5月12日 経済フロントライン
映画館の前にズラリと並んだ若い人たち。
中には登場人物のコスプレをしたグループも。
カバンにはたくさんのクラッカーも入っていた。
この映画館では上映中にクラッカーや紙吹雪、サイリウムに使用が可能で
立ち上がったり叫んだりしてもいいということである。
この日上映されたのは
女子高校生が戦車を操って戦う作品「ガールズ&パンツァー」。
上映が始まると
たちまち客席から歓声が上がりペンライトが降られる。
戦車の攻撃のタイミングではクラッカーをいっせいに鳴らし
一緒に戦っている気分を味わう。
人気のキャラクターが登場するとライブ会場のような盛り上がり。
ただ座って鑑賞するのではなく
自分たちも参加することで作品を楽しめるのだという。
「みんなで1つの映画を作り上げるみたいな
私はそれがいちばん好き。」
「爽快ですね。
しちゃいけないことをしているみたいな。」
こうした応援を意識して構成を工夫した作品まで登場している。
アニメ作品「キング・オブ・プリズム」。
男の子たちが切磋琢磨しながらスターを目指す物語で
若者を中心に支持を集めている。
人気の秘密は
かけ声のタイミングがあらかじめ用意されていること。
セリフの後にあえて間を作ることで登場人物と会話できるようにしている。
さらに
セリフの字幕だけを表示し
観客が読み上げる場面まである。
登場人物とデートを楽しんでいる気分を演出することで
若い女性たちの心をつかもうという戦略である。
少しでもセリフに間があると思い思いの手を入れて
上映を盛り上げていく。
「それじゃあ こちらへどうぞ。」
「はーい。」
「古いけどいい雰囲気だろ。」
「そうだね。」
「昔 修道院だったそうだよ。」
「へ~。」
SNSなどの広がりで
どんな情報でも環境で育った若者たち。
実は
自ら体を動かしたり
声を上げて楽しめるような能動的な鑑賞スタイルを求めているのではないか。
この作品を手掛けた菱田正和監督はそう考えて製作したという。
(菱田正和監督)
「ほとんど1時間しゃべりっぱなしなんです。
騒げる仲間が必ずそこに行けばいるという状態になっているので
それが楽しいのだと思います。」
口コミで人気を呼ぶ応援上映。
14の映画館で始まったこの作品の上映は
全国述べ100以上の映画館に広がっている。
興行収入も当初の目標を大きく上回り
6億円を記録した。
「こんなに映画館に来ているのは人生初めてです。」
「私まだ全然 16回ぐらい。
ライブを1600円で見られるし。楽しいし
全然お金を出しちゃう。」、
若い世代をぐっとひきつける応援上映。、
若者の消費に詳しい専門家は
何事にも効率を求める今の若者の価値観にぴったりあったことがヒットにつながったと考えている。
(電通総研 吉田将英さん)
「お金の面だけでなく
時間や労力も含めてコストパフォーマンスと表現するが
そういった中でコスパもいいし近場で盛り上がれる
新しい趣味 楽しみ方として人気を集めている。」