日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

グローバル企業の新たなリスク ②“人権リスク”戸惑う日本企業

2017-04-13 07:15:00 | 経済フロントライン

3月18日 経済フロントライン

海外の労働や人権の問題を扱うコンサルティング会社。
企業からの問い合わせがこの1年で倍以上に増えている。
この会社では国や地域ごとにどんなリスクがあるのかを分析し企業に情報を提供している。
多くの企業では
海外にあるすべての下請けの状況を把握しきれないのが現状だという。
(EY Japan 名越正貴マネージャー)
「やらないといけないんだなということを感じている企業が増えていると思います。
 自社のサプライヤーの人権・労働的課題を把握しようとしても規模が大きすぎて
 調達先の数があまりにも大きい。
 展開している国の数があまりにも大きい。」
この新たな課題に社をあげて取り組み始めたのが大手電機メーカーの日立製作所である。
世界66カ国に約3万社の下請けを抱えている。
去年 東原社長は社員に向けてあるメッセージを送った。
人権の尊重を需要な経営課題に掲げ
全員がその意識を高めるよう呼びかけたのである。
グループ各社の担当者を集め
下請けの労働環境の改善を徹底するよう指示している。
(日立製作所 CSR・環境戦略本部 荒木由季子本部長)
「人権問題に対して社会の目が厳しくなってきている。
 より厳しい進展も踏まえて
 この会議で皆様と意識を共有して。」
対策に本腰を入れ始めたきっかけの1つがマレーシアで起きた出来事だった。
6年前 下請け工場で働く移民労働者が「賃金の差別がある」と主張。
それがネットを通じて世界中に広まり
各地で日立に対する抗議やデモが起きたのである。
(日立製作所 CSR・環境戦略本部 荒木由季子本部長)
「海外ということに対しては目が行き届かない
 そういうところはあったかと思うんですね。
 大きな企業はそういうリスクにさらされていることは間違いない。」
1月 日立は中国深圳に担当の幹部を派遣し
下請けを対象にした説明会を開いた。
集まったのは現地の企業32社。
担当者は
以前ある工場が16歳の少年を違法に働かせていた実態や
既定を超えた長時間労働があったことなどを説明した。
「労働時間が法定時間を超えている
 給料が法定どおり支払われていない
 皆さんもこういうところを重点的にチェックしていただけたらと思う。」
下請けへの指導は始まったばかり。
直接管理していない企業まで徹底できるかが大きな課題である。
(日立製作所 戸嶋宏担当部長)
「まだノウハウがないので手探り状態で悩んでいます。」
具体的に労働環境などをどう改善するかは現地の企業に委ねられているのが現状である。
説明会に参加していた企業。
主に変電設備に使われる部品を製造している。
会社にとって日立は売り上げの半分を占める大切な取引先である。
従業員は80人。
人数に対して業務の量が多く人手不足が深刻である。
残業を前提にしないと生産が追い付かない状態が常に続いている。
中国の法律では残業はひと月に36時間まで。
法律を守るためには従業員を増やすしかない。
(社長)
「とにかく今の仕事量からみると従業員を増やさないと難しい。」
(接合部門責任者)
「今の仕事をこなすにはあと3人から4人は必要です。」
(生産部門責任者)
「10人の部署ですがあと2,3人いれば従業員の負担は減るでしょう。」
(社長)
「それはダメだ。
 そんなことをしたらコストがかかり過ぎる。」
人件費の増加は避けられないが
日立との取引を維持するため最低限の増員に踏み切らざるを得ない。
(日立の下請け 機械部品メーカー 楊進社長)
「規定に沿ってやるしかありません。
 法律に違反したら日立も含め大企業と契約中止になってしまいます。
 我々は小さな企業です。
 日立とトラブルが起きたら大変です。」
日立ではこうした下請けの実態を把握し
今後どうサポートしていくか検討していく考えである。
そのため海外の労働や人権の問題に詳しいアドバイザーを招き勉強会を重ねている。
この日の会議では
下請けの支援にあたる専門の社員を数多く育てている欧米企業の事例が示された。
(アドバイザー)
「専門の社員が中国に4,5名いて1年中順番にまわっている形ですね。」
日立では今後世界の地域ごとの実情に合わせた対策を急ぐ方針である。
(日立製作所 CSR・環境戦略本部 荒木由季子本部長)
「人手とコストもかかると思うが
 それをなしにやった時の事業のリスクを
 さまざまな事業のリスクを考えると
 ある程度は負担をしていかなければいけない。
 日立グループ各社が世の中の流れに応えて事業ができるようブラッシュアップしていく。」






コメント    この記事についてブログを書く
« グローバル企業の新たなリス... | トップ | すし人気支える“エジプト産”... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

経済フロントライン」カテゴリの最新記事