アメリカのフェイスブックでは
友人などからシェアされてきた記事などに一度“いいね”を押すなどすると
その後
関連する新聞やテレビ
ネットメディアのニュースが自動で配信されてくる。
この便利な機能がフェイクニュースの拡散を助長しているとの指摘がある。
アメリカ東部ニュージャージー州に住むジンジャー・ベルさん(38)。
テレビのニュースや新聞を読んだりすることはほぼなくなり
全てのニュースはフェイスブックから知るようになっている。
(ジンジャー・ベルさん)
「SNSで情報を見るのが癖になって
 チェックせずにはいられません。」
リベラルな政治や社会環境問題に関心があるべルさんは
自分が気に入った記事には“いいね”。
そして友人たちにシェアする。
その一方
考えの異なる意見や見たくないニュースにわずらわしさを感じるようになり
こうした情報は来ないよう設定した。
その結果
フェイスブックでは自分の意見に合う情報しか表示されなくなった。
(ジンジャー・ベルさん)
「フェイスブックの情報しか見ないので
 自分と違う意見を知る機会がありません。」
べルさんは偏っていると自覚しているが心地良さも感じている。
このような状態は多くの情報を得ているようで
見えない殻の中の情報しか入らないことから
フィルター・バブル」などと呼ばれている。
自分の意見に合う情報だけを求める結果
真実が軽んじられ
フェイクニュースが入り込む余地が生まれている。
SNSで情報が次から次に入ってくる一方
多くの人が信頼性を判断できなくなっている
と指摘する専門家もいる。
スタンフォード大学のサム・ワインバーグ教授の研究グループは
中学生~大学生を対象に情報の信頼性を見分けられるか調査を行った。
例えばあるウェブサイトで
どれが報道目的の生地でどれが広告かたずねたが
中学生203人のうち
きちんと判断の根拠を説明したうえで見分けられたのはわずか17人だった。
この傾向はすべての年代に見られ
デジタル機器に慣れているはずの若者の多くが情報の信頼性を見極められなかった。
(スタンフォード大学 サム・ワインバーグ教授)
「ここまで学生たちが情報の信頼性を見分けられないとは予想していなかった。
 正確さを大事にし事実を尊重すべし
 と若い人の心に植え付ける必要があります。」
こうした状況にどのように向き合っていけばよいのか。
インディアナ大学のグループは
噂やニュースがSNSでどう広がったが見られるプログラムを開発した。
例えば「不正投票」と入力すると
関連する記事やツイートなどが表示される。
この中から
「不正投票が行われた」というトランプ大統領の主張に関連する話題を選びクリックすると
これらの話題を誰がどう広げているのか
相関図が表示される。
(インディアナ大学 フィリポ・メンツァー教授)
「どれくらいの人が広めたか分かります。」
濃く大きな点が話題を広げているツイッターのアカウント。
この話題の場合トランプ氏の支持者が広げていた。
どういう人が拡散しているのか
その背景を知ることができる。
(インディアナ大学 フィリポ・メンツァー教授)
「プログラムで発信源がフェイクニュースをよく発信しているかどうか
 判断できます。
 “この記事は信用できない”とか“友達には広めないでおこう”とかも判断できます。」
一方フェイクニュースが拡散する場として指摘されたフェイスブックは
利用者が通報できる仕組みを設けた。
通報が一定数を超えると
協力関係にある信頼性の高いメディアがニュースの真偽をチェックする。
アメリカの大手テレビネットワーク ABCニュースもチェック機関の1つである。
例えば
“オバマ前大統領がホワイトハウスに自分の銅像を建てた”というニュース。
ABCニュースが情報源に取材
他にも事実確認を行い
噓だと判断された。
(ABC デジタル部門 ザナ・オニール編集長)
「重要なのは常にフェイクニュースに目を光らせることです。
 何が間違っていて何が正しいのか
 真実を見つけ出す必要があります。」

フェイスブックは
ニュースやうわさなどの事実確認“ファクト・チェック”を行う国際的なネットワークと連携して
フェイクニュースの通報体制を整備しようとしている。
このネットワークにはアメリカだけでなくイギリスやブラジルなど
さまざまな地域の報道機関や
ファクト・チェックを専門にしている民間の非営利組織など
40以上の組織が加わっている。
ABCニュースもその1つで
フェイスブックはこのネットワークに事実確認を依頼することで
フェイクニュースが拡散していかないよう対策を始めている。
スタンフォード大学のワインバーグ教授は
「情報の信頼性を見極める教育が急務だ」と話している。
スマホなどで手軽に情報が入る一方で
教育は十分に行われていないという指摘である。
そのうえで
情報源が明示されているか
広告の記事ではないか
記事の背景を理解できるようにする教育を学校で行っていかないと
事実をもとに異なる意見を尊重して議論するという民主主義の基盤がさらに揺らいでしまう
と話している。
インディアナ大学のメンツァー教授は
「自分が信じたい情報しか入ってこない
 フィルター・バブルにとらわれてしまわないことが大事」だと強調した。
具体的な対策としては
フェイスブックなどで自分と意見の異なる人の意見も拒絶せずに入れるようにして
つながりを保つことが重要だとしている。




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時間ばかりが過ぎていく

2017-03-04 11:30:00 | 編集手帳

2月26日 編集手帳

 

 「国体」の意味を説明した一節に前置きがある。
〈今でこそ、
 国体といえば、
 各県回り持ちの体育大会としか考えない人ばかりだが…〉。
先頃亡くなった作家の三浦朱門さんの著書『天皇の昭和』である。

国民体育大会は戦後に始まった。
この略語としての用法が広まるまで、
国体はもっぱら天皇中心の国の在り方を表す言葉だった。
新しい意味が加わって、
時代の激変を痛感した世代がある。

これも時の流れの中で生じた変化といえなくもない。
少し前まで仮設といえば仮設住宅のことだったが、
最近は東京五輪の仮設施設をさす場合も多い。
その整備費に関し、
東京都知事が、
都外の施設も含めて負担に応じる考えを表明した。
どこまで出せるのか。
運営費の分担はどうするのか。
詰めるべき課題は、
なお少なくない。

2013年に7年先の五輪開催が決まってから3年半がたった。
準備期間の、
はや中間地点である。

時間ばかりが過ぎていく――大震災からの復興を巡り、
幾度も耳にしてきた嘆きである。
五輪を巡る嘆きへと用法が広がるのを止められるだろうか。
雲行きを不安げに眺める人々が日本中にいる。


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プレミアムフライデー

2017-03-04 07:15:00 | 編集手帳

2月24日 編集手帳

 

 世話好きな甚兵衛さんのところに、
お気楽な男、
喜六が訪ねてくる。
「さぁさ、こっちィ上がんなはれ」。
甚兵衛さんはお茶請けに羊羹(ようかん)を出す。
上方落語の『つる』である。

口のぞんざいな喜六は羊羹にケチをつけた。
「これ薄いなァ。
 一枚では立てませんよ、これ。
 隣のお友達と寄り添うて立ってますけどね。
 包丁で切った? 
 嘘(うそ)つけ、
 鉋(かんな)で削ったんやろ」

ひと月の一日の、
鉋で削り出したような2~3時間である。
名前が「プレミアム」(特別の恩恵)とやけに立派なせいか、
「これ薄いなァ」の感想が浮かばぬでもない。

月末の金曜日に早めの退社を促し、
消費を活気づける「プレミアムフライデー」がきょうから始まる。
ふと、胸をよぎる人がいる。「1週間で10時間しか寝ていない」。
電通の新入社員で過労自殺した高橋まつりさん(当時24歳)は、
友人にそう訴えていた。
鉋屑(くず)のような羊羹一枚さえ、
叶(かな)わなかった人である。

〈金曜といふ語うつくし蜂蜜の壜(びん)提(さ)げて金曜の橋わたりきぬ〉
(雨宮雅子、歌集『昼顔の譜』)。
亡き人には夢のまた夢であったろう時間を思い、
喜六流の物言いは控えておく。



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沖縄キャンプ増 理由は“芝”

2017-03-03 07:15:00 | 報道/ニュース

2月14日 おはよう日本


Jリーグ昨シーズン年間2位の浦和レッズ。
沖縄本島南部の八重瀬町で1次キャンプを行った。
沖縄にキャンプが集まる理由となっているのが
選手の足もとに広がる芝である。
(浦和レッズ 武藤雄樹選手)
「きれいなピッチで練習させてもらえると
 サッカーの質も上がるし
 一番はケガのリスクも抑えられると思うので
 そういうところが一番
 特にキャンプでは選手にとってうれしい。」 
芝をめぐって沖縄はかつて苦い経験をした。
キャンプを行ったチームが芝の状態の悪さを理由に離れていったのである。
今年レッズがキャンプを行ったサッカー場も
6年前は
芝の長さはバラバラでところどころ土も見えていた。
ピッチの周りには花まで咲いていた。
こうした状況を変えようと県が5年目に始めたのが“芝人(しばんちゅ)”養成事業。
地元で芝のプロを育てようという取り組みである。
国の交付金を活用し
これまで10人を養成。
県内各地で芝人の卒業生が芝の管理に携わっている。
芝人の養成を託された会社の石井洋介さん(37)。
Jリーグチームの本拠地で芝の管理をしていた経験を生かし
芝人を育てている。
(「芝人」を養成する石井洋介さん)
「以前は言い表すと公園みたいな感じ。
 ほとんど手をつけていないのが現状だったと思う。
 当時に比べるとだいぶきれいになったと思う。」
芝を整備する上で最大の問題が土壌である。
沖縄に多い赤土で造成されたピッチ。
固いうえに水はけが悪く
根がうまく育たない。
Jリーグチームの本拠地で一般的に使われる川砂と比較すると
川砂の場合
根は太く長く伸びるが
赤土だとその半分程度にしかならない。
(石井洋介さん)
「根が伸びないと表に出てくる葉の生育が悪くなり
 利用したときに回復力がなくなったり
 根がないのでクッション性もなくなるので
 サッカー場として利用頻度を増やしながら
 いいコンディションを保つには根を増やすことが大事。
問題を改善するために行われるのがピッチに穴をあける作業である。
機械を使って深さ3~4センチの穴をあけていく。
土壌に隙間を作り根を伸びやすくする。
また芝の刈り込みも1年に120回ほど行う。
伸びるのを待たずに刈り取ることで
芝自体が持つ成長しようとする力を最大限に生かす。
地道な作業の結果
県内のキャンプは7年前の2チームから22チームに急増。
10億円規模の経済効果も見込まれている。
石井さんは芝の育成レベルをさらに向上させ
もっと多くのチームを呼び込める環境を整えたいと考えている。
(石井洋介さん)
「もっとできるだけ多くのJリーグクラブや海外クラブも沖縄に目を向けてもらい
 そういう機会を設けられればいいと思う。」
温暖な気候という強みを生かしきれていなかった沖縄。
足もとを見つめ直したことで
キャンプ地としての魅力を高めている。



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