goo blog サービス終了のお知らせ 

日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

中国で広がる“クローンペット”ビジネス

2019-07-13 07:00:00 | 報道/ニュース

6月20日 国際報道2019


1996年にイギリスで誕生したクローン羊のドリー。
ドリーの誕生は世界に衝撃を与え
人の手で生命を作り出すのは倫理的に問題があるとして非常に強い懸念が広がった。
ドリーが作り出されたとき
まず元の羊の細胞が別の羊の卵子に移植された。
そしてその卵子が代理母となる羊の子宮に入れられて
出産の結果
元の羊と同じ遺伝子を持つクローン羊が生まれたのである。
当時はこの技術が人間のクローンにまで行きつくのではないかという警鐘が鳴らされた。
しかしそれから20年がたち警戒感は薄れていて
クローン技術は他の動物への応用が進んでいる。
特に中国ではペットにまで広がり始めている。

中国で売れっ子のタレント犬 果汁。
小さいとき体の毛の一部がオレンジに似ていたことから名づけられた。
これまでに8本の映画などに出演している。
出演料は1日約30万円と中国ではトップクラスである。
ただ気がかりなのが年齢。
推定9才と
人間でいえば50代である。
最近は体力的に撮影が厳しくなってきたという。
(ドッグトレーナー)
「撮影はまだできますが
 年をとり体力的に長時間の撮影は厳しくなってきました。」
そこで果汁を所有するプロダクションは思い切った方法をとった。
クローンの技術を使って後継者を作り出すことにしたのである。
現在 生後8か月の果汁のクローン。
果汁とともに演技の訓練を受けさせタレントデビューを目指している。
(ドッグトレーナー)
「いずれはクローンを果汁の代わりに出演させます。
 果汁の子犬役で共演させるのもいいですね。」
果汁のクローンを作ったのは2012年に設立された北京のベンチャー企業である。
飼育されているのはクローンを作るための代理母となるビーグル犬。
会社は去年 独自の技術を生かしてクローン犬を作るビジネスを始め
さまざまな種類の犬のクローンを作り出すことが可能である。
果汁のクローンもこの施設で生まれた。
費用は1匹あたり日本円で約600万円するが中国全土から問い合わせが相次いでいる。
(SINOGENE 副社長)
「今年は100~200件の受注を目指し
 2~3年後には300~500件まで増やしたい。
 中国のペット産業は急成長している。
 クローンペットの技術を知ってもらえれば需要はある。」
クローンのビジネスが広がる背景にあるのが中国で起こっている爆発的なペットブームである。
去年の市場規模は2兆7,000億円を突破。
(ドッグショーの参加者)
「クローンについて機会があれば考えるし支持します。
 お金の問題ではなく愛情の問題ですからね。」
「犬を買ったときに大金を払ってますからクローンのお金くらい大丈夫です。」
クローン犬を作ってもらおうと考えている重慶に住む親子。
家族同様に育ててきた愛犬が10才を超え衰えてきたことを心配している。
そんなときに知ったのがクローン犬を作ってくれる北京の会社の存在だった。
「この犬がいなくなると思ったらとても悲しくなってしまい
 クローン犬が来れば元と同じでなくても姿が似ていれば心が癒されると思いました。」
この日向かったのは地元の動物病院。
クローンを作るのに必要な体の細胞をとるためである。
作業はわずか数分で終了。
細胞を宅配便で北京の会社に送り
数か月後 愛犬のクローンが誕生する予定である。
「10か月後には来るということなのでとても期待しています。」
「犬が来たらたくさん写真を撮りたいです。」

中国ではクローンペットに関するビジネスに否定的な雰囲気はあまりない。
クローンをめぐってはクローン人間を作ることは中国でも日本や他の国と同様に禁止されている。
クローンのペットを作ることに規制はないため中国ではビジネスとして広がろうとしている。
しかし専門家は規制がないペットであっても倫理上の問題は多いと指摘する。
(北海道大学 石井哲也教授)
「1匹1匹の大切な命を大切に扱わない恐れが出てくると思う。
 仮にクローンのペットが病気になっても十分に看病せず
 またクローンの動物を作ればいいという話しになってしまう。」
今の中国では倫理的な問題よりも実利的なことに関心が集まっている。
たとえば多くの犬の中から素質のある犬を選抜する手間が省けるとして
雲南省では警察犬のクローンが作られ訓練が進んでいるという。
クローン犬に関する問い合わせをしてくる客は大きく3つのグループに分かれるという。
1つは家族同然のペットを失いたくないという愛犬家である。
次に警察犬や麻薬犬などを作ろうという政府の公的機関。
そして3つ目のグループは犬の繁殖などを行う業者。
中国では富裕層をターゲットにして
1千万円を超えるような高価な犬を海外から輸入して販売する業者があるという。
問い合わせをしてきた業者はそうした高価な犬のクローンを作り販売しようというのではとみられる。
業者はペット大国の日本でもクローンのニーズは高いとみていて
日本からも注文を受けたいと話す。
技術が急速に発展するなか
ペットとは
命とは
真剣に考える必要がある。


コメント