日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

ミャンマー “一帯一路”に異変

2018-11-24 07:00:00 | 報道/ニュース

10月31日 国際報道2018


中国からヨーロッパまでをつなぐ巨大経済圏構想 “一帯一路”をめぐって
各国で中国の融資を受けた事業見直しの動きが相次いでいる。
マレーシアでは鉄道とパイプラインの事案の中止を表明。
パキスタンでも北西部と東部を結ぶ鉄道の改良事業の総工費を大幅に削減することになった。
背景にあるのが中国への増大する債務である。
新たに懸念が広がっているミャンマーでは
対外債務全体のうち中国に対するものが4割を超えているのに加え
開発そのものが地元の利益につながるのか疑問の声が高まっている。

ミャンマー西部ラカイン州のチャウピュー。
ここでいま中国主導の大規模な開発プロジェクトが推し進められている。
海沿いに建てられた天然ガスや石油を扱う施設。
全長1,000kmを超えるパイプラインが中国内陸部までつながっている。
建設費用のほとんどを中国企業が負担した。
これにより中国はマラッカ海峡を経由せず
インド洋から直接 石油や天然ガスを内陸部へ送ることが可能になった。
さらにベンガル湾につながる川の河口。
計画中の港湾施設は大型タンカーが10隻以上接岸することができ
周辺に工業団地や居住エリアなども整備する。
将来的には中国内陸部と高速道路で結ばれる構想もあり
ミャンマー政府は「国の発展につながる」と説明している。
このうち港の建設費は約8,000億円。
7割を中国が
残りの3割をミャンマーが負担することになっている。
資金調達の前提は中国からの借り入れだった。
しかしこうした壮大な計画は早くもほころびを見せ始めている。
港の建設に合わせて総工費約2,500億円をかけて整備される工業団地の予定地。
ミャンマーは建設費の調達先を検討しているものの
いっこうに工事が始まっていない。
工業団地にほど近い場所にホテルを建設している不動産業者。
工業団地が整備されれば滞在する人も増え収益が望めると期待していたが
かんじんの工業団地の建設が進まず
当てが外れたと考えている。
(不動産業者)
「ご覧のとおり平日でも人はいない。
 仕事がないので
 皆ラカイン州から離れていく。」
中国主導の開発によってむしろ生活が悪くなったと訴える声が地元では相次いでいる。
漁業を営む男性は
中国が建設したパイプラインが稼働し
海に石油タンカーが行き来するようになってから漁獲量が大幅に減ったという。
(漁師)
「このままでは子どもたちの将来がどうなるかわからない。」
このまま大規模な開発を続け
中国からの借り入れに頼っていては
将来 債務を返せなくなるうえ
国民の間で不満がさらに高まるのではないか。
懸念を強めたミャンマー政府はこれまでの方針を転換。
今年8月
当面の港の建設費を当初の5分の1と大幅に縮小するとともに
中国からの借り入れも取りやめることにしたのである。
今後は自国の利益を見極めながら
必要な投資を慎重に判断していく方針である。
(ミャンマー貿易振興機構 事務局長)
「ミャンマー政府は開発のために借金はしない。
 開発はミャンマー政府の規則や法律にのっとって行う。」



コメント