2月25日 NHKBS1「国際報道2020」
2011年2月
ニュージーランド南部を襲った地震。
М6,3
185人(日本人28人含む)が死亡した。
大きな被害の出た南部クライストチャーチの市長は
“倒壊したビルの設計に問題があった”として道義的な責任を認め
日本を訪れて日本人の遺族たちに謝罪した。
9年を経てなお地震の傷跡は生々しく残っているが
現地では地域の再生に向けて市民が中心となった取り組みが進められている。
ニュージーランド南部のクライストチャーチ。
今も震災の爪痕が残り
かつての住宅地は空き地のままとなっている。
(観光客)
「もっと復興が進んでいると思っていました。」
こうしたなか今広がっているのがコミュニティーガーデンである。
市民が協力し合い
空き地となった場所などを緑豊かな庭に生まれ変わらせようという取り組みである。
9年前には地震で交通が遮断され食糧不足に陥ったこの地域。
その教訓を生かし
非常時の食糧の足しになる野菜や果物も多く植えられている。
コミュニティーガーデンは被災者の心の復興にもつながっている。
ラウスさんは地震で住んでいた地域が大きな被害を受けた。
(ラウスさん)
「何が起きたのかを知って
あまりにショックでした。」
地震直後のラウスさんの家は壁や屋根が崩れ
地面は大きく陥没。
ラウスさんら住民の多くが政府から立ち退きを命じられた。
そのためこの地域は広大なさら地になってしまった。
(ラウスさん)
「地域のつながりはかけがえのないものでした。
それを失い
みな不幸になりました。」
ラウスさんを励ましたのが自宅の跡地に作られたコミュニティーガーデンだった。
近くに住む友人たちが地域の再生を目指し
花や木を植えていったのである。
(住民)
「誰もが地域とのつながりを取り戻し
自分を癒したいのです。」
ガーデンには地域の人々が自然と集まり
明るい話声であふれるようになった。
それに誘われてガーデンに立ち寄る人も増えている。
「ここは本当にすてき。」
「住民たちを1つにするすばらしい取り組みです。」
ラウスさんもここに来ることが大きな楽しみとなっている。
(ラウスさん)
「だたの空き地が人々の交流の場に生まれ変わり
とてもうれしいです。」
市民の手で生み出されたコミュニティーガーデン。
風景だけでなく
人々の心のきずなもよみがえらせている。